2019/04/28 -岐阜・じゅうろくプラザ- 第1試合～第3試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ！
【ライトフライ級4回戦】
渡邊 力輝也(三河) vs 栗原 祐樹(和光)
渡邊 力輝也 デビュー戦 サウスポー
栗原 祐樹 3戦3敗
ラウンド開始直後、リング中央で対峙した二人。
激しいファイトを持ち味とする栗原に対し、先に仕掛けたのは渡邊の方。
栗原をいきなり守勢に回らせる。
ラウンド中盤、一旦展開が落ち着きを見せると、栗原が強烈に右ストレートをヒットさせるが
終盤には渡邊が左の撃ち下ろしを炸裂させて栗原が足元をふら付かせる。
一気に攻めこんだ渡邊が何度も強烈に左をヒットさせるが、
栗原が右ストレートでボディを捉えて、なんとかこの窮地を脱出する。
2R、栗原が距離を詰め、本来のファイトを見せ始める。
序盤から激しい撃ち合いになる中、何度も何度も右アッパーを突き上げる栗原だが…
渡邊の左右フック、左ストレート…どれも強烈に栗原を捉えていく。
3R、ジャブを突きながら回り始めた栗原。
これまで栗原があまり見せなかった姿だが…
渡邊が攻めの姿勢を崩さず攻め込んでいくと、またも撃ち合う展開に。
渡邊の左ストレートが撃ち込まれ、ぐらついた栗原。
そこにフックが刺さったところでレフリーが割って入る。
TKOタイムは3R 1分29秒
何度もぐらつきながらこの日、リングに沈むことは免れた栗原。
これまで突貫してきたブルファイターの栗原が、足を使ってジャブを突く…。
試行錯誤、模索の最中にも見える。
向かっている方向が正解なのかは結果が出るまで誰にもわからない。
ただ…負けながらも相手の心を折るようなファイトを見せて来た栗原。
これでデビュー以来、4連続KO負けだが…勝つまでやれば、必ず勝てる。
苦しい時期、「心だけは折られるな」と切に願う。
ファイター栗原に思い切りのいいファイトを仕掛けてデビュー戦を飾った渡邊。
リングの上で見せつけた負けん気の強さは、ボクサーとしてヒリヒリさせてくれる。
粗削りな部分も目立ったが、このボクサーがどうまとまっていくのか…。
楽しみな存在が現れたと感じる。
■中日本ウェルター級新人王準決勝
【ウェルター級4回戦】
廣中 大介(とよはし) vs 能嶋 宏弥(薬師寺)
廣中 大介 3戦2勝(1KO)1敗
能嶋 宏弥 1戦1勝(1KO)
1R開始直後からプレスをかけるファイターの廣中。
フレーム差は大きく頭一つ分ほど。
入っていこうとする廣中に対し、能嶋は足を使って長い距離からジャブを突き刺し、
時折強烈に右ストレートで廣中を襲い、さらに距離が詰まれば左フックを引っかける。
廣中も踏み込んで右ストレートを当てる場面を作るが…ほとんどのパンチが届かない。
ひたすらに前進を続ける廣中、入ってきたところを強烈に捉えながら足を使う能嶋。
リングを広く使いながら廣中に詰めさせず、ラウンド終盤には強烈な左アッパーを炸裂させると
コンビネーションで一気に攻め立て次々に廣中の顔面を襲う。
しかし…詰め切れない廣中にとって、能嶋が攻めに出ている場面こそチャンス。
足元をふら付かせながら必死に殴りかかるが、能嶋はそれをいなしながら
強烈に廣中の顔面を捉え続けて1R終了のゴング。
2R、前に出るしかないファイター廣中。
このラウンドも詰めていくが、能嶋は長い距離から
廣中のボディをえぐり、そのまま強烈に上にも返す。
能嶋の強烈なパンチに顔面をさらされながらひたすらのアタックが続いていく廣中だが
なかなかその拳は届かない…それでもがむしゃらにがむしゃらに拳を突き出していく。
ラウンド終盤にようやく右フックがヒットする。
3R、ラウンド開始と共に突進する廣中。
左をコツコツとヒットさせる能嶋だが廣中の前進は止まらず。
能嶋のボディで動きが止まる廣中、しかし歯を食いしばってまた前進。
しつこい廣中に、徐々に能嶋の動きが落ち始める。
ほとんどパンチを当てることのできない中で、続けて来たアタックが実を結ぶか…。
4R、能島が前に出る。
大きく振る廣中を、小さくシャープに捉える能嶋。
撃ち合いでも能嶋が上回る中…ついに廣中の右フックがカウンターで突き刺さる…。
しかし、能嶋はクリンチで逃れて後続を遮断。
最後の最後に見せ場を作った廣中だったが、ここでタイムアップ。
マイジャッジ 40-36 能嶋
公式ジャッジ
40-37×3
3-0 能嶋
届かない距離、当たらない拳…。
しかし、ファイターが生き残る術は一つしかない。
愚直な前進を続け…そして10分を満たずして能嶋が削られた。
ファイターとは何たるかが、この日の廣中に凝縮されているようにも感じる。
今年の新人王戦はここで脱落となったが…
そのファイトスタイルと同じく、そのキャリアも前進あるのみであって欲しい。
進み続ければ、光が射す…この試合が証明しているようにも感じる。
結果的には完勝だった能嶋。
巧さも、強さもある…スタミナ不足を指摘する声も聞こえたが…。
延々と続いた廣中のアタックにより引き起こされたもののようにも感じる。
止まらぬ相手に自分のペースを維持することは容易いことではない。
逆に疲弊した4R、廣中に逆転を許さず、
ポイントさえ譲らなかった部分に能嶋の強さを感じた。
これで8/4の中日本新人王決勝に進出。
対戦相手は、次の試合で決定する。
■中日本ウェルター級新人王準決勝
【ウェルター級4回戦】
村田 望(岐阜ヨコゼキ) vs 北川 仁暉(唯心)
村田 望 2戦2敗
北川 仁暉 4戦1勝(1KO)2敗1分
1R、お互いに静かに見合う中、北川の左フックの撃ち出しに
村田の右ストレートが突き刺さりいきなりのダウン。
立ち上がった北川…それほどダメージは感じさせないか。
村田はここで無理に攻め込むことはせず、仕切り直しとなる展開の中
ラウンド中盤には村田の左フックが強烈に北川を捉え、
北川は下がりながら右アッパーで入って来る村田を突き上げる。
2R、お互いにガードを高く上げて始まると、
両者ともに強烈に左ボディを叩き合う。
上へのパンチをお互いにブロックし合う中、ラウンド終盤、
ガードの外側を回り込むような北川の左フックが連続で村田を襲う。
3R、変わらずボディを叩き合う二人。
北川の手数が減り始めたかと思えた矢先、北川の右ストレートが
カウンターとなって村田の顔面に突き刺さる。
そこから連続して村田の顔面を捉えていった北川。
ペースを上げていく北川に対し、ラウンド終盤村田も右ストレートで捉え返す。
4R、ガードの外側からねじ込むような右フックを幾度もヒットさせる北川。
しかし、村田が強烈な左ボディを突き刺し、
さらに左フックで北川のテンプルを捉えてグラつかせる。
お互いに譲らぬ拮抗した内容のまま、試合終了のゴング。
マイジャッジ
38-37 村田
公式ジャッジ
38-37×3
3-0 村田
初回にダウンを奪われながら接戦に持ち込んだ北川。
終盤に失速を見せるかつての姿はそこにはなかった。
試合が始まって間もない時間帯に喫したダウンは勿体ないの一言だが
これもまた一つの経験…きっと乗り越えて来るだろうと感じる。
階級の大幅アップという思い切った決断を下して初勝利を手に入れた北川だからこそ
勝つためにどうするか…を考え抜いてくるだろうと感じている。
まだまだキャリア初期…この選手の今後に期待したい。
勝利者インタビューでは負けたと思ったと答えた村田。
試合は拮抗したが、ダウンを奪った分、ポイントが村田に流れた形。
これまでの村田の試合は、わずかな時間で終わってしまった1試合しか見れていなかったが
鋭利な左ボディ、左フックにはスピードもあって魅力的に感じた。
ワンテンポ遅れてくるような右でダウンシーンを演出したが、それ以上に、前の手に迫力を感じる。
こんな選手だったのか…と驚きを感じるとともに、また面白い存在を見つけた感が強い。
勝者の村田は8/4の中日本新人王決勝で、この日の直前の試合で勝利している能嶋と対戦。
スピーディーで強烈な左と不器用そうな右…左と右で大きくギャップのある変わり種が
アマチュア戦歴の豊かな能嶋を撹乱するようなドラマも面白い。
アウトボクサーを止めるにはボディが鉄則…村田の左ボディが能嶋を止めるシーンもあり得るか…。
少しいびつな対戦構図に、何が起こるかわからない感にワクワクしてしまう。
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