2022/10/30 -静岡・ふじさんめっせ- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2022/10/30 -静岡・ふじさんめっせ- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【ライト級8回戦】
湯川 成美(駿河男児) vs ニューサンダー 照屋(琉豊)

湯川 成美 5戦5勝(4KO) 日本ライト級9位
ニューサンダー 照屋 18戦7勝(4KO)10敗1分


両者ともいきなり足を止め、真っ向勝負。
ジャブから始まった拳の交換は、お互いにガードを高く上げながらも
それを割り、回り込ませの殴り合いに。
より積極的に拳を放ち、ヒット数を増やしたのは照屋の方か。

ただ、お互いに一発で終わっておかしくない
思い切りのいいパンチを交換し合っている。


2R、じっくり見ながらタイミングを伺うようにスタートした湯川。
試合はジャブの刺し合いへ…じとっと観察していると感じた矢先。
照屋の右の撃ち出しに湯川の右フックが刺さる。
出すはずだった照屋の右は弱々しく空中を漂い、
照屋の体はそのままリングに崩れ落ちる。

立ち上がろうとする照屋だが、体が言うことを効かず、
上半身を起こしたところで、肩からリングに落ちる…。
リング上でもがきなかがらなんとか立ち上がって続行をアピールするが、
レフリーは続行を許さず。


TKOタイムは2分36秒


倒した湯川側の目線で見れば、狙いすました一撃。
倒すべくして倒した試合。

照屋側の目線で見れば、一瞬の隙を奪われた試合。
その一瞬さえなければといった試合。


5年前、刈谷のリングで突進を繰り返したガムシャラな4回戦ボクサーだった照屋。
時を経てA級ボクサーとなり、段違いに実力を増してこの日のリングに現れた。
戦績は大きく傷つき、負け越しながらも戦い続け、
この日のセミファイナルを飾るまでのボクサーになった姿を見れた。
それだけで胸が熱くなった。

続けていれば、ここまで強くなれる。


しかし、それをたったの一撃で終わらせた。
キャリア初期、ダウンからの逆転劇を繰り返した湯川。
やっと仕上がって来たという印象を受ける。

ランキングは日本王座挑戦権内。
これからの道のりはひしめく強豪達との出世争い。
運よくチャンスがまわってくる可能性が現実的ではないと思えるほど
実績も名もあるランカーたちが上位にひしめいている。

まだまだ期待値を高める必要がある…。
しかし、きっと成し遂げてくれるとも思う。
底抜けに明るい姿でリングを降りて行った湯川。

駿河のカリスマ、愛されて欲しいと願う。

 

■WBOアジア太平洋スーパーフライ級王座決定戦
【スーパーフライ級12回戦】
村地 翼(駿河男児) vs ウィルベルト・ベロンド(比)

OPBF東洋太平洋バンタム級11位/WBOアジア太平洋スーパーフライ級3位/日本バンタム級5位
村地 翼 10戦8勝(3KO)1敗1分

WBOアジア太平洋スーパーフライ級7位
ウィルベルト・ベロンド 23戦16勝(6KO)5敗2分


1R、しっかり足を使って攻めるベロンドにタイミングを与えない村地。
ジャブで強烈にベロンドを襲うが、少し重いか…。
いい時の村地のジャブはもっと怖いようにも感じる。
それでも、機能するには充分。

ベロンドは飛び込んでボディを襲うが、その次にはつながらず。
ラウンド終盤には村地が飛び込んでの強烈なボディ、
右を叩き込んでからのコンビネーションではっきりとポイントを獲った印象。


2R次々とジャブを突いていく村地。
しっかりと距離を調節し、ベロンドの顔面への攻撃のほとんどが空を切る。
しかしどれも思い切りよく繰り出す、「強いフィリピン人」のパンチ。
決して油断できない拳が、時折村地のボディをえぐる。

村地は左ボディを強烈に突き刺し、さらには左アッパー、左フックでベロンドの顔面を襲う。
「左を散りばめる」と形容したくなるような戦いぶり。


3R、ベロンドが強烈に村地のボディをえぐると、
続けざまに左フックで村地の頭を襲う…ここは反応してダメージを殺したか。
次に放った強烈なベロンドのボディに、村地は短い左を合わせて応戦。

しかし、次のベロンドの右ストレートで村地の顔面が弾き飛ぶ。
ここで気の強さを発揮し、コンビネーションでやり返した村地。
マイナスな印象も即座に取り返す。

被弾が増えた村地だったが、ラウンド中盤からはしっかり足を使ってベロンドに
タイミングを与えず、踏み込んで上下のコンビネーションを撃ち込んではしっかり距離を空ける。
ラウンド終了直前には、ボディを撃ち込んでベロンドの動きを止めると
コンビネーションで強烈にベロンドの顔面を襲う。


4R、ボディからのコンビネーションで顔面を捉える場面を多く作る村地。
ベロンドはボディを撃たれると一瞬動きが止まる…。
かなり効いているように見えるが、それでも思い切り撃ち込む拳の鋭さは変わらない。
たまにある被弾が怖くてたまらない。

消耗していておかしくないハズ…それだけ強烈に数多くのボディを食っているベロンド。
それでも脅威が消えない拳に、ベロンドもまた、
タイトル挑戦に相応しい猛者であると感じる。


5R、足を動かしながら次々とボディからのコンビネーションを撃ち込む村地。
ベロンドの手数は激減し、振って来ても村地がしっかりと外す。
攻めあぐねているか…ボディのダメージが出てきているか。


6R、プレスをかけてロープに詰まった村地を右ストレートで襲ったベロンド。
しかし、ロープ際からするりと抜け出し、体を入れ替えた村地は、
コンビネーションを叩きつけて反撃。

以降は村地がしっかりと足を使いながら、強烈に拳を突き立てていく流れ。
コーナーに追いつめて一方的なラッシュを撃ち込む場面も。
しかし…ラウンド終了間際、ベロンドが強烈なボディを突き刺す。
これはキツかったか、一旦クリンチに逃れる村地。

まだまだベロンドの一撃の脅威は削がれない。


7R、これまで以上に攻勢を強めたベロンド。
強烈なパンチが村地を捉える場面が増える。
対して、村地は手数が激減…少し休んでいるか。

ラウンド中盤以降は足を止めてのファイト。
村地はここでしっかり撃ち勝ってラウンドが終了。


8R、村地は足の動きが鈍くなり始めたか、
ベロンドが追いかけて上下に強烈にパンチを叩き込む。
このラウンドも中盤以降、村地が足を止めてファイトする。

攻勢を強めたベロンドはこのファイトを上回ってみせる。
しかし、後半に進むごとに村地が盛り返していく。
ベロンドも体力の消耗があるか。


9R、また足が動き始めた村地。
こうなると試合は一方的に。
中盤、村地がロープに追いつめて強烈なボディを突き刺す。
動きの止まったベロンドにラッシュをかけて次々に顔面を襲う。
4回戦ならレフリーが割って入っておかしくないラッシュ。
しかし、ベロンドは大きなパンチを振り回して窮地を脱出。
ここまで撃たれても驚異のあるパンチを振るい続けるベロンドに鳥肌が立つ。


10R、足を使ってジャブを刺していく村地。
ベロンドはもう追いかける足は残っていないか。
村地が入って来るところにボディを合わせていく。
ヒット、手数で村地が圧倒的に上回るも、そのボディは相変わらず強烈。


11R、展開は変わらず。
村地がベロンドをコーナーに詰めて的確に拳を浴びせた場面が印象的。

ラウンド中盤、ベロンドが出ようとすると、はっきりと距離を取って戦意をくじく。
しかし、村地が入ったところではやはり怖い一撃を飛ばしてくるベロンド。
村地の顔面が跳ね上がる場面も。

ラウンド終了間際、ワンツーの右でベロンドの顔面を弾き飛ばした村地。
ボディへも強烈な右ストレートを伸ばす。


12R、残り3分に賭け、圧力を強めるベロンドだが、
村地は大きく距離を取ってリングを走り回る。
倒されなければチャンピオン…
まず間違いなくポイント的には安全圏に入っているだろう局面。

時折ジャブを突き刺しながら、しっかりとリスクを排除して試合終了のゴング。


マイジャッジ 118-110


公式ジャッジ
117-111×2、118-110

3-0 勝者:村地


あれだけ削られても、ベロンドは脅威を維持し続けた。
足は止まったが、拳は衰えなかった。
戦意喪失してもおかしくないほど一方的にもなった。
それでも逆転の可能性を残し続けた。
フィリピンの勇敢な戦士だった。


強い相手にしっかり勝ち切ってベルトを巻いた村地。
かつて獲り逃したWBOアジア、似合いすぎる程似合っていた。

早すぎる挑戦と言われた試合。
呆然と後楽園ホールの天井を眺めるようにリングに横たわった村地。
あの日から、村地はみるみる強くなった。

「自分が強引に組んでもらった、会長に恥をかかせてしまった。」

仮にこの日が無ければ、どういう経緯であれ最終的にはGOを出した
前島会長の判断は間違いだったことになってたかもしれない。
その拳で、全てを正解にして見せた。

この日の勝利があって、「あの時負けてよかったね」と言える。
あの敗戦が村地が描いた胸を打つ物語の起点になった。
辞めずに続けてくれたから、乗り越えてくれたからこその大きな感動だった。


この先、このベルトを守るのと共に、
ランクされるであろうWBOのランキングを上げていく戦いも並列して始まる。
そしてそれは、客席にチャンピオンとしての実力を誇示し、
その名を刻み付けていく道のりでもあると思う。

村地の第一章が完結した。
きっと第二章も素晴らしい物語になる。
どんな映画よりも面白いボクサーの物語。

これからも楽しみにしている。

 

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