2018/8/12 -池田市民文化会館Ⅱ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/8/12 -池田市民文化会館Ⅱ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

■スーパーバンタム級6回戦
志水 亮太(森岡) vs 岸根 知也(堺東ミツキ)

志水 亮太 13戦4勝(1KO)7敗2分
岸根 知也 7戦4勝(2KO)2敗1分

プレスをかける志水と、足を使って回りながら強烈なパンチを差し込んでいく岸根。
序盤、岸根がペースを握ったように見えたが…
2R、志水の右フックが岸根を捉えてダウン。

このチャンスに振りの大きく熱くなった志水に岸根が怒涛の反撃。
二人は一気に撃ち合いモードに突入。
最終ラウンドまでフルスイングの打撃戦が続いたが、より的確に数多く捉えた岸根が
ダウンの点数を挽回しての判定勝ち。

マイジャッジは57-56 岸根
公式ジャッジは 58-56×2、59-57 岸根
 

この日で8敗目となった志水だが…嘘だろ?の思い。
2Rに岸根を捕まえた右フックは見事だったし、被弾恐れず撃ち合う姿は
ファイターとして勝ちを拾っていける選手に見えた。
どこにでも、強い選手は大勢いる。
志水が8度も負けることに、西の強さを感じてしまう。

ダウン後、真っ向勝負で盛り返した岸根。
足を使った1R、ダウン後に盛り返した撃ち合い。
どちらにも強さを感じる好選手。
なにより、序盤のダウンを打撃戦で盛り返せる力に驚いた。
不意のダウンはもらったが、振って来る志水に飲み込まれることはなかった。
この選手も楽しみな選手だ。
 
 

■スーパーバンタム級6回戦
梁 裕(尼崎亀谷) vs 野村 健太(仲里)

梁 裕 14戦5勝(3KO)6敗3分 サウスポー
野村 健太 6戦4勝(1KO)2敗

ガードを固めて低く構え、ノシッ!ノシッ!と詰める梁。
大きなフックを振りながら飛び込み、そのまま密着。
変則的でやりにくさ満点の選手。

しかし野村は形を崩さず、綺麗に梁をボディからコンビネーションで捉えていく。
1Rから圧倒する中、2Rには梁が低く入ることに対して、バディングの減点。
3R、もらい続けた梁がついにダウン。
レフリーはここで試合をストップし、野村がTKO勝利。
 

スピード差は圧倒的、ボクシングの巧さも圧倒的。
やりにくい相手に、自分を全く崩さずのTKO勝利は見事。
中村 祐斗(市野)にアゴを割られての敗北から1年4カ月…野村が復活した。

梁はとにかく変則的だったが…僕はこういう選手が好きだ。
変則的というのは工夫を繰り返した表れに思える。
きっと、綺麗に戦える選手だったら綺麗に戦うはずだ。
足りないものをどう補っていくか…自分自身の欠点と向き合うボクサーだけが、
「変則」と呼ばれるスタイルを身に着けられる。

撃っては密着…このスタイルをずっと続けられたら…面白くないというファンもいるだろう。
でも、選手は勝利を目指して戦えばそれでいいと思っている。
それをどう面白く感じれるか、どう面白く語るかは、客席側の役割。
リアルこそボクシングのエンターテイメント制だと思っている。
だからこそ、僕はこの選手が活躍してほしいと感じた。

また、幸運に恵まれてどこかのリングで見れることを切に願う。
 
 

■女子47.5kg契約6回戦
秋田屋 まさえ(ワイルドビート) vs フロリビック・モンテロ(比)

OPBF東洋太平洋アトム級王者
秋田屋 まさえ 20戦12勝(4KO)6敗2分
フロリビック・モンテロ 7戦3勝(1KO)4敗
 

接触の少なかった1Rから2Rに入るとモンテロのボディが映える。
3Rは秋田屋が盛り返したかに見えたが、ラウンド終了直前に
モンテロ強烈なアッパーで秋田屋の顔面が跳ね上がる。

久々の試合に距離が合わないか…秋田屋にとって苦しい展開。
4Rにはラビッドパンチのアピール、頭の衝突もやりにくそうな秋田屋。
試合後半にはモンテロの右フックで秋田屋が揺れるシーンもあった。

終始足を使って、ジャブとストレートを突き続けた秋田屋だったが…。
大苦戦のままゴングが鳴る。

マイジャッジは59-55でモンテロ。
 

公式ジャッジは…58-58、58-57×2で秋田屋。
 

理解できないジャッジだった。
僕の中での許容範囲は60-54~58-56、いずれもモンテロ。

フィリピンから来た負け越しボクサーが、ノンタイトルでOPBF王者に勝利する…。
判定の瞬間までそんなドラマに感動していた。
女子ボクシングに魅了されていた。
 
 

どんなにいい選手を呼んでも、戦歴のカタカナだけ見て「噛ませとしかやっていない」なんて言葉に
僕ははっきりと腹が立つことがある。

最近、頑張る東南アジアの選手が増えた。
危ないシーンを作り出すことも日常茶飯事だ。
そんな選手に勝利した日本人選手の勝ち星を、中身を見ずに揶揄するのは違うと思っているが…。
この試合のような形があるのであれば…それも致し方なくなってしまうと思う。
勝ちが決まっているような試合だった。

モンテロが勝つには倒す以外なかったのか…女子アトム級で。
 

秋田屋を非難するつもりはない。
おかしな判定は勝った方も被害者だ。
あまりにも悔しくて、そのまま会場を飛び出す。
自分の目がおかしかったと願いたい。

色んなボクシングへの不満が腹の中をぐるぐる回る。
目立つ場面だけ叩かれる、散々叩かれる。
目立たなければセーフなのか?
目立つ奴だけ叩けば満足なのか?
最近は叩く標的が消えて、ほとぼりが冷めたからこういう判定がポツポツ出てきたのか?

不本意な勝ちを拾ってしまった選手を叩くネット上の風潮にも腹が立つ。
おかしいのは選手じゃない、誰が悪いんだ?

この日のジャッジの名前、僕は忘れない。
叩かれるべきはジャッジだ。
選手の人生を左右する採点、もうちょっとピリッとした方がいい。
 

やりきれない思いで喫煙所で煙草をふかしていると、復活を飾った野村 健太がファンと話している。
「試合前、1年4カ月ぶりと言われて色々思い出した…」

そんな言葉に、胸が詰まる。
目の前であっという間に過ぎ去っていく1試合…そのわずかな時間に、選手は膨大な時間をかけている。
そして見る側はその短い瞬間瞬間を刻み付けるようにリングを見つめる。
 

これまでも、納得いかないことは山ほどあった。
そのたびに、戦う選手たちに救われてきた。
前向きに…リングを見つめよう。
そんな気分にさせてもらう。
 

勝敗は変わらない。
だからこそ、モンテロがまた日本のリングに呼ばれて欲しい。
真っ当な採点で評価されて欲しい。

モンテロは強かった。
秋田屋vsモンテロⅡが…あればいいと願う。
 
 

そのまま会場を後にし、大阪を去る。
携帯の充電も切れ、疲れた体でぼうっと鈍行電車に揺られる。
2日間を思い起こす。
 

本当に楽しかった。
いいボクサーを沢山見つけた。
沢山、感動した。

1つの試合は映画1本に匹敵すると思っている。
高い高いと言われるボクシングのチケットもそんな感覚になると格安に思えて来る。
もちろんそんな話は誰にでも通用する話ではなく、異端な感覚だとは承知しているが…。
とにもかくにも、いいものばかり見せてもらった。
 
 

神戸で行われていた芝田もーと(フォーラムS)vs徳山 洋輝(千里馬神戸)
2Rで徳山が勝ったらしい。
どうしても見たかった試合が重なり、結局見に行けなかった。
だから、自分の代わりにと、人生で初めてトランクスワッペンを入れた。
芝田は娘たちの名前の上に、僕のワッペンを入れてくれた。

試合が見たかった…きっと素晴らしい試合だったはずだ。
なんだか泣けてきた。

楽しかった思いとまじりあって、なんて表現していいかわからない感情になった。
ただただ心を揺さぶられる。
いつも、ひたすらに心を揺さぶられる。
それがボクシングだよなぁ…って。
 

ボクシングが好きで幸せだと思った。
 
 
 

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