リーチ差…19cm ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/25

リーチ差…19cm ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/25
 
 

 

ドワイト・ムハマド・カウイ(米)、5日目。
 
 
 

前回は、まだドワイト・ブラックストンという名前だったカウイが、
歴史に残る強打者、マシュー・サアド・ムハマド(米)に勝利し、
第11代WBC世界ライトヘビー級王者になったところまで。
 
 

 

世界王者になったドワイト・ブラックストン。
しかし翌月のランキング表の王者の欄には、ブラックストンの名前はありませんでした。
チャンピオンの欄に記載された名前はドワイト・ムハマド・カウイ。
 

世界王座を獲得し、ブラックムスリムへの改宗を表明。
イスラム名に名を変える…モハメド・アリ(米)と同じ形。

商業的なもの…なんて言われたりすることもありますが、
自身の信仰を変える…そんな大決断を商業的なもので…?
 

僕はちょっとこの話には懐疑的。

信仰というものの重さは、ひとたび日本を出れば、とてつもなく大きなもの…だと僕は感じるので…。
本人のアリへの憧れの線か、元々の信仰を表明しただけの可能性が強い気がします。

また、アリというブラックスター…黒人どころか世界中のファンにとって特別なアリ。
ブラックストンが憧れをもつのは自然な話だと思うのです。
事実、その先駆者でもあった、マシュー・サアド・ムハマド(米)は、アリへの憧れから…と語っています。

人によって信仰の度合いが違うのはどの国も同じでしょうが…

昔、海外の友人数人と飲んでいた時、冗談でした質問。
「信仰を変えるのと局部を切り落とすならどっち?」という質問で、
「局部を切り落とす」が圧倒的多数だった、なんてことから僕はそう思ってしまうんです。

信仰を変えると答えたのは、僕と日本育ちのいい加減なブラジル人だけ…。
そいつよりさらにいい加減で女好きのペルー人でさえ、信仰は変えないなんて言い張っていたのが驚きでした。
 
 
 

さて、そんな余談はさておき、ブラックストン改め、カウイの初防衛戦。

迎えたのはこれが3度目の世界挑戦となる、
元NABF北米、元USBA全米ライトヘビー級王者のジェリー・マーティン(アンティグア・バーブーダ)。

身長差は10cmほど…これでも差は大きいですが、これまでカウイが打倒していた相手にはこれ以上の相手もいました。
しかし、腕の長いマーティンとブラックストンのリーチ差は…なんと19cm。
ここまで開くとかなり不利…。

しかしマーティンは長い腕でカウイをコントロール…なんてタイプではなく…
マーティン自らが距離を詰めて思い切り振ってきます。
スピードも技術も高いマーティンとカウイ。
 

お互いにジャブをかわしていく1R序盤…しかしカウイがジャブに右のオーバーハンドをかぶせると、
一瞬効いた素振りを見せたマーティン。
試合は一気に超接近戦の撃ち合いへ…腕をたたんで強打をふるうマーティンですが、
回転のいいカウイの強打に捉えられていく…
 

2R、カウイのプレッシャーに下がりながらジャブを刺すマーティン。
マーティンは距離が詰まったところでフックを浴びせようとするも、
そのフックに丁寧にカウンターをあわされてしまう。
ダッキングすればアッパーをあわされ、相い撃ちで先に着弾しても
カウイの強打は勢いを殺さずに襲ってくる…。

このラウンド中盤に、マーティンのアッパーとカウイのフックが交差。
先に着弾したのはマーティンのアッパーですが、
遅れて飛んできたカウイのフックにマーティンがロープ際で崩れ落ちます。

立ちあがっての再開後、すぐにカウイのラッシュに襲われ2度目のダウン。
2度目の再開後はクリンチに逃れ、必死に手を出し、なんとかこのラウンドを乗り切ったマーティン。
弱り切ったマーティンのパンチにダメージの色濃さを感じさせます。
 

「もうチャンスは巡ってこないかもしれない」
3R、しゃにむに腕を振り回すマーティン。
丁寧に外すカウイですが、いくつか被弾。
距離が詰まったところで、カウイのアッパーからのショートフックをもらい
明らかに意識が飛んだマーティンですが、必死にしがみついてダウンを拒否。

なんとか回復を図ろうと、必死に距離を取る。
詰めようとするカウイに逃げ回るようにリングのロープを伝うマーティン。
しかしそんな中でも強烈な右ストレートをカウイに突き刺すシーンも…。
まだまだあきらめない。
 

4R開始直後、オーバーハンドの右を食ったマーティン。
追いつめてラッシュをかけようとするカウイ…。
必死に逃れるマーティン…ブーイングの中、リング上を逃げ回りながらも
逆転の一撃を撃ち込むタイミングを必死に探す。
しかし、カウイのアッパーからの左右フックでぐらついてしまう。

ラウンド終盤、ダウンしないように体を預けて撃ち合ったマーティン。
強烈な左フックで一矢報いる。
 

5Rに入ると逃れられないほどに消耗したマーティン。
ひたすらカウイの強打をもらい続ける…。
しかし3度目の挑戦にかける思いは強く、中盤でのリング中央での撃ち合い
終盤でのコーナー付近の撃ち合いでは、渾身のフックを幾度も叩き込む。
 

6Rまで必死に抵抗してきたマーティンですが…
顔面に出来上がった傷に対してドクターチェックが入る。
この中断で糸が切れたか…手を出せずリングを歩き回りながら滅多撃ちにされるマーティン。
リングに倒れることはなかったものの、レフリーが試合をストップ。
 

圧倒的な強さで初防衛。
 
 

この試合後、アナウンサーがある選手の名前を上げます。
WBA世界ライトヘビー級王者のマイケル・スピンクス(米)
のちにラリー・ホームズ(米)を破ってヘビー級まで制し、
ヒストリー・メイカーとまで呼ばれた選手です。

このときは元金メダリストとして、ライトヘビー級王者として、
WBAのベルトを腰に携えていました。

対戦者候補として挙がっていた、マシュー・サアド・ムハマド(米)を葬ったカウイ。
必然的にカウイが対戦者候補として挙がるわけですが…
 

その前に確認しないといけないことがあります。
前回のカウイの勝利が、まぐれか?実力か?
 

2度目の防衛戦は、マシュー・サアド・ムハマドとの再戦。
勝った方が王座統一戦に挑む…そんな未来がチラつく一戦。

二人のムハマドが決着戦に挑みます。
 
 

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