2024/6/23 -静岡・ツインメッセ静岡- 第8試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【ライト級4回戦】
浦野 一希(浜松堀内) vs 秋山 星也(名古屋大橋)
ロングレンジに位置取りながらの攻防。
緊張感の高い戦いの中、浦野の攻撃をしっかり外す秋山。
接近戦になった場面でも秋山がしっかりと撃ち勝つ。
2Rも少し離れたところからの攻防。
接触頻度は多くないモノの不意を突いた秋山の強打が印象に残る。
ラウンド終了間際、秋山の左フックがヒットすると、足元を揺らした浦野に対して、
秋山が右ストレートを追い打ちで炸裂し浦野が後ろ倒しにダウンする。
激しいダウンシーンにレフリーは試合をストップ。
TKOタイムは 2R 2分55秒
前回の勝利と同じく、相手に隙を見せずに仕留めた強い勝ち方。
これで戦績がイーブンと言うのが信じられない戦いぶりだった。
1年半ぶりのリングとなった秋山だが、
ここからコンスタントに試合を消化できるかも見どころだ。
ライト級の強豪選手たちはB級昇格に近い位置に行っている。
ニューフェイスたちも続々と出てきている。
中日本ライト級4回戦がどれだけ面白くなるかは
試合数的にも勝利数的にもその中間に位置する秋山の動向に大きく影響されるようにも思える。
今後、かき回してくれることを期待したい。
これでデビューから立て続けの連敗となった浦野だが、
経験薄な中で、強い選手たちに喫した敗戦に思える。
まだまだ成長過程の浦野が負けを増やすのは自然にも思える。
必要なのは敗戦から立ち上がること、敗戦を経験として蓄積すること。
アマチュアで選手が育ってからプロへと流入して来る時代。
叩き上げの生存競争は、負けに歯を食いしばりながらになる。
続けるなら、きっと大きなドラマを描く選手。
次の試合を楽しみにしていたい。
浦野 一希 2戦2敗
秋山 星也 4戦2勝(2KO)2敗
【ライト級8回戦】
英 豪(LUSH緑) vs ポラワット・ナンチンダ(タイ)
この試合では本名のポンラワット・ナンタエーカポンで表記されたタイ人。
ガードをしっかりと固め、ロングレンジでワンツーを飛ばしてくる英豪に、
負けじとワンツーを返していく。
ラウンド中盤には距離を詰めての攻撃も見せるが、ポンラワットのガードは固い。
そう思った矢先、右左とボディを叩きつけてポンラワットが悶絶のダウン。
10カウントで立ち上がることはできずにKO決着となった。
1RTKO
ポンラワットが何かを見せる前の決着。
実力は測れないままだった。
ただ、相手の実力がどうだったか以前に、求められる結果に100点回答を示して見せた。
前回のランカー挑戦では「勝利」という回答を出し、この試合では「圧倒」という回答。
なかなかできることではない。
期待値を上げていいはずだ。
より上を目指せるカードを求めている英豪。
求められるものを叶えている以上、
彼の試合を作る人達がその欲求に答えて欲しいと感じる。
英 豪 3戦3勝(2KO)
ポラワット・ナンチンダ 15戦8勝(5KO)7敗
鋭くジャブを飛ばし合う二人。
サウスポーのグラに対し、不意を突いた右ストレートで捉えた佐野。
じっくり見て行く佐野に、グラは時折攻め込むが、佐野はしっかり距離を取って空転させる。
2R、佐野がコーナーに詰まった場面で攻め込んだグラだが、
佐野は冷静に外してコーナーを抜ける。
静かな展開の中、入ってくるグラに右ボディを合わせた佐野。
しかし、グラのガードがしっかりカバーしている。
ヒットの少ない展開…ヒットは僅かに佐野が上回るか。
しかし手数ではグラがはっきりと上回る。
3R、入ってくる時に右を合わせた佐野。
グラの撃ち終わりにカウンターの右が入る場面が目立ち始める。
逆に佐野が入った場面で左フックを合わせたグラ。
毎ラウンド大きな差がつかない緊張感の高い展開。
ラウンド終盤には佐野がグラの左ストレートをかわして
回り込みながらの右ボディを印象付ける。
4R、佐野のカウンターにカウンターを合わせに行くグラ。
テクニックもスピードもハイクラス。
中盤、佐野がボディを突き刺すとグラはクリンチへ。
終盤には撃ち終わりに右ストレートを叩き込み、印象的なパンチを見せ始めた佐野。
ここで公開採点
マイジャッジ 40-36 佐野
大きく差の開いたラウンドはなくとも、
着実に佐野が各ラウンドでポイントをピックアップしているように感じる。
公式ジャッジ
40-36
39-37×2
3-0:佐野
5R、ガードと距離でほとんどパンチを貰わない佐野。
時折飛び込んでボディや左フックをヒットさせる。
ラウンド終了間際には強烈な右ボディ、効いた感触があったか、
立て続けにボディを狙って攻め込んだ。
しかしここはグラが柔らかく回避。
6R、緊張感高く進む展開の中、左ボディを突き刺す佐野。
不意を突いてジャブをボディを撃ちながら飛び込んだグラに、バランスを崩した佐野。
スリップの裁定だが、ダウンとといられることもあり得そうなヒヤリとするシーン。
パンチが当たる前に足を滑らせていた佐野をレフリーが良く見ていたと言える場面か。
直後、ダッキングから上体を起こしたグラの頭が佐野のアゴに衝突。
ここからグラがオーバーハンドの右をヒットさせると、
佐野は右ストレートをカウンターを突き刺して反撃。
この試合、撃ち合いになるのはこのシーンが初。
7R、積極的に攻めるのはグラだが、ほとんどヒットを浴びない佐野。
逆に右アッパーをボディに叩き込み、右のカウンターでグラの顔面を弾くシーンも。
グラは一発一発思い切り振り抜くようなコンビネーションでようやく佐野の顔面を捉えるが、
次の接触では佐野が強烈なボディをお返し。
8R、ポイント劣勢が明らかなグラが圧を強めて追いかける。
グラのヒットが増えるが、佐野が時折返すカウンターは強烈。
中盤、グラの左ストレートでバランスを崩した佐野。
チャンスに前に出るグラを佐野は右ボディで止める。
しかし、ここで勢いに乗ったか、グラの攻勢が増す。
一撃でなぎ倒す気満々の鋭く大きな左を振るう場面も。
ここで公開採点
マイジャッジ 77-75 佐野
79-73
78-74
77-75
3-0 佐野
9R、積極的に前に出るグラに対して、ジャブを見せながらボディで迎え撃つ佐野。
ラウンド終了間際、グラが左ストレートを撃ち込んで見せるが、
佐野も右ストレートを叩き込んでオアイコに。
最終ラウンド、逆転を狙って振り込んで来るグラに右を合わせる佐野。
最後は次々に右を合わせて試合終了のゴング。
マイジャッジ 97-93 佐野
公式ジャッジ
99-91
97-93
98-92
3-0 勝者:佐野
佐野が日比ホープ対決をほぼ完封した形で世界ユース王座を獲得。
最終ラウンド、次々と右を放り込んだ姿に、もっと早くその姿を…と思えそうだが
佐野と互角のスピードを持ち、さらにリスキーに振り回す場面を見せるグラに
リスクをはっきりと削り取って、勝利を確実なものにした。
各ラウンド、大きく上回ったわけではなく、着実にポイントをピック。
淡々と勝利に向かって突き進んで行った。
足を踏むダーティーな場面も見せながら、勝利に向かって来たグラ。
やりにくい相手にもダメージを負ったと感じさせる場面は皆無だった。
「世界ユース王座は通過点。」
クレバーにつかんだ姿に、言葉だけでなく、
リングの上の戦いぶりでもそれを感じさせた。
実力差を見せ、落ち着き払った戴冠劇。
佐野が血沸き肉躍る試合を残すのはまだ先の舞台。
ここから主要地域タイトル挑戦までの道のり…楽しんで行きたいと思う。
佐野 遥渉 10戦9勝(5KO)1分
エロゲ・グラ 10戦8勝(3KO)1敗1分
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