2018/11/11 -城東区民センター 大阪天神興行Ⅱ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■フェザー級4回戦
勇 龍磨(大阪天神) vs 秋田 太一(WING)
勇 龍磨 2戦1勝1敗
秋田 太一 デビュー戦
海外で2試合を戦って、国内では初の試合となる勇。
対するはデビュー戦の秋田。
先に先に手を出していくのは秋田。
下がりながらカウンターを当てると一気に攻め込んでいく勇。
手数では秋田が上回るが、しっかりとパンチをまとめるのは勇。
2Rには勇が秋田をロープに釘付けにしてラッシュ。
レフリーが止めるタイミングを探すが、なんとか手を返して秋田が脱出。
ラウンド終盤になると秋田が細かく細かく手数を出して盛り返す。
食い下がる秋田だったが、3Rにも勇がカウンターからまとめると、セコンドからタオルが投入される。
秋田が耐えに耐えた多分、もらい過ぎていた…ナイスタオルだったと思う。
TKOタイムは3R 2分27秒。
勇が凱旋試合を飾る形となったが…
ここから大どんでん返し。
敗者の秋田がリング上からプロポーズ。
「負けてもうてごめん。」
この言葉から始まった人生の大勝負には見事に勝利。
勇も秋田も…本当にカッコよかった。
会場も大盛り上がり、観衆のテンションも高い。
勝者と敗者の残酷なコントラスト…みたいなものも吹き飛ばす。
明るい空気のボクシング…見ていて本当に気持ちが良かった。
■スーパーライト級4回戦
後藤 心大(大阪天神) vs 守屋 秀亮(チーム侍)
後藤 心大 1戦1勝
守屋 秀亮 2戦2敗
チーム侍は岐阜の総合格闘技のジム。
JBCとは違い、他格闘技と並行してのプロ活動も許されるABCジャパンの興行。
守屋はボクシングのリング3戦目となった。
後藤はデビュー以来、2戦続けて総合の選手との試合となった。
アマチュア経験のある後藤、テクニック豊かに守屋を翻弄する。
力強いジャブで守屋の入りを抑えながら、近い距離ではフックで強烈に守屋の顔面をエグる。
対して守屋は全く怯まず、前に出ながらスリリングなパンチを振るい続ける。
後藤のパンチはしっかり守屋を捉えていたものの、タフな守屋を倒しきることはできず。
判定は40-36、40-37×2で後藤。
6回戦デビューでも通用しそうな後藤の戦いぶりは今後への希望を感じさせる。
ジャブにも威力を感じるし、パンチ一つ一つに力強さも感じる。
2戦連続での判定勝利だが、そのうち倒し始めるだろうと思う。
どのみち、今後、海外でやるのであれば…倒していかないときっと難しい。
そしてこの試合で何より驚いいたのが守屋の伸び方…。
これでボクシングでは3連敗となったが、その動きは確実にボクサーとして洗練されてきている。
「総合の選手」と聞くだけなら、片手間と思われてしまうのかもしれないが、
前回からの戦いぶりを見ると、その先入観がとんでもないことだと思わされる。
実際のところが解らないのは承知の上だが…
ボクシングと総合、きっと二つ分の努力をしているんだろうと思う。
ボクサー守屋の初勝利にも今後期待したい。
総合仕込みのタフな体は魅力的だ。
■フライ級4回戦
山口 楽人(大阪天神) vs 翔希(フリー)
山口 楽人 5戦4勝(3KO)1敗
翔希 デビュー戦
フレームが大きな16歳の山口。
JBCでは17歳からしかプロボクサーとして試合ができない為、ABCジャパンならではとも言える選手。
フライ級では破格のフレーム…この体を作ることだけでも大変そうに思える。
フライ級の標準サイズとも思える相手の翔希とは頭一つ分ほどの身長差。
試合前は翔希が圧倒的に不利になりそうに思えたコントラストだったが…。
抜群のタイミングで滑り込み、山口の肩越しにパンチを浴びせる翔希。
離れ際にひっかけるフックも目を惹く。
絶対的アドバンテージとも思える体格差に対して、翔希のアタックは接戦を演出。
しかし、日ごろの節制もあってのものに思える山口のフレームの牙城を崩しきることはできず。
終盤には倒しに出た山口を数多く捉えるモノの…試合中盤をヒット数で上回られ、
40-36、39-38、38-38…2-0で山口 楽人の勝利。
マイジャッジは38-38だった。
山口に対して攻めあぐねることのなかった翔希、今後期待できそうな選手。
小気味いいリズムも見ていて気持ちよかった。
山口はまだ16歳。
大きなフレームは、今後を期待させてくれる大きな武器。
勝っていける選手だと感じた。
勝利者インタビューでは会長にタイトルマッチを直訴。
これに対して、会長の山口 賢一(大阪天神)は「タイトルマッチやります!」と宣言。
長身痩躯の16歳の今後の展開が気にかかる。
日本人としての地域タイトル奪取最年少記録に期待したい。
ここで、赤堀 亮(大阪天神)の引退式。
アマチュア戦績:44戦31勝13敗。大阪の桃山学院大で活躍。
大鵬ジムよりプロデビューし、JBCのリングで5勝(1KO)3敗。
その後、3年半のブランクを経て、ABCジャパン管轄のリングで復帰し、海外でも戦った。
BoxRecには韓国で試合を行う際のリングネーム「Juk San Lee」で掲載されている。
韓国でEPBCユーラシア太平洋ライト級暫定王座決定戦に出場するも、1RTKOで敗退。
その1年後である昨年、ルスミン・キエラハ(インドネシア)との
WBFアジアライト級王座決定戦を制してベルトを巻いた。
この試合を最後に引退となっている。
「WBFアジアのベルトを目標にやって来た。」
目標となるベルトを獲得し、燃え尽きたことが引退理由という。
マイナー王座と言われる王座だが…
一人のボクサーが競技人生を賭けたベルト。
僕はこのベルトを価値が低いとは言いたくない。
ボクサーが競技人生を賭けた…その意味はやはり重いと思う。
海外のリングに挑んで行ったからこそ巻くことのできたベルト。
選手とその選手を見てきた人たちにとっては、より大きな大きな価値がある。
価値は最初からそこにあるものではなく、様々な選手が作っていくものだ。
ベルトに一つの価値を作ったボクサーだと感じた。
試合をこの目で見ることは叶わなかったけれど、赤堀チャンピオン…お疲れさまでした。
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