2019/04/21 -石川・石川県産業展示館2号館- 3試合目~5試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーバンタム級4回戦】
水上 翔太(カシミ) vs ソラサック・ニムヌアン(タイ)
水上 翔太 3戦2勝(2KO)1分
ソラサック・ニムヌアン 2戦1敗1分
1R、重たく鋭いジャブを撃ち込んでいく水上。
どこか線の細い印象を感じるニムヌアンだが、きっちりと外していく。
水上の左フックにハンドスピードのある大きな左フックを合わせたニムアヌンは
そのまますぐに安全圏にステップアウト…警戒心をぐっと強めたように見える水上。
なかなか厄介そうな相手…。
そう感じた矢先、突如暴力的に襲い掛かった水上。
拳を痛烈に叩きつけていき、最後は強烈な左ボディ。
押しつぶされるようにリングに沈んだニムヌアン。
何とか立ち上がり、再開に応じるも再び襲い掛かった水上に成す術なく、またもボディで沈んだ。
ここでレフリーが試合をストップ。
KOタイムは1R 2分0秒。
ニムヌアンは、4回の選手の相手としては噛ませとは呼べない選手だったと感じる。
最終的には水上の暴力的なラッシュに沈んだものの、
開始直後に見せた大きな左フックのタイミングは背筋が冷たくなった。
パンチの撃ち方自体はボクシングのもののようには思えず、
ムエタイからの転向だろうか…しかし、しっかりと積み上げれば
スリリングな試合をする選手になっていくようにも感じた。
タイのリングで成長し、また日本のリングに来てくれればと思う。
この日は何よりも、水上のスピードとそれを生かした暴力的なラッシュに驚いた。
獰猛さを感じるその戦いぶりは、はっきりと面白い。
中日本でも選手が充実しているスーパーバンタム級だが…
来年の新人王戦、参戦してくれば優勝候補の一人になるようにも思えた。
あと0.5勝でB級昇格。
今後の展開が楽しみに感じる。
【スーパーライト級4回戦】
宮川 祐志(カシミ) vs 永嶋 翔平(横浜さくら)
宮川 祐志 3戦3敗 サウスポー
永嶋 翔平 4戦4敗 サウスポー
1R、足を使う永嶋と詰めていく宮川。
お互いにパンチを外し合う序盤、宮川の左の撃ち終わりに永嶋の左ストレートが刺さる。
左右のフックを振りながら追いかける宮川だが、手数が多いのは永嶋の方…。
ラウンド終盤にはクリンチの離れ際に、永嶋が左右フックを撃ち込む。
2R、左ストレートの相打ちをきっかけに撃ち合いになった二人。
一発目を相打ち上等のような形で撃ち込み、後続の二発目三発目を撃ち込むシーンを作り始めた宮川。
中盤以降、宮川が強烈な左ストレートのカウンターで捉えれば、永嶋は右フックのカウンターで捉える。
追う宮川と回る永嶋…お互いカウンターで顔面を捉え合う。
3R開始直後、先に左ストレートを突き刺したのは永嶋。
しかしクリンチの離れ際に右フックでやり返す宮川。
足を使う永嶋を捕まえきれない宮川…追いかけながら強烈に被弾する場面も目立つ。
ラウンド中盤、撃ち合いになるとワンツースリーと永嶋のパンチが刺さる。
宮川は左ストレートを突き刺して一撃で永嶋を揺らす場面を作るが…ヒット数で永嶋がはっきりと上回る。
4R、足を使いながら強烈な右フックを突き刺した永嶋。
宮川のワンツーがヒットすると二人は猛烈な撃ち合いに突入。
初勝利をつかみにかかる二人…体で押し合いながら、両者疲弊し、出せば当たる状態で猛烈な殴り合い。
ここに来て手数で宮川が上回るも、試合は終了のゴング。
マイジャッジ
38-38 ドロー
公式ジャッジ
39-37、39-37、39-38
3-0 永嶋
「一番ダメなのは負けて元気がある試合」
これは名伯楽エディ・タウンゼントの言葉。
デビュー4連敗となった宮川だが、しっかりと出し切った。
感動モノの戦いぶりに、「ナイスファイト!」の声が自然と出た。
永嶋はアウトボクシングを展開し、捕まったかに思えた場面でも
小さく細かく撃ち込んで宮川の攻撃を阻んだ。
撃たれたあとをしっかり対処できていたことで、
ファイターに対して、崩れることなく12分間を乗り切った初勝利。
ファイターとアウトボクサーの対決だったからこそ
両者のいい部分がしっかり見られたようにも感じる。
しっかり撃ち合う場面もあり、最後は二人とも出し切っての判定決着。
3-0だが、接戦だったように思う。
試合としてとても面白い試合、熱戦だった。
また、この二人がもう一度戦う姿も見たい…。
きっと何度見ても飽きが来ない試合だろうと感じる。
【ライト級8回戦】
ピッコロ・ボリバー(カシミ) vs アーニー・サンチェス(比)
OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級13位
日本フェザー級11位
ピッコロ・ボリバー 8戦7勝(3KO)1敗
アーニー・サンチェス 33戦19勝(10KO)13敗1分
1R、鋭く重たいジャブを突いていったピッコロ。
さらに左ボディから強烈な右フックを浴びせる。
衝撃音を響かせるピッコロのパンチにガードを固めていたサンチェスだが
左右のボディフックでピッコロの腹をえぐる。
お互いに離れた安全圏から見合いながら、先に手を出していくのはピッコロの方。
サンチェスはカウンターを狙っているか、ラウンド中盤には
ピッコロのジャブに合わせて右フックを撃ち込む。
2Rのオープニングヒットはサンチェス。
ピッコロの左に合わせて強烈に右ボディをえぐる。
対してピッコロは、左ボディを撃って来たサンチェスに対して右フックをカウンターで浴びせる。
さらに、続けざまにボディから顔面へ返す左フックのダブル。
ピッコロがサンチェスの右に合わせてボディを叩く場面が目立つ。
ラウンド終盤、圧力を強めたサンチェス、左ボディと右フックをヒットさせてこのラウンドが終了。
3R、前に出るサンチェスに対し、足を使ってサンチェスの攻撃をいなしながら、
炸裂音が響く強烈な右フックを叩き込むピッコロ。
サンチェスは攻めても攻めてもピッコロのボディワークにいなされてしまう。
時折、強烈に右ボディを突き刺すも、下がりながらカウンターを合わせるピッコロに
強烈に顔面を襲われる。
4R、お互いに手数が減り、見合う展開になる中、
時折距離を詰めていくサンチェスだが、強烈な左右フックで襲い掛かっても、
ピッコロは撃ち所が無くなるほどに深くダッキングしてその攻撃をいなすと、
自分から飛び込んで左ボディから右フックを叩きつける。
5R、再び圧を強めて出ていくサンチェス。
力強くふるう右フックが入ったかと思うタイミングでも、
ピッコロは上体柔らかく回避し、手数は少ないながらも的確に着実にヒットを奪っていく。
6R、ピッコロはジャブで間合いを制しながら、時折強烈に撃ち込む右フックで試合を支配。
時折スイッチを見せながら、サンチェスを翻弄。
対してサンチェスは強烈に被弾しながらも、効いた素振りは見せることなく対峙する。
7R開始直後から前に出て行ったサンチェス、ロープまで詰めていき
内側からショートの左フックでピッコロの顔面を襲う場面を二度作る。
ラウンド中盤、ズイズイと詰めて来るサンチェスに対して、
ロープ際で体を入れ替えたピッコロ。
ショートの右アッパーを突き刺し、バランスを崩したところを軽く押してサンチェスが尻餅。
状況によってはダウンがとられておかしくない場面に見えたが、これはスリップ。
倒さなければ勝ち目のなさそうなサンチェスの前進を闘牛士のようにあしらいながら、
ピッコロが自身の拳のみを強烈にヒットさせる時間が続く。
8R、ラウンド開始直後、ぐっと距離を詰めたサンチェスが強烈な左ボディを叩きつけると、
右フックでピッコロの顔面を捉える。
しかし直後、ピッコロの右フックが炸裂し、一瞬腰を落としかけるサンチェス。
ダンスを踊るように挑発してノーダメージをアピールするサンチェスだが、
マウスピースを口からこぼして試合は一旦中断。
再開後、ロープに詰めると猛烈に襲い掛かり、サンチェスの顔面を強烈に襲ったピッコロ。
序盤と変わらぬ衝撃音が会場に響く強烈なパンチが叩き込まれていくが、耐えきって試合終了のゴング。
マイジャッジ 80-72 ピッコロ
公式ジャッジは3-0
78-74、79-73、79-73 ピッコロ
テクニシャンのピッコロの柔らかさにいなされ続けたサンチェス。
サンチェスの勇敢さも、その拳に秘める強さも、
その輝きの多くがピッコロの柔らかさに吸収されてしまった。
2年前の金沢のリングでハリケーン 風太(カシミ)を5RTKOで破ったフィリピンの強豪は、
待っても攻めてもピッコロを上回ることはできず、まるで手のひらに乗せられるように翻弄された。
逆転を狙い果敢に攻め込んだ最終ラウンドには、KO寸前まで追い詰められた。
果たして…サンチェスをこんな姿にしてしまえる選手が国内にどれだけいるだろうか。
日本フェザー級11位…下位ランカーに位置づけられるピッコロだが。
国内線戦に絡めばかなり面白い存在に思える。
…が、これほどおいしくない相手はいないだろうとも感じる。
この日のサンチェスのように空転させられれば、
どんな魅力的なボクサーも「消極的」や「ハートが弱い」などの
レッテルが貼られてしまうように感じる。
その強さは間違いないだけに…注目を集めるような浮上に期待したい。
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