2024/11/17 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2024/11/17 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【62kg契約4回戦】
新美 映太(RISE) vs 山本 怜生(中日)

 

ゴングが鳴るとともに真っ向からのファイト。
ガードを高く上げながら、空いたところに突き刺さるパンチはどちらも強烈。
新美の左フックが何度もとらえる中、山本は効かせると一気に後続打をまとめる。

被弾で後退する場面を見せるのは新美。
2Rからはお互いにボディの比重も増える。
下から上へとつながっていくのは山本のほう。
近い場所で足を使って立ち位置を変えながら、山本が手数でも上回っていく。

徐々に新美が山本のパンチを外し始める。
しっかりと反応し、ガードで受け止め、ボディを重ねていく。
山本は変わらず、一発当てるとまとめてダメージを刻み付ける。

詰めてくる新美を強烈に襲う山本。
強くパンチが当たる距離を維持するように下がりながら
お互いに強打を撃ちこみ合う。
顔が跳ね上がる場面が多いのは新美か。

いつKOシーンが訪れてもおかしくない12分間はそのまま試合終了。

39-37 山本

公式ジャッジ
39-37
40-36×2

3-0 山本


デビュー戦からタフな試合を勝ち切った山本。
前に出続ける新美に対して、攻撃的に距離を作りながら戦った。
密着した試合ではKOシーンは産まれづらい。
自分の拳を強く充てるにはその分の距離がいる。
しかし、その距離は相手の拳も同じく強く飛んでくる。
スリリングな距離で戦い、タフな試合を勝ち切ったように感じる。

対して新美は、戦いぶりにトラッシュ 中沼(国際)の姿が浮かんだ。
世界王座に2度挑んだ名ボクサーだ。
頭をつけてのファイト、飛び込みながら撃ちこんでいく右。

もちろん中沼に比べればスケールは小さい。
けれども往年の名ボクサーを香らせる。
それだけでもマニアの心をくすぐってくれるように思う。
続けてほしい、きっと愛される選手になれる。


新美 映太 2戦2敗
山本 怜生 1戦1勝

 

【54.5kg契約4回戦】
まなべ ゆうた(天熊丸木) vs 樋田 大知(タキザワ)

 

お互いにスピードに乗った立ち上がりだが、まなべのスピードがひとまわり上か。
リングを飛び回りながらコンビネーションを叩きつける中、樋田が後手に。
立て直す隙を与えず、左ボディからのコンビネーション、最後は右ショートでダウン奪取。

立ち上がり、いったんはクリンチと足で展開を落ち着け、
コンビネーションを叩きつけながらコーナーに追い込む場面も作った樋田。
エンジンのかかって来た樋田が攻め込んだところに左のショートカウンターで2度目のダウン。

立ち上がった樋田に試合は続行、ラウンド残り僅かの中、
樋田をコーナーに追い込み、右ストレートで樋田の顔面を跳ね上げたところでレフリーがストップ。

TKOタイムは1R 3分ちょうど。


立ち上がりを圧倒して奪ったダウン。
攻め込んできた相手を切って落とすカウンターの左。
そして残り数秒で仕留め切った勝負強さ。

圧倒劇だった。
先日、ジムの大エースだった天熊丸木 凌介(天熊丸木)が引退。
名門老舗の新時代は若手ボクサーたちの主役争奪レース。
まなべが「俺たちの時代」を宣言したようにも思えた。

狭い中日本のボクシング界、戦績だけで試合が組まれることはないといっていい。
お互いにある程度、実力を把握し合ったうえで試合が組まれていく。
そんな中でのこの圧倒劇は、携わる人たちの「プロの目」を覆したとも言える。
来年の新人王戦、もしもエントリーがあるなら、新人王大本命へと浮上したように思う。

デビュー戦では刈谷が揺れる大激闘を制した樋田だったが、この日は完敗だった。
しかし、戦いぶりを見ればわかる通り、決して弱い選手ではない。
この日のまなべが強すぎた。

高橋 梨久(トコナメ)の急成長にやられたまなべが、その負けからの急成長。
「負けて強くなる」が連鎖している。
選手がどんどん強くなっていく。

次は樋田の番だ。
きっとやれると思うのは、樋田が大声援に包まれるボクサーだからだ。
自分が折れそうになったとしても、支える人たちがいる。

たくさんの人たちの憧れや思いを強さにつなげてほしい。
できるのは樋田自身しかいない。


まなべ ゆうた 3戦2勝(2KO)1敗
樋田 大知 2戦1勝1敗

 

【65.5kg契約4回戦】
ホートンロビン 健太(北陸イシマル) vs 鳥居 翔太(LUSH緑)

 

ゴングとともに攻め込んでいくホートンロビン。
上手く外しながら左ストレートのカウンターで強烈にとらえた鳥居。
しかし、被弾に全く止まらずそのまま攻め続けるホートンロビン。

乱打戦に飲み込まれていく鳥居。
ホートンロビンが右ストレートで鳥居の顔面を跳ね上げると
追いかけて行って右ボディで鳥居が沈む。

カウントが進む中、動けない鳥居。
そのままテンカウントが数え上げられた。

KOタイムは1R 52秒


会場の関係者がざわめき立った。
来年の新人王戦、エントリーはどの階級か。
ホートンロビンが参加する階級は厳しい階級になる。
それほど、衝撃的な戦いぶりだった。

それは相手が鳥居だったからこそだとも思う。
強さがしっかりと認知されている期待選手だからこそ。
一つの負けで、弱くなるわけではない。
期待値を下げる必要はないはずだ。
逆に、この敗戦から強くなっていく鳥居が見たい。
今後の戦いを楽しみにしている。


ホートンロビン 健太 1戦1勝(1KO)
鳥居 翔太 3戦1勝(1KO)2敗

 

【バンタム級8回戦】
菅原 健太(名古屋大橋) vs 池上 渉(DANGAN郡山)

 

スピードあるパンチの交換から始まった試合。
一回り小さい池上が入ってくるところ、撃ち終わりを菅原が捉える。
まだまだ静かな出だし。

池上がジャブの数を増やすと後に続く大砲もヒットするようになる。
外から大きく振ったと思えば、内側に鋭くアッパー。
豊富な種類のパンチで菅原を襲う。
菅原も池上の撃ち終わりを左フックで強烈にとらえる場面を見せる。

素早い出入りを繰り返しながら撃ち合ってくる池上。
迎え撃つ菅原だが、池上のテンポの速い前後の出入り、
多彩なパンチと回転に振り回されるような展開。

時折強烈にとらえ返す菅原だが、池上が圧倒的な回転で攻め込んでいく。
菅原のほうから行っても、池上が上半身やわらかくその拳をすり抜ける。
ディフェンスの良さがそのまま攻める時間の長さにつながっていく。

5R、右クロスから一気にパンチをまとめる池上。
積み重なっていく菅原の被弾。
足は下がらず、もらいながら前に出ようとする中、
レフリーが割って入って菅原を抱きしめる。

5R 1分48秒TKO

どれだけあるのかと思えるほど豊富だった池上のパンチのパターン。
出入りのテンポが速く、考える隙を与えさせない。
外からの大きなオーバーハンド、内からの小さなアッパー。
軌道の大小、力の強弱が織り交ぜられ、菅原が対応できなくなっていった。

序盤、一回り小さな池上を長いパンチでとらえていた菅原だったが、
冷静に、動じず、菅原を完璧に攻略した。
20戦でもベテランの一角ではあるが、それ以上の経験値を感じた。
積み上げた20戦の濃さを物語る戦いぶり。

試合後、「せきちゃんの最後の刈谷、勝ちたかった」と泣き崩れた菅原。
配信は終わっても、菅原のボクシングは続いていく。
これでよかった。未来につながる試合だった。

初メイン、初のA級。
各地を転戦した旅の拳闘士が、菅原に

 

 

A級で戦うことの厳しさを伝えていった。
永冶 悟志(薬師寺)に敗れた菅原がどれだけ強くなったか。
塩田 賢(市野)に立ち向かった菅原がどれだけ強くなったか。

菅原に勝たせるためなら、もっと別のカードがあったはずだ。
チャンスを作るという意味なら、ランカーを呼んでいたはずだ。
このカードは菅原を強くするためのカード。
勝敗以上に大事な意味を含んでいる。

ランカーより強くなって初めて、ランカーになれる。
これから厳しい戦いに挑んでいく菅原が、その器になるための戦い。
菅原にとってこの試合は終わっていない。
菅原が、この試合に見合う力を得て初めて、この試合が終わると思っている。

菅原 健太 10戦6勝(3KO)2敗2分
池上 渉 21戦10勝(6KO)10敗1分

 

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