中日本所属選手 10月の試合結果(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2024/10/01
10月14日(月) 大分県・中津市体育センター
中日本・西部日本新人王対抗戦
■中日本・西部日本ライトフライ級新人王対抗戦
【ライトフライ級4回戦】
金城 寿幸(沖縄ワールドリング) ○ vs 細川 弦汰(駿河)
2-0(39-37、39-37、38-38)
令和の永久機関、細川の突進しての手数に対し、より小さく細かく撃ち込んだ金城。
細川以上に手を出すことで細川の手数を減殺もした。
猛烈な撃ち合いの中で、2R終盤には細川が効いたように見えるシーンもあった。
両者とも落とさずに最後まで走り切った試合。
マイジャッジはより有効打が多かったように思えた金城。
細川の土俵の中で、細川以上に手数を出すという思い切った戦法で勝ち切った。
細川攻略にこの手があったかと思いつつ、誰にでもできる所業ではない。
12分間を全力疾走できる体力…まさかを金城が成した試合。
そして、押し込まれる場面もあった細川。
これだけ自分のボクシングを確立させたボクサーにもまだ伸び代があったように思う。
細川がより強くなる…その予感を強く孕んだ細川の初黒星。
まだまだ若い細川が一つ、チャンピオンに近付いた試合とも思えた。
金城 寿幸 3戦3勝(2KO)
細川 弦汰 4戦3勝(2KO)1敗
■中日本・西部日本フライ級新人王対抗戦
【フライ級5回戦】
砂川 朝都夢(琉豊BS) ○ vs 小川 椋也(天熊丸木)
3-0(48-47、48-47、48-47)
序盤からファイター小川が距離を詰め、リーチ身長で上回る砂川が受けて立った。
回転よく拳がまわるのは小川の方だが、一発一発力強く捉えるのは砂川の方。
手数で圧倒的に小川が上回り、至近距離のパンチも巧くかわす。
ファイターとしての力はまだまだ伸びている。
最終ラウンドに入って、砂川の手数が上がり際どいラウンドができるが、
終始小川が撃ち勝って行った印象。
マイジャッジは50-45で小川。
スイングラウンドは1つだけに思えた。
小川の完勝に見えた。
ただ、現地で見ていれば有効打で砂川だったよう。
映像と現地で見え方が違う試合だったようだ。
確かにそういった試合はあるし、ファイターの的中率が上がらない展開はそうなりやすい。
現地で見てモノを言うことの大事さを痛感した試合にもなった。
砂川には全日本新人王を獲って欲しい。
そのうえで、刈谷にやって来て欲しいと思っている。
小川はきっと追いついてくれると思っている。
砂川 朝都夢 7戦6勝(3KO)1敗
小川 椋也 7戦4勝(1KO)2敗1分
■中日本・西部日本スーパーフライ級新人王対抗戦
【スーパーフライ級4回戦】
小山 珠煕斗(J中津) vs ○ 村田 碧(松田)
2RTKO
立ち上がりこそ虚を突いたような小山の右ストレートを浴びる場面もあったが
1R中盤には右ストレートをカウンターで強烈に撃ち込んだ村田。
2R開始直後に、小山の右ストレートにクロスカウンターを合わせ痛烈なダウン。
立ち上がった小山は飛び込んで来るがそこを左フックで引っ掛けると
ロープ際で連打を浴びせ、崩れ落ちるように小山が2度目のダウン。
レフリーが試合をストップした。
TKOタイムは2R 37秒
今年の中日本新人王、最注目選手がはっきりとその力を示してのTKO勝利。
小山はいきなり浴びせた右ストレート然り、タイミングには独特のものを感じた。
さらにダウン後、自ら向かって行った場面には勇敢さも感じられた。
力の差はあったが、その中でも片りんは魅せたように思う。
村田にとって老舗名門松田ジムへ移籍しての初戦となった試合。
有望選手が続々と揃う中で、主役になり得る一人と言える。
彼が全日本を獲れるかどうか…担う役割は大きい。
今後の戦いにも要注目だ。
小山 珠煕斗 7戦2勝(2KO)4敗1分
村田 碧 5戦5勝(3KO)
■中日本・西部日本バンタム級新人王対抗戦
【バンタム級4回戦】
坂下 龍之介(ウェスタン延岡) vs ○ 中村 列亜(畑中)
0-2(38-38、37-39、36-40)
ロングのパンチが強く当たる距離での攻防。
中村は中日本新人王決勝とは反応の速度もキレも数段グレードアップ。
貫くようなジャブで坂下の顔面を次々と跳ね上げる。
試合前半は手数で坂下が上回ったかに思えたが、
後半は中村が坂下のパンチを外しながら有効打を集めて行った。
ロープに詰めてパンチをまとめ、レフリーが入りかける場面も。
終盤2Rをはっきりと制して試合終了のゴング。
マイジャッジは38-38 ドロー
スイングラウンドを坂下に振ってのもの。
坂下の質も高く、ハイクオリティの出だしから、
インプットが増えるごとに相手を圧倒してく中村の姿には
今後長いラウンドでの戦いにも期待が持てるように感じた。
強く貫くピストルのようなジャブは4回戦では突出している。
田中 恒成(畑中)、畑中 建人(畑中)の両王者が陥落した今年。
中日本のトップジムである畑中ジムを
下から盛り上げてくれることを期待したい。
坂下 龍之介 2戦1勝1敗
中村 列亜 5戦4勝(2KO)1分
■中日本・西部日本スーパーバンタム級新人王対抗戦
【スーパーバンタム級4回戦】
竹山 然(橋口) vs ○ 山本 愛翔(カシミ)
0-2(38-38、37-39、37-39)
中途半端な距離には一切立たず、
出入りしながら様々な種類のパンチで襲っていく山本。
単発ながら強烈に被弾する竹山だが、振るときには思い切り振っていく。
後半に入ると試合は接近戦へ。
お互い力を込めての拳をぶつけ合う中で、3Rには竹山の右フロスがヒット。
効いたか、山本の出入りが影を潜め、押し込みながらの戦いへ。
最後は消耗戦となる中、山本が押し込み、竹山が抱え込む場面も目立つ。
マイジャッジは39-37で山本
的確に多彩なパンチを浴びせていた山本だったが、
一発一発しっかり振る竹山のクロスを被弾したあたりから
試合は消耗戦へと展開して行った。
一方的にもなりかねない流れを、臆せず振った竹山が引き戻した。
一つの試合の中に、相手を支配する時間、窮地に陥る時間もあり
最後は泥臭く押し込んで試合を戦った山本。
ここでこの試合を踏んだことは大きいと感じる。
全日本新人王まで残り2勝。
後楽園ホールからの吉報を期待したい。
竹山 然 6戦4勝(1KO)2敗
山本 愛翔 4戦3勝1敗
■中日本・西部日本フェザー級新人王対抗戦
【フェザー級4回戦】
佐藤 成貴(ビッグアーム) vs ○ 木附 大己(LUSH緑)
0-3(37-39、37-39、37-39)
しっかりと左を突きながら右に繋げる木附。
1Rをはっきりと獲るが、2Rからは佐藤が木附の強打に臆せず好戦的に戦う。
右ストレートをカウンターで連続して叩き込む場面も。
木附は2Rにバッティングカット。
3Rに傷から血が流れ始めると距離感が狂ったか、木附のジャブが届かないシーンが目立つ。
しかしすぐに接近戦へと切り替え、撃ち合いで佐藤の顔面を跳ね上げる。
佐藤の撃ち終わりを木附が的確に捉え、撃ち勝って試合終了のゴング。
マイジャッジ 40-36 木附
後半、強打の木附と真っ向から撃ち合った佐藤。
4Rには攻撃に傾いた木附の顔面を何度も激しく跳ね上げた。
ジャブの精度を上げ、丁寧に戦っていた木附だが、
カットから戦いを切り替え、撃ち合うと、本来の牙剥き出しのような姿で激しい試合を展開した。
窮地にスパッと切り替えられることも強さの一つ。
短期間の新人王トーナメント。
カットの治りが気にかかるが、それもまたトーナメントが課す試練。
中日本MVPが乗り越えて全国区へはばたく姿を楽しみにしていたい。
佐藤 成貴 3戦2勝1敗1分
木附 大己 7戦5勝(3KO)2分
■中日本・西部日本スーパーフェザー級新人王対抗戦
【スーパーフェザー級4回戦】
樋口 丈留(北島) vs ○ 新田 晃生(カシミ)
4RTKO
ジリジリとプレスを掛けながら重たい左を飛ばしていく新田。
サウスポーの樋口はスピードに乗った右ジャブを飛ばす。
足を使いながら新田の撃ち終わりを襲う樋口。
入り際を襲う新田、時折強烈に右ストレートが突き刺さる。
お互いに上半身が柔らかく、単発にはとどまるが、
後半に入って樋口が踏み込む回数を増やすと、
その分、新田の右ストレートが突き刺さる場面が増えて行く。
最終ラウンド、樋口が手数を増やして積極性を増すとカウンターを連発。
チャンスが訪れたかに思えたが、中盤、踏み込んだ所に、
新田の左右ショートが炸裂し、大の字のダウン。
レフリーは即座に試合を止めた。
TKOタイムは4R 1分45秒
樋口のジャブのスピードが素晴らしく、新田を苦戦させるかにも思えた立ち上がり。
新田はボディワークと距離でジャブを空転させ、重たい右を叩きつけて行った。
ポイント的に劣勢にも見えた展開。
最終ラウンド、樋口が勇敢に勝負に出たからこその展開だった。
あわてることなく対応し、そこを見事に仕留めた新田も見事。
最初の新人王対決を力強く勝ち上がった姿に、
今後の新人王達との対決にも期待感が高まったように感じる。
樋口 丈留 3戦1勝(1KO)2敗
新田 晃生 6戦5勝(3KO)1敗
■中日本・西部日本ライト級新人王対抗戦
【ライト級4回戦】
堤 啓至(FUKUOKA) ○ vs 田中 友介(西遠)
2-0(38-38、39-37、39-37)
一回り大きなサウスポーの堤に、足を使って田中の入り際を堤が叩いていくが、
1R終了間際には田中がコーナーに追いつめてワンツーを叩き込む場面も。
捌きにかかる堤の長いパンチを外しながら入る田中。
入られてもボディワークで巧みに外す堤。
接触の頻度は少なくないがヒットの数は少ない試合。
攻める側、守る側ともに高いクオリティを維持したまま試合終了のゴング。
マイジャッジ 39-37 堤
パンチを外されることでリズムが崩される展開は多くある。
お互いに外し合いながら崩れることはなかった。
派手な試合ではなかったが、堤に崩しづらさを感じた試合。
ライト級は西日本新人王が棄権の為、全日本新人王決定戦へと駒を進めたことになる。
充分に可能性を持った選手だと感じた。
田中側からしても、勝てない試合ではなかった。
入ってから撃つパターンを増やすなど、引き出しを増やすことで
ここから先のグレードでも充分に勝負して行けるように感じる。
まだまだ、着々と…力を伸ばすための期間とも言える。
タイトな日程を戦った今年、少し休んで、
浜松の老舗、西遠のエースとして戦う姿を期待したい。
堤 啓至 5戦3勝(1KO)1敗1分
田中 友介 5戦3勝(2KO)1敗1分
■中日本・西部日本スーパーライト級新人王対抗戦
【スーパーライト級4回戦】
中島 大智(北島) ○ vs 中里 雄大(中日)
3-0(39-37、39-37、39-37)
綺麗ではないフォームでガチャガチャとワンツーを当てて行く中里。
中島は強烈に右ストレートを撃ち込んで中里の体制を崩す。
2Rに入ると中島が中里の入り際を強烈に叩く場面が目立ち始める。
中里のガチャガチャとした攻撃もうまくいなしながらポイントをピック。
押し合いが増えた3Rはボディの削り合い。
潰れた距離の中で中里が時折強烈なヒットを奪う場面はあるが、
中島の手数とヒットが上回る。
最終ラウンドは中島が足を使って中里をいなしにかかる。
中里は終始ガムシャラに戦う中で試合終了のゴング。
押し込み、組み付き、がむしゃらな、一昔前の「4回戦らしい試合」。
技術が上がり続けている対抗戦の舞台。
A級ボクサーのようなジャブが飛び交う中で、こういった戦いがあることに胸が熱くなる。
敗れはしたが、中里がカッコを付けないカッコよさを爆発させたようにも思えた。
B級昇格まであと一勝、今後の道のりも楽しみにしたい。
この選手の結果はどうついてもいい、勝利に向かう姿をいつまでも見ていたい。
そんなふうに思えた。
「中里の試合」と感じたこの試合をはっきりと制した中島。
相手の土俵で戦ったうえでの勝利に力を感じた。
別の試合では今回とは違う姿が見れるだろうとも感じる。
今後の戦いを楽しみにしたい。
中島 大智 4戦4勝(1KO)
中里 雄大 6戦3勝3敗
—
10月14日(月) 東京都・有明アリーナ
Prime Video Boxing
■WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
田中 恒成(畑中) vs ○ プメレレ・カフ(南ア)
1-2(113-114、113-114、114-113)
カウンター狙いのカフに対して田中はジャブで立ち上がった試合。
緊張感の高い僅差の前半をどうつけるかによって、採点への影響も大きかったように感じる。
5Rにアッパーに右フックを合わされて田中がダウン。
6Rからは立て直しながらポイントを奪った田中だが、
カフが対応して盛り返すと、後半は手数、攻勢を強めて捲り上げて再び主導権を奪い
最終ラウンドにはあと一歩のところまで追い詰めた。
マイジャッジは 114-113 カフ
公式ジャッジは割れたが、
試合の半分近くのラウンドがスイングラウンドだったようにも思える。
最後はリングサイドに誰が座っているかの運だった。
もう少しカフに触れても、田中に触れてもおかしくなかったように思う。
田中の猛烈な手数の中でも、カフのカウンターは衰えることなく、
無名の挑戦者が世界王者に相応しい強さを指し示しての戴冠劇だった。
プロでは2度目の敗戦となったが、アマチュア時代にはトップレベルで悔しい負けを何度も踏んでいるはず。
そのうえで、世界4階級を制するまでの王者になった田中。
東京五輪銅メダリストの兄、そして兄と同世代の井上 尚弥(大橋)。
ライバルとして死闘を繰り広げた井上 拓真(大橋)。
いつのときも、自分より強い相手はすぐ近くにいたはず。
その中を強くなり、世界4階級制覇王者にまでなった男だ。
「負けの数は自分より強い相手に挑んだ数。」
4回戦ボクサーに向ける言葉と同じ言葉を向けることができるように思える。
偉大でありながら、プロで戦う全てのボクサーのその先にいることを意識させてくれる選手。
直近、矢吹 正道(LUSH緑)が世界を獲り、中日本から世界のベルトが消えることはなかった。
しかし、矢吹は田中の代わりにはならない。
田中 恒成じゃないと魅せれない夢がある。
再び世界を…そう強く願っている。
田中 恒成 22戦20勝(11KO)2敗
プメレレ・カフ 14戦11勝(8KO)3分
—
10月20日 大阪府・豊中 176BOX
STAY GOLD vol.4 & BOXING BEATvol.13 & GOD FIST BOXINGこれが拳闘vol.3 & 第28回 紀の国KOボクシング
【フライ級4回戦】
坂口 仁一朗(エスペランサ) vs ○ 森村 怜司(とよはし)
2RTKO
手のよく出る激しい一戦になったとのこと。
最後は猛烈な手数でTKO。
文言だけで森村らしさが伝わる内容。
やってくれたな森村怜司!!
とよはしの「おとぼけキング!」、B級昇格まであと1勝としている。
坂口 仁一朗 3戦1勝2敗
森村 怜司 4戦2勝(2KO)2分
【スーパーフライ級4回戦】
小林 凌人(エスペランサ) △ vs △ 桂 ケンシロウ(とよはし)
0-1(38-38、38-38、37-39)
接近戦、撃ち合いの中でのドロー。
本人はSNSで「楽しかった」と報告。
まだまだ19歳の選手が、どんどんプロボクシングにのめり込む感じが見ていて気持ちいい。
これで半歩前進、どんどん成長し、中日本に物語を刻んで欲しい。
小林 凌人 2戦1勝(1KO)1分
桂 ケンシロウ 3戦1勝(1KO)1敗1分
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