2019/05/19 -静岡・ふじさんめっせ- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2019/05/19 -静岡・ふじさんめっせ- セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

【スーパーバンタム級8回戦】
堀池 雄大(帝拳) vs 古橋 岳也(川崎新田)

日本スーパーバンタム級19位
堀池 雄大 24戦15勝(3KO)6敗3分

日本スーパーバンタム級6位/OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級11位
OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級シルバー王者
古橋 岳也 33戦24勝(13KO)8敗1分
 
 

1R、お互い静かに見合いながらジャブを刺し合う。
終盤に入るまでジャブ以外のパンチがない中、後半に入ると
密着した状態で堀池の左フックがヒット。
さらに古橋がダッキングしたところに右アッパーを強烈に突き刺し始めた堀池。
ラスト10秒は古橋が好戦的に攻めて出るが、堀池がしっかりいなしてラウンド終了。
 

2R、クリンチのブレイクからの再開後、ジャブからの左ボディを強烈に突き刺した堀池。
古橋もプレスをかけながら、下がる堀池をコーナーに詰めて左ボディを突き刺す。
腹の叩き合いとなったこのラウンド、後半は堀池の右ストレートが古橋を捉える場面も目立つ。
 

3R、ジャブを突きながらプレスをかけていく古橋に対し、下がりながらワンツーで顔面を弾く堀池。
距離が詰まると、お互いに腹を中心に捉え合う中、ラウンド中盤には堀池の強烈な右アッパーがヒット。
しかし直後、猛烈な回転で堀池を捉える古橋…ここは堀池がクリンチで遮断。

その後は体で押し合いながらボディを削り合う時間が続くが、
終盤、古橋がコーナーに詰まったところで、古橋の左フックと堀池の右フックが相打ち。
強烈に捉えたのは堀池の方か…するとまた古橋が連打で堀池を襲うが、
ここは堀池がいなして、クリンチで逃れる。

その後、古橋をロープに押し付けて撃ち合った堀池、
一旦下がったところを追いかけて来た古橋に右ストレートを撃ち込む。
 

4R序盤、下がりながらも手が出るのは堀池の方。古橋のボディを、顔面を捉えていく
中盤に差し掛かると体で押し合いながら撃ち合う時間が続く…。
ここもまた堀池が手数多く、強烈に捉えていく。
しかし終盤に差し掛かるころ、古橋の左のショートが突き刺さったのをきっかけに
古橋が回転を上げて次々に堀池を襲っていく。
古橋が一気にペースを奪い、右ストレートで堀池の顔面を抜いたところでラウンド終了のゴング
 

5R、押し合いながらの撃ち合い、左右フックで強烈に古橋の顔面を捉える堀池。
押し込みながら、一発一発強烈に捉えていく堀池だが…。
古橋が一旦連打を撃ち込み始めると、次々に堀池を捉えて
そこまでの堀池の貯金を吐き出してしまうような展開。
 

6R、押し合いながらの撃ち合いが続く中、堀池のペースが若干落ち始める。
ラウンド後半には逆に古橋がペースを上げて、次々に堀池の顔面を捉える。
激しく体力を消耗するはずの押し合いの展開で、全くペースを落とさない古橋。
これがタイトル挑戦まで叶えたランカーの強さか…。

堀池の右目下はドス黒く腫れ上がっている。
 

7R、密着して激しく撃ち合う二人。
ボディを、顔面を強烈に捉え合う展開は時間が進む程に古橋が堀池を捉える場面が目立ち始める。
しかし、終盤に差し掛かるころ、堀池が距離を取り始めると、
強烈な左フックで古橋の顔面を捉える。
 

8R、距離を取ってジャブを刺していく堀池。
この展開では堀池が優勢か…ポイントは拮抗しているはず。
そんな中、堀池のジャブに古橋の右クロスが刺さり、堀池がダウン。

カウント8で立ち上がった堀池。
再開後、激しく撃ち合った二人だったが、古橋が堀池を捉え始め、
右ストレートが突き刺さったところでレフリーがストップ。

ダメージは感じさせない状態だったが、ドス黒く腫れ上がった右目が影響したのだろうか。
堀池の口元が切なく「なんで」と動くのが悔しさを滲み出させた。
 
 

序盤のペースを握ったのは堀池だった。
しかし、4Rを境に密着した撃ち合いで古橋が追い上げていった。
7R終了時点のマイジャッジは1P差で古橋。

日本19位…日本王座挑戦圏外の日本ランカー堀池だが、日本6位にあと一歩まで迫った。
力的には充分にその位置を狙っていけることは証明できたように感じる。
白星はつかなかったが、これが自信になれば…。
自信はボクサーが強くなるための大きな要素だ。

「チャンピオンになれる選手となれない選手の差はほんのちょっと」とは、
名伯楽エディ・タウンゼントの言葉。
勝つものと負けるものの差もほんのちょっと…。
そのほんのちょっとの差は、最終的には大きく出る。
ここからのそれを埋める戦いが、堀池のドラマになっていくようにも感じた。
 

序盤を奪われた展開の中、4Rから一気にペースを奪った古橋。
そして、要所でダウンを奪って勝負を決定づけた底力。
体力を消耗するはずの展開でまったく落ちないその姿に、やはり強さを感じる。

ランキング差を見れば、古橋が苦戦した…とも言えるが、
僕には古橋が底力を見せつけたようにも思えた試合。
激闘を積み重ねてきた日本ランカーが、中日本のリングでその力を誇示した。

まだまだこの選手は、スーパーバンタムのトップ戦線を争うだろうと感じる。
3度目の日本王座挑戦の日が来るのを楽しみに待っていたい。
 
 

【59.5kg契約8回戦】
市川 大樹(駿河男児) vs 杉田 聖(奈良)

WBOアジア太平洋スーパーフェザー級14位
市川 大樹 16戦11勝(9KO)5敗

日本スーパーフェザー級7位
杉田 聖 21戦14勝(9KO)6敗1分
 

1R、お互いにジャブを刺し合う中、杉田の右ストレートが市川に刺さる。
次々にジャブを突き刺しながら、ラウンド中盤には右ストレートで市川を捉えた杉田。
市川が大きく振るうパンチはしっかり外す。
ラウンド終盤には左右ボディから右アッパーを突き上げる。

杉田が早くもはっきりとペースを握って1Rが終了。
 

2R、鼻血を出し始めた市川だったが、ラウンド開始すぐに左フックから右フックをヒット。
さらに右ストレートをもらいながら左を撃ち込む…
しかし、攻め込んだところで右ストレートを浴びてクリンチに逃れる。

なかなか自分の拳を当てれない市川だが、中盤、杉田の右ストレートの撃ち終わりに
強烈に左フックを撃ちつけると、右フックを返して杉田を捉える。

しかし、終盤には強烈な右ボディから右ストレートを撃ち込んだ杉田。
距離が詰まった場面では左フックを撃ち込み、ペースはしっかりと握ったまま。
 

3R、杉田が入って来たところで、市川が左アッパーを撃ち込むシーンが何度か訪れるが
その何倍も杉田の右ストレートが市川を捉える。
中盤には、密着した場面で強烈に右ボディからの右フックを振りぬいた杉田。
市川の顔面が弾け飛ぶ。

鼻血がかなり苦しそうな市川…消耗したようにも見える中、
ラウンド終盤、力を振り絞って杉田のボディを襲い、コーナーで撃ち合ってこのラウンドを終える。
 

4R、押し合う展開が続く中、中盤に差し掛かるころ、
杉田が連続で強烈な右ストレートで市川を捉え始める。
ロープ際で一気に攻めて出て、強烈に捉えていく杉田だが、
市川も撃ち返し、強烈な左フックで杉田の顔面が跳ね飛ぶ危険な撃ち合い。

その後試合は押し合う展開に戻るが、市川がなかなか手を出せない中、
小さく振り抜かれる杉田の左右フックが市川を捉え続ける。
 

5R、疲弊とダメージが溜まってしまったように見える市川に対し、
ロープ際で右ストレートを炸裂させた杉田が一気に攻めていく。
ここはなんとか逃れた市川だったが、その後も何度も何度もパンチをまとめられる。

ラウンド中盤に差し掛かるころ、市村はロープに詰まった杉田に
右ストレート、左フックと突き刺してみせるが
これが最後の抵抗…リング中央に位置を変え、
何度か右ストレートを浴びたところでレフリーがストップ。
 
 

TKOタイムは8R 1分23秒
 
 

この試合も、タイトルマッチ経験者がその力を魅せつけた試合だったように感じる。
圧倒劇だった…完勝だった。
これが、国内トップ戦線を争った選手の強さ。

静岡のメインイベンターの前に立ちはだかった男は、
その拳で、さらに上の領域にいることを証明して見せた。
この選手が日本7位…上には上がいる、どこまで行っても。

日本王座と、そしてそのさらに上の凄さを思い知らされた気分だ。
もう一度、登って欲しい。
この選手が、どこまで通用するのか…見てみたい思いに駆られた。
 
 

国内の強豪相手に、市村は圧倒的に敗れ去った。
相手は日本タイトル戦で、のちに一度は世界のベルトを腰に巻く相手に善戦を演じた選手。
それでも、危険なパンチは幾度か撃ち込んだ。

特に4Rの相撃ちのシーンは鳥肌が立つ場面。
たった一瞬で白黒が入れ替わるのがボクシング。
それでも、市村が完敗したのは事実…。
WBO-APのランキングも失うことが濃厚だろうと思える。

ただ…失ったなら取り戻せばいい。
勝ちたいなら強くなればいい。
有望株が次々に出てきている駿河男児。
それでも…ここまで駿河男児の中心にいたのは市村だと思う。
これから大きくなっていく駿河男児の時代を支えた選手だ。

ここから立ち上がり挑んでいく市村は、きっと絵になる。
間違いなく、絵になる。
 
 

間に様々なイベントが挟まって長くなった興行。
試合の興奮もあってどっと疲れてしまった。

へとへとになって新富士駅。
昨年と同じく、来た時には雲がかかっていた富士山がはっきりとその姿を見せる。
今年の試合はとにかく面白かった。
 

また、来年。
新富士の澄んだ空気を深く吸い込んで、帰路の新幹線に乗り込んだ。
 
 

 

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