2024/6/23 -静岡・ツインメッセ静岡- 見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
ボクシング界に現れた異色の興行「LUSH BOMU」
音楽とボクシングの融合を掲げ、ド派手な演出でこれまでになかった空気を創り上げる。
これまでも、ボクシング興行でアーティストのライブが披露されることはあったが
音楽とボクシングが対等に扱われるLUSH BOMUは全く異なる形態をとる。
チケットは発売と共にソールドアウトまっしぐら。
会場にはボクシング以上に、アーティストを見に来たお客さんで埋められる。
これまでのボクシング興行での音楽ライブは、休憩時間。
しかし、この興行ではその音楽ライブの時間帯にサイリウムが舞う。
そして、ボクシングに興味の無かった観客が、ボクシングの魅力に感化されて帰路につく。
かつて モハメド・アリ(米) vs ジョー・フレージャー(米) がザイールで演じたキンシャサの奇跡。
この試合の延期により日程がズレてしまったが、この試合の前座には
ジェームス・ブラウンを筆頭としたアメリカの黒人トップアーティストが登場する予定だった。
ボクシングの試合が延期されたことにより、同日開催とはならなかったが、
「ブラックウッドストック」と呼ばれたこのスーパーライブも、
「キンシャサの奇跡」と呼ばれたボクシングのスーパービッグマッチも
それぞれ開催され、どちらも伝説として後世に語り継がれている。
新時代の複合イベント「LUSH BOMU」は、サイズこそ違えど、
ボクシングの伝説的な歴史を現代に蘇らせようとしているようにも見える。
「新時代」「新しい形態」…そう言われるイベントだが、
ボクシングの歴史を蔑ろにせず、しっかりと踏襲してくれている。
LUSH BOMUの配信は以下から
第1試合~第8試合の実況解説には、わたくし「せきちゃん」も登場いたします。
ぜひぜひお楽しみあれ…というわけで、予習の見どころ紹介でございます!
■2024年度中日本フライ級新人王準決勝
【フライ級4回戦】
村田 碧(和光) vs 桂 ケンシロウ(とよはし)
村田 碧 3戦3勝(1KO)
今年の中日本新人王戦目玉選手がついにトーナメントに登場。
リング上の全てをつかさどる…マザーコンピューターのような戦いぶり。
アマチュア戦績は23戦18勝5敗。
桂 ケンシロウ 1戦1勝(1KO)
いきなり飛び出し、攻めに攻めてのKO劇を見せたデビュー戦。
「気持ちっしょ!」の勝利者インタビューも印象的だった18歳。
キャリア3戦のうち2試合で中国の強豪を圧倒し、付け入る隙を見せていない村田。
堂々たる全日本新人王候補村田に対し、桂が臆せず向かって行けるか。
ミラクルを起こすなら、怖いもの知らずの若さは武器になる。
綾野 太晴 2戦2勝(1KO)
西日本の大阪帝拳でデビューし、中日本の中日ジムへ移籍してきた選手。
移籍初戦では同じトーナメントにエントリーしている林田 翔麗(三河)を相手に
劣勢に追い込まれながら、逆転の一撃でKO勝ちを収めた。
中村 列亜 2戦2勝(2KO)
中京高校ボクシング部で活躍し、アマチュア戦績は15戦8勝7敗。
クセのある難敵を立て続けに破ってデビュー2連勝としている。
アマチュア歴の土台の上にある豊富な種類のパンチが特徴的。
実力者がひしめくバンタム級。
綾野も中村も例年ならば優勝候補とされておかしくない選手。
綾野を終盤まで追い込んだ林田、そして優勝候補の小川 昂輝(駿河男児)。
誰が獲っても、全日本を狙える逸材たちが4強に残っている。
実力拮抗、抜群に「面白い」今年のバンタム級。
勝者はこの次の試合の勝者と決勝で激突。
勝敗予想を楽しむうえでも、この試合と次の試合を見比べてもらいたい。
■2024年度中日本バンタム級新人王準決勝
【バンタム級4回戦】
林田 翔麗(三河) vs 小川 昂輝(駿河男児)
林田 翔麗 2戦1勝(1KO)1敗
デビュー戦こそ逆転KO負けで取りこぼしたものの、
客席から抜群に高い評価を得ているのがこの選手。
自身を破った相手、綾野 太晴(中日)へのリベンジを誓う。
小川 昂輝 3戦3勝(2KO)
この階級の優勝候補、新星ファイターの小川。
ファイターとしての引き出しも多く、至近距離での戦いは逸品。
中日本を代表するファイターへの成長が期待できる選手。
現時点でもある程度成熟したファイターにも思える小川だが、
2戦目から3戦目の伸び幅も注目すべきもの。
短時間でみるみる力を伸ばしているように見える。
一方、林田を優勝候補に推す声も高くあり、ハイクラスの戦いが予想される。
「事実上の決勝戦」と言いたい所だが、そう言わせないのが対抗ブロック。
先の試合で既に勝ちあがる選手が決まっているはず。
中日本新人王決勝を楽しむうえで、絶対に抑えたい試合。
■2024年度中日本スーパーバンタム級準決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
藤本 翔大(LUSH) vs 白井 優成(駿河男児)
藤本 翔大 5戦1勝(1KO)2敗2分
負け越し戦績の優勝候補、藤本が登場。
高い実力を持ちながらも、勝ちが遠かったここまでのキャリア。
初勝利を踏み、自信を取り戻したうえで堂々の優勝候補としてリングにあがる。
白井 優成 2戦2勝
サウスポー2名相手に巧みな試合ぶりを見せてデビュー2連勝。
この試合が初のオーソドックスとの対戦となるが、その戦いぶりがどうなるか。
試合運びの巧さは左右関係なく不変と思われる分、崩す難しさがある選手と感じる。
今年の最激戦区スーパーバンタム級。
トーナメントが組まれた時点、優勝候補には藤本をあげたが、道のりは険しい。
この日の相手、白井はまさに難敵と言える選手。
巧みな試合運びにハマれば、藤本と言えど見せ場なく完封される可能性はある。
藤本にとってここが大きな大きな山場になるとも思える試合。
白井にとってここを乗り越えれば、全日本新人王が見える試合。
両者にとって大きな大きなカードと感じている。
■2024年度中日本フェザー級新人王準決勝
【フェザー級4回戦】
青柳 冴亮(浜松堀内) vs 鈴木 蒼平(とよはし)
青柳 冴亮 2戦1勝1敗
サスケが約6年ぶりにリング復帰。
2018年の中日本新人王決勝でデビューするも完封負けから、
西日本の選手相手に接戦を制して初勝利を挙げている。
鈴木 蒼平 デビュー戦
デビュー戦の為に初見。
サウスポー。
6年前の中日本新人王戦ではまだまだ力不足を感じた19歳の青柳だったが
あれから6年の歳月を経てどうなったか…。
体も出来上がっているだろう25歳、あの当時とは違うはずだ。
対する鈴木の前情報はないが、そういった「突如現れた選手」が
駆け上がるのも新人王戦の面白み…ベールに包まれた実力を楽しみにしたい。
決勝では今年の中日本新人王戦屈指の好カードを
勝ち抜けた木附 大己(LUSH緑)が待ち受ける。
■2024年度中日本ライト級新人王準決勝
【ライト級4回戦】
田中 友介(西遠) vs 高井 広大(唯心)
田中 友介 2戦2勝(2KO)
今年の中日本新人王ライト級の優勝候補に推す選手。
ワンテンポ早いリズムは独特のタイミングを産み
持ち合わせる強打も相俟ってデビュー以来2連続KO勝利を挙げている。
高井 広大 2戦1勝(1KO)1敗
デビュー戦敗退後、鮮烈な1RTKOで初勝利を飾った。
デビュー戦でダウン後に手を出し続けた姿も印象的。
初勝利を経て強さを増す選手も多い中、どう成長しているか。
デビュー戦ではテンポの早さで相手のペースにさせず、疲弊を誘った田中。
2戦目でも速い返しでKOを飾っている。
全体的なスピードはそれ程でもないが、独特のテンポに相手が追い付かなくなるような印象。
やりにくさで言えば頭一つ抜けた相手に高井がどう対峙していくか。
コーナーに入るだろう天熊丸木の丸木兄弟は名門の技術を受け継ぐ。
西遠の太田トレーナーは「相手にとってやりにくい試合」を作る手腕は逸品。
両陣営の戦略にも注目。
【女子48.0kg契約4回戦】
神成 咲良(changes) vs 谷原 羽奈(ARITOMI)
神成 咲良 3戦1勝2敗
勇敢に美しく…強い相手に挑んで散った過去2戦。
昨年の静岡で初勝利を挙げてトレーナーに抱き着いた姿は昨年の中日本の名シーン。
北海道からまたも「ジャン・ヌ・ダルク」がやってくる。
谷原 羽奈 デビュー戦
デビュー戦の為に初見。
アマチュア戦績は6戦3勝3敗。
この試合が4試合目となる神成は北海道の選手ながら、中日本のリング3戦目。
デビュー戦の吉田 里穂(RISE)戦で思わず口を突いて出た
「北海道のジャン・ヌ・ダルク」の異名も浸透。
中日本女子を語るうえで欠かせない存在となっている。
グングン力をつける神成に、デビュー戦の谷原がどう戦うか。
アマチュア戦歴もあるだけに、その力に要注目。
粘り強く戦歴を重ねる選手も多いARITOMIジムの選手なだけに
これから大きなドラマを描く可能性にも期待したい。
【ライト級4回戦】
浦野 一希(浜松堀内) vs 秋山 星也(名古屋大橋)
浦野 一希 1戦1敗
デビュー戦は固いまま敗れてしまった1RTKO。
迫力とスリルに満ちたタイミングの攻撃力は魅せたものの
出すものも出せないままに終わった試合に見えた。
秋山 星也 3戦1勝(1KO)2敗
3戦のうち、見れた試合は1試合のみ。
その試合では徹底的にパンチをもらわずにラウンドを制し、
相手が弱った場面を逃さず仕留め切る…「強い勝ち方」の一つを体現している。
今年の新人王戦、初戦で優勝候補の田中 友介(西遠)に敗れた浦野。
いいところも見せれぬまま敗れた試合だったが、負けに屈せずリベンジの舞台へ。
秋山は勝利した試合ではディフェンシブな戦いを見せているが
チャンスを仕留め切る嗅覚もある。
攻撃的と見える浦野と、テクニカルな秋山…。
捌くか押し込むか…見ていてわかりやすく面白い試合になると予想できるカード。
【ライト級8回戦】
英 豪(LUSH緑) vs ポラワット・ナンチンダ(タイ)
英 豪 2戦2勝(1KO)
デビュー2戦目でランキング強奪という離れ業を演じた英豪。
中日本に帰って来たアマエリートはテクニカルな部分だけでなく
スリリングでリスキーな勝負への強さも見せつけた。
ポラワット・ナンチンダ 14戦8勝(5KO)6敗
この試合では本名のポンラワット・ナンタエーカポンで表記される。
デビュー4連敗から巻き返してこの戦績。
昨年12月には敗れはしたもののタイ国ライト級王座にも挑んでいる。
日本のリングには初登場。
日本ライト級11位にランキングされる英豪。
上が強豪選手で詰まっているこの階級、ランキングアップのハードルは高い。
タイからランカークラスの選手を呼んだこの試合。
きっちり勝ち切って大きなチャンスにつなげたい所。
ここから先、挑んで行く戦いが立て続くことも予想される。
しっかりと実力を指し示したい所。
佐野 遥渉 9戦8勝(4KO)1分
LUSHの若きメインイベンターがついにタイトルに挑む。
全日本新人王戦を圧倒的に制し、その後の戦いもはっきりと勝ち切った。
多彩なジャブと強烈な左ボディ、21歳とは思えぬ冷静な試合運び。
日本スーパーライト級では6位にまでランキングを上昇させている佐野が
若手選手の世界への入り口とも言えるユースタイトルへ挑んで行く。
エロゲ・グラ 9戦8勝(3KO)1分
戦績的には佐野と同等、日本のリングには初登場となる。
発音としてより近いのはイエロゲ・グラ。
実直真面目な好青年と聞いた。
23歳までしか挑む権利がないユース王座。
日本ユースも考えられたが、世界ユースへと挑んで行く。
今やボクシング大国、軽量級の実力派世界No.1とも言える国内戦線。
日本ユースも世界ユースに匹敵する難関と放っているが、
海外から見たときの看板の大きさは明らかに世界ユースが大きい。
国内ではなく、世界を意識したルートを選択したと言っていい。
「佐野は世界に行く」
そのメッセージを強烈に感じる。
対戦相手のグラにとっても、初タイトル挑戦。
世界を舞台にするマッチメイクで、「フィリピンの戦績のいい選手」から
「世界ユース王者」の肩書がつくことは、チャンスを得るという部分で、大きな意味がある。
肩書がないうちは、「どこのだれ」かがわからない選手として扱われがちだ。
豪州などではその為にも、タイトルをかき集めて世界戦線へ挑んで行く文化が育っている。
両者ともに大きな大きな意味があるタイトル。
日本のホープとフィリピンのホープ…。
未来に飛びこむこととなる、世界戦線への入口へ。
【カテゴリ別】
2024年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2024年6月に戻る
コメント