2020/07/26 -愛知・刈谷あいおいホール- セミファイナル~ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【ミニマム級6回戦】
東 健史(ARITOMI) vs 丁野 拓海(中日)
東 健史 13戦5勝(1KO)8敗
丁野 拓海 6戦5勝(3KO)1敗
お互いに左で距離を測り合う静かな立ち上がり。
踏み込み合う場面では、もみ合いになるシーンが複数回…。
クリンチ際で強引にフックを振るう丁野だが、ナックルパートはヒットしない。
静寂が会場を包む中、東のジャブを浅く貰いながらクロスカウンターを振り抜いた丁野。
強烈な炸裂音が響き、東が崩れ落ちる。
立ち上がった東だが、足元はふら付いている。
進むカウントの中、テンカウントギリギリでファイティングポーズをとった東…
しかし、レフリーは続行を許さず、そのままテンカウントを数え上げた。
どちらにも主導権が渡っていない探り合いの時間帯…一瞬で決着がついてしまった。
これでキャリア2度目の3連敗となった東。
負けの数が多い戦績…だから弱い、だから大した事が無いではない。
その戦績は自分にとって高い壁に挑み続けた証。
飛び抜けたものを持っていない東がB級にまで昇格した背景には、
彼の粘り強さやしつこさがあったと思っている。
まだまだ、東が粘っていく姿を見ていたい。
昨年、最軽量級のミニマム級でありながらパワーで全日本新人王決定戦まで勝ち上がった丁野。
その力を見せつけるように、抜群のタイミングで渾身の一撃を思い切りよく振り抜いた…。
昨年夏より、間違いなく力を付けている丁野…パワーだけではない。
A級昇格まであと一勝…ランキング奪取やその先をも予感させる圧巻ぶり。
数年後、中日本の主役の一人になっているようにも思えた。
■日本ライトフライ級王座決定戦
【ライトフライ級10回戦】
矢吹 正道(緑) vs 佐藤 剛(角海老宝石)
日本1位/OPBF東洋太平洋4位/WBC世界4位
矢吹 正道 13戦10勝(10KO)3敗
日本2位/WBOアジア太平洋9位
佐藤 剛 12戦10勝(5KO)1敗1分
ゴングから前に出て潜り込むタイミングを測る佐藤。
重戦車的なスタイルの佐藤は、自身のボクシングをそのままぶつけに来たか…。
ジリジリ下がりながらの対応となる矢吹だが、強烈な右アッパーを叩き込んで先制。
下がりながらでも高い攻撃力を見せるスタイルは矢吹の特徴の一つでもある。
緊張感の高いやり取りの中で、佐藤の撃ち出しを抑えて強烈なカウンターを叩き込み始める矢吹。
佐藤の左ストレートに右アッパーを捻じ込み、入り際には左フックでテンプルを捉える。
強烈な被弾を受けながらも、佐藤の歩みは前へ…。
ラウンド中盤、佐藤が入って来る場面で、矢吹が左フックを引っ掛けると佐藤は横倒しにダウン。
立ち上がった佐藤は挽回を目論むか、一気に距離を詰め始める。
矢吹の強烈な右アッパーを浴びてもトライを続行し、
自身もアッパーを貰いながらでもあるが、左フックを浴びせて相打ちに持ち込む場面を作る。
しかし…ラウンド終盤に、佐藤のジャブに合わせて、
体ごと叩きつけるような右のロングフックを浴びせた矢吹。
グラついた佐藤に一気に襲い掛かり、押しつぶすようなラッシュの最中、
右を顔面にめり込ませてダウンを奪取。
立ち上がろうとしても、体が言うことを効かない佐藤…。
レフリーはその姿にカウントを途中でストップ。
1R 2:55秒TKO
撃ち出しに合わされ、ほとんどのパンチをかわされ、完全に封じられる中…トライを繰り返した佐藤の姿は
ファイターとしての自身の勝ち筋を貫いたように見えた。
3分に満たない日本王座初挑戦…しかしそれは可能性に賭けた結果。
ファイターとして恥じることのないもののように感じる。
勝負を決めたのは体ごと叩きつけるような右ストレート
サンドバッグに撃ち込んでいる映像は見たことあったが…これをタイトル戦クラスの実戦で
顔面に撃ち込むことに驚愕した。
例えば、世界挑戦者として発表された選手の映像をチェックしたときに、
この一撃の映像が出てくれば、その選手が無名だったとしても、マニア界隈はザワつくだろうと思える。
さらに、佐藤クラスのファイターを完璧に封じ込めた…ここに背筋が凍る思いがした。
相手の良さを全て消し去ったうえで、インパクトを与える一撃を捻じ込み、きっちりと仕留め切る。
勝利者インタビューでは、「世界に行きたい」とも口にした矢吹。
日本王座を獲得すると共に、その資格を強烈にアピールしたように思える。
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