2019/07/20 -愛知・刈谷市あいおいホール- ファイナル、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【51.5kg契約8回戦】
畑中 建人(畑中) vs トマス・トペ・フレク(インドネシア)
WBCフライ級ユース王者
日本フライ級6位/OPBF東洋太平洋フライ級15位/WBOアジア太平洋フライ級8位
畑中 建人 8戦8勝(8KO)
インドネシアライトフライ級4位
トマス・トペ・フレク サウスポー 7戦3勝(1KO)3敗1分
1R、お互い遠い距離、踏み込んでジャブからワンツーを撃ち込んでいく畑中。
フレクは上体柔らかく躱し、畑中のパンチを食わない。
ディフェンスはなかなかいい選手…しかし、ラウンド中盤に差し掛かるころ
前に出ながら大きなパンチを振るい始めるとフォームはぐちゃぐちゃ。
頭から突っ込んで来る姿にこれは逆に危ないと感じたところで、
案の定、フレクの頭が激突…。
1か月後に世界ランカー挑戦を控える畑中。
カット一つでキャリアを大きく狂わせる可能性がある。
ヒヤリとはしたものの、特にカットもなく、フレクに注意が与えられて試合が再開。
直後、フレクが入ろうとしたところに、畑中が右ストレート一閃。
フレクは腰から崩れ落ちる…。
立ち上がったものの、足元をふら付かせるフレクに対し、レフリーはテンカウントを数え上げる。
KOタイムは1R 2分11秒
畑中がラフな相手に対し、無傷での完勝を求められる中、
しっかりとノルマをクリアした試合に思えた。
松田会長の誕生日に組まれた記念興行。
畑中の実力を測るような試合ではなかったが、
課せられたテストを注文通りにクリアする強さを見せた。
いよいよ、日本ランカー挑戦以来の勝負所。
8月24日、WBO世界フライ級王者、田中 恒成(畑中)の前座で、
WBC世界ライトフライ級10位のジェイセベー・アブシード(比)と対戦する。
【56.7kg契約8回戦】
水野 拓哉(松田) vs ロリ・ガスカ(大阪帝拳)
OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級5位/WBOアジア太平洋スーパーバンタム級8位
日本スーパーバンタム級13位
水野 拓哉 18戦16勝(14KO)1敗1分
ロリ・ガスカ 34戦25勝(8KO)8敗1分
1R、お互いジャブを刺し合う中、水野が踏み込んでワンツーを撃ち込むと、
ガスカは深くダッキングして躱し、左フックを叩きつける…まずはガスカが先制。
またジャブの刺し合いに展開が戻ると、距離の遠い水野に対し、ガスカのジャブがよりヒットする。
水野はバックステップで、ガスカはダッキングで、お互いの大きなパンチは外し合う中、
ラウンド終了直前、ガスカの大きな左フックがヒットして、このラウンドが終了。
2R開始早々、ガスカの低い頭と踏み込んだ水野の頭が衝突する。
いったん仕切り直し、ジャブの刺し合いが続くが、水野が踏み込んだところで
カウンター気味にガスカのジャブが入る場面もあり、ガスカが刺し勝っていく状況。
水野のジャブはまだ少し距離が遠い。
ラウンド中盤には、水野のジャブに合わせたガスカの大きな右フックがビッグヒット。
さらに、ラウンド終了直前にはガスカの左フックもヒットする。
3R、このラウンドも、タイミング抜群のガスカのジャブが水野の顔面を捉えていく。
さらにガスカの右フックが水野の顔面を捉えるシーンが何度も訪れる。
水野も踏み込んでジャブを撃っていくが…ガスカはカードで対処。
ラウンド終盤、両者の頭が衝突し、ガスカが左目上をカット。
ドクターチェックが入るが、続行の判断。
このラウンドから水野のボディーストレートが幾度かガスカを捉え始める。
4R、水野が距離を詰めてボディを狙い始める。
しかし、その分被弾も増え…頭を撃つガスカとボディを叩く水野。
ラウンド後半に向けてその傾向は顕著になるが、これまで当たらなかった水野の上へのパンチも
ボディを重ねることでヒットするようになる…。
ラウンド終盤、ガスカは水野の顔面に3連打を浴びせ、大阪から応援に来たファンを沸かせる。
5R、水野が強烈にボディをえぐり、ガスカからペースを奪い返した序盤。
中盤に差し掛かると、ボディ攻撃が減り、逆にガスカの大きなヒットが水野を襲うようになる。
終盤、また水野がボディを撃ち始めると、顔面へのヒットにも繋がる…。
しかしガスカも、左右のフックで水野の顔面を弾き飛ばすシーンを作る。
6R、お互いに近い距離での攻防、ガスカが水野の顔面を捉えるシーンが目立つ中、
水野のボディが低く入り、試合は一旦中断、わずかな休息の後、
水野はさらにボディに比重を置いてガスカを襲っていく。
ラウンド終盤には頭を着けてファイトとなるが…ここは水野が上回る。
しかし終了直前、ガスカはコンビネーションで強烈に捉えて、盛り返してみせる。
7R、腹を強烈に捉える水野と、顔面を細かく捉えるガスカ…
ラウンド中盤まではガスカの強烈なヒットは少なく、水野がボディで上回る。
しかし、終盤に入ると押し合いながらのファイトの中、コンビネーションで
水野の顔面を連続で捉えてラウンドを盛り返すガスカ…試合は最終ラウンドに入っていく。
8R、最終ラウンドに入っても水野はボディ攻めを徹底。
お互いに体で押し合いながらのファイトが続く。
ラウンド終了直前、二人は猛烈な撃ち合いに突入すると、
ガスカが強烈に水野の顔面を幾度も捉えて試合終了のゴング。
マイジャッジ 77-75 ガスカ
しかし、ボディをどれほどジャッジに反映してもらえるか…
それによっては逆もあり得る、際どい試合になった。
一人目…76-76
残り二名、77-75、77-75…
勝者…水野。
前半はガスカがしっかりとったように感じる。
4R以降、水野がボディで主導権を握るも、
ラウンド終盤にガスカがコンビネーションで盛り返し、結果微妙なラウンドが続いた。
マイジャッジとは逆には出たが、充分納得の範囲。
勝利者インタビューでは内容に納得の行っていない様子だった水野だが、
ノーランカーとはいえ、ガスカは強い。
ほぼ互角の試合だったとは言え、ガスカに勝利を拾える選手が何人いるだろうか。
水野らしい派手な試合にはならなかったが、水野強しを見せつけられた気分になった。
序盤、ガスカの柔らかいディフェンスに空転させられた水野だったが、
ボディに活路を見出し、ボディを徹底して状況を打開した。
この選手は、やはりボディの選手だ…。
それを軸に、顔面へ強烈な右ストレートを撃ち込んで、数々のKOシーンを演出してきた。
今回は相手が歴戦の技巧派だったことでもつれた試合になったが…
きっとまた、KOを量産するようになるだろうと感じる。
水野らしい水野が戻ってくれば…きっとまた、この選手はスターになる。
ガスカはこれで復帰後1勝1敗とはなったものの、ランキングに入る力は充分過ぎる程にある。
この試合も勝っていておかしくなかった試合。
有望な日本人選手を苦しめるような試合を今後も見せて欲しいと感じた。
この日の全ての興行が終わり、様々な人に挨拶を交わして刈谷あいおいホールを出る。
この日は試合間に色々な人がお話に来てくれた。
ありがたい限り…つい最近まで、憧れとして眺めていた人たちばかり。
「せきちゃんさんは選手の事、絶対悪く書かないですよね」
そんな事を言われる機会も増えたが
好きで好きでたまらないボクサーを、悪く書く理由はどこにもない。
それぞれにそれぞれの物語がある。
弱さをバカにするより、弱さを知りながら挑んでいく勇敢さを称えたい。
チャンピオンだけが凄いわけじゃない。
そこには届かなくとも、凄い奴らは大勢いる。
選手の悪口を聞いて、その選手を楽しめるだろうか…。
悪いところなんかあるに決まってる。
欠点にフォーカスしたって仕方ない。
人としての強さ、格闘家としての美学、存在の面白さ。
完璧な人間はいないのと同じように、魅力のない人間もいない。
魅力にしっかりとフォーカスすれば、全てのボクサーをより楽しんで行ける。
僕は僕の為に、このブログを書いている。
誰かの為に、やってあげているわけじゃない。
自分がより、選手を好きになり、自分がより、ボクシングを楽しむために。
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