2019/04/14 -三重・メッセウィングみえ- 第5試合、第6試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【フライ級4回戦】
塩谷 尚也(市野) vs 亀川 陵太(ARITOMI)
塩谷 尚也 デビュー戦
亀川 陵太 デビュー戦
ジャブの刺し合いで始まった試合。クリンチ際で塩谷が左フックをヒットさせる。
一旦離れると、亀川は綺麗なワンツーで塩谷を捉える。
近い距離でのファイトとなった場面、亀川の大きな右フックを綺麗に躱した塩谷だったが、
次に飛んできた、ショートの右フックを被弾。
大きくバランスを崩して体を泳がせる塩谷…。
そこを追いかけた亀川が右アッパーを撃ち込み、塩谷が崩れ落ちる。
立ち上がった塩谷だが、かなり効いている様子…
慎重にダメージを確認したレフリーは試合を続行されるものの、
一気に攻め込んだ亀川がラッシュの中でまたも右アッパーを炸裂させる。
クリンチに逃れようにもままならず、なんとか正面の位置を脱出したところに
左フックを強烈に被弾…レフリーが割って入るのと同時に後ろ倒しに倒れこみ、試合終了。
TKOタイムは1R 51秒。
亀川が最初の右フックを効かせた場面がこの試合の決定的な場面だったと感じるが、
そこで崩れかけた相手を冷静にアッパーでダウンに持ち込んだ亀川。
デビュー戦でいきなり訪れたビッグチャンスに焦ることのなかった姿は見事だった。
さらに最後のTKOの場面でも、ふらつきながらその場を
エスケープした塩谷に対し、ドンピシャの左フックを選択。
撃つべきパンチをしっかりと判断しての快勝劇だった。
1分に満たずに終わった試合、その全貌を見れたとは思わないが、
神経の太さを感じる試合ぶりに、今後の戦いが楽しみだと感じる。
塩谷はほぼほぼ何もできずに終わってしまった試合。
試合開始30秒程でもらった右フックで勝負が決まってしまった。
しかし、ワンツーを綺麗にもらったときに即座に返した右ストレート。
丁寧に亀川の右フックを外した場面…デビュー戦のリングに上がるまでの
しっかりとした反復を感じさせてくれた。
たった一つの負けで何かの結論が出るわけではない。
試合に勝つために最も必要なことは、勝つまでやること。
この選手の次の試合を楽しみに待ちたいと思う。
【スーパーフライ級4回戦】
中村 淳希(市野) vs 小坂 大地(ARITOMI)
中村 淳希 2戦1勝(1KO)1分
小坂 大地 2戦1敗1分
1R、手を合わせに行った小坂に殴りかかる中村…これは小坂が躱す。
一気に緊張感が跳ね上がる中、お互いに遠い距離で見合う。
先手を取る中村が、上下にジャブを撃ち込みながら右ストレートで小坂を捉える。
駆け引き合戦の中で小坂はなかなかパンチを撃ち込むことができず、
ボディに伸ばした右ストレートはバックステップで外される。
お互いにフェイントをかけ合う時間が長くなり、ファイトを促すレフリー。
直後、小坂が踏み込んでワンツーを撃ち込むが、中村はバックステップで反応し、ヒットは浅い。
下がる中村に対し、コーナーまで追い詰めた小坂がワンツーを繰り出すと、
左フックを引っかけてサイドに周り、右ストレートをボディに持っていく中村。
ラウンド終了直前には小坂が強引に入ってきたところを右アッパーから左フックで強烈に捉え、
一旦距離が開いた瞬間に、踏み込んで右ストレートを撃ち込んでみせる。
2R、緊張感の高い駆け引き合戦の中、小坂が入ってくるタイミングを確実に強烈に捉える中村。
ラウンド終盤に差し掛かろうかというところ、小坂の右ストレートに左フックを被せて斬って落とす。
前のめりに手をついた小坂…ダメージはそれほど感じさせず試合が再開。
ここから逆にダウンした小坂の方がが攻め込むと、
後の先を取るように中村が次々とカウンターを取っていく。
しかし、もらいながらも勢い緩めずに中村をコーナーに追いつめた小坂…
右フックをふるいながら飛び込んだが、それをサイドに飛んで躱し、体を入れ替えた中村。
小坂の振り向きざまにワンツーを撃ち込む…ここはガードした小坂だったが、
さらにもう一歩踏み込んで右のショートフックが炸裂し、小坂が崩れ落ちる。
2度目のダウンからも立ち上がった小坂だったがダメージが深く、
レフリーはそのままテンカウントを数え上げて試合終了。
KOタイムは2R 3分ちょうど。
この試合は中村が格上と見られた試合だったと感じる。
既にその名が売れている中村三兄弟の次男と未勝利選手…。
しかし、試合開始で手を合わせに行った小坂に、殴りかかった中村。
自分が格上だなんて微塵も思っていないその姿に痺れた。
端正な顔立ち、スマートなシルエット、その反面、淳希は激熱だ。
決して緊張感を緩めぬ試合ぶりで、リスクを侵さぬままに斬って落とした。
「童顔の暗殺者」とはボクサーのよくある異名の一つ。
淳希もまた、この異名を持つが…暗殺者が完璧に仕事を遂行したような試合ぶりだった。
反面、小坂はその拳が届いた場面もわずか…圧倒的な力を見せられた。
この試合は8月4日に行われる中日本スーパーフライ級新人王決勝戦と同カード。
この日、完璧にやられた相手と、小坂は4か月後にまた対峙することとなる。
ここから4か月、今二人の間にある大きな差を、小坂がどこまで縮めるか…。
はたまた、中村がその差を広げるのか…。
8月に行われる試合は、この日の試合と比較されてしまうはず。
追うものと追われるもの…ここからの4か月が、8月のリングで試される。
小坂というボクサーがキャンバスにどんな物語を描くのか…その結末を楽しみに待ちたい。
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