2023/1/28 -愛知・名古屋国際会議場- 見どころ(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【75Kg級契約4回戦】
冨永 一希(仲里) vs 上村 周平(名古屋大橋)
冨永 一希 1戦1敗
高校時代には日本拳法で4度日本一に輝いた逸材。
日本拳法出身選手と言えば渡辺 二郎(大阪帝拳)、尾川 堅一(帝拳)の世界を制した二人。
さらには現在国内トップ戦線で戦う一人、前田 稔輝(グリーンツダ)など、強豪と呼べる面々が。
一度負けたとは言え、バックボーンから来る期待値は変わらない。
上村 周平 1戦1敗
名古屋のキングコングが中日本のリング初登場。
デビュー戦は後楽園ホール、リベリア人ボクサーのダン・ディー・デリンジャー(大橋)を相手に
大迫力の殴り合いの末、4RTKOに散った。
天熊丸木 凌介(天熊丸木)のタイトルマッチ前のエキシビジョンでは
国内トップランカーを相手にタコ殴りにされながら耐えきり、
天熊丸木を後楽園ホールのリングに送り出す大役を務め切った。
5月23日、重量級4階級で4回戦のトーナメントが予定されている。
参戦に前向きな意向を見せている上村。
このトーナメントに冨永が参戦するかはわからないが、デビュー戦をミドル級で戦っている冨永には
新人王トーナメントへ参加する選択肢もあると思われる。
「対戦相手の枯渇」が大きな問題として立ちはだかるミドル級以上の階級。
5月のトーナメントは試合が足りない選手たちにとって大きなチャンスとなる。
踏まえてこの試合、そのトーナメントをどれだけ楽しめるか、絶対に抑えたい所。
【ミニマム級8回戦】
丁野 拓海(中日) vs 諸岡 直樹(セレス)
丁野 拓海 9戦7勝(5KO)2敗
2019年の中日本新人王。全日本新人王決定戦にまで勝ち上がっている。
前戦でA級初戦を戦ったものの敗戦。この試合が再起戦となる。
「ミニマム級の重戦車」と言いたくなる圧力、この階級では破格のKO率を誇る。
諸岡 直樹 13戦6勝(3KO)7敗
12戦をかけて戦績五分でA級昇格。A級初戦は敗戦している。
対戦相手にはのちのOPBF東洋太平洋王者、小浦 翼(E&Jカシアス)や
来月日本タイトルに挑む高田 勇仁(ライオンズ)などの強豪も。
A級初戦を失った選手同士の再起戦ではあるが、いつランカーを喰ってもおかしくない二人。
ノーランカー対決としてカードが成立するのがもったいないような気もしてしまう。
現在、ミニマム級のランキングは9位から12位が空位。
ここに入れずとも勝てば挑戦資格外の13位以下でランキングされる可能性も考えられる。
国内ランキング戦線のニューフェイスとして名乗りを上げるのはどちらか。
スタイル的にスリリングな展開も予想できるだけに楽しみな試合。
【58Kg契約6回戦】
飯見 嵐(緑) vs 山内 翔貴(本田フィットネス)
飯見 嵐 12戦7勝(7KO)5敗
東京のワタナベジムよりデビューし、2017年の東日本新人王を獲得。
岡崎市の出身で、地元である愛知のリングにも度々登場。
真っ向勝負が売りの高瀬 衆斗(蟹江)をリングに沈めた試合では、
その名の通り嵐のような戦いぶりだった。
緑ジムへと移籍し、中日本の選手としてこの試合が初戦。
山内 翔貴 8戦4勝(3KO)4敗
2022年の西部日本新人王。
中日本・西部日本新人王対抗戦で刈谷のリングに登場し、山崎 隼人(名古屋大橋)を翻弄してみせた。
あれから1年半、基本に忠実なアウトボクシングがどう成長し、変化しているか。
当時は負け越し戦績だったが、戦績以上の実力を見せつけている。
中日本のリングに上がるときはいつも敵だった飯見が中日本の選手に。
こんなに心強いことがあるだろうか、ダイの大冒険で言うところのヒュンケルじゃないか。
新人王戦を駆け上がった輝かしい時期、目の怪我や勝ちから遠ざかった苦しい時期。
魅力的過ぎるその姿をようやく応援できる日が来た。
相手は負け越し戦績から戦績を5分に戻したうえでB級に昇格してきた山内。
戦績と実力が比例しない選手なのは間違いない。
難敵を相手にした飯見の戦いぶりに要注目!
【スーパーバンタム級8回戦】
アーヤチ・サイリクエ(中) vs 溝越 斗夢(緑)
アーヤチ・サイリクエ 23戦10勝(4KO)9敗3分1無効試合
WBA中国のタイトルを獲得しているナショナル王者。
日本人では現日本ユース王者の英 洸貴(カシミ)が中国で対峙して引き分けている。
日本のリングには4回戦時代に後楽園に登場し、2-0の接戦を演じて敗北。
溝越 斗夢 14戦9勝(4KO)4敗1分 日本バンタム級10位
昨秋、キャリア初の連敗から見事に再起を飾った溝越。
アウトボクシングでの納得いかない判定負けがこのボクサーを大きく飛躍させている。
元々カウンターセンスに長けた選手だったが、その破壊力に磨きをかけ
足を使いながらも、しっかりとダメージを刻み付ける怖い怖い選手へと成長。
その実力をランクアップさせたことを見せつけた。
日本ランキングへの出入りを繰り返しながらも着々と上位進出の機を伺う溝越。
ようやく、狙えると思えるところまで力がついて来たように思える。
当ては23戦の戦績を踏んでいる選手、そして溝越と同じく、英に引き分けた選手。
リングは緑ジム主催であることからも、簡単な相手ではないのは間違いない。
実力相応かそれ以上の相手が緑の基本方針。
この試練を越えてその先へ…この試合に勝って溝越物語を次のステージへ進めて欲しい。
■IBF世界ライトフライ級挑戦者決定戦
【ライトフライ級12回戦】
矢吹 正道(緑) vs ロナルド・チャコン(ベネズエラ)
矢吹 正道 18戦14勝(13KO)4敗
WBC世界ライトフライ級王座陥落から世界ランカー対決で再起を飾った矢吹。
世界王座再冠へ…IBF世界挑戦者決定戦へと挑む。
目の良さは世界王者の中でも飛び抜け、「効かせるタイミング」の一撃でKOを量産。
パンチ力、破壊力の根源とも思える観察眼は「嗅覚」と表現されることも多い。
ロナルド・チャコン 30戦28勝(20KO)1敗1分
デビュー戦での敗戦以降負けなしでの30戦。
IBFとWBAで世界ランキング中位に入っているが、これまで大きな舞台や有名どころとの試合はなく
この試合が初めての世界トップ戦線での試合と言える。
アマチュア歴はあるようだが情報に乏しく、とにかく謎の選手。
謎の選手の怖さ爆発のカード。
世界的にトップを走る選手でも、叩き上げであれば「謎の選手」からその名を浮上させて来る。
例えばジュリアス・インドンゴ(ナイジェリア)は世界戦を戦うまでその名はほとんど知られておらず、
そこからたった2戦でIBOを含む3つのベルトを集め、3戦目で5団体統一戦に挑んでいる。
知名度がない=弱いではない。
仮にチャコンがプロテクトされた上でのこの戦績だったとして、
それは「プロテクトしたい」と思わせる実力がなければ成立しない話。
アマチュアで世界的に名のある選手でもないチャコンがそうであるならば、
より怖い相手と考えられる。
世界王座メジャー4団体の中で最もルールに厳格なのがIBF。
防衛戦不履行による王座剥奪も容赦ない代わりに、挑戦権についても固い。
他の王座管理団体では、挑戦権を得てもなし崩し的に消滅するケースがあったりするが
IBFであれば、この試合に勝てば確実に世界挑戦が叶うものと考えていい。
この試合に勝てばシベナティ・ノンティンガ(南ア)とのタイトルマッチのオーダーが濃厚。
ノンティンガにも勝てば、ベルトを纏めにかかっている寺地 拳四朗(BMB)との
決着戦への期待度が一気に高まることと予想できる。
先に広がる可能性の大きさについつい浮足立ちたくなるが、まずは目の前のこの試合。
俺たちの矢吹がどこまで行けるのか…。
会場に響き渡る入場曲「ヒーロー」を楽しみに会場に向かいたい。
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