強くて汚い奴 マンモス 和則(中日)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2020/01/11

強くて汚い奴 マンモス 和則(中日)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2020/01/11
 
 

 
 

2016年12月4日、刈谷あいおいホールでの興行。
現在、WBOアジア太平洋フェザー級王座に君臨する森 武蔵(薬師寺)が華々しいデビューを飾った日。
もう一人、薬師寺ジムから将来有望なボクサーがデビュー戦のリングを踏んだ。

中山 和則…のちのマンモス 和則(薬師寺)である。
 
 
 

相手もデビュー戦…稲塲 太一(岐阜ヨコゼキ)。
 

試合開始のゴングが鳴った瞬間だった。
野獣のごとく相手を急襲したサウスポーの中山…いきなりのビッグパンチが炸裂すると同時に鮮血が飛び散る。
そのまま怒涛のように攻め込んで行く中、稲塲はバランスを崩してスリップ。
このタイミングで傷に対してドクターチェックが挟まれる。
ここは続行も、攻め手を緩めぬ中山…。
再度試合はストップし、2度目のドクターチェックで試合は終了。
稲塲の裂傷は深く、引き上げたコーナーでドクターが傷を縫い合わせる程。

1分15秒での圧倒劇だった。
 

鋭利に振るわれるパンチはかなり大きいが、
その隙はハンドスピードでカバーされている。
明らかに強い…しかし、急襲がうまくいっての圧倒劇。
そして短すぎる試合時間、このとき、中山のボクサーとしてのフォルムははっきりとはつかめぬまま。

ただそのヤンチャそうな風貌と戦いぶりに、どことなくヒール感を感じていた。
 

のちにこの試合を回想したマンモス。
気まずそうな顔をしながら「怖かったんですよね」と語っている。

「絶対負けたくなかったし、怖かったから、最初から行ったろうと」

イケイケのボクシングに見えたこの試合。
選手の内面は聞いてみるまで分からない。
人の気持ちや内面が解るようなら、それはエスパーの所業。

この時、まだマンモスと会話さえしたことのない頃。
僕に刻まれたマンモスの印象は…「強くて汚い奴」だった。
 
 

それから3か月後の2017年3月26日、全日本新人王決定戦で敗北を喫した矢吹 正道(薬師寺)
地元のリングでキム・カンミン(韓)を相手に再起に挑んだ日。
中山の2戦目が組まれていた。

相手は村若 宏祐(広拳)。
広島から敵地刈谷に乗り込んできた選手。

どんな選手かという情報も特になく、この時点、2戦1敗1分の未勝利。
ただし、将来チャンピオンになる選手から未勝利のまま辞める選手まで、入り乱れるのが4回戦。
この時期の戦績は当てにならない。
 

試合開始直後、お互いの右フックが交錯。
いきなり腰を落とした村若に攻め込んだマンモス、
バックステップで距離を作ると、即座に左ストレートを走らせる。
完璧なの一撃での失神KO劇。

この試合も、わずか1分6秒での速攻。

ビッグチャンスに攻め込む中、潰れた距離に対してバックステップで距離を作る冷静さ。
そして、驚異的な威力の左ストレート。

明らかに強い…ライトフライ級でこれほどの威力を持つパンチはなかなかお目にかかれない。
さらに、この年の中日本新人王戦ではミニマム級でのエントリー。
…ミニマムでこの威力のパンチを持つ選手が、国内にいるだろうか。
ボクシングファンになってから15年強…その記憶を遡ってみても思い当たる選手はいない。

わずか2分少々しか見ていない選手。
まだまだ見えない部分はあるものの、破格のパンチに関しては、
デビュー2戦目の時点でも国内トップ戦線で通用することは間違いない。

もう少し長いラウンドが見てみたい…。
中山に対する興味が俄然強くなる。
 
 

そんな中、突如驚きの発表が…。
先にその名を轟かせた矢吹 正道の弟のリングネームが、力石 政法(薬師寺)に決定。
そして、それに合わせて、中山のリングネームが、マンモス 和則に…。

明日のジョーに登場する「マンモス 西」に倣ったもので
以降この3人は「あしたのジョートリオ」などと呼ばれたりすることになるのだが…
なんだか巻き添え感も半端ない。

ただ、破格のパンチはマンモス級とも言える。
そのスタイルにこのリングネームは確実に”ハマって”いる。
 
 

次戦は2017/08/06。
中日本ミニマム級新人王決勝戦のリングとなった。

ミニマム級はこの年、2名のエントリー。
相手は抜群のセンスを誇るアウトボクサー、水谷 流(トコナメ)
前年の中日本新人王決勝では、のちに日本ランカーとなる冨田 真(HEIWA)を破り、
西軍代表決定戦まで勝ち上がっている選手。

中山改めマンモスが、初めて実績のはっきりした選手と拳を交えた試合。
 

1Rからハイスピードのジャブを交換し合うサウスポー同士の二人。
緊張感高い中、足を使っての高速な出入りを試みる水谷。
その入り際にアッパーを合わせるマンモスだが、水谷もこれを単発で寸断。
緊張感の高いハイレベルな攻防は、2R目に突入する。

背筋も凍るようなマンモスの一撃に対して、恐れることなくカウンターを獲る水谷。
振りの大きいマンモスに対して、カウンターは獲りやすいだろうが…
わずかでもタイミングを誤れば、即座に試合が終わる。
しっかりと合わせる水谷…有望な選手であることがはっきりとわかる。

しかし…マンモスは被弾構わずプレスで水谷をロープに詰めると、アッパーを効かせて猛ラッシュ。
最後はテンプルへの左フックで水谷が崩れ落ちた。

溢れ出る水谷の才能を、破格のパンチでねじ伏せた格好…。
お互いの長所と長所がぶつかったような試合。
そのうえで、マンモスが試合をはっきりと制した。

圧巻の試合ぶりで、中日本新人王MVPも受賞。

「2017年の全日本新人王候補」
この試合ではっきりとその立ち位置をアピールした。
 
 

 
 

 

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