2023/04/02 -愛知・刈谷あいおいホール- 第6試合、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーフライ級6回戦】
森川 祐輝(緑) vs 高埜 響(六島)
森川 祐輝 7戦3勝2敗2分
高埜 響 13戦5勝6敗(3KO)2分
前の手を突き出しながら、フェイントの掛け合い。
少し遠いところからの技術戦となった試合。
上体柔らかく高埜の拳をかわしていた森川だが、
僅かに距離が縮まると、高埜の右ストレートをもらう場面が出始める。
数は多くないが、両者ともヒットが少ない試合…これが各ラウンドの優劣を決定づけて行く。
この流れは最終ラウンドまで延々と続いていく。
パンチをかわし合い、大きなヒットは少なく、主導権はあやふやなまま
わずかなヒットで各ラウンドのポイントが高埜に流れていく。
マイジャッジ 58-56 高埜
公式ジャッジ
58-56、59-55、57-57
2-0 高埜
中盤を越え、高埜にポイントが流れる状況を変えることができなかった森川。
相手のパンチをもらう場面はわずかだが、自分の拳も当たらない。
技術があり、テクニック的な引き出しは豊富に見える森川だが、
試合展開を変えていく引き出しはまだ少ないように見えた。
長丁場、主導権は両者の間を渡り合うことの方が多い。
相手に渡った主導権をどう取り戻すか、ここは経験値がモノを言うのかもしれない。
ベテラン選手の強みは、その手段を豊富に揃えていることだったりする。
B級戦線で7試合の経験値を積み重ねた高埜は、
後半に入って自身に有利な状況ができると、そのまま最終ラウンドまで走り切った。
誰もが相手を倒してヒーローになりたい欲求はあると思う。
しかし、その欲求におぼれることなく、有利な状況を保ち続けた。
それは高埜が積み重ねた強さをB級初戦の森川に叩き付けたようにも見えた。
今日この日の敗戦が、これからの森川に必要なモノのようにも思える。
B級で1試合という経験を手に入れた森川。
さらなる飛躍の為の敗戦。
きっとB級戦線で変化していくだろう森川を楽しみにしていたい。
【54Kg契約6回戦】
五十嵐 春輝(湘南龍拳) vs マンモス 和則(中日)
五十嵐 春輝 9戦6勝(3KO)2敗1分
マンモス 和則 12戦6勝(6KO)5敗1分
まずは五十嵐が大きく振るマンモスに細かくパンチを纏めて射程距離を脱出する展開。
久々に帰ってきたリング、距離がなかなか合わないかと感じたが
2Rには体ごとぶつけるように踏み込んで強打を撃ち込む。
慎重に出入りしながらも隙あらばコンビネーションを叩き込む。
ボクサーファイターとして能力の高さを見せる。
しかし、3R、五十嵐がサイドにまわるところをマンモスが左フックを炸裂させてダウンを奪取。
立ち上がった五十嵐に対して、浮足立つことなく、行き過ぎることのないマンモス。
変わらず慎重に素早く出入りする五十嵐のバックステップに合わせて
一歩深く踏み込んで強烈に捉えるシーンを作る。
後半に入ると五十嵐がより大きく足を使う。
出入りしながらコツコツとヒットを奪う五十嵐だが、
マンモスが吸収するような踏み込みでビッグヒットを奪う。
7Rにはビッグヒットを重ねた末、左フックでダウンを追加。
ここで開き直ったか、五十嵐が強烈なボディを叩き込み。
回転の速い連打でマンモスと撃ち合い始める。
ラストラウンド、これまで幾度も浴びたはずのマンモスの
強打を恐れず射程圏内に飛び込んで行く五十嵐。
回転で上回りながら、マンモスがバランスを崩す場面も作り出す。
当然無傷では終われず、強打を顔面に浴びながら。
そんな五十嵐の勇士が強烈に刻まれる光景のまま試合終了のゴング。
マイジャッジ 57-55 マンモス
公式ジャッジ
58-54、58-54、57-44
3-0 マンモス
勝利の瞬間の笑顔がたまらないくらいに素敵だったマンモス。
いつも誰かを喜ばそうとしている。
だからこそ、多くの人に愛される。
そして、強打者マンモスのこれまでの戦慄のKOシーンを刈谷が知っているからこそ
立ち向かっていった五十嵐の凄さに刈谷が震撼した。
五十嵐に送られた大きな大きな拍手がそれを指し示す。
この試合が刈谷で行われてよかった。
中日本のボクシングが大好きな自分としては、
全国のボクシングファンに刈谷を誇れるような気持ちになった。
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