2017/3/26 刈谷あいおいホール-9試合目、10試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/3/26 刈谷あいおいホール-9試合目、10試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

さて、本日は6回戦の2試合を…。
興行も終盤に差し掛かり…

昨年の全日本新人王と中日本新人王MVPが登場。
 
 

【ライトフライ級 6回戦】
戸谷 彰宏(蟹江) vs 冨田 真(HEIWA)

・戸谷 彰宏 8戦6勝(1KO)2敗 日本12位
・冨田 真 10戦5勝3敗2分

本日出場する中で唯一のランカー、戸谷。
聖地後楽園で帝拳の郡司 勇也(帝拳)を破って全日本新人王を獲得。
日本ランカーとして凱旋したのがこの試合。

郡司…高校選抜優勝者。
昨年の新人王のド本命だった男を、大方の予想を覆す形で破って…

地方ボクサーが、関東圏の強い男に勝ってランクを持ち帰る。
前々から何度も書いていますが…それこそ地方ボクシングの浪漫です!
それを見事に体現した戸谷が対戦するのは…冨田 真。

出入りの早さが特徴的な選手。
実はこの二人、既に2度対戦しており、戸谷の2勝。
冨田は4回戦で3敗しているのですが、そのうち2度が戸谷なんです。

お互いB級(6回戦)ボクサーとして三度重なるボクサーズロード。
 

戸谷はB級としてはまだ1勝しかない為、この試合に勝てばA級ボクサー。
冨田は直近までC級(4回戦)の試合を戦っており、これがB級として初戦。
 

1試合目は大差判定。
2試合目はぎりぎりの僅差。

選手たちがその試合に賭ける思いや、その試合が実現に至る経緯…。
6回戦あたりではなかなかそこに触れることはできないけれども…
3度目の対戦となると、そこに何かしらの思いを感じずにはいられない。
 

オープニングヒットは戸谷。
サウスポーの冨田のジャブに対して、右を撃ち込む。
コンビネーションを叩き込む戸谷と、単発で終わる冨田。
1Rはそこに差が出てしまう。
 

2R、冨田の撃ち出しに的確に右を合わせていく戸谷。
二人の距離が縮まった一瞬。
サイドに動いて優位な位置に立った戸谷の右ストレートが炸裂し、冨田がダウン。
再開後、一気に攻めていく戸谷だったが、ここはゴングでタイムアップ。
 

3R、距離を潰して立て直しを図る冨田。
しかし、冨田の攻撃をいなしながら、自身のパンチをヒットさせていく戸谷。
優劣は変わらず。
 

4R、一気に前に出た冨田。
戸谷がコーナーに詰められる場面も…。
しかしタイミングのいいパンチを撃ち込んでくる戸谷にペースを奪いきれない。

冨田も忙しく頭を振りながら、的を外しながら攻め込むため、
もらっても単発にとどめて、後続打を受けることはない。
 

5R、徐々に冨田の足が生き始める。
近距離で細かいステップを踏み、微妙な距離を調整する独特のフットワーク。
これは前の試合でも見られたもの…これが冨田の真骨頂。

ランカーの戸谷がうまくパンチをまとめられ、距離を取ろうとするが…。
思うようにその距離を維持できない戸谷。
飛び込んでくる冨田にあきらかに苦戦する。
 

6R、距離を詰めていった冨田。
ボディを重ねながら上下に撃ち分け…
冨田がクリティカルヒットを奪う場面が増えていく。
しかし…手数が減ったところを戸谷の右ストレートが急襲する場面も。

捌きに掛った戸谷を飲み込みかけた冨田。

マイジャッジは57-56。
ダウンがある分、戸谷が有利だが…後半3Rは冨田が持っていったようにも思えた。

判定は58-55、58-55、58-56。
最終ラウンドは微妙だったため、まったくの許容範囲。
 

前戦まで4回戦を戦っており、既に3敗している選手が…全日本新人王相手に大善戦。
試合後、ボソっと呟いてしまった。

「すげぇもん見た…」
 

これでA級ボクサーの資格を得た戸谷。
戸谷の苦戦…とも取れるが…いやいや、冨田が強かったんだよ…なんて思ってしまう。
既に2試合していることもあり、既に冨田の強さは把握していたハズ。

う~ん…名前も実績もない癖に強い冨田。
ランクを得たばかりの戸谷がリスクしかない相手とやる必要…ないように思える。
だからこそ、両者の対戦には、お互いの意地や因縁を感じずにはいられない。

先だけ見つめれば、スルーしていいはずの冨田を迎えて、きっちり勝利した戸谷。
…見事。
 
 
 

【フライ級 6回戦】
村上 勝也(薬師寺) vs 勝江 仁(高砂)

・村上 勝也 6戦4勝(1KO)1敗1分
・勝江 仁 7戦4勝(2KO)3敗
 

昨年の中日本フライ級新人王MVPを獲得した村上。
リング中央で並んだ二人は勝江の方が一回り小さい。

フレームで優位な村上、相手より過酷な減量を経て手に入れたアドバンテージを有効に生かす。

1R、お互いに距離を保ちながら、飛び込んでパンチを交換し、また距離を置く。
そのため、強烈なヒットがあっても、単発で終わり、後続打は産まれない。

それでも、村上の強烈で鋭いロングフックは威力充分。
勝江もストレートで反撃して、一瞬のKO劇も期待できそうな展開。
 

2Rの1分過ぎ、フックとアッパーのコンビネーションで村上の強烈な3連打。
このあたりから勝江のパンチが、懐の深い村上に充分に届かないシーンが目立つようになる。
 

3R前半、距離が近づき、撃ち合いで勝江が優位に立つシーンもあったが、
中盤に差し掛かると、村上が距離を作り直し、
さらにこれまで単発だった攻撃に2発目、3発目が加わるようになる。
このラウンド、勝江がカット。有効打によるもの。
 

4R、両者撃ち合いを敢行。
勝江の攻撃をガードで巧く吸収しながら、村上がコンビネーションで捉える。
多少の被弾はあっても、構わずにダメージングブローを数多く叩き込む村上。
何度も顔面を跳ね上げられながら、消耗を見せない勝江。
 

5R、前のラウンドとは逆にお互いに見合う時間が増える。
相変わらずヒットの数では村上が上回るが…
ラストラウンドに向けて、両者力を溜めているようにも思える。
 

最終6R、開始早々村上のコンビネーションが勝江を捉えていく。
これまで以上に距離が詰まり、お互いに手が届く場所での攻防。
ここでも村上が勝江を上回り、何度も何度も勝江の顔面が跳ね上がる。

しかし…最後まで勝江のタフさを崩すことはできず。
勝負は判定へ…。
 

村上…フルマークの判定勝利。
60-55、60-55、60-54。
 

最後まであきらめずに抵抗した勝江。
あとわずかのところで届かない拳に、最後は地元の村上を差し置いて、
“届け!”と念じてしまうほど…。

こういう負け方は、ファンの心をつかむと思える。
また…名古屋のリングに来てほしい選手の一人。
 

村上…さすがに強い。
全日本新人王には届かなかったものの…

村上の一年前、同じく全日本新人王に届かなかった水野 拓哉(松田)が、
現在、”中京のホープ”として注目を浴びていることから見ても…。
僕は彼を、注目選手として抑えておくべきだと思う。

B級初戦でフルマークを記録してしまう選手なんだから、当然と言えば当然なんだろうけど…。
 
 

さて、興行はここから、セミファイナル…ファイナルへと進行。
 

ボクシングファンに限れば、全国的な知名度を手に入れつつある森 武蔵(薬師寺)矢吹 正道(薬師寺)が登場。
 
 

 

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