2019/07/20 -愛知・刈谷市あいおいホール- 第5試合、第6試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2019/07/20 -愛知・刈谷市あいおいホール- 第5試合、第6試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

【スーパーウェルター級6回戦】
松井 敦史(薬師寺) vs 美柑 英男(渥美)

松井 敦史 6戦4勝(4KO)2敗
美柑 英男 23戦8勝(2KO)13敗2分
 

1R、静かな立ち上がり、じわじわと距離を詰める松井に、詰められた分下がって距離を維持する美柑。
少し遠い松井のストレートはなかなか届かず、距離が詰まると待ち受けたようにコンビネーションを撃ち込む美柑。
ラウンド中盤にはクリンチ際に強烈に自身の拳を松井に浴びせる。
しかし、松井もしっかりとガードし、はっきりとしたヒットは少ない。
ラウンド終盤には松井が右クロスを強烈に浴びせてみせる。
 

2R、このラウンドも遠い距離からスタートするが、松井が入り込んだところに美柑がアッパーを浴びせると
ぐっと二人の距離が縮まり撃ち合いに…しっかりとガードする松井だが、その上から叩きながら、
ガードを回り込むように左フックをねじ込む美柑。
コンビネーションが続く美柑に対し、なかなか手の出ない松井。

いったん距離が空いて仕切り直しになったところ、美柑が強烈に右のオーバーハンドをヒットさせると、
攻め込んだ美柑に松井は右ストレートのカウンターで反撃。

じわじわ詰める松井に下がりながら手数で上回る美柑。
松井はガードで守っているが、美柑はその上からでも次々に叩いてリズムを作る。
ラウンド終了間際には右ストレートを連続で撃ち込んだ松井だったが、美柑はヘッドスリップでいなす。
 

3R開始直後、プレスで美柑をコーナーまで下がらせた松井、強烈な左フックをカウンターで撃ち込み先制。
美柑が松井と押し合いながら体を入れ替えてコーナーを抜け出すと、二人は頭を着けてファイト。
松井のコンビネーションが的確に美柑を襲い始める。

撃ち合う中、美柑がヒッティングで左目上から出血、ドクターチェックが挟まれるが続行の判断。
以降、美柑は前に足を進め、二人が撃ち合う時間が長くなる。
 

4R、撃ち合う中、美柑のパンチをしっかりとガードで受け止め、
的確にコンビネーションを撃ち込む松井、次々に美柑の顔面を跳ね上げていく。
美柑の出血が激しくなる中、中盤を迎えると、美柑が猛烈な手数で反撃。
松井はその多くをしっかりとガードするものの、自身の手数が出なくなっていく。
 

5R開始早々、松井のオーバーハンドが美柑を捉えるが、以降の撃ち合いでは
カウンターを狙っているのか、松井の手数がごっそりと減ってしまう。
ガードをしっかりと固めながら、時折強烈には捉えるものの、
美柑が手数旺盛に、ガードの上からでも叩いていき、時折その拳をねじ込むようにヒットさせる。
 

6R、出し切ろうとより手数を出してくる美柑が、右ストレートを強烈にヒットさせる。
その後も、美柑の猛烈な手数の前に、松井の手が出ない時間が続く…。
これまで以上に攻撃偏重となった美柑を松井が強烈にカウンターで捉える場面もあるが
美柑の勢いは衰えることなく…ラウンド終了のゴングがなる。
 

マイジャッジ… 58-56 松井
 

ガードでしっかり抑えたパンチも多く、有効打で行けば松井。
しかし、アグレッシブや手数で行けば、美柑と出るのが妥当。
割れる可能性も高い。

ガードの上からでも叩いていった美柑の方が、見栄えとしては良かったようにも思うが……どう出るか。
 
 

結果は…

58-56
58-56
59-55
 
 

勝者:美柑
 
 

ジャッジ三者とも美柑を支持。
 
 

より強烈にパンチを浴びていたのは美柑の方だったと感じる。
手を出せば出すほど、カウンターのリスクは高まる。
そんな中、決して美柑の手数は止まらなかった。
全く臆せず、途中カットを負いながら、しっかりと貫いていった。
負け越しボクサー…しかし、20人以上と殴り合いA級まで登ったその道のりは、決して軽くなかった。
 

松井は見すぎた、もっと手を出せばよかった…。
言うは易し、簡単なことでは無かったと感じる。
手を出せば、固めたガードは空いてしまう、きっと被弾も増えたことだろう。
狙い済ましたカウンターが美柑を捉える場面も減っただろう。

はっきりとしたダメージを与えるパンチが一つでもあれば、仕留める局面は見誤らないボクサー。
決して間違った選択ではなかったと思う。

ただ…結果、敗北した。
現実世界では、選択肢がいくつあったとして、選べるものは一つだけ。

ボクサー定年まであと半年。
このまま行けば、あと1試合か…2試合か…。
この男がプロのリングで燃え尽きられることを願う。
 
 

【フェザー級8回戦】
竹嶋 宏心(松田) vs ジョンジョン・エストラーダ(比)

WBOアジア太平洋フェザー級14位
竹嶋 宏心 3戦3勝(3KO)

WBOアジア太平洋フェザー級2位
ジョンジョン・エストラーダ 18戦11勝(10KO)6敗1分
 

いきなり思いっきり右を振り回してくるエストラーダに対し、
ひらりひらりと躱し、多彩な左を突き刺していく竹嶋。
長い距離からコンビネーションの中の右ストレートを強烈に撃ち込む場面も作る。

敵地の不利な判定は捨て、一発で試合を終わらせるべく、
ビッグパンチを狙い続けるエストラーダ…最初の3分は空を切り続ける。
 

2R、より手数を増やした竹嶋、シャープにエストラーダの顔面を捉えるシーンが続くが
時折、エストラーダの大きなパンチを被弾。
そのたびに背筋が凍りつくような思いに駆られる…会場からはどよめきも。
ラウンド自体は、竹嶋が圧倒的に制して終了。
 

3R、ガードを固めて前進するエストラーダだが、竹嶋はそのガードの隙間にジャブを通す。
しかし、ボディを撃つ場面では距離が詰まり、エストラーダの強打を被弾する場面も。
ジャブとワンツーで長い距離からエストラーダを痛めつけながら、
近い距離ではクリンチで流れを切る…しかし、甘ければエストラーダが強引に拳をねじ込んで来る。
ラウンド終盤、クリンチ際の頭の衝突で竹嶋が右目上をカット。
 

4R、竹嶋がファイトを選択する。
両者の距離がグッと縮まり撃ち合いになるが、近い距離でもエストラーダの
パンチを外し、自身の拳を的確に強烈に突き刺していく竹嶋。

ラウンド中盤にはアッパーの連打から一気にロープ際まで追い詰める…
しかし、連続で顔面を跳ね上げられながら、相打ち右ストレートを撃ち込んだエストラーダ。
顔面を弾き飛ばされる竹嶋だが、いったんクリンチで流れをカット。
 

5R、ここまで、わずかな単発の被弾のみでラウンドを圧倒的に制してきた竹嶋だったが…
このラウンド序盤、ついにエストラーダの強烈な右が突き刺さる。
なんとかエストラーダにしがみつく竹嶋だったが、強引に振りほどかれ、
荒々しいエストラーダのパンチを幾度も浴びる…。

ビッグチャンスに、しがみつく竹嶋を強引に振りほどこうとするエストラーダ…。
そんな中、口からマウスピースをこぼしてしまう…。

ダメージを軽減する役割もあるマウスピース、中断して口に戻してやるのが普通だが
ビッグチャンスを迎えている側が、マウスピースを吐き出してしまうのは珍しい例。
レフリーもタイミングを見計らいながら、中断してエストラーダ口にマウスピースを戻す。

竹嶋にとって幸運な中断ではあったが…やはりダメージがあるようで、
キレの鈍った竹嶋の顔面をエストラーダが捉えるシーンが目立つ中、ラウンド終了のゴング。
 

6R、近距離で撃ち合い始めた二人。
竹嶋はエストラーダのパンチを外しながら、的確に強く撃ち込んでいく。
圧倒的に撃ち勝つ中で、エストラーダは逆転の一撃を放り込もうとビッグパンチを狙い続ける。
ラウンド中盤、竹嶋の左右フックがカウンター3連打で突き刺さると、
ここまで数多く撃たれながらダメージを見せなかったエストラーダが初めて揺れる。
コーナーまで下がりさらに右フックを叩きつけられるも、ここはなんとかクリンチへ…。
 

7R、逆転の一撃を狙うエストラーダを竹嶋の長いパンチが襲い続ける。
しかし、エストラーダの振り回す一撃も健在で、竹嶋がもらうシーンでは「危ない!」と声が出てしまう。
ラウンド中盤にはクリンチ際で、エストラーダがアッパーを何度もねじ込んでみせる。

展開としては序盤に戻ったような形だが、試合は終盤…。
両者の疲弊もあり竹嶋の足も止まっている分、リスクは上がっているようにも感じる。
 

8R、倒したいか…より好戦的に撃っていく竹嶋。
何度も何度もエストラーダの顔面を跳ね上げていく。
しかし、ラウンド終盤、エストラーダのボディが突き刺さると、
エストラーダはチャンスと見たか、ボディに狙いを定めて襲っていく。
そこから今度は上を捉えて、竹嶋が揺れる…
最後の最後、ビッグチャンスだったが、試合終了のゴング。
 
 

マイジャッジ 79-73 竹嶋
 
 

公式ジャッジ 79-74、79-73、79-73
 

3-0 竹嶋
 
 

敵地での試合で、判定を捨てて狙って行ったようにも見えたエストラーダ。
その拳は終始、試合を決める威力を持ち、事実ビッグチャンスを2度手中に収めかけた。
クレバーにダメージを回復した竹嶋を仕留め切ることはできなかったが、
脅威極まりない戦いぶりだった。

スピード豊かに、シャープに顔面を捉えられ続けながら、決してリングに沈むことの無かったタフネス。
並みのボクサーが相手なら、勝ちをさらっていっただろうと感じる。
WBO-APの上位ランカー…その怖さをまざまざと見せつけられた気分だ。
 

内容に不満そうだった竹嶋だが、結果的にはアジア上位のランカーを圧倒。
危ないシーンはあったものの、スピード、柔らかさ、的確に捉えるテクニック。
時折スイッチを見せる器用さ…竹嶋の勝負どころがこのクラスよりも
さらに上であることを証明したようにも思えた。

わずか4戦とは言え、ここまで来れば、世界ランキング、
もしくはアジア圏の王座に挑む資格は充分に思える。
竹嶋はいったいどのクラスの選手なのか…まだまだ底を見せたとは感じていない。
 
 

 

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