2024/12/14 -愛知・名古屋国際会議場イベントホール- 第1試合~第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
[試合映像はこちら]
【バンタム級4回戦】
鈴木 尚也(蟹江) vs 島袋 友樹(松田)
試合映像 [17:51 – 31:53]
ジャブの差し合いで始まった試合。
鈴木が徐々に積極性をあげて手数を増やしていくと、島袋が防戦に回る時間が増えていく。
上下に力強く撃ち込んでいく鈴木。もらった後の反応が遅れ、立て続けにもらう島袋。
鈴木攻勢の中、鈴木の右フックを浴びて島袋がダウン。
再開後も、積極的に攻め込む鈴木。
パンチは見えているようで、ブロッキングで反応しようとする島袋だが、
旺盛な手数に間に合わず、被弾する場面が目立つ。
2Rも変わらず力強く撃ち込んでくる鈴木に対し、
撃ち終わりに強烈に右ストレートを突き刺す場面も作る島袋。
しかしラウンド中盤、鈴木の右ストレートが島袋の顔面を貫いて、2度目のダウン。
再開後は、攻め疲れもあるか、鈴木の手数は出てこず、ラウンド終了。
3R、追い込まれた島袋はより踏み込むように…。
ようやくらしさが出てきたところで、島袋が右目上を負傷。
ヒッティングカットによりドクターチェック。
続行されたものの、さらに追い込まれる島袋。
ここから前に出ていく島袋だったが…
下がりながら鈴木がパンチをまとめたところでレフリーストップ。
TKOタイムは3R 1:39
鈴木が力強いコンビネーションで下から上へと撃ちぬいてのTKO劇だった。
一発一発力強く振りぬき、上下へと広く攻めた。
さらに単発ではなくコンビで撃ち込んでいったことで、島袋を後手に回らせたように見えた。
すでに4戦を踏んでいる相手に、はっきりとした形で初勝利。
ペースを落とした場面もあったが、チャンスがあればペース維持から攻めにかかるのは定石。
踏まえて、今後より強い鈴木が見れそうに思えた。
序盤に握られた流れを取り返すことなく敗戦した島袋。
絶体絶命から前に出た島袋はここでようやくボディを叩き始めた。
下から攻めれるのは島袋の良さでもあると思っている。
ロングレンジでの攻防が長かった試合故もあると思うが、
ようやくらしさが出てきたころには、試合終盤を迎えていた。
「前に出ていれば勝っていた」と言うつもりはない。
TKOの場面では鈴木は下がりながらも、強烈に島袋をとらえていた。
ただ、島袋が「さぁ、ここから」を期待させた直後だったようにも感じる。
結果は圧倒的な敗北、だけどわずかながらでも希望は見せた。
自分をあきらめずに、次に向かってほしい。
鈴木 尚也 2戦1勝(1KO)1敗
島袋 友樹 5戦3勝(2KO)2敗1分
【フェザー級4回戦】
チン・ルイセン(中) vs 植松 風河(駿河男児)
試合映像 [37:08 – 56:57]
サウスポーのチンに対し、前の手をたたき合いながら、
鋭く踏み込んで強烈にボディから顔面を襲う植松。
タイミングの制し合いで、はっきりと上回る立ち上がり。
2Rに入っても展開は変わらず。
チンのパンチが届かない距離から、鋭く踏み込んで強烈に襲う植松。
ボディも顔面も痛烈に襲う。
チンも思い切り振り回して逆転を狙うが、明確なクリーンヒットはほぼない状態。
思い切り振りぬいてくるチン。
どちらかが踏み込んだ場面で頭が当たる場面もあるが、お互いひるむこともなく、
展開は全く変わらないまま。
最終ラウンドに入っても状況は変わらず。
接触した場面でチンがガチャガチャと振り回しても、
植松がヒットを奪って即座に距離をとってリセット。
そのまま試合終了のゴングが鳴った。
マイジャッジ 40-36 植松
公式ジャッジ
40-36×2
39-37
3-0 植松
崩そうにも打開策が見つからないままに見えたチン。
一撃を演出するには充分な強打をふるうも空を切り続けた。
弱い選手ではないはず、ただ、日本での相手は実力者が続いて連敗。
4回戦の舞台でこの選手を相手に苦戦する選手は多くいるだろうと感じる。
序盤に優位な展開を作ると、まったくその展開を崩さずにフィニッシュした植松。
付け入る隙を与えない、強い勝ち方をしたように感じる。
12分間に及んで、大きく振るチンに危ない場面さえ作らなかった。
4Rの試合でも相手の出方に応じて展開は変わっていくもの。
それを許さない植松に戦慄を感じた試合だった。
上のグレードへ挑む力をはっきりと見せつけ、植松がB級へ昇格。
今後の道のりも楽しみでならない。
チン・ルイセン 8戦4勝(2KO)4敗
植松 風河 5戦4勝(3KO)1敗
【50.3kg契約6回戦】
成上 聖斗(比) vs 瀬筒 陸斗(M.T)
試合映像 [1:01:00 – 1:30:22]
お互いに様子を見合う静かな立ち上がり。
1R中盤から積極的に成上が飛び込み始める。
迎え撃つ瀬筒も撃ち合いの場面で互角に渡り合う。
密着した場面、瀬筒がクリンチで抑え込むも、
空いている手を巧みに折りたたみ、瀬筒の顔面を襲う成上。
ブレイクがかかるまでしっかりオンタイムで戦い続ける。
超至近距離で瀬筒が持てあますかに思えたが、
残り10秒、瀬筒が強烈なカウンターでやり返す。
2Rに入ると、入り込む成上を瀬筒が迎え撃つ。
強烈なカウンターを浴びせるが、それでも潜っていく成上。
撃ち合いでも瀬筒がきれいにとらえるか…
それでもひとたび密着すれば、密着した距離で成上がヒットを奪う。
3R、ミドルレンジ、撃ち合いの場面では瀬筒がはっきりと上回り始める。
ただし、密着してしまえば成上の時間となる。
クリンチで抑えきれずに、懐で暴れまわる成上。
ブレイクが入ればピタッと拳が止まる…超至近距離を鍛えられた戦いぶり。
4R、しっかりジャブを飛ばしながら、離れた距離を制する瀬筒。
強烈なカウンターを撃ち込むが、もらいながらも入ってくる成上。
強打を撃ち込むたびに、クリンチ際の攻防に持ち込まれる。
5Rも展開変わらず、とらえては潜られ…。
オンタイムのクリンチ際をどうとるかで判定も分かれそうに感じる。
きわどい展開の中、終盤、瀬筒が足を使いながら強烈なカウンターを連発。
6R、しっかりと足を使ってしっかりと距離を維持し始めた瀬筒が、
強烈にカウンターを奪っていく…ラウンド中盤には、
大砲の相打ち、瀬筒がもらいながら撃ち込んだ左で、成上が足元を揺らす。
追いかける成上、追いつかせずカウンターを突き刺す瀬筒。
瀬筒がラストを走り抜けるように試合終了。
マイジャッジ
57-57
公式ジャッジ
58-56 ×2
59-55
3-0 瀬筒
至近距離での攻防がポイントに反映されなかったか…
しかし、綺麗な形でとらえ続けたのは瀬筒の方だった。
点数以上に接戦だったように思うが、後半明確にとった瀬筒が試合を制した。
思った以上にポイントは開いたが、納得の範疇だった。
成上のガチャガチャとした接近戦、普通なら削られていってもおかしくない。
最後まで足はまわり続け、逆に後半をアウトボクシングではっきりと獲った瀬筒。
カウンターセンスも光るが、基礎的な能力の高さに驚いた。
国内にはなかなかいないタイプの成上を攻略しきったとは言えないが
相手の土俵での戦いに乱されず、自身が上回るロング、ミドルレンジの攻防で勝利を得た。
見事な戦いだったように思う。
成上は初の日本のリングで接戦は落としたが、相手の強さがあってのもの。
ハイクラスな6回戦だったようにも思う。
あの攻防で消耗しなかった瀬筒を称えるべき試合内容だったように思う。
今時点でも、成上のボクシングに巻き込まれていくランカーもいるだろうと感じる。
より力を伸ばし、大きな舞台で活躍してほしいと感じた。
成上 聖斗 5戦4勝(1KO)1敗
瀬筒 陸斗 4戦4勝(3KO)
【カテゴリ別】
2024年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2025年2月に戻る
コメント