2019/04/14 -三重・メッセウィングみえ- 第3試合、第4試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■中日本スーパーバンタム級新人王準々決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
中村 龍明(市野) vs 畑 直宏(平石)
中村 龍明 2戦1勝1分
畑 直宏 4戦1勝(1KO)3敗
1R、がちゃがちゃと前に出る畑を柔らかくいなして下がりながら拳を当てていく中村。
畑は左をコツリと当てるのが精いっぱいの中、圧力が弱まると、中村が出入りしながら強烈に捉える。
実力差は歴然…しかし左フックをもらいながら、相打ちの左フックを返した畑。
さらに詰めていって遮二無二にパンチをふるってヒットを奪う。
綺麗なヒットはないが、ぐちゃぐちゃのフォームでナックルを当てていく。
中村…相当やりにくいか。
2R、距離を取られれば勝ち目のない畑は、中村を追いかけて撃ち合いを求める。
コンビネーションなんて代物ではない…ただひたすらに手を出すのみ。
押し込まれかける中村だが…追いかけて来た畑に突き刺した右ボディで、畑の突進が止まる。
ここから猛烈にボディを叩いた中村…畑は苦悶の表情を浮かべるが、畑に選択肢は一つ…手数のみ。
もらうのを百も承知で前に出て、拳を突き出していく。
ここまで、ヒットは奪いながらも強烈に捉えるシーンは作れなかった畑だが、
苦しい表情を浮かべながらも、右フックで中村の顎を捉えてみせる。
下がりながら、強烈に畑を捉えていた中村は、中盤に撃ち合いに応じる。
畑としては、求めて来た勝負所…強烈にもらうのは畑の方だが、
それでも歯を食いしばって中村を捉える畑…ようやくやってきた自分の土俵での勝負。
しかし…中村の強烈な左ボディが突き刺さり、コーナーに追いつめられると
中村のラッシュに手を返せず、レフリーが割って入って試合をストップ。
期待選手としてその名を響かせる、中村三兄弟の三男、龍明。
実力差がはっきりと見て取れる中、畑は自分を貫いて中村の強さを削り取った。
結果的には中村の圧勝だが、畑…大健闘の内容。
やりたいことをさせずに自分の土俵に巻き込んだ。
中村は期待選手としては疑問符をつけられてしまいそうな内容だったと感じる。
畑に掻きまわされてしまった…。
しかし、最終的には畑のやりたい領域に乗り込んで、そこで畑を上回った。
そこにはやはり、強さを感じる。
畑が自身の特徴を如何なく発揮し、中村はそれを削り取られ…
そのうえで、圧倒的に中村が制した試合。
中村の三男に力があることは間違いない…それははっきりと示した。
これで中日本スーパーバンタム級新人王決勝に進出した中村。
決勝は2週間後に行われる後藤 憬(中日)vs阿部 史也(タキザワ)の勝者。
どちらも全日本で勝負できるサウスポー…中村を含め、三つ巴の争いだが…。
この日の出来なら、中村はきっと苦しくなる…決勝まで残り4か月。
実力を発揮できるところまで到達できるか…。
ここから、険し過ぎるほどに険しい道のりが待ち受ける。
ただし…一家でボクシングに情熱を注ぐ中村家のこと。
やり遂げてしまう可能性は充分にある。
【50.0kg契約4回戦】
楠本 慶一郎(広島三栄) vs 各務 海都(尾張水野)
楠本 慶一郎 5戦2勝(1KO)3敗
各務 海都 デビュー戦 サウスポー
1R、お互いにタイミングを探り合う中、各務の左ボディストレートがオープニングヒット。
さらにお互いが踏み込みあって衝突した直後の離れ際に、右フックで楠本の頭を弾き飛ばす。
楠本も一旦距離を置くと、左フックから右ストレートを当て返す。
足を使う楠本に対し、追いかける各務の構図、楠本が右ストレートを撃ち込むと
その引きに合わせて、各務が左ストレートで捉える。
距離が詰まると、右フックをひっかけながら巧くアウトボクシングを展開する楠本。
各務は楠本のアウトボクシングにヒットを奪われながらも相撃上等で詰めていく。
ラウンド終盤、遠い距離から楠本が踏み込んだところを各務が左右フックで強襲。
ここは楠本がクリンチで逃れるが、さらにロープまで追い込んだ場面で
撃ち合いに持ち込んでしっかりと撃ち勝った各務。
ヒットではやや楠本が優勢か…いきなりどちらにポイントを振るかむつかしいラウンド。
2R開始早々、詰めてくる各務に右アッパーを繰り出した楠本。
そこに各務が左ストレートを合わて楠本は尻餅をつくダウン。
再開後、一気に圧力を強めた各務。
下がりながらパンチを引っかけていく楠本だが、各務はしっかりガードし、
右アッパーを躱して左フックを炸裂させる。
なんとかクリンチに逃れた楠本…しかし、この後も各務の突進をさばききれず
撃ち合いに応じると強烈に被弾してクリンチに逃れる。
3R、開始早々圧力を強めて追いかける各務。
楠本は捌ききれずに強烈に被弾するが、各務の圧力が一旦落ち着くと、
逆に楠本の引っかける左フックが強烈に各務の顔面を跳ね上げる。
序盤は各務…後半は楠本のラウンド。
4R、やはり追いかけて距離が詰まれば各務がヒットを奪う展開。
ロープ際で左フックで強烈に捉えるシーンも。
ラウンド終盤、倒さなければ勝ちの薄い楠本が踏み込む頻度を増やして攻勢を強めると、
右ストレートを強烈にヒット…さらに各務の右に合わせてもう一つ右ストレートを叩きつける。
しかし、次のシーンでは、楠本の左に合わせて、各務が左フックを強烈に突き刺す。
飛び込んで右を撃ちつけた楠本の離れ際に各務が左ストレートを撃ち込み…一進一退になっていく。
ラスト10秒には撃ち合いに出た楠本、ここも一進一退だったが、
最後は各務がボディから顔面へラッシュで攻めて、試合終了のゴング。
マイジャッジ…39-36 各務
公式ジャッジは
38-37
39-37×2
3-0で各務。
ダウンを奪った分はっきりとした結果が出たが、
中身は拮抗したラウンドも多かったように感じる。
はっきりとしたアウトボクサーの楠本に対して、
各務が追いかける展開を作らされたようにも思える。
前半にはっきりとリードを奪われた楠本だったが、自身のアウトボクシングを崩すことはなかった。
それは勝負を投げたわけでもなく、攻めれなかったわけでもなく。
斬って落とすべく、自身のボクシングを貫いたようにも思える。
ここまではっきりしたアウトボクサーは中日本にはいない。
かつ、サウスポーに対してそれをやり遂げた楠本…シルエットがどうにもカッコよく見えて仕方なかった。
できればまた、その試合を見たい。
撃ち合いに持ち込めば、はっきりと有利な展開を作れた各務だが、
そこに持ち込んだ時間は多くはなく、ダウンで有利になったポイントを
堅実に勝ちに繋げたようにも見えた。
デビュー戦でこの試合運びは見事だったと感じるし、
相手が序盤に多用した右アッパーのタイミングを早い段階でつかんで
痛烈なダウンを演出したところもまた力を感じる部分。
階級的にはフライからライトフライか…
現在の中日本の近辺の階級ではA級に確固たる存在はいるが、4回戦の数としては減ってしまっている。
ここに期待の存在が出てくることは嬉しい限り。
最近デビューした後藤 圭人(タキザワ)含め、来年の新人王戦は
かなり面白いラインナップが期待できそうだ。
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