2017/9/17 刈谷あいおいホール-見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
9月17日はいよいよ…中日本・西部日本新人王対抗戦。
ここで新人王戦についておさらい。
新人王戦とはC級ライセンスを持つ選手がエントリーできるトーナメント。
様々な細かい規定はあるが、ザックリとそんな感じ。
C級ライセンスと言うと4回戦(4R制)の試合に出場が可能で、プロライセンスでは最も下のライセンス。
アマチュア実績等、特別な事情がない限り、どのボクサーもこのライセンスからスタート。
4勝(引分は0.5勝計算)でB級ライセンス(6回戦)の権利を手に入れられます。
新人王戦にエントリーすると、まずは各地区ごとでトーナメントを行って新人王を決定。
地区は東日本、西日本、中日本、西部日本の4つ。
さらに、各地区の新人王たちで対抗戦を行って、全日本新人王を決定します。
全日本新人王を獲得すると…なんと日本ランキングにランクインするという特典が…。
日本ランカーと言えど、ランクを獲得するまでには分厚い道のりがあるのが普通。
ランカーになれずに辞めていくボクサーがほとんどであり、駆け出しの4回戦にとってはビッグチャンス。
そして、このトーナメントは毎年、有望なホープを浮上させる。
国内ボクシングのビッグイベントの一つとも言える超重要なトーナメント。
今年は既に中日本新人王と西部日本新人王が決定しており、その対抗戦が9/17。
各新人王の全日本新人王までの道のりを以下に掲載。
9/17 刈谷あいおいホール
【中日本・西部日本新人王対抗戦】
中日本新人王 vs 西部日本新人王
11/12 エディオンアリーナ大阪・第2競技場
【西軍代表決定戦】
対抗戦の勝者 vs 西日本新人王
12/23 後楽園ホール
【全日本新人王決定戦】
西軍代表 vs 東日本新人王
この日、同日に大阪では西日本新人王の決勝戦が行われます。
9/17を勝ち抜いた二人が、11/12に西軍代表の座をかけて、大阪で激突する構図。
中日本新人王と西部日本新人王は、地区新人王を獲得してから
全地区の新人王を総ナメにして全日本新人王になれる形。
東日本や西日本の新人王に比べて一見不利にも見えますが、
そもそも中日本と西部日本はエントリーが少ない。
その為、こういった変則トーナメントである程度平等に…なっています。
その年のその階級のエントリー次第で難易度が変わるのは言わずもがなですが。
中日本のファンにとっては9/17が終われば、もう今年の新人王戦を地元で見ることはできなくなります。
勝ちぬけた選手はここから敵地に乗り込み、西、東と新人王と拳を合わせます。
我らが新人王を送り出す試合でもあるわけです…。
…というわけで、中日本のファンにとってとても熱量の高い日。
しっかり握りこぶしを作って応援して来たいと思います。
先に、この日試合のない選手を…。
西部日本でエントリーがなければ、不戦での勝ち抜けとなり、西軍代表決定戦からの出場。
今年は2階級。
【ライトフライ級】 長井 佑聖(市野) 2戦2勝
【スーパーフライ級】 松浦 克貴(岡崎) 5戦5勝(1KO)
また、対戦相手棄権での勝ち抜けが1試合。
【フェザー級】 高瀬 衆斗(蟹江) 5戦4勝(1KO)1分
西部日本フェザー級新人王の港 謙介(鹿児島)が怪我で棄権のようです。
全日本新人王はミニマム~ミドル級のうちスーパーウェルター級を除く12階級で開催。
上記3名が対抗戦を不戦で西軍代表決定戦への出場となっています。
試合が見れないのは残念ですが、シビアな新人王戦。
全日本を目指すなら1試合でも少ないのはいいこと。
西軍代表選からの活躍を全力期待!
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■中日本・西部日本新人王対抗戦
【ミドル級4回戦】
髙橋 ルガー 大毅(駿河男児) vs 藤本 大樹(本田F)
・高橋ルガー 大毅 5戦3勝(3KO)2敗
昨年の新人王戦ではトミナガ シンペイ(中日)と中日本新人王を争った。
この試合ではトミナガの強打に2RTKO負けを喫している。
総合格闘技出身の選手で、フィジカルは強い。
戦い方も、すっかりボクサーが板についており…今年の新人王での大躍進を期待したい。
中日本新人王戦ではエントリー1名での勝ち抜け。
彼にとっての新人王戦はここからスタート。
直近の試合ではスーパーウェルター級で戦い、1RKO負けを喫している。
・藤本 大樹 デビュー戦
西部日本もミドル級はエントリー1名。
情報は薄いが…サウスポー製造工場とも言われる本田フィットネスジムの選手。
クオリティの高いサウスポーを想像してしまう。
ド田舎熊本から世界王者を輩出するという大快挙を成し遂げた本田フィットネスジム。
第17代WBO世界ミニマム級王者福原 辰弥(本田フィットネス)は初防衛戦で王座陥落してしまうも、
まだまだ熱い熊本…勝ち上がって福原に続く存在になれるか…。
サウスポー同士の戦いとなるミドル級。
西部日本の情報はなかなか拾えないものの…。
5年ほど前にU-15のボクサーで藤本 大樹と同姓同名のボクサーがいたのを発見したが…まさか…。
堺東ジムは大阪だし…
年齢も現時点で確認できていないので判別がつきづらいが、ジュニア世代からの選手なら…。
U-15上がりの選手が勝ち上がりまくっているボクシング界。
もしかすると…相当な選手かもしれない。
……全く別人の可能性もあるけれど。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【ウェルター級4回戦】
清 利樹(駿河男児) vs 本間 聖哉(琉球)
・清 利樹 4戦3勝(3KO)1敗
中日本新人王戦ではエントリー1名での勝ち抜け。
効かされた直後に逆転KOを演出する気の強さや、ラッシュで仕留め切る体力もある。
デビュー戦敗北以降、3連勝中。
強打者として面白い存在なのは間違いない。
・本間 聖哉 1戦1敗
こちらも西部日本新人王戦を不戦での勝ち抜け。
そもそもデビュー戦が西部日本新人王決勝だったが、
相手の新山 十士(広島三栄)が棄権しての対抗戦出場となった。
仕切り直しのデビュー戦では、現在無敗でB級昇格に王手をかけている中薗 和生(橋口)と対戦。
3RTKOで敗北しているが…、どうやら大きく振って来る選手のよう。
お互いKO狙いの試合になるのか…。
沖縄は比嘉 大吾(白井・具志堅S)のフィーバーで勢いに乗るとも聞く。
果たして…。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【スーパーライト級4回戦】
伊藤 為治(浜松堀内) vs マーカス スミス(平仲BS)
・伊藤 為治 7戦4勝(1KO)3敗
中日本新人王戦はエントリー1名の勝ち抜け。
強敵と戦い続けてきたサウスポーが、新人王対抗戦へ。
きっとこの選手をマークするファンは少ないだろうと思う。
…が、ここまで歩いた無骨なボクサーズロードを思えば、この辺りで一発期待したい。
「たたき上げ」の言葉が似合いそうな選手。
・マーカス・スミス 2戦2勝(2KO)
西部日本新人王戦は3名エントリーの中、シードで決勝から登場。
左ストレートで鮮烈なKO勝利を収めて西部日本新人王を獲得した。
米国出身、32歳のサウスポーで、元々はキックボクサーのよう。
黒人らしい身体能力と柔らかさ、そして鋭さが素晴らしいとの評価は聞いたが…。
またしても、伊藤の前に立ちはだかる強敵。
圧倒的にスミス有利予想が立っているようだが…。
こういった試合を何度も戦ってきたのが伊藤。
元々はフェザーだった伊藤が時間を経て、階級をスーパーライトまで上げてきてる。
これで伊藤がどう変化してくるのか…ここにも注目してみたい。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【ライト級4回戦】
近藤 裕真(畑中) vs 小畑 武尊(ダッシュ東保)
・近藤 裕真 2戦1勝(1KO)1分
中日本新人王戦はエントリー2名だったが、加藤 道哉(岐阜ヨコゼキ)の棄権で、対抗戦へ進出。
出入りの速さを見せつけ、強烈なKO勝ちを飾ったデビュー戦。
世界戦の前座で、ペースを奪われながらも、巻き返してドローに持ち込んだ2戦目。
僕としては推したい選手。
4Rという短い戦いの中で、完璧に持って行かれたペースを泥臭く引き戻して引分に持ち込んだ。
あの試合に近藤の強さを感じる。
新人王に注目するマニアを喜ばせて欲しい選手。
・小畑 武尊 6戦3勝2敗1分
2年連続での西部日本新人王を獲得。
今年はエントリー5名の中、2つの勝星で西部日本新人王を決めた。
昨年は中日本・西部日本新人王対抗戦で今田 雄大(蟹江)に敗れている。
2度目のアタックとなる対抗戦…昨年を超えることができるか…。
余談だけど、この対抗戦に向けての映像がyoutubeにアップされているのでお勧め。
雑なナッパがたまらなく好き。
近藤はサウスポーとの対戦は初めて。
ここもかなりワクワクするポイント。
小畑は昨年の西部日本新人王は決勝からの出場で、引分の勝者扱い。
昨年は未勝利のまま対抗戦に出場し、今田に敗北。
しかしその後、怒涛の3連勝中。
1年前と現在では見違えるように変わっている。
距離を潰して撃ち合いに持ち込むスタイルは変わらないが、
がむしゃらに撃ち合っていた過去とは違い、近い距離のポジションの取り方など…
インファイトの巧さを備えてきている。
こういうボクサーが駆け上がるストーリーもまた面白いが…果たして。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【スーパーフェザー級4回戦】
森 武蔵(薬師寺) vs 照屋 雄太(平仲BS)
・森 武蔵 2戦2勝(2KO)
中日本の誇るスーパーホープが登場。
中日本新人王戦はエントリー2名。
相手の神谷 啓太(畑中)の棄権で、対抗戦へ進出。
過去2試合は相手を瞬殺するあまり、特徴がつかめず。
2戦通じて60秒しかプロのリングには立っていない。
ランカークラスをスパーで苦戦させるなど、期待値の大きいサウスポー。
U-15を2度制し、高校には進学せず、退路を断ってボクサーの道を選んだ。
熊本からボクシングの為に移住してきた名古屋の地では、
デビューからセミファイナルを戦う注目選手。
・照屋 雄太 6戦2勝(1KO)3敗1分
大阪の渥美ジムにいた選手が平仲ジムへ移籍して…西部日本新人王戦に出場。
故郷が沖縄だった為、帰郷して…ということだろうか。
エントリー時は1勝3敗。
西部日本新人王戦は準決勝から登場し、引分の勝者扱いで決勝へ。
決勝では西部日本で本命視されていた全勝の谷本 涼(広島拳闘)を4RTKOで粉砕。
アップセットを巻き起こし、対抗戦にコマを進めてきた。
対するは全日本新人王候補の森。
連続アップセットとなれば、全国的な注目を浴びる可能性もある。
中日本ではTVでも売り出されるスーパーホープの森。
今回の相手は負けを噛みしめながら、アップセットで登ってきた選手。
ある意味、これまでで最も警戒すべき相手だと感じる。
照屋にとっては…ここを勝てば、今年の西のヒーローになる可能性も高い。
シンデレラストーリーの伏線は充分。
アップセットの可能性はどの試合にも潜んでいる…
そして、それを巻き起こした経験のある選手。
かなりワクワクさせてくれる試合だと感じる。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【スーパーバンタム級4回戦】
干場 悟(タイガー) vs 末吉 史明(FUKUOKA)
・干場 悟 5戦3勝(1KO)2敗
昨年の中日本新人王戦では1回戦で敗退。
今年は1回戦で後藤 憬(中日)を破り、豊島 竜樹(伊豆)に引分の勝者扱い。
決勝は山本 大貴(市野)が棄権となって中日本新人王を獲得。
勝った相手は両者ともに、実力のある選手であり、干場の勝ち上がりは失礼ながら予想外だった。
至近距離の撃ち合いに滅法強く、自分の得意な土俵に持ち込んでしまえば…。
全てにおいてすぐれたボクサーではない…いびつな戦力パラメータだが、
飛び抜けて得意な土俵を持った魅力的な選手。
・末吉 史明 4戦4勝(3KO)
西部日本新人王はエントリー1名での勝ち抜け。
デビュー以来4連勝を飾っているが…こちらも情報はつかめず。
前戦では撃ち合いの中でKO勝利している様子。
未だ無傷の末吉がいったいどんなボクサーなのか、情報がない自分にとって楽しみではあるが…。
仮に干場が自分の土俵に巻き込めば、どんな相手であれそう簡単には行かないはず。
何より干場が後藤や豊島を破ってきた実績は期待値が高いと感じている。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【バンタム級4回戦】
高井 一憲(中日) vs 藤川 祐誠(S&K)
・高井 一憲 9戦5勝(3KO)2敗2分
中日本新人王戦では準決勝で荒川 高志(緑)を圧倒。
決勝では大森 雄貴(三津山)から逆転KO。
とにかく自分の強打を撃ち抜ける距離に移動し、振り抜く…。
左ストレートはよく伸び、左フックはオーソドックスの死角から飛んでくる。
強烈な一撃を叩き込む為に全ての動きがあるようなボクサー。
一瞬たりとも目が離せない。
・藤川 祐誠 1戦1勝(1KO)
西部日本新人王戦ではデビュー戦でエントリーし、準決勝から登場。
サウスポー対決で松並 哲郎(鹿児島)から2RTKO勝利を飾ると、
決勝では小松 謙太(YANAGIHARA)が棄権して西部日本新人王獲得。
オーソドックスの選手は高井の見えない左に沈んできた。
対サウスポーの高井がどうなるのか…ここは見てみたい部分。
対して藤川はデビュー戦でサウスポー対決を制している。
高井は全日本新人王戦においてはダークホースと言える存在。
ここを勝ち抜いて、その抜群に魅力あるボクシングで存在感を示してほしい。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【フライ級4回戦】
近藤 冬真(蟹江) vs 濱上 京武(島袋)
・近藤 冬真 6戦5勝(1KO)1敗
3試合を勝ち抜いて中日本新人王を獲得、敢闘賞を受賞した近藤。
全ての試合で危なげない戦いを見せ、今年の中日本フライ級新人王では圧倒的な力を誇示した。
飛び抜けて目がいくのが、ガードの巧さ。
パンチを受けてから長いパンチをどんどん撃ち込んでいき、相手を圧倒していく…。
ストレート系の選手でありながら、決勝では自分よりフレームのあるかべりーん 祐耶(駿河男児)を相手に
フルマークの判定勝利を飾った。
唯一負けた試合は柴田 亮(中日)との試合。
判定が割れた際どい試合だったが…強豪を食い散らかして引退した柴田の殊勲星の一つだと感じる。
・濱上 京武 2戦2分
西部日本新人王戦ではエントリー2名で決勝からの登場。
高田 篤志(J中津)を相手に引分の勝者扱いで西部日本新人王を獲得した。
美里工業高ボクシング部の出らしい。
僕としては近藤が負ける姿があまり想像がつかない。
全日本新人王候補だと思っている。
東日本を勝ち上がっている荒川 竜平(中野サイトー)の評判がかなりいいが…。
それでも、近藤が勝つね!と言いたくなる。
ただ…濱上の試合詳細も解らないが、どうやら決勝は高田有利を予想したファンが多い様子。
そこをひっくり返して進出してきた濱上、もしかすると…は念頭に置いておいたほうがいいのかもしれない。
■中日本・西部日本新人王対抗戦
【ミニマム級4回戦】
マンモス 和則(薬師寺) vs 仲島 辰郎(平仲BS)
・マンモス 和則 3戦3勝(3KO)
えげつないパンチ力。
大振りしがちな欠点はあるが、それを補って余りあるスピードも持ち合わせている。
ミニマム級のイメージを変える力を持っていると感じる。
中日本新人王の決勝では昨年西軍代表決定戦まで進んだ水谷 流(トコナメ)を圧倒。
ハイスピードの水谷を迎え撃つ形で、リングに沈めている。
中日本新人王MVP。
・仲島 辰郎 5戦5勝(4KO)
西部地区新人王決勝では大石 剛志(FUKUOKA)を1Rで沈めてエントリー2名のミニマム級を制した。
こちらも強烈なパンチを持つらしく、遠い沖縄の選手ながら、全日本新人王候補として名前が聞こえてくる。
お互いにミニマムとは思えない驚異のKO率を誇る。
破格のパンチャー同士は今年の中日本・西部日本新人王対抗戦の黄金カード。
事実上の全日本新人王決勝戦との声さえ聞こえる。
東日本にもかなりの実力者が潜んでいる様子で
今年のミニマムは超大激戦…その幕を切って落とすサバイバルな一戦がこのカードと思える。
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ここを勝ち抜いた選手を、西軍代表決定戦、全日本新人王戦に送り出す。
サバイバルであるとともに、大海原へ旅立つおらが町のボクサーたちの門出のリング。
勝利予想は中日本全勝!
…もちろんド贔屓です。
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