2024/4/13 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2024/4/13 -愛知・刈谷あいおいホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【女子バンタム級4回戦】
大坪 真実(台湾) vs 加藤 優歩(とよはし)

ゴングと共に前に出て左を突いていく加藤。
大坪の右の撃ち出しに右ストレートを刺すが、
大坪も要所要所で強烈に右ストレートを返す。
1R終了間際には大坪が強烈な右フックを撃ち込んで加藤が揺れる。

2Rもお互い遠い距離から左を出しながら距離を測り合う。
時折大坪が踏み込んで右強打を撃ち込んで行くが、
加藤も大坪の離れ際に左フックを引っ掛ける場面を魅せる。

大坪が上下に強打を撃ち込む場面が目立つ中、
2R終了間際にも、大坪が右を叩き込み、加藤が足元を揺らす。

3Rも遠い距離での攻防、手数が出るのは加藤の方だが、
安全圏の距離にいながら、踏み込んで右をぶつける大坪。
カウンターで強烈に捉えると、連続して右強打を叩きつける大坪。

重なる被弾にレフリーは試合をストップ。

TKOタイムは3R 1分21秒

前に出るのも、手数を出すのも加藤だった。
しかし、その距離は遠かった。
大坪がしっかりと距離を維持し、安全圏から飛び込んでの強打。
終始この展開だった。

加藤側から見て、打開できなかったと言えるかもしれないが、
逆にこの展開が続いたことに驚きを感じた。
どれだけ強打を貰っても、揺らされても、前に出てワンツー。

遠い距離を入り切れなかったが、あと一歩。
後ほんの少しで何かを変えられる。
ここがスタート地点、彼女が強くなっていく物語を楽しめればと思う。

対して大坪、安全圏を確保した上で撃ち終わりに思い切っていく。
そして力強い右を思い切り叩き込んで行った。
リスクもしっかりと削ったうえでの強打。

たった2戦目だが、2戦目とは思えない蓄積を感じる。
しっかりと維持しつづけた距離が産んだTKO劇だったと感じる。

日本人選手が、海外管轄所属のボクサーとして日本のリングに上がる。
そして、TKO勝利をあげる。
試合をすることも、勝利することも、KOすることも史上初。
戦後70年以上ある日本ボクシング史の様々なものを塗り替えた。

「パイオニア」である彼女の姿がより注目されて欲しいと感じた。

大坪 真実 2戦1勝(1KO)1敗
加藤 優歩 1戦1敗

 

【52.0kg契約4回戦】
平賀 陸(三津山) vs 大城 琉一(尾張水野)


お互い前傾姿勢ながら、リングをまわるのは大城。詰めて行くのは平賀。
ガードを高く固めながら、大きく振るう大城、鋭く撃ち込む平賀。
ジャブの相撃ちで一瞬平賀が後退する場面も。
中盤、激しく頭が当たりいったん中断、休息の時間が与えられる。
ラウンド終了間際、じわりじわりとロープに詰めた平賀がコンビネーションを撃ち込み。
右フックで大城の顔面を強烈に捉えてみせる。

2R序盤、お互い思い切り振っていく中で、平賀の右フックでバランスを崩した大城が手をつく。
ダウンを取られてもおかしくないタイミングだが、ここはスリップ。
大城が近付く平賀をコツコツと叩き、近付けばボディをえぐる。
平賀は詰めた場面で思い切り振り抜いて顔面を襲っていく。
ラウンド終盤、大城が徹底して右ボディを連続で叩きつける。

3R、圧を強めて一気に攻めていくが、大城が耐え抜いて右フックで捉えると
効いたと見たか、大城が平賀をロープに詰めてラッシュで襲う。
一進一退の展開の中、大城が徹底してボディを叩き、上へも繋げる。

4R、開始直後からより好戦的に詰めていく平賀。
お互いがボディを削り合っていた最中、平賀が右フックを上に持って行く。
振り抜いた一撃をまともに食った大城がダウン。
レフリーは試合を即座にストップ。

TKOタイムは4R 47秒

マイジャッジでは大城のジャブを評価して全ラウンドポイントは大城。
公式ジャッジは確認できていないが、各ラウンド微妙だったとは思える。
どちらにせよ倒しに行くべき場面で見事なKOを決めた。
リスクを背負ったスリリングな攻防。
大砲の撃ち合いを制したデビュー戦、凄まじいKOシーンだった。

対して大城は、自身も強烈に振りながら、相手の振り抜いてくるパンチを威力は9分以上体感していた。
その状態で、あの振り合いを演じた度胸、結果裏目に出たとは言えるが勝負の場面ではあった。
間違いだったとは思わない…そして、ボディに手ごたえがあれば徹底したボディ攻め。

次の試合に出場する細川が、とんでもない戦いぶりを見せた。
8月11日の新人王決勝、敗れはしたが…止めるなら大城かもしれない。
そんな期待はしっかり残したように思える。

平賀 陸 1戦1勝(1KO)
大城 琉一 1戦1敗

 

【ライトフライ級4回戦】
赤塚 翔(名古屋大橋) vs 細川 弦汰(駿河)

ゴングと共に飛び出していく両者。
頭をつけて、激しく飛び交う手数の嵐。
押し込んで行くのは赤塚の方だが、押し込まれながらも細川の手数は止まらない。

どう見てもオーバーペースに見える。
まるで最終ラウンド残り30秒のような撃ち合いが最初の3分間で繰り広げられる。

2Rも猛烈な手数で攻める細川、細かく位置を変えようとする赤塚だが、
ポジションを変えた瞬間にもう細川が追い付いている。
赤塚が撃ち出す前にもう細川のパンチが撃ち出されている。
至近距離のファイトが延々と続いていく。

3R、猛烈な手数の中を縫って左を返して細川の顔面を跳ね上げる赤塚。
しかし、怯まない、止まらない細川…お互い前のめりのファイト。
ボディも数多く叩く細川の回転に、赤塚の手数が減っていく。
クリンチに行くのは赤塚の方。
いつもなら削る側の赤塚が、細川に削られていく。

4R、最後の最後まで赤塚は押し込んで行く。
ただし、細川の手数が止むことはない。
オーバーペースに見えた1Rから全く落ちることのない運動量。
苦しい表情は一切見せず、笑顔のまま走り切って終了のゴング。

マイジャッジは40-36で細川

40-36×2
39-37

3-0 勝者:細川

驚愕だった…スタミナを売りにする選手は沢山いるが、ここまでやれるかと。
この手数の海に飲み込まれれば、やれることの数は制限されるはず。
赤塚が近距離でポジションを変えようとしても、即座に追いつく足。
この選手にどう戦えばいいのか…少なくとも4回戦の短いラウンドでは…。

例えば、自分の体を被弾にさらしながら一撃でなら…
そう考えたとき、直近の試合で敗戦した大城が浮かんだ。
二人は8/11の中日本新人王決勝戦で激突する。

6回戦、8回戦でどういう戦いになるか早く見てみたい。
場合によってはとんでもないところまで登り詰めるかもしれない。

熱闘男、赤塚は健在だった。
この試合も熱闘…ただし、その熱闘の土俵で細川に上回られた。
いついかなる時も、上には上がいる。

逆に、赤塚を持ってして削り合いで上回ったからこそ、細川の凄みを感じられた。
心を折らないで欲しい…リングの上で特別な選手に巡り合ってしまっただけだ。
B級昇格まであと0.5勝。

変わらず、その時を楽しみにしている。

赤塚 翔 8戦3勝4敗1分
細川 弦汰 2戦2勝(1KO)

 

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