2020/02/11 -愛知・刈谷あいおいホール- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級8回戦】
英 洸貴(カシミ) vs ペッチティー・ペッチインディー(タイ)
英 洸貴 10戦7勝(2KO)3分
ペッチティー・ペッチインディー 8戦6勝(3KO)2敗
試合開始のゴングと共に圧力をかけていく英。
ジリジリと下がるペッチティーのワンツーをガードで受け止めると
左フックでペッチティーのガードを叩くと、左ボディ一閃。
ゆっくりとリングに沈んで悶絶するペッチティーに10カウントが数え上げられた。
母国タイではムエタイでかなりの戦歴を持ち、ボクシングでも強烈な右ストレートで魅せてきたペッチティー。
この日は何もできないまま、一撃に沈んだ…。
実力を垣間見せることさえできず…。
対して、インパクトのある勝利で、その力をはっきりと誇示した英。
まずは怪我無くこの試合を終えられたことにホッとした。
4/12には大阪で日本ユース王座への挑戦が決定している。
“宝石になりつつある原石”…一撃で決したため、どこまで磨かれたのかの確認作業は次回に持ち越し。
ただ、これ程強烈な英のボディはこれまでに見たことはない。
上を叩いてから下へ撃ち込んだボディ…付け焼刃の武器ではないように思う。
以前と比較して、一つ大きな武器を携えていることは間違いない。
大阪のリングを楽しみにしていたいと思う。
■WBCフライ級ユースタイトルマッチ
【フライ級10回戦】
畑中 建人(畑中) vs ローランド・ジョイ・ビエンディーマ(比)
OPBF東洋太平洋フライ級5位/WBOアジア太平洋フライ級3位/日本フライ級2位
WBCフライ級ユース王者
畑中 建人 10戦10勝(9KO)
ローランド・ジョイ・ビエンディーマ 21戦15勝(8KO)5敗1分
試合開始直後からジャブを強烈に刺していく畑中…先手を奪う。
頻繁な左に手が出ないビエンディーマだったが、強烈な左フックを振るう。
畑中はこれをしっかりガードし、力強くジャブを撃ち込みながら右ボディストレートも撃ち込んでみせる。
角度を変えながら種類が違うようにも見えるジャブを使い分け、次々にビエンディーマを捉える畑中の左。
よく伸びるその左は父親の元世界王者畑中 清詞(松田)を彷彿とさせるようにも感じる。
攻撃を抑え込まれているようにも感じるビエンディーマ。
終盤、強引に出るも、畑中はいなしながら強烈にボディを撃ち込み、さらに左フックを返して接近戦も上回る。
まずは畑中が完璧な立ち上がりを見せる。
2R開始から前に出て来たビエンディーマ。
いきなり右ストレートを振り出し、畑中を捉える。
さらに強引に詰めての左フックでも強烈に捉え、強烈な相撃ちのシーンも頻発。
しかし、中盤に差し掛かると、今度は畑中が強烈な左フックで捉え、
さらにビエンディーマのパンチを外して空振りさせると、
体が流れたビエンディーマの顔面をコンビネーションで襲う。
頭を着けた展開ではボディから顔面へ、ガチャガチャながら強烈に拳を撃ち込むビエンディーマ。
畑中はガードを固めながら、狙い済ましたように顔面を鋭利に襲う。
終盤に差し掛かるところ、畑中の左フックが頻繁にビエンディーマを襲うと、
また畑中がしっかり距離を取ってジャブを刺して行く展開。
しかし…ラウンド終了間際には強烈にボディにパンチを集めたビエンディーマ。
畑中をロープに押し付ける形でこのラウンドが終了。
3R、開始から頭をつけてボディをえぐり合う二人。
激しい撃ち合いの中、上体が立ったまま入って来るビエンディーマの頭が当たるシーンも。
お互いに下から上へも返し、激しい撃ち合いの中、畑中が鼻血を吹き出す。
しかし…その直後、ビエンディーマの左フックに畑中の
左フックがカウンターで入るとビエンディーマの動きが止まる。
この場面で一気にパンチを纏めた畑中…ボディも顔面も明らかに効いているが、
凄まじいタフネスで、足元をふら付かせることもないビエンディーマ。
中盤にはいったん距離が空いた中、右ストレートから入って強烈にビエンディーマの顔面を叩く畑中。
終盤には強烈なジャブを突き刺しながらコンビネーションを捻じ込む場面も。
しかし…ラウンド終了間際にビエンディーマが振って出ると、強烈に畑中の顔面を捉えるシーン。
まだまだ、死んでいないそのパンチはヒヤリとさせる。
4R開始直後は距離のある中、畑中がジャブで制していくが…。
ビエンディーマが距離を詰めてコンビネーションで畑中を襲いながら、
右ストレートで強烈に畑中を捉える場面を作る。
畑中も左右のボディから右ストレートでビエンディーマの顔面を弾いてやり返す。
中盤は距離のあるところからのジャブで畑中が制していくが、
終盤に差し掛かる頃にはビエンディーマが距離を詰めてコンビネーションで襲う。
しかし、畑中が回転のいいコンビネーションで的確にビエンディーマの顔面を跳ね上げると
強烈なワンツーを撃ち込んで、ビエンディーマをグラつかせる。
ここから撃ち合いに突入するが、畑中はしっかりビエンディーマのパンチを外し、
強烈な右ストレートを浴びせる場面を何度も作る。
この試合はWBC世界ユースタイトルマッチの為、ここで途中採点が公開される。
マイジャッジは40-36で畑中。
公式ジャッジ
39-37
40-36×2
3者とも畑中を支持。
5R、ジャブで試合を制している畑中だが、時折畑中の方から距離を詰めてボディを襲う。
中盤には強烈なワンツーを突き刺した畑中だが、ビエンディーマも返す刀のワンツーで畑中の顔面を捉える。
しかしその後は、畑中の強烈な右ストレートがビエンディーマを捉えるシーンが増えていく。
いつ倒れてもおかしくないようなパンチを貰いながら、抜群のタフネスで反撃するビエンディーマ。
畑中が強引に行き過ぎれば、ビエンディーマが強烈にコンビネーションで畑中の顔面を襲うシーンも訪れる。
6R、距離のある所からジャブを突き刺していく畑中。
ビエンディーマは距離を詰めてはボディをしつこく撃ち始める。
畑中がコンビネーションで顔面を捉えても怯むことなく、詰めてはボディを繰り返すビエンディーマ。
しかし、少し休んでいるか、ビエンディーマは手数が減り、畑中のジャブが試合をしっかりと制していく。
ラウンド終了直前になって、一気に前に出たビエンディーマ。
右ストレートを強烈に撃ち込むが、畑中が左フックと右ストレートでやり返してラウンドが終了。
7R、コーナーを立ち上がった畑中の左目上から出血が見られる。
長い距離から左を突いていく畑中、ビエンディーマはガードで抑えながら、右ストレート。
さらにはスッと詰めて左フックで畑中を襲うシーンを作り出す。
しかし、顔面へのディフェンス意識高く、ジャブでビエンディーマを叩き続ける畑中。
時折距離を詰めてボディを撃ち込むビエンディーマだが、顔面へのヒットはなかなか奪えず。
ラウンド終了直前、もらいながら詰めて畑中の顔面を襲うも、
ここは畑中がしっかりいなして、当たりは浅いようにも見える。
インターバル中、カットがバッティングによるものであることが発表される。
同時にWBCルールによりビエンディーマに減点1が与えられる。
8R、左で捉え続ける畑中だが、ビエンディーマが飛び込みながら
右ストレートで畑中を捉えるシーンを作る。
更に続け様に左右フックで襲うが、いったんクリンチで流れを切ると、
その後は畑中がジャブを数多く当て、ビエンディーマに攻撃する時間を与えず…。
しっかりと畑中が展開を制するも、ビエンディーマは
時折ジャブに被せたスリリングな右クロスで畑中を襲う。
ここでまた公開採点。
マイジャッジは80-71 畑中
公式ジャッジ
79-72×2
78-73
3-0 畑中
9R、長いところからジャブで制する畑中と、
距離が縮まった所で力のこもったコンビネーションを撃つビエンディーマ。
ラウンド中盤、ビエンディーマのコンビネーションをしっかりガードしながら、
左フックをカウンターで撃ち込んだ畑中。
しかし、ビエンディーマの手は止まらず、後続のパンチを続け様に浴びる。
まだまだ、ビエンディーマの鋭いパンチにはまだまだ逆転の目も残っているように感じる。
10R、最終ラウンド、倒しに出たか、畑中はこれまでジャブで留めていたところで
ワンツーを繰り出してビエンディーマを強烈に捉えて行く。
攻勢を強める分、被弾の数も増える中、ラウンド終盤には二人は完全に撃ち合いに突入。
左右フックの相撃ちのシーンも増える中、回転力で畑中が上回って試合終了のゴング。
マイジャッジ
99-90
公式ジャッジ
98-91、99-90×2
3-0
勝者:畑中
形は綺麗ではないが、乱戦向きのスタイルだったビエンディーマ。
広島で善戦した通り、この選手に苦戦する選手は多いだろうと感じる。
さらにタフすぎるほどにタフ…この選手にはっきりとして勝利を収める時点で、
日本ランキング上位の実力を指し示すように思える。
撃ち合いの場面で貰いすぎたようにも思える畑中だが、
カットを負って以降、即座に戦い方を変え、ほぼジャブだけでビエンディーマを封じた姿は
国内のトップコンテンダーに相応しい”強さ”を誇示したように思える。
試合後の談話では、肋骨にヒビが入った状態で試合に挑んでおり、
痛みで右が出せなくなっていたとのこと…。
しかし、そんな状態で最終ラウンドにはしっかりと撃ち合っても見せた。
左で封じるのは間違いなく強い選手の勝ち方だ。
本人は納得いかない試合展開だったようだが、数多くのものをリング上で示した。
「左を制する者は世界を制する」
この格言が、現代ボクシングにも通用する不変のものであるならば…。
畑中が目指す「日本史上初の親子世界王者」も、現実味を帯びてきているように感じる。
しかし、まだまだそこまでに立ちはだかる敵は多い。
国内タイトルかOPBF東洋太平洋タイトルを目指すと公言した畑中。
前戦に引き続き、目尻に刻んだカット…癖になればキャリアに影響する。
まずは傷を癒し、これから踏み込んで行く過酷な競争に備えて欲しいと感じる。
勝負に挑んで行く力はある…あとは、タイトル奪取と言う結果で指し示すのみ。
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