2019/08/24 -愛知・武田テバオーシャンアリーナ- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【60.0kg契約4回戦】
嶋倉 知宏(中日) vs 小澤 直由(駿河男児)
嶋倉 知宏 デビュー戦
小澤 直由 1戦1敗
1R、お互いに出入りしながらパンチを交換し合った前半。
中盤からは強烈な左フックを交換し合う。
嶋倉がどっしりと構えて戦う中、強烈にカウンターを奪いグラつく小澤を追いかけていく。
まとめようとする嶋倉だが、的確性を欠いてここは小澤が凌ぎ切る。
ラウンド終盤には左アッパーからの右フックで小澤がやり返してみせる。
2R、小澤がジリジリと詰めていく展開の中、ラウンド中盤以降、お互いに危険な距離に立つ。
小澤の右ストレートが強烈に嶋倉を捉える場面が目立つが、嶋倉は強烈な左ボディで反撃。
一瞬動きの止まる小澤だったが、右のカウンターをジャストミートさせ嶋倉の膝を折る場面も。
ジャブで跳ね上がる小澤の顔面に、嶋倉のパンチに威力を感じる…。
3R、嶋倉が強烈なジャブを次々について行き、さらに右ストレートを突き刺す。
右ボディはかなり強烈で、またも小澤の動きが止まる…。
ラウンド中盤、小澤は右クロスを突き刺して反撃する。
終盤、猛烈に攻めて出る嶋倉を躱し続ける小澤だが、なかなか手が出ない…。
角度的にパンチが当たったかは見えなかったが、ラウンド終盤、嶋倉がバランスを崩す場面が。
4R、嶋倉はバランスが悪く、もらうたびに顎が上がり、効いているように見えてしまう…が、
体の強さでグイグイと押し込んでいく。
右ストレートを強烈に突き刺し、小澤のバランスが崩れたところに攻め込むが、
小澤は嶋倉をいなしてクリンチで逃れる。
前に前に出てくる嶋倉に対し、いなしていく小澤だが…、
殴ること優先にも見える、枠にハマらない嶋倉の動きにかなりやりにくそう。
試合は、小澤苦闘の印象を残して試合終了のゴング。
マイジャッジ 39-37 嶋倉
公式ジャッジ
40-37、40-37、40-36
3-0 勝者:嶋倉
近い距離になると起き上がってしまう上半身。
もらうたびに跳ね上がってしまう顔、バランスやもらい方の悪さ。
嶋倉のデビュー戦は硬さが抜けぬまま12分を駆け抜けたようにも感じる。
しかし、体の強さは抜群で、そこでこの試合を押し切ったように感じた。
まるで総合格闘家がボクシング転身したばかり…のよう。
リングの上で積み上げたものを出せるようになれば…
少し時間はかかるかもしれないが、近い将来、注目選手になる可能性を感じる。
小澤からすれば、かなりやりにくい相手と当たったように感じる。
殴ること優先のそのスタイルは、教科書からは離れた相手。
これでデビュー2連敗となったが、まだ自分の可能性を見限る必要はないように感じる。
様々なスタイルの選手と拳を交えていることを、そのまま経験とすればいいこと。
悔しいだろう負けが続いたが、その分、蓄積されたものは大きいと感じる。
まだまだここから…。
【スーパーバンタム級4回戦】
二瓶 竜弥(Reason郡山) vs 佐野 圭祐(駿河男児)
二瓶 竜弥 2戦2勝
佐野 圭祐 1戦1勝
1R、長い距離からジリジリ詰める二瓶に対し、
スピードのあるジャブからのコンビネーションを撃ち込んで行く佐野。
二瓶が大きく振るえば、佐野が右ストレートを突き刺していく。
ボルトで固めたように距離を維持しながら、二瓶のパンチの届かないところから
中盤には距離を詰めて、ガードにコンビネーションを叩きつけながら、ボディをえぐった佐野。
まずははっきりと佐野がラウンドを選手。
2R、ゴリゴリと詰めながら、ボディを襲っていく二瓶。
徐々に佐野が捌ききれなくなり、二瓶のボディが佐野を捉える場面が目立ち始める。
さらに、佐野がダッキングしたところに二瓶の強烈な右アッパーが刺さる。
しっかりガードを固めて入るため、大きな被弾はなく、
足を使う佐野のスペースを削り取る様にプレスをかける。
ラウンド終了直前、テンプルに右ストレートを突き刺した二瓶。
ゴングと同時に、腰を落とす佐野…強烈なダメージを植え付けられてこのラウンドが終了。
3R、左を強烈に突き刺してジリジリと詰めていく二瓶に対し、ジャブを突いていく佐野。
ラウンド中盤、ダイレクトの右で強烈に佐野を捉える二瓶。
ここをきっかけに、ジャブで捌こうとしていた佐野がパンチに力を込め始めたように見える。
入ってくる二瓶に対し、クロスを浴びせる佐野だが、
二瓶は左ボディから上にパンチをまとめ、さらにもう一度左ボディを叩きつける。
…かなり強烈。
ジャブの数では佐野が多く捉えているが、詰め続けて強烈にヒットを奪っているのは二瓶。
割れておかしくないラウンドにも感じる。
4R、捌こうとする佐野に、グイグイ詰めてボディを襲う。
ラウンド中盤、右ストレートで強烈に捉えた二瓶、さらに右ボディを強烈に叩きつけた二瓶。
ワンテンポ遅れて膝を着いた佐野だが、ここはスリップの判定。
さらにボディを襲われた佐野…二瓶にしがみつくようにクリンチし、ここを逃れるも
展開を盛り返すことはできず、試合終了のゴング。
マイジャッジ 38-38 ドロー
公式ジャッジ
39-38、39-37、39-37
3-0 勝者:二瓶
2、4Rは確実に二瓶が獲った内容。
判定としては納得の試合。
ファイターがアウトボクサーを崩す教科書のような展開で、二瓶が勝利。
特筆すべきは、これを4Rでやり切ったという点だと感じる。
試合が長くなれば、時間をかけて攻略できるが、4Rでは相手の足が落ちたり
ボディが効いてくる前に試合が終わってしまうこともある。
上で決めたくなるところを、しっかりとボディから崩していった。
ファイターとしての成熟度の高い選手…。
選択肢が一つしかない分、この先、相性なりで負ける試合もあるだろうが、
数年後のランキングに絡む力は間違いなくある選手に感じた。
佐野にとっては、完璧に崩された試合内容。
佐野自身も力のある選手であるのは間違いなく、1Rは完璧に制していた。
二瓶の戦いぶりに完璧にハマってしまったようにも感じる。
ただし、村田 諒太(帝拳)が世界を獲って以降、プレスの巧い4回戦が増えている。
ここを打開できない以上、アウトボクシングの生存権は減り、万能型としての戦いが求められる。
佐野がこの負けを境に、どう変化していくか…。
佐野の次戦は、この選手の最初のキーポイントになるようにも感じる。
「次を見逃せない」選手が一人増えた…そんな試合になったと思っている。
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