2025/09/07 -静岡・グランシップ静岡大ホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2025/09/07 -静岡・グランシップ静岡大ホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【スーパーバンタム級4回戦】
白井 優成(駿河男児) vs 土屋 良真(松本ACE)


序盤からパンチが強く当たる距離に位置取る二人。
ガードを固めながらお互いの顔面を叩き合う。
より積極的な白井が手数もヒットも多く奪う立ち上がり。
上下に強烈に拳をぶつけていく。

2R序盤には白井の右ストレートで土屋が揺れる。
テンポのいい白井の攻撃を耐えながら、返す時はコンビネーションを叩く土屋。
白井が何度も突き刺す左ボディはかなり強烈に見えるが…。
2R終盤に白井が足を使って距離を取り始めると、土屋が一気に手数を増す。

足を使いながら強烈にカウンターを突き刺す白井。
しかし、攻勢を強める土屋がグイグイと攻め込む場面が目立ち始める。
次第に撃ち合いになっていく中、ロープ際で土屋が右ストレートを浴びせると
白井がコーナーへ力感なくエスケープ…
そのまま土屋が詰めてパンチをまとめるとレフリーが割って入った。


TKOタイムは3R 2分23秒


白井が優勢に進めていた試合。
撃ち合いに巻き込んだ土屋が、効かせた場面を逃さず。
パンチをまとめてTKOを呼び込んだ逆転KO劇だった。

たった一発で勝敗は入れ替わってしまった。
ハイテンポで攻めていた白井…2R後半から手数は落ち始めていたように見えた。
ハッキリとラウンドを獲ることと引き換えにオーバーペースになったようにも見えた。
逆転につながる一撃さえなければ制していたように思える。
はっきりと作戦ミスと言えるものでもなく、
勝ち筋がしっかりあった戦いぶりだったと思っている。

小気味い上下へのコンビネーションは爽快さを感じさせるものだった。
まだまだ、この選手のボクシングを見ていきたいと思わせてくれた。
白井が弱くて負けた試合ではないと思っている。

相手が落ちてきた場面でしっかりと手数を出し、自分のペースに引き込んだ土屋が優れていた。
12分間の中のたった一瞬を制するのがボクシングだと思っている。
相手ペースの中で進む試合で、その一瞬をきっちりと掴み、そのチャンスを逃さなかった。
是まさに強さであると思えた。

あと1勝まで迫ったB級昇格。
東日本管轄の選手のため、追いかけることは叶わないが、
さらに上のグレードでの活躍を楽しみにしていたいと思っている。


白井 優成 7戦2勝4敗1分
土屋 良真 4戦3勝(3KO)1敗

 

【スーパーフェザー級4回戦】
田中 友介(西遠) vs 中村 永遠(トヤマ)


序盤から一気に攻め立てる田中。
仕切りなおしても、ガードの内外を田中の拳が潜り込む。
的確に拳をヒットさせる田中に、中村はワンツーで対抗。

2Rは田中が押し込んで二人が撃ち合う展開。
堅さが抜けたか、中村がこの撃ち合いを上回る。
わずかに距離が空いたタイミングでは必ずジャブか右ストレート。
先に手を出し、田中の回転を抑え込む。
コーナー付近の攻防で田中がグラつく強烈な一撃も。

3R、拳をねじ込むように中村を捉える田中が盛り返す。
互角の撃ち合いとなり、お互いが強烈に捉え合う。
猛烈な好ファイトとなったこのラウンド。
手数でわずかに中村が上回ったか。

4R、先に先に叩く中村が手数で上回るが、被弾しながらも潜り込む田中。
中村はクリンチには逃れず、押し込まれ下がりながらも
わずかにできたスペースに数多く拳を飛ばしてヒットを奪っていく。
撃たれても撃たれても押し込んでいく田中だが、手を出す前に叩かれる展開が続く。
展開はそのまま変わらず試合終了のゴング。


マイジャッジ 39-37 中村

公式ジャッジ 39-37×3
3-0 中村


これまでの勝利はすべて逆転KOの中村。
極端なスロースターター、前半と後半では別人のようになる。
圧倒的に撃ち負けた1Rから上回っていった姿には、序盤の固さ以上に適応能力の高さを感じる。

潰れた距離、田中の上がったガード、簡単にはパンチが当たらないはずの場面で
中村の拳は小気味よく田中の顔面を捉えていった。
体で覚えたタイミングと距離感を即座に試合に落とし込んだ。
間違いなく才能だと思えた。

4戦負けなしの戦績とは裏腹にまだまだ粗のある選手だが…化ける可能性は充分。
ここからどこまでボクシングに尽くせるかで到達点が決まるはず。
行く末を楽しみに見守りたいと感じた。


対して田中もまた、中村のガードをかいくぐるように拳を飛ばしたファイトは見事だった。
こちらはテクニックと思えた。

田中が圧倒した1Rから、中村が手数でさらった2R…
ここから互角の3Rを作った場面にはまさかとさえ思えた。
2Rまでの流れならそのまま中村が主導権を握り切るのが王道の展開。

ここで盛り返せる田中ははっきりと強い選手だと思えた。
この場面で、その「強い田中」を寄り切ったことが
中村勝利の大きなポイントだったように思う。
中村のコーナーからしつこく飛んだ「先に出せ」の指示。
的確かつシンプルな指示に、田中はその拳を出すタイミングを奪われていった。

展開がしっかりと動きながら、小さな小さな工夫が差となって勝敗が決する。
まるで6回戦を見ているような感覚だった。
二人とも、あと0.5勝でB級昇格。
上のグレードでの戦いが楽しみだ。


田中 友介 7戦3勝(2KO)3敗1分
中村 永遠 4戦3勝(2KO)1分

 

【スーパーフェザー級8回戦】
湯川 成美(駿河男児) vs ジョー・サンティシマ(比)


重たいジャブでガードを叩き合う立ち上がり。
お互いにガードが高く、簡単にはヒットが産まれない展開の中
1R中盤、サンティシマが振り始めると湯川のジャブが刺さり始める。
サンティシマは強烈なボディで対抗。


2R、お互いにフェイントを掛け合う中で、湯川の撃ち終わりをサンティシマの右ストレートが襲う。
反応して浅いヒットに抑えた湯川だが、ヒヤリとする展開。
中盤撃ち合った場面でもサンティシマのフックがカウンターで捉える。
一度撃ち始めると強打が立て続けに出てくるサンティシマ…。
湯川は少し持て余し気味か。


3R、上を固くガードで守る湯川に対し、ガードを叩きながらボディをねじ込んだサンティシマ。
湯川もカウンターでサンティシマを捉えるが、
ボディと見せかけて上へ飛んでくるサンティシマのアッパーに顔面を跳ね上げられる。
終盤は湯川がジャブを小気味よく飛ばして劣勢の展開を帳消しにしたか。


4R、詰めて猛烈に振るうサンティシマ。
ガードと反応で致命的なヒットは許さない湯川だが、受けに回るように手数が出ない。
勢いよく攻め込むサンティシマに、ジャブで対抗した湯川だったが
サンティシマがガードの空いたところに強烈に左フックを滑り込ませる。
一発で終わりそうなタイミングと威力…。
終盤は湯川が強烈なヒットを皮切りに一気に攻め込んでクリーンヒットを立て続けに奪う。
3分間の中で目まぐるしく主導権が入れ替わる。


5R、ガードを固めてジリジリとタイミングを測る湯川に、
ジャブの数を増やして積極的に攻め込むサンティシマ。
湯川が撃ちに出ると背筋が凍るような強烈なカウンターで捉えてみせる。

中盤にはまた攻め込んだ湯川だったが、ラウンド終盤に入ると
湯川が攻め込もうとするタイミングでサンティシマが強烈にカウンターで捉える。
湯川が一瞬フリーズする強烈な一撃も。


自分からしっかりと手を出しつつも、
湯川の撃ち出しにカウンターを合わせにいくジェルサレム。
一つ一つがあまりにも強烈。
一発当たれば連続して強烈に拳を叩きこむ湯川だがそのタイミングは少ない。
試合が一方的になりつつある中、サンティシマが左フックを立て続けにヒット。

ここでレフリーが割って入り試合をストップさせた。


TKOタイムは6R 1分24秒


7月までのレフリングで行けばあまりにも早いストップだったが、
リング事故が発生してから、レフリーのストップに躊躇がなくなった。
体はまだやれるようにも見えたが、あまりにも強烈な被弾が重なる中、
被弾で動きを止めた湯川に対してストップがかけられた。

これまで見てきた感覚で言えば「早い」が、
このストップをこれからのスタンダードとして捉えていかなければならないように思えた。

ガードを固めて待てばどんどん攻め込んでくる。
手を出そうとすればカウンターで捉えられる。
被弾してでも撃ち込む選択も試したが、与えるダメージより被弾のダメージの方が大きかった。
かつて世界挑戦も経験したアジアの強豪を相手にして、雁字搦めになった湯川。

手数は少なくとも、相手をじっくりと見据えながら打開策を探していた最中にも見えた。
その答えを出せぬまま、サンティシマのアゴをえぐるような強打に
何度もさらされてのストップ。
単純にサンティシマが強かったと思えた試合だった。

アジアの強豪選手に連敗を喫した湯川だが…ここからの復活はあるか。
かつてはアウトボクシングを試みてはダウンを奪われ、
最後はファイトでねじ伏せての逆転KO勝利を重ねた湯川。

試行錯誤の中、スタイルも変わって今の位置にいる。
高みを目指すにあたって、これからどう変化していくか。
この負けが、先の大成功のための負けだったとなってほしい。


湯川 成美 12戦8勝(7KO)4敗
ジョー・サンティシマ 33戦26勝(22KO)8敗

 

 

 

2025年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る

中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る

カテゴリ別記事一覧に戻る

 

【日付別】
【記事一覧】2025年9月に戻る

【記事一覧】2025年に戻る

【記事一覧】に戻る

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました