2025/05/25 -岐阜・じゅうろくプラザ- 第1試合~第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【62.5kg契約4回戦】
新美 映太(RISE) vs 堀田 悠真(駿河男児)
いきなり至近距離での攻防、足を止めて撃ち合う中、
新美の右フックが、堀田の右アッパーが捉え合う。
先に揺れたのは新美の方、堀田の強烈なアッパーで後退。
ラウンド後半には堀田が手数で上回り、
終了間際にはコーナーに詰めてコンビネーションを浴びせる場面も。
2R、先に手を出すのは堀田の方。
撃ち出しの空いた部分に強打を差し込まれ、なかなか手が出なくなる新美。
堀田が一方的に拳を叩きつける展開となるが、
新美は打開策を探るように、軽く軽く手を出し、空く場所とタイミングを測っているよう。
3R、ファイトの中でもお互いに撃ち終わりを捉え合うなど、駆け引きある攻防。
上回るのは堀田の方、新美が腰を落としたところで一気に攻め立て、
コーナーに詰めたところでパンチをまとめると、度重なる被弾にレフリーが新美を救出。
TKOタイムは3R 48秒
ファイトの中での駆け引きは見ごたえのあるものだった。
ひとつひとつ、堀田が上回っていったものの、
逆転のタイミングをうかがい続けた新美は最後まで可能性を見せた。
撃ち合いの中、撃ち終わりを選んで強打を撃ち込んだ堀田には
インファイトならではのテクニカルさを感じたし、近距離でのディフェンス能力の高さが
そのまま攻撃力を産んでいったようにも思えた。
堀田にリングで見せた以上の実力を感じた試合。
今後の戦いぶりが楽しみに思えた。
新美 映太 3戦3敗
堀田 悠真 4戦3勝(3KO)1敗
【バンタム級4回戦】
木村 奈椰(岐阜ヨコゼキ) vs 筋肉 優真(折尾)
いきなりジャブからの右フックで先制した木村。
アドレナリンMAXで試合をスタートさせた木村に対し、
筋肉は落ち着いてクリンチに逃れると、出入りを試みる。
踏み込んではクリンチの場面が目立つが、
木村が暴力的に振るう大きな左右フックがたびたび筋肉を捉える。
2R、筋肉が忙しくフェイントを入れながら右フックで木村を捉えるスタート。
木村のロングフックの距離を潰すように飛び込んでくる筋肉だが、なかなか攻撃にはつながらない。
ラウンド中盤には木村が右のカウンターを叩きこむと、はっきりと主導権を握り、
次々と強打で筋肉の顔面を叩いていく。
3R、接近してはガチャガチャとボディを叩く筋肉。
徹底したボディ攻撃に勝ち筋を見出したか。
上の撃ち合いでは木村が強烈に捉え、筋肉をフリーズさせる場面も。
4R、ガムシャラに攻め込んでくる筋肉と押し合いながら、その顔面を強打で弾く木村。
耐えながら手を返し、撃ち合いに持ち込む筋肉。
撃ち負け、時折バランスを崩しながらも、
筋肉の手はしつこく止まらず、木村も無傷とはいかず。
最後は筋肉がその泥臭さを前面に押し出す姿を印象的に残して試合終了のゴング。
マイジャッジ 40-36 木村
公式ジャッジ
39-37 ×2
40-36
3-0 勝者:木村
鋭く飛ぶジャブと、それとは対照的な大きくワイルドな左右フック。
木村がボクサーとしての色をはっきり見せた試合に思えた。
どの場面でもしっかりと相手を制し、撃ち合いの中でも目立った被弾は少なかった。
終始、上回られる中で、もがくように勝ち筋に向かった筋肉。
劣勢、不利…それが明らかな中でも、最後の最後まで食い下がろうとした。
ボクサーとしての実力では敗戦したが、観客の胸を撃つ戦いぶりは見せたと感じた。
木村 奈椰 3戦3勝
筋肉 優真 6戦2勝(1KO)4敗
【バンタム級4回戦】
名和 祐輔(岐阜ヨコゼキ) vs 山城 勇希(天熊丸木)
頭一つ分大きな山城が鋭くジャブを飛ばし、踏み込んでは強烈にボディを襲う。
距離を潰そうにも横に逃げられ、手を出すタイミングも中々与えらえない名和。
時折撃ち終わりにボディを襲うが、上へは飛び込んでの左フックを1発ヒットさせるのがやっと。
名和が被弾辞さずに詰めていくと、名和の右フックが山城を捉えるようになる。
詰められる前までに数多く名和を捉える山城。
ラウンド後半に向けて、山城が次第に名和を持て余し始める。
3R、しつこく詰める名和に、山城がサイドに動く頻度を増やし
的確に捉えることで、盛り返しつつあった名和の勢いを止める。
主導権はどちらかに渡り切ることがないまま、強打でお互いに膝を揺らし合う。
4R、飛び込んでの強打を見舞う名和に対し
足を使いジャブを突き刺しながら、コンパクトにダメージブローを叩く山城。
アウトボクシングながら、攻撃的に豊富な手数を叩きつける。
マイジャッジ 40-36 山城
公式ジャッジ
40-36×2
39-37
3-0 山城
アウトボクサーvsインファイターの戦い。
足を使いながらも、詰めた名和に猛烈な手数を浴びせた山城。
足を使うことを消極的ととられることもあるが、
まとめる手数と豊富なジャブは、そうとらせない戦いぶりだった。
対して、被弾してでも詰めることを選択したように見えた名和。
相変わらずの泥臭い戦いぶりは胸を熱くさせる。
この日の出来が悪かったとは思えない。
戦前は拮抗すると思えた試合だったが、大差判定決着。
山城が自身のアウトボクシングに磨きをかけ、ボクシングを飛躍させた結果だ。
突如何かに閃いたように急激に力を伸ばす瞬間がある。
まさに山城がこの日それを見せたように思う。
ただ、名和にはまだその時が訪れていないだけ。
地道に着実に強くはなってきた。
この先に、きっと飛躍の日が待っていると信じている。
これまで名和が歩いた道のりがそう思わせてくれる。
名和 祐輔 7戦2勝(1KO)5敗
山城 勇希 4戦2勝3敗
【68㎏契約4回戦】
山中 圭市(中日) vs 小田 心斗(杉田)
開始直後、小田の右のロングフックがさく裂。
追撃の左フックで山中がダウン。
痛烈なダウンシーン、立ち上がるものの、まったく足が回らない山中。
小田の強烈すぎるロングフックを被弾し続ける山中。
いつレフリーが止めるか…そんな空気も漂う中、ジャブで組み立てようとするが
引き続き小田のフックをもらう山中。
絶体絶命に思えた中、ようやく小田のフックをかわすと、
コーナーに詰めてのコンビネーション。
軽く撃ち込んだようなパンチで小田が横倒しに倒れ込む。
硬直し起き上がれない小田にテンカウントが数え上げられた。
KOタイムは1R 2分34秒
逆転負けでわき役に転じた小田のデビュー戦。
大きく振るわれる右は、山中の視界外から飛んでいた。
綺麗な軌道ではないからこそ、読みにくいパンチになっていたようにも思う。
ダウンシーンが示す通り、驚異的な武器を持った選手。
基本を大事にした選手を育てたい意向を持つ杉田ジムとの相性もいいように思える。
ロングフック一辺倒だったが、ジャブが出るようになれば…。
さらにストレートが磨かれれば…。
基本の中に織り交ぜられる変則的なものほど厄介なものはない。
日本ランキングに入るような選手で平均値の高くない選手も多くいる。
そういった選手は尖った武器を抱えて登って行ったりするものだ。
心底楽しみな選手と思えた。
今後の活躍を期待したい。
山中逆転KOデビューはXのトレンドに入るほど話題に。
誰もが終わったと思ったところから…めったに見ない試合展開で
デビュー前から大きな注目を集めたSNSの人気者が劇的勝利を収めた。
人生で一番浮かれ狂ってほしい。何度も流れたデビュー戦のリング。
やっと立てた舞台での華々しい勝利。
人生の頂点くらいに喜んでいいはずだ。
そして落ち着いたら、これが人生の頂点にならないようにより頑張ってほしい。
8月3日の刈谷あいおいホール。
中日本新人王決勝で鳥居 翔太(LUSH緑)が待っている。
山中 圭市 1戦1勝(1KO)
小田 心斗 1戦1敗
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