2024/4/13 -愛知・刈谷あいおいホール- 第4試合~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【60.5Kg契約4回戦】
西村 翔馬(岐阜ヨコゼキ) vs 青木 康博(RISE)
どっしりと自ら撃っていく西村。
デビュー戦からスムーズに手が出て来る青木。
二人の戦いは頭を付けての撃ち合いとなっていく。
両者しっかりと撃ち合う中で、西村が相手の肩越しに右ストレートを炸裂させダウンを奪取。
再開後も相手に向かっていく青木だったが、撃ち合いの中でまた肩越しの右ストレート。
青木が膝を折ったところでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは1R 2分57秒
意識が飛んでいたか、レフリーが止めてもファイティングポーズをとって西村に向かう青木。
3分に満たないデビュー戦となったが、戦っていく気持ちはある。
きっと強くなっていく選手、このスタートをしっかりと焼き付けて、彼の物語を見て行きたい。
4戦勝ち星なしからの2連勝を決めた西村。
行けずに敗れていたキャリア初期、初勝利を掴んで自信を付けたか。
見事なKO勝利を描いてみせた。
辞めなかったから今がある、勝てない時期を耐えたからこそ手に入れた強さ。
あの西村が、こんな試合を演じるようになった…胸が熱くなる試合だった。
西村 翔馬 6戦2勝(2KO)3敗1分
青木 康博 1戦1敗
【バンタム級4回戦】
糟谷 裕太(名古屋大橋) vs 馬場 基生(尾張水野)
前に出て行くのは粕谷、前の手の攻防でも的確に襲っていく。
手数でもヒットでも粕谷が上回る中、馬場は粕谷をコーナーに追いつめた場面でガチャガチャとヒットを奪う。
その間、強烈な反撃を喰いながらも…。
馬場はボディを貰いながら右を返すなど、貰いながらでもの戦いを見せる。
直後、粕谷の右ストレートが炸裂してコーナーに追いつめられた馬場。
しかし、ここで詰めに来た粕谷に対して、右ストレートを強烈に突き刺して反撃。
倒れてもおかしくないような粕谷のパンチが幾度も入っているにもかかわらず、
驚きのタフネスでやり返す馬場。
2R、猛烈な手数を出した馬場に対して、上体で躱しながら拳を返す粕谷。
馬場のパンチの多くは空を切り、粕谷のパンチは次々にヒットして行く。
顔面を跳ね上げられながらも手を返していく馬場。
しかし、貰いすぎの判断か、手は返っていたが、レフリーは試合をストップ。
一方的にパンチを浴びる馬場を救出した。
TKOタイムは2R 2分33秒
驚きのタフネスと、貰いながらでもダメージを与えに行く姿を見せた馬場。
勝負度胸があり、間違いなく怖い選手だ。
まともな被弾が減れば、より怖い選手になっていくだろうと感じる。
面白い選手が出て来た興奮を覚えた。
試合自体は粕谷が圧倒したと言っていい内容だと感じる。
デビュー戦でまずはハッキリとした勝利。
来年の新人王戦のエントリーはあるだろうか。
もしあるなら、2025年の注目選手になる可能性も高い。
攻め込んだ場面での危ない被弾があったが、そこもきっと修正して来るだろう。
名古屋大橋に先々が楽しみになる逸材が現れた。
糟谷 裕太 1戦1勝(1KO)
馬場 基生 1戦1敗
【68.6Kg契約4回戦】
冨永 大希(仲里) vs 松岡 陸(浜松堀内)
鋭く右ストレートを突き刺していく松岡。
中盤からは鋭利に左フックもヒットして行く。
松岡が冨永をロープに詰めた場面、お互いの左フックが交錯。
たたらを踏んで後退したのは松岡の方。
一気に攻めて強打を浴びせて行く冨永。
なんとか耐えようとした松岡だが、その分被弾を重ねてダウン。
立ち上がったがダメージは深く、再開後にパンチを集められ
ダウン寸前まで陥ったところでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは1R 2分32秒
出だしを優勢に進めていたのは松岡だった。
被弾ほとんどなく、自分の拳を突き刺していく展開。
ここを冨永が相撃ちの左フックで一気に形勢を逆転させた。
これでB級昇格となった冨永。
以前、冨永と引分け、現在B級を戦っている松岡 蓮(浜松堀内)が弟の敗戦を眺めていた。
新人王戦でぶつかった二人は引分けながら、優勢点で松岡 蓮が勝ち上がっている。
弟の陸をKOして、同じB級の土俵に上がった冨永。
リベンジマッチの構図もある試合、資格は手に入れた。
蓮は力強く「やりたいです。」と語った。
現在眼底骨折の治療中の為に、すぐにとは言えないだろう。
マッチメイクは水物、成立するかどうかはタイミングもある。
しかし…見て来たものとしては期待してしまう。
そして、この試合に敗戦した陸がここからどう立ち上がっていくか。
初の敗戦はきついモノ…
しかし、負けてからがボクシング。
ここから松岡 陸の真価が問われると思っている。
冨永 大希 6戦4勝(3KO)1敗1分
松岡 陸 4戦3勝(2KO)1敗
【スーパーフライ級6回戦】
タッサナシン・オンスワン(タイ) vs 坂井 涼(畑中)
プレスを掛けながら丁寧にジャブを突き刺していく坂井。
撃ち終わりに鋭くストレートを飛ばすタッサナシンに対し
狙いすましたような右ストレートで揺らしてみせる。
タッサナシンの攻撃もしっかりとブロックして手を返す。
しっかりと落ち着いた立ち上がり。
2R、静かに立ち上がったラウンド、時折強烈なボディを叩き込む坂井。
その度に、動きが止まるタッサナシン。
下半身の粘りもなくなって来たか、坂井がタイミングよく
突き刺すようなジャブで尻餅をつかせてダウン。
再開後、逆転を狙って振り回すタッサナシン。
なりふり構わず勝ちに来た相手に右をカウンターで突き刺すと
更に追撃の右フックで鮮烈なダウン。
ここでレフリーが試合をストップ。
TKOタイムは2R 2分49秒
ダウン後、攻撃に転じたタッサナシン。
鋭くスリリングに振って来たが、冷静にカウンターを奪い、
さらに追撃の一撃を見舞った。
異国の地で勝ちに来ていたタッサナシン。
勝利者インタビューを受けている坂井に抱擁を求め、
自分を倒した相手を抱きしめた後、リングを去った。
力の差はあったが、中日本4回戦では対戦相手がいないと言われた坂井が相手。
ボクシングの実力は相対的なモノ。
この日、届かなかった拳も、対戦相手のレベルが合えば結果を残すだろうと思える。
完璧な戦いぶりの坂井を褒める試合だと感じる。
これでA級昇格となった。
全日本フライ級新人王として凱旋したこの日の試合。
スーパーフライ級での戦いだった。
果たしてこの先、どの階級で登っていくのかも気になるところ。
スーパーフライ級には中日本にも有望な選手が多くいる。
佐野 遥渉(LUSH)、藤野 零大(カシミ)の全日本新人王組。
何年もランキングにいる強打者の中村 祐斗(市野)。
そしてこれから登ってくる、犬塚 音也(松田)。
待ち受けるサバイバルレース、そして4人もの全日本新人王を輩出した
2023年の中日本新人王達の出世レース。
まずは坂井が凱旋試合を勝利で飾った。
タッサナシン・オンスワン 6戦5勝(2KO)1敗
坂井 涼 7戦6勝(3KO)1敗
【スーパーバンタム級8回戦】
村井 貴裕(名古屋大橋) vs 二瓶 竜弥(DANGAN郡山)
足を使いながらまわる村井に対し、ジャブを突きながらリングをまわる村井。
時折飛び込んで拳をぶつける村井だったが、入るところにジャブを合わされ、
そのままワンツーに繋げた右を被弾してダウン。
ベテランらしくしっかりカウントエイトまで休んで再開。
チャンスに攻め込む二瓶、撃ち合う村井は合間に連打を浴びせて撃ち負けず。
2Rもぐいぐい詰める仁平だったが、村井が左を差し始めると二瓶の前進が止まる。
左から入る場面を多く作りながら、時折右を強烈に突き刺してヒットを奪う。
ラウンド後半には二瓶の圧力が弱まる。
出て行けないのか…出て行かないのか…。
前に出る印象しかなかった二瓶が留まる姿に、見ている自分も少し戸惑いを覚える。
3R、積極的に攻め込む二瓶。
前進が戻って来た二瓶に、撃ち終わりを狙ってか、村井が待つ時間が長くなる。
時折強烈に返すものの、手数とヒットでは二瓶が圧倒する。
しかし、ラウンド終盤に入ると、
やはり二瓶の圧は弱まり、村井の方が前へ足を進める展開も。
4R、前に出て来る二瓶を待ち受け、左フックを合わせる村井。
強烈に捉えるが、コツコツジャブを出し、ガードされども撃っていく二瓶に
手数ヒットで大きく上回られる。
5R、ジャブの刺し合い、決して刺し負けずに戦う村井。
サイドにまわろうとしたところ、二瓶の左フックが刺さり、一瞬フリーズする村井。
しかし、すぐに立て直してその場を逃れ、ラウンド終盤には強烈なボディを重ねる。
撃ち合いの場面も撃ち負けない。
6R、二瓶が詰めて行ったところ、サイドにまわろうとした村井に
またも二瓶の追いかけるような左が刺さり、バランスを崩す村井。
ガンガン入ってくるわけではないが、手数では二瓶が上回る。
村井も撃ち込む場面では一発で終わらず、後続のコンビネーションを浴びせる。
まとめる分、ヒット数では村井か…難しいラウンド。
7R、ジャブを撃ち込みながら、左アッパーも炸裂させた二瓶。
このラウンド、村井はどっしりと位置取り、二瓶の方が足を使う。
村井は当たればパンチを纏める。
二瓶がコツコツヒットを奪っては、村井が連打でそのヒットを帳消しにする展開。
8R、前に出て行くのは村井の方。
撃ち合う場面が増えて行くが、纏める分村井の方が印象がいいか。
足を使う二瓶、手数を出して行く村井。
しっかりと撃ち合って終了のゴング。
マイジャッジ76-75 村井
ただし、2R~7Rのポイントが全く読めないどちらについてもおかしくない試合。
何をどう評価するか…どちらかに大きく開いてついてもおかしくない…。
公式ジャッジ
71-80
73-78
72-79
3-0 二瓶
これで二瓶は中日本のリングで3戦3勝。
いずれも際どい試合をさらって言っている。
この日もポイントは大きく開いたが、各ラウンド際どい内容だったように思う。
前に出てくるイメージしかなかった二瓶が、遠い位置に陣取ったことから
試合が村井ペースで動いていたようにも感じられた。
何はともあれ、今回もいやらしさたっぷりに中日本キラーぶりを発揮。
敬意をたっぷり込めてこう言いたい。
「もう顔も見たくない!」
これまでのちの日本ランカー、元日本ランカーと何度も対戦しながら
対戦時点で相手にランキングがなく、ノーランカーという不運の強豪。
勝負事の世界、結果を出した二瓶にチャンスが与えられて欲しい。
そして、この日敗れた村井。
30戦以上の戦績を積み重ね、蓄積した経験値は中日本トップクラス。
一挙手一投足、彼ほど相手と濃厚なやり取りをする選手がいるだろうか。
西日本から移籍してきてしばらく経つが、もうなくてはならない立ち位置と存在感。
彼がリングの上で表現するボクシングの奥深さはこの日の戦いでもたっぷりと堪能できた。
単純なことなのに、帰宅して動画を見返してようやく気付くことが沢山ある。
二瓶が前に出なくなる前と後、村井はジャブを効果的に使っている。
さらに右から入る場面も見せ、どちらが飛ぶかわからない状態。
リアルタイムで気付けない…配信で「おしゃべり」をする自分にとって恐怖さえ感じる選手。
彼がリングで描く世界についていけない…。
それが彼が持つ世界観の奥深さを示しているようにも感じる。
また、彼の試合を配信したい。
村井の描く世界に挑みたい。
村井 貴裕 32戦18勝(6KO)12敗2分
二瓶 竜弥 14戦9勝(1KO)3敗2分
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