2022/10/30 -静岡・ふじさんめっせ- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【フェザー級4回戦】
植松 卓美(駿河男児) vs 長谷川 澪司(市野)
植松 卓美 1戦1勝
長谷川 澪司 デビュー戦
1R、頭一つ大きな相手に低く構え、鋭くジャブを突く植松。
常に頭を動かし長谷川のジャブを空転させる。
先に出して来る長谷川のパンチに被せるように顔面を襲う。
2R、出しても出しても当たらないが、長谷川は手を止めることはない。
植松は長谷川のパンチの合間に強烈に拳を突き刺す。
長谷川がパンチを出せば出すほど、植松の拳が飛んでくる状況。
3R、数多く繰り出される長谷川のパンチに、
かわしながらパンチを選んぶように強烈に右を突き刺す植松。
このラウンドからは植松が強烈なアッパーも交え始める。
ラウンド後半、長谷川が距離を詰めて強烈にアッパーを突き刺す。
ようやく明確なヒットにここから長谷川が一気に展開を変える。
詰めてとにかく手を出しまくる…植松の反撃の機会は一気に減少するが
それでも数多くのパンチに空を切らせ、数は少なくなったものの
パンチの隙間に強烈に一撃を叩き込む。
4R、植松が戦い方を変え、撃ち出しを襲い始める。
鋭く踏み込み、ジャブ、ストレートを突き刺す。
長谷川のアッパーが強烈に捉える場面も出始めるが、
植松がサイドに周るなど、出入りの足をこれまで以上に動かして
強烈に長谷川の顔面を跳ね上げた。
マイジャッジは39-37で植松。
公式ジャッジ
39-37×2、40-36
3-0 勝者:植松
「常に頭を動かせ」
よく言われることだが、簡単にはできないからこそ勝てる選手と
勝てない選手の明暗が分かれていくと思っている。
よく言われる基本的なことがどれだけ重要かを植松が体現した試合。
頭一つフレーム差がある中、ロングの攻防でも上回った。
丁寧にやるべきことをしっかりやり通す…崩しにくい選手に思える。
来年の中日本新人王トーナメント、参戦があるのであれば注目したい。
また、長谷川については、仕掛けたタイミングに驚いた。
残り1Rを残している3Rに猛ラッシュ。
1R、2Rが劣勢だった状況、このラウンドを獲られると勝ちがなくなる。
行くべき時にしっかり行った。
さらに、手を出せば撃たれる状況で、手が止まってもおかしくない中、
長谷川の手は止まることはなく、さらにアッパーで相手を捉えていった。
当たるからといって、カウンターをバンバン取られている展開で
アッパーを多用できるのは度胸の証にも思える。
引き出しが揃い、やれることが増えれば、活躍してくれる要素は充分にも思える。
先々楽しみな二人がデビュー戦のリングを飾った。
【スーパーバンタム級4回戦】
池崎 創哉(三迫) vs 宇佐見 大樹(花形)
池崎 創哉 デビュー戦
宇佐見 大樹 1戦1勝
ロングレンジの攻防から、左ストレートを直撃させた池崎。
手ごたえがあったか、一気に詰めてラッシュ。
次々と宇佐美の顔面を襲っていく…。
早期決着かと思ったところで、宇佐美がラッシュにさらされながら、
強烈な左フックを突き刺して、池崎が揺れる。
試合は一気に激しい撃ち合いへ。
一旦距離が空いて落ち着いたかに思えたが、ラウンド終盤にはまたも激しく撃ち合う二人。
2R、池崎がワンツーで攻め込むと、またも激しく撃ち合う二人。
的確さで上回る池崎に、徐々に宇佐美にダメージが蓄積したか、なかなか手が出なくなる。
池崎は左右フックで何度も宇佐美の顔面を襲い、よろめいてキャンバスにタッチしかける宇佐美。
ここはなんとかこらえ切ったが、仕留めにかかる池崎に対して反撃に移る余裕はなく、
まとめられる中でレフリーが割って入ってのTKO。
TKOタイムは2R 1分10秒
東日本の選手同士の戦いは、スリリングかつ大激闘。
撃ち合いと言うより、効かせ合い。
いつ倒れてもおかしくないパンチをいくつも被弾しながら、
相手が揺れる程の一撃を返して見せた宇佐美。
そして、あわやの一撃をもらいながらも、
決して引かずに打ち勝っていった池崎。
この戦いを静岡で見れたことが、とんでもなく得をした気分。
素晴らしい戦いだった。
【フェザー級6回戦】
岩下 千紘(駿河男児) vs 吉岡 新(マナベ)
岩下 千紘 5戦4勝(2KO)1分
吉岡 新 10戦4勝(3KO)5敗1分
足を使って距離を取る岩下に対して、強引に攻め込んで来る吉岡。
時折もらう場面はあるものの、左フックを引っ掛けるなど入って来るところを捉える。
ラウンド終盤には岩下が右ストレートを突き刺し、
ロープに詰めると強烈なボディを突き刺す。
2R、吉岡は強引に詰め続ける。
ガチャガチャとした展開になるとアッパーなど強烈に捉える。
岩下は綺麗なボクシングはさせてもらえず。
しかし、時折飛び込んで強烈な右をボディに叩き込む。
3Rもまた、グイグイ攻めていく吉岡。
乱戦の中、綺麗ではないにせよヒットを奪っていく。
岩下がクリンチに逃れようとしても振りほどいて攻め続ける。
岩下大苦戦の様相を呈する中、コーナーで右を強烈に相撃ち。
ここを境に岩下は右も左も振り抜くようにビッグヒットを撃ち込むようになる。
詰めに詰め続けて来た吉岡…オーバーペース気味か、肩で息をするように見える。
4R、吉岡の圧力が若干下がったか、岩下の方が前に出始める。
岩下が強烈に左の大砲で捉える場面が目立ち始めたところ、
頭の衝突で両者が流血。
一旦両者にドクターチェックが挟まる。
再開後も、岩下の強烈な左が目立つが、ラスト10秒。
コーナーに詰まった岩下に、吉岡が強烈な右フックをヒット。
吉岡にしがみつく岩下だが、その状態でももがくように拳を振り回す吉岡。
振りほどかれれば窮地だったが残り時間少なく、ラウンド終了のゴング。
インターバル。
吉岡は鼻上部、岩下は額をカットとのアナウンス。
5R、岩下が足を使うが、吉岡の詰めに序盤ほどのしつこさはなく、
時折強烈なヒットは奪われるものの、攻め込まれる場面はそう多くない。
ラウンド終盤には岩下が強烈な左フックをきっかけにロープに詰めて攻勢。
終了間際になると、今度は吉岡が追いかけまわしてヒットを重ねる。
6R、左ストレートを突き刺して岩下が先制するが、
グイグイ詰めながら強烈な左フック立て続けにヒットさせた吉岡。
クリンチに逃れようとする岩下を押し返し、更に攻め立てようとするが
ここは体がもつれて両者スリップ。
展開はいったん落ち着くも、
両者の距離が接近するごとに拳が交錯する最終ラウンド。
際どいラウンドが積み重ねられたまま、試合終了のゴング。
現地観戦でのマイジャッジは59-55で岩下。
映像を見返してのマイジャッジは58-56で岩下。
正確に拳がヒットしたかどうかは映像の方が確認しやすい。
吉岡のガチャガチャしたヒットははっきりとヒットしたかわかりづらく、
公式ジャッジは
58-56×2、57-57
2-0で吉岡
現地で観戦していると、ガチャガチャした吉岡のヒットは
クリーンなヒットには見えづらかった。
映像で観戦すると不格好ながらもしっかりと岩下の顔面を捉えていた。
岩下の大きなヒットばかり目立っていたように思えた為、
ドローのジャッジや、吉岡の勝ちでもおかしくないという声に違和感を感じたが
映像で見返したところで、その通りだと感じた。
どちらについてもおかしくなかった試合という印象。
岩下はベルトを巻ける選手だと思っている。
今日の大苦戦を持って、その印象を変えることはない。
クリンチの甘さは大きな課題だと感じるが、勝ってその経験値が得られたことも幸運。
この大苦戦は岩下の戦いぶりよりも、吉岡を褒めたい内容だったようにも思える。
オーバーペース気味にはなったが、しつこい詰めと、形が崩れても出てくる拳。
かなり厄介なものだった。
しつこさでベルトを巻いた選手も多くいる。
あのしつこい詰めをより多く、より長時間続けられれば…とは思うが、
それもまた人外の領域に思える。
いずれA級戦線へと上がってくる選手だと感じた。
どう形を変化して対応して来るか、それともこのまま長丁場を走り切る選手となるか。
いずれにしても楽しみでしかたない。
また中日本のリングに上がってくれることを願う。
「岩下を苦戦させた」
吉岡に強烈な印象が残った。
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