2019/08/10 -尼崎インキュベーションセンターⅢ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【ライトフライ級6回戦】
井上 夕雅(尼崎亀谷) vs 亀山 大輝(ワタナベ)
日本ミニマム級15位
井上 夕雅 9戦7勝(1KO)1敗1分
亀山 大輝 11戦7勝(2KO)3敗1分 サウスポー
1R、忙しくフェイントをかけながら、ジリジリと距離を詰めてくる亀山に対し、
綺麗にジャブを撃ち込んでいく井上だったが、スッと踏み込んだ亀山が強烈に左フックを突き刺す。
ラウンド中盤、井上がロープに詰まったところで、亀山が強烈に井上を捉えて行く。
井上も右フックで捉え返す場面も、亀山がしっかりと撃ち終わりを捉る。
終盤に差し掛かる頃、お互いに踏み込み合って、左フックが交錯。
この場面で揺れたのは亀山の方、井上が攻め込んでいくが、
亀山は足を使いながら飛び込んでの右フックで、井上を揺らし返す。
攻め込む亀山は回転力豊かに井上を襲っていき、右フックが何度も強烈にヒットする。
2R、撃っては離れ、強烈にワンツーを突き刺す亀山。
中盤、撃ち合いになると、強烈にボディを撃ち込む井上だが、やはり右フックを強烈に被弾。
何度かフリーズさせられ、前のめりにグラつき、キャンバスにグローブをタッチしかける場面も。
それでも前に足を進めて再び強烈にボディを捉える場面を作るが
それまで、多過ぎる強烈な被弾を浴びている状況。
3R、プレスをかけていき左フックを撃ち込んだ井上。
下がる亀山を追いかけていくが、亀山がロープを背負った場面で撃ち合いとなると、
ここでも亀山の右フックが強烈に井上を襲う。
しかし、井上が左ボディを突き刺すと、体を丸める亀山。
起死回生の左ボディから一気に圧力を強めていく井上。
しかし…この局面をなんとか乗り切った亀山は、
足を使いながら飛び込むような右フックを何度もヒットさせ、形成を逆転。
明らかに亀山の右フックが見えていない井上…。
4R、見えていない右フックに対し、まるで開き直ったかのように、
亀山の右フックを浴びながら前進し、コンビネーションで強烈に襲い始める井上。
自信を何度もグラつかせる右フックに対し、顔面を差し出すように前に出て、
ボディを重点的に殴りつけていく。
強烈にボディを撃たれる度に、苦悶の表情を浮かべ、消耗していく亀山。
ここに来て、井上が形勢逆転…試合はシーソーゲームの様相を呈する。
5R、足を使いながら、井上の入り際を右フック、左ストレートのカウンターで捉えて行く亀山。
井上は捕まえることが出来ず、また主導権が亀山に移ったかと思えたが、
中盤、井上が右アッパーをヒットさせるとコンビネーションで亀山の顔面を捉え始める。
大きく振るう亀山のパンチを、避けるつもりも無さ気に強烈に被弾する井上。
そのまま押し込んでいき、撃ち合いに引きずり込み、シャープに撃ち込んでヒットを奪う。
6R、最終ラウンド、ボディで奪われていた小刻みなステップが戻った亀山。
最後の3分、振り絞る様に体を動かし、本来の姿を取り戻そうとする。
撃ち合いの中、上体柔らかく、井上のパンチを躱しながら撃ち込んでいく。
井上のボディを浴びる度に苦しそうな亀山だが…先に先に手を出していく。
時間が進むごとに、試合はバチバチのド突き合いに発展していき、
熱量そのままに試合終了のゴング。
58-56 マイジャッジ亀山
微妙なラウンドは二つ…井上に転ぶ可能性もあり得る接戦。
強烈にボディを効かせた井上、足を使って小気味よく顔面を奪った亀山。
井上は亀山のボディを、亀山は井上の顔面を…派手に効かせ合った試合。
ジャッジの好みも試合を左右しそうに感じる。
公式ジャッジ
58-57 井上
59-56 亀山
案の定、判定が割れる…。
あとは、ジャッジ席に誰が座っているかの運のみ…。
58-57
…ドローはなし。
勝者
井上 夕雅
亀山が勝っていておかしくなかった試合、接戦は井上に転んだ。
しかし、地元判定と言えるようなものではなかったように感じる。
充分納得できる範囲…結果はどう転んでもおかしくなかったように思える。
小刻みに忙しくフェイントをかけ、スピード豊かにポジションを動かし
強烈に右フックを撃ち込み続けた亀山。
流れるようなその体裁きに、見とれるような思いさえ沸いた。
決してスピードだけの選手ではなく、その右フックは何度も何度も井上を揺らしていた。
昨年の全日本新人王である亀山。
今年の中日本新人王である丁野 拓海(中日)や田中 蓮志(トコナメ)が
全日本新人王を獲った後、目指す先…という思いもありながら見ていたが…。
正直なところ、現在の丁野や田中が太刀打ちできる相手ではないと感じた。
また、一介の4回戦と、全日本新人王の肩書を持つ元日本ランカー。
当然と言えば当然か…。
これ程の選手でも、この日4敗目…選手数が少ないミニマムやライトフライだが…。
そんな事に関わらず、国内線戦の頂は高いところにある…それをまざまざと実感させられた。
しかし、丁野や田中が全日本を獲ることができたなら、
その先にこういった相手が立ちはだかる事となる。
新人王達の道のりは、勝ち続ける事に併せて、戦いの中でより強くなることが求められる。
栄光の先にある高い壁…この日の敗者、亀山の姿がそれをはっきりと示唆していた。
何度も撃たれ、何度もグラつき…序盤の井上は敗者の様相だった。
しかし、開き直るように顔面を相手にさらし、横着っぷり凄まじくボディを効かせて、
ボクシングを殴り合いへと持ち込んだ。
ボクシングで上回られた状況を、喧嘩でひっくり返す。
まさに、カリスマの所業だ。
勝利者インタビューでは井上節が炸裂。
「前回負けて…負けを認めろって言われたけど…男である以上負けは認められへんし…」
偉そうに両手を腰に当てての受け答えに、
「その手はなんやー!」の野次が飛び、会場が笑いに包まれる。
全てが生意気に見えながらも、まだ幼さが残るこのボクサー。
言葉も振る舞いも、そしてそのファイトも、人々を虜にさせる魅力を放っている。
勝利者インタビューの最中、「次は名古屋…」と答えた井上。
内臓がひっくり返りそうなほどの驚きと、凄まじい鳥肌に包まれる。
この男が…またもや中日本のリングにやって来る。
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