2019/04/28 -岐阜・じゅうろくプラザ- 見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
まだ3月の観戦記が終わっていませんが…あと1週間に迫る岐阜!
4月の中日本3週連続興行のラストは岐阜ヨコゼキ主催の-岐阜・じゅうろくプラザ。
名古屋駅から20分とかからない立地は、名古屋~刈谷とさして変わらず。
しかしそこには地方興行の色合いをしっかりと持つ岐阜のボクシングが存在する。
少し小さめな会場は、押し込まれた客の熱気が充満すること請け合い。
敵地後楽園ホールで元日本王者に大健闘を見せた佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)が
堂々たる看板としてメインイベンターを務める。
元OPBFランカー、勝利して日本ランキングの奪取とOPBFランキングの返り咲きなるか。
【ライトフライ級4回戦】
渡邊 力輝也(三河) vs 栗原 祐樹(和光)
渡邊 力輝也 デビュー戦
現在A級ボクサーとして同ジムで活躍する伊藤 仁也(三河)の従弟がプロデビュー。
紫カマキリの異名を持ち、日本ユース王座へも挑戦した伊藤の従弟、実力や如何に!
栗原 祐樹 3戦3敗
現在、3連敗中。
身長が低く骨格が横に広い栗原は、見た目通りのブルファイター。
止まらない手数は驚異的だが、撃たれ脆さが災いしてデビュー以来3連敗。
デビュー戦選手の登場はただでさえワクワクするのに、それが伊藤の従弟となれば尚更。
4回戦時代の伊藤を指して「仁也は特別」というキーワードを何度使ったことか…。
似た匂いを感じるか…それとも全く別物か…。
いずれにせよ楽しみで仕方ない。
そして…立ちはだかるのは致命的な弱点を抱えながら、
あきらめることなく4度目の試合に挑む栗原。
夢に溢れて上ったリングで突き付けられた現実。
それを乗り越えることができるのか…。
この選手が目指す1勝は重厚な物語になっている。
意味合いの違う初勝利を目指す二人。
対照的な背景が生み出す美学もまた、ボクシングの大きな魅力に感じる。
■中日本ウェルター級新人王準決勝
【ウェルター級4回戦】
廣中 大介(とよはし) vs 能嶋 宏弥(薬師寺)
廣中 大介 3戦2勝(1KO)1敗
デビュー戦は昨年の新人王戦。
中日本新人王準決勝から登場し、猛烈な圧力でKO勝利。
しかし、決勝では全日本新人王決定戦まで勝ち上がる松井 敦史(薬師寺)に痛烈な1RKO負けを喫した。
その後は昨年12月に再起戦を敵地神戸で戦い、見事勝利を収めている。
圧力型の突貫ファイター。
能嶋 宏弥 1戦1勝(1KO)
今年の新人王戦でデビュー。
3月の刈谷のリングで中日本ウェルター級新人王準々決勝を戦った。
デビュー前からその名が響いていた上原 大樹(伊豆)を2RTKOで破っての準決勝進出。
早くも「中日本の最終兵器」という呼び声が聞こえている。
アマチュア時代には全日本社会人選手権で準優勝も経験している。
能嶋が準決勝で破った上原は廣中と同じく圧力型ファイター。
アウトボクシングで入り際を徹底的に叩いてのKO劇だった。
同じような展開も想像できるが…一撃に秀でた上原と、
猛烈な回転の廣中は距離が潰れた後の展開は別物。
捌くか潰すか…わかりやすい構図は激烈面白い試合になる可能性を感じる。
勝ち上がった方を待ち受ける対戦相手はこの日、この後のカードで決定する。
■中日本ウェルター級新人王準決勝
【ウェルター級4回戦】
村田 望(岐阜ヨコゼキ) vs 北川 仁暉(唯心)
村田 望 2戦2敗
デビュー戦ではいきなり猛烈にふるって出た樋口 和輝(ARITOMI)に、成す術なく1RKOで敗北した村田。
2戦目は後楽園ホールのリングに立ち、小林 柾貴(イマオカ)にフルマークの判定負け。
好選手相手に喫した2連敗…地元岐阜のリングには初登場。
北川 仁暉 4戦1勝(1KO)2敗1分
撃たれ脆さと終盤の失速が目についたキャリア初期。
プロ4戦目で階級を一気に4階級増量し、生まれ変わった姿で初勝利を収めた。
足を使ったボクシングが奇麗だったが、終盤に撃ち合って効かされることが多かった選手。
それが増量で撃たれ弱さを克服すると、ファイターとして相手をボディでリングに沈めた。
元々の性格はファイターだったのだろうと感じる。
今年の中日本ウェルター級新人王には変身を遂げた北川を推している。
初勝利は北陸のリング…それまでの3戦だけの情報ならば、きっと眉唾に感じるだろう。
それほど、初勝利を挙げた北川の姿はこれまでとは全く違っていた。
対するは初勝利を目指す村田。
一発で試合が決まることも多いウェルター級は驚きの結末が多い階級でもある。
今年の中日本新人王トーナメントでは最重量となるこの階級。
決勝のリングに上がるのは…果たして…。
■中日本スーパーバンタム級新人王準決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
後藤 憬(中日) vs 阿部 史也(タキザワ)
後藤 憬 9戦4勝4敗1分 サウスポー
僕が昨年に引き続き、激戦区中日本スパーバンタム級新人王トーナメントの優勝候補に推すのがこの選手。
「やりづらいサウスポー」というキーワードで最初に名前が挙がる選手。
近い距離でも、遠い距離でも強い。
2017年の新人王戦敗北から、3連勝で昨年の中日本新人王決勝に進出したが
全日本新人王を獲得することとなる”北陸の原石” 英 洸貴(カシミ)の前に初タイトルを阻まれた。
勝ち負けを繰り返しながら強くなってきた後藤、3度目の新人王エントリー。
阿部 史也 4戦3勝(2KO)1敗 サウスポー
抜群のフィジカルを持ち、阿部を今年の全日本新人王候補と推す声も聞こえる。
デビュー戦こそ惜しい試合を落としたが、
その後は2戦続けて完璧な内容でのKO勝利を積んで今年の新人王にエントリー。
準々決勝では高田 雅人(とよはし)とのリマッチをフルマークで勝ち抜けた。
体幹の強さを感じさせるフィジカルは頭一つ抜けている。
全日本新人王のタイトルを持ち帰る可能性を充分に持つ選手。
デビュー戦の敗北以降、圧巻のパフォーマンスを見せつけている阿部。
この階級では阿部を優勝予想に推す声のほうが大きいように感じる。
しかし…僕の優勝予想は後藤。
技巧派サウスポーとしてどんどん成熟していく後藤を、やりやすい相手などいないはずだ。
お互いにとって正念場、実質の決勝戦とも言われそうなカードだが、
対抗ブロックではこちらも優勝を狙える逸材、中村 龍明(市野)が決勝進出を決めている。
大激戦区のスーパーバンタム級、三つ巴の争いはまさに熾烈。
【60Kg契約4回戦】
三輪 珠輝(名古屋大橋) vs 村田 翼(和光)
三輪 珠輝 9戦4勝(1KO)4敗1分
今でも記憶に残る、伊藤 記道(市野)との大激戦。
刈谷を揺らす熱戦を演じた男は、その試合を最後にリングから姿を消した。
選手生命が危ぶまれるほどのヘルニアを患ってのこと。
強くなって戻ってきた三輪、前戦の中村 龍明(市野)戦では
撃ち合いになりかけたシーンで自ら引く冷静さを見せ、
結果はドローながらもダウンを奪って、その存在感を示した。
村田 翼 デビュー戦
平成25年度全国UJ大会54Kg級を制した選手。
和光ジムより期待の新人がデビュー。
急遽試合が決まった形だが…期待してその試合を確認したい。
当初は中日本新人王フェザー級準決勝として三輪が中野 精(杉田)と対戦する予定だった枠。
中野の棄権により三輪が決勝進出、この試合はオープン戦として急遽セッティングされた。
負けの数は多いものの、経験を着実に力とし、ヘルニアからの復活後、
さらに力をつけたその姿に、僕はこのトーナメントの優勝予想に三輪を推している。
デビュー戦選手に三輪は荷が重い…そんな思いもあるが、
村田はプロデビュー前の実績もある選手。
試合ぶりを見たことがないため、まずはその戦いぶりを楽しみにしたいと感じる。
【女子48.0kg契約4回戦】
近藤 佐知子(駿河) vs 狩野 ほのか(世田谷オークラ)
日本女子フライ級5位
近藤 佐知子 6戦2勝3敗1分
一昨年の岐阜で初勝利を飾って素直な喜びを爆発させた近藤。
以降、僕はこの女子ボクサーにドハマりしている。
昨年1年間はランカー対決3連戦で2敗1分と結果を出せずにいたが、
へこたれることなく、今年2月の静岡で2勝目を挙げた。
日本女子アトム級17位
狩野 ほのか 1戦1勝(1KO)
デビュー戦では連打でTKOを呼び込んでの勝利。
最軽量級のアトム級でランキングに入った。
連打型のファイターだと聞く。
ライトフライ級よりわずかに軽い契約体重で行われる。
近藤はミニマムからスーパーフライまで幅広く戦う選手。
前戦はミニマムで行っており、ウェートへの心配は無用か。
勝ち星のつかない苦しい一年間を乗り越えた近藤。
初の連勝を勝ち取ることができるか…。
大学時代を過ごした第二の故郷岐阜で、また喜びを爆発させる近藤が見れるか。
【スーパーライト級4回戦】
原 英右(岐阜ヨコゼキ) vs 冨田 雅季雄(三津山)
原 英右 6戦4勝(3KO)2敗
2015年の中日本新人王ライト級決勝を最後にリングを降りていた原が4年ぶりに復帰。
既に4勝を記録しているが、まずは4回戦で復帰戦を戦う。
後楽園ホールで激しい倒し合いを演じた選手。
冨田 雅季雄 6戦3勝(2KO)3敗 サウスポー
昨年の中日本スーパーライト級新人王がB級昇格をかけた試合に挑む。
猛烈に殴られながらの逆転勝利で勝ち取った昨年の中日本新人王トーナメント。
西軍代表決定戦で敗れるものの、ここから冨田の次の物語がスタートする。
どちらも激しい撃ち合いを経て来た選手同士。
この試合もまた、激しいものになる匂いが充満している。
原の4年ぶりのリングがどうなるか…、冨田は再起を飾れるのか…。
勝ったほうは次がB級のリングになる可能性も高い。
お互いに譲れぬ…ボクシングのだいご味が詰まったカード。
【51.5kg契約4回戦】
溝口 孝良(西遠) vs 山崎 隼人(名古屋大橋)
溝口 孝良 11戦2勝6敗(5KO)3分
B級昇格まであと0.5勝としながら、5月には満37歳を迎え、プロボクサーライセンスが失効。
俗に言う「ボクサー定年」を迎える溝口はこの試合が実質のラストマッチになる。
典型的なグラスジョーでスロースターター…
しかし、序盤にダウンやピンチを迎えながら、後半に向かって一気にまくり上げていくボクシングは魅力的。
山崎 隼人 デビュー戦
初見の選手。
プロボクサーになるために和歌山から名古屋に出てきた…とのこと。
いきなりベテランとの対戦…果たして。
倒されても倒されても、少し経つとケロッとして後半に向かってどんどん追い上げていく溝口劇場。
あと2Rあったら…と思わされる試合がこれまで何度もあっただけに、溝口の6回戦が見たい思いは強くあった。
当初、6回戦で対戦相手未定の溝口の試合が枠として取られていたこの日。
2月の試合で溝口が勝利すれば、溝口の6回戦が見れる…胸が高鳴ったが、溝口は敗北。
ラストマッチは4回戦の試合となった。
叶うことのなかった溝口の6回戦…彼のボクサーズロードが、この日ゴールテープを切る。
いつも右肩上がりに試合を面白くしていった溝口。
ラストのゴングが鳴る直前の溝口はいつも最高だった。
この日、本当の最後のゴングだからこそ、これまでで最高の溝口が見れるはず。
対するは昨今の中日本で最も勢いを感じる新興名古屋大橋ジムからデビューする選手。
決して軽くはない、溝口のキャリア…そこに挑むデビュー戦選手は、
プロボクサーになるために名古屋にやって来た選手。
セミファイナルの4回戦。
濃厚過ぎるほどのドラマが詰まっている。
【57.5kg契約8回戦】
佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ) vs 河村 真吾(ミツキ)
佐伯 瑠壱斗 9戦7勝(1KO)2敗
デビュー当初から抜群の輝きを放ち、一時は東洋太平洋OPBFランカーにもなった佐伯。
昨年、まさかの計量失格で積み上げたものが崩壊する。
様々なものを失いながら、それでもリングに戻って来た佐伯は、
後楽園ホールでの再起戦で元日本王者と対戦。
用意された格上との試合、結果は大差判定敗けだったが、徹底的に抵抗を見せる大健闘を見せ、その評価を高めた。
OPBF東洋太平洋フェザー級15位
日本スーパーバンタム級8位
河村 真吾 22戦15勝(8KO)6敗1分
2013年の全日本新人王。
タイに渡ってIBFアジアスーパーバンタム級王座に挑戦するも戴冠成らず、
しかし、西でその名を轟かせていたテイル 渥美(渥美)を破ってその名を全国的に浮上させた。
OPBF東洋太平洋フェザー級王座への挑戦では清水 聡(大橋)に敗北。
再起戦となった試合では現在タイトル挑戦も視野に入る佐川 遼(三迫)と対戦して敗北。
現在2連敗中となるが、まぎれもなく国内トップ戦線で戦っている選手。
大阪で試合を見たときは、大きく振る相手に対し、内側から捉えていっての快勝劇を見せてくれた河村。
実力者が中日本のリングに上がることに背筋がゾクゾクする思いだ。
一方、岐阜の若きメインイベンター佐伯が、失敗を乗り越えて戻って来る。
そこに用意されたのは挑み続ける超シビアな路線。
挑んでいく背中で、岐阜のボクシングの中心に立つことが課せられたようにも見える。
この試合を経て、きったまた、佐伯がメインイベンターらしくなるはず。
佐伯の物語の重要なシーンが、リングで披露されるはずだ。
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