2024/12/14 -愛知・名古屋国際会議場イベントホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
メインイベント、畑中 建人(畑中)の試合中止の報が入った。
直前だった、興行中のインタビューで語られたところでは、1週間前の怪我だったようだ。
スパーリング中に腰を負傷し、そこからなんとか間に合わせようとした。
だが、願い届かず、断念となった。
今年の中日本新人王戦、刈谷あいおいホールには
田中 恒成(畑中)、畑中 建人、坂井 涼(畑中)がいた。
翌日は畑中ジムの興行、出場予定の畑中、坂井は計量を終え、まだ回復しきらない状態。
表情には疲労の色が浮かんでいた。
後輩の中村 列亜(畑中)がリングに立つ。
中日本でトップをひた走る畑中ジムで
アクティブに活躍する選手4人が勢ぞろいしたことになる。
後輩ボクサーを応援しに来るボクサーは多くいる。
しかし、翌日が自分の試合となれば、珍しい。
さらに、ジムの選手総出でというのもなかなかないものだ。
中村が可愛がられている選手であること、努力している選手であることが感じられた。
そうでなければ、先輩がこぞって集まることもないだろう。
ボクシングは個人スポーツだ。
しかし、人との出会いがボクサーを変え、強くしていく。
関係者、応援者、様々な人間とのつながりがボクサーの道のりをかたどっていく。
「選手を見抜く目」が天才的だと言われた、先代の松田会長。
畑中 清詞(松田)はその天才の目に見出された。
地方から世界なんて信じられない時代、それを成した畑中の才能は
日本ボクシング史上でもハイクラスと言うオールドファンも多くいる。
畑中はその才を結果に変え、先代松田会長の「選手を見抜く目」を知らしめた。
二人の天才が出会って成した成果だと思っている。
今年の畑中ジムは、いい年とは言えない年だったようにも思う。
田中、畑中がベルトを失い、中日本のトップを走り続けたジムからベルトが消えた。
全日本新人王を期待された中村もまさかの敗退。
そして…年内最後の興行、畑中復活を印象付けるはずが、
ケガによって、メインイベントが流れた。
2月にも、畑中の怪我によって試合のキャンセルがあった。
ロードワーク中、ひどい運転の車をよけたところで負傷…不運すぎる事故だった。
この時には興行自体がキャンセルされてしまっている。
それから10か月、同じくメインイベントの開催がとん挫した興行。
前座に据えられていた坂井がメインイベントを務めることとなった。
諸事情がわからないため、どういう判断で開催、中止が分かれたかはわからない。
ただ、はた目から見れば、畑中プロモーションがGoを判断したということになる。
コロナ前、世界戦のダブル/トリプル開催が当たり前の時代。
名古屋という地方都市で、単独世界戦を連発した畑中プロモーション。
この結果は、畑中会長をプロモーターとしても一流であることを知らしめていた。
刈谷あいおいホールより一回り大きな名古屋国際会議場のメインとしては
ノンタイトル8回戦は試合のグレードとしては少し小さいようにも感じる。
坂井は全日本新人王、日本ランカーと言えど、若きホープといわれる立ち位置。
まだまだ、ボクサーとしての背中は小さい。
坂井のこの日のリングはその背中に大きなものを背負うリングに化けた。
繰り返すが、畑中ジムは名実ともに現在の中日本のトップを走り続けたジムだ。
その畑中ジムがうつ興行のメインイベント、軽いはずがない。
かつて松田会長と畑中会長が、お互いの才を証明し合ったように。
畑中プロモーションが一流であることを…
代役であれど坂井が名古屋国際会議場のメインにふさわしいボクサーであることを…
この日のリングにそんなサブストーリーが産まれたようにも感じた。
そして何より、先輩が不慮の怪我により、飛んでしまったメインイベント。
チケットを買ってきたファンを満足させて返すことができるかで、
畑中の試合中止の印象も大きく変わる。
ありとあらゆるものがのしかかる。
それがメインイベンターとも言える。
さて、ここでいつもの前置き。
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
神妙な面持ちで会場に現れた畑中 建人。
彼の表情を変えることができるのも、坂井しかいないと感じた。
この日の坂井の物語は、坂井自身の物語だけでなく、
畑中 建人のサイドストーリーの意味も持つ。
畑中ジムの現役選手4人が同じ場所で出会い、集結し、
それぞれグレードは違えど切磋琢磨し、素晴らしいドラマを作り上げている。
ボクシングファンとしてこのドラマに触れられることを幸せに思う。
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