引退か…続行か… 粟生 隆寛(帝拳) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/21

引退か…続行か… 粟生 隆寛(帝拳) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/21
 
 

さて、粟生 隆寛(帝拳)の三日目。

3階級制覇を賭けて、WBO世界ライト級王座決定戦が決まったところまででしたね。
 
 

相手は元世界ライト級3団体世界王者のフアン・ディアス(米)
一時期はこの階級を牛耳る活躍をしたビッグネームです。

場所はラスベガス。
この相手に鮮烈なKO勝ちでも収めれば…。
人気階級でもあるライト級、世界のトップスターに肩を並べる可能性も出てきます。

「負ければ引退」と公言した粟生。
ハンパない気合いのノリで調整に励みます。
 

…が、ここからが不幸の始まり。
スパーリング中、左肩に手術が必要な程の大けがを負ったディアス。
急遽、4位のライムンド・ベルトラン(メキシコ)が代役となります。

しかしベルトラン、この王座決定戦を体重超過で失格。
粟生が勝った場合のみ王座獲得の条件で試合が開始されます…。

が、2Rにダウンを奪われた粟生。
完全に効かされてしまい、成すすべなく連打を浴びて2RKO負け。
 
 

対戦者変更から、対戦者の体重超過…振り回された挙句にKO負け。
何もかもが最悪な展開。
 

実はこの試合、ベルトランが減量を放棄した可能性が指摘されています。

調整がうまくいかなかったベルトラン。
HBOで中継される注目度の高いこの試合、減量でフラフラの状態で戦うより
体重超過で失格しても、スカッとKOで勝てば、次のチャンスはすぐ訪れる…と。

ベルトより人気…。
それはビッグマネーを稼ぎ出す上で、最近のスタンダードに成りつつある考え方ですが…。

ベルトが何よりも重いものであるべきなんじゃ…。
何を持って世界一と言うのさ?
何のために必死で戦うのさ?

これが事実だとしたら許せない。
体重超過って、ギリギリまで粘ってどうしようも無ければしょうがないのかもしれないけど…。
ベルトを放棄する行為…これだけはどうしても…。

世界のベルトを手に入れる為、守る為…過去にどれだけの人間が命を賭けて
そのベルトに価値をもたらせて来たのか…。

あくまで疑惑ですからね。
事実ではないかもしれない。
ボクサーを嫌いになることほど、ファンとして辛いことはない…というのが僕の考え方。
だから、本人がワザとだったとか言い出さない限り、この疑惑は信じないことにします。

あくまで、この内容は疑惑ですんで…
ただし、ベルトランの体重超過は2度目のこと。
猛省はしていただきたい。
 
 

とにもかくにも、負ければ引退と公言した試合で2RKO負け。
さんざん悩んだ粟生の背中を押したのが、帝拳プロモーション代表を務める
元WBC世界スーパーライト級王者の浜田 剛史(帝拳)

「悔いが残ってないならやめればいいし、スッキリしてないなら続ければいい」

この言葉で現役続行を決意した粟生。
ジムの会長に、現役続行を直訴したその日、きっかけとなったベルトラン戦が無効試合となります。
 
 

理由はベルトランのドーピング違反。
試合後のドーピング検査の結果が出たところで、筋肉増強剤のスタノゾロールが検出されたのです。
 
 

最初から最後まで振り回され続け、試合結果は無かったことに。
敗北にはなりませんでしたが、倒されてしまったという事実は、鮮明なシーンと共にファンの中に残ります。
しかもその試合はHBOで放送されていました。

レコードに傷はつかずとも、彼のキャリアには確実に傷となってしまった一戦。
結局、キャリアの再構築が必要になってしまいました。
 

再起戦と言ってもいいものか解りませんが、次の試合では、幸運にも因縁の相手とのリマッチが実現します。

相手は3年前にWBC世界スーパーフェザー級のベルトを奪って行ったガマリエル・ディアス(メキシコ)
三浦 隆司(帝拳)にベルトを奪われた後、5戦1勝3敗1分。
完全にキャリアを潰してしまったディアス。

1発逆転を狙って、かつて勝利した元世界王者の粟生との対戦に臨む形です。
 
 

しかし、この試合…2週間前に中止が発表されます。

スパーリングで左足首の腱を脱臼してしまいまった粟生。
診断は左足関節腓骨筋腱脱臼でドクターストップ。
 

ライト級王座に挑戦が決まってから不運続きの粟生。
このまま引退を予想するファンもいます…。
 

引退か現役続行か…こればっかりはファンがどうこう言える部分でもなかったりします。
その後の人生もありますし、無理に現役を続ければ、晩年になってドランカーの症状が出ることもある。
彼の今後の動向が発表されるまでは、僕らファンは待つしかないのでしょう。
 
 

この粟生選手のピックアップ…、なぜこの選手をピックアップしたかって…
ボクシング選手名鑑の100人目の登録がこの選手だったので…
いわゆるキリ番って奴です。
 

とっても適当な理由ですが、なんだかついてたな…って思います。
続行するならライト級のベルトを目指すことになるだろう粟生選手。

ボクシングの競技人口をグラフにすると、ライト級を頂点に山型のグラフになる。
つまりライト級が最も選手層が厚い階級なんですね。
そうだけあって、簡単にはチャンスがつかめない階級。

この階級で王座を獲得すること、この階級の王座に挑むことってほんとに凄いことなんです。
 

日本人世界王者が何人もいる時代。
彼が少し過小評価されてるんじゃないかな…っていう気がします。

そもそもキャリア初期から他のボクサーとはちょっと違う特殊な目で見られた選手。
史上初の高校6冠を達成し、世界を期待されながらも、常に「こいつは本物か?」という目で見られ…
A級ボクサー相手に判定勝利しかないまま挑んだ日本タイトルマッチ。

梅津 宏治(ワタナベ)は熱狂的なガンダムファンなんてキャラ立ちもしてて、
人気で言えば、梅津の方が上だったりしました。
雑草vsエリートの戦いは、どうしても雑草側に人気がつく傾向にあります。
 
 

榎 洋之(角海老宝石)との試合ではお互いアマエリートではありましたが
アマ出身らしからぬ榎の気の強いボクシングに、アマ出身らしいスタイリッシュな粟生。
当然人気は榎の方に…。
 
 

カウンターパンチャー特有の待ちのボクシングが、彼の手数を奪っているので、
攻撃に積極的な印象を持てない方もいるかもしれません。

もちろん相手によって粟生のボクシングがハマらないこともある。
だから、世界戦で喫した3つの敗北は、いいときの粟生とはまるで別の人間かのように負けていく。
 

ただし、ハマったときのカウンターの威力やボクシングの美しさは、
他の世界王者に決して負けないと思うんです。
粟生が最強かと言われれば、そうではないとは思います。
ただし、彼のボクシングに魅力が無いかと言われれば、それは断固否定します。

山中 慎介(帝拳)内山 高志(ワタナベ)なんていう日本屈指の世界王者達が放てないような
輝きを見せることのできる粟生。
彼もまた、のちにこの時代を振り返るとき、欠かせない登場人物だと思うんです。
 

そんなこんなで粟生選手のピックアップはここまで。

また…明後日。
 
 

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