2019/08/11 -神戸常盤アリーナⅢ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【51.5kg契約8回戦】
徳山 洋輝(千里馬神戸) vs ジェイアール・エスティリモス(六島)
徳山 洋輝 11戦9勝(2KO)1敗1分
OPBF東洋太平洋スーパーフライ級15位
ジェイアール・エスティリモス 27戦11勝(7KO)15敗5分
1Rから積極的に前に出る徳山。
右ボディを強烈に突き刺し、さらに上にも撃ち込んでいく。
徳山がエスティリモスの左に合わせて右のオーバーハンドを突き刺せば
エスティリモスは左右ボディを強烈に撃ち込み、
左フックは徳山の顔面が吹っ飛びそうなほど強烈に撃ち込んで行く。
徳山が右フックを強烈に撃ち込んでエスティリモスをロープに押し込むと
押し込まれたエスティリモスも強烈に右フックを返す。
時折タイミングよく、右ストレートを撃ち込んで来るエスティリモス。
終盤、お互いに大砲の右のフックを相撃ちした次の瞬間、
徳山が左フックを返してエスティリモスの顔面を弾き飛ばす。
激しい撃ち合いの中、強烈な被弾を受けてニヤりと笑うエスティリモスが不気味過ぎる。
2R、突っ込んでいく徳山に対して、下がって距離を保とうとするエスティリモスだが
徳山はそのまま踏み込んで右のオーバーハンドを撃ち込む。
さらにボディも痛烈に叩いていく徳山。
徳山がタイミングよく左フックを突き刺した場面、エスティリモスが揺れる。
ラウンド中盤からは足を使い始めた徳山。
エスティリモスが入ってくるところに、ショートを細かく浴びせる。
終盤、足を使ってポジションを変えながら強烈に左フックを浴びせていく徳山が
ラウンド終了直前にエスティリモスをコーナーに詰めてコンビネーションを叩き込む。
エスティリモスの破壊力あるパンチを被弾する場面もあるが、徳山決して引かず。
3R、左右フックからボディを強烈に突き刺した徳山。
ロープに詰めて徹底的に腹を攻めて行く徳山だが、
エスティリモスは腹を撃たれながらも強烈に左右フックを返していく。
ラウンド中盤、徳山をコーナーに追いつめて小さく集めたエスティリモス。
バッチバチの撃ち合いが展開されていく。
4R、激しい撃ち合いが続いていく中、左フックを何度も強烈に突き刺す徳山。
エスティリモスが徳山のボディに狙いを定めたことで、
このラウンド、エスティリモスのボディが低く入る場面が2度…。
お互いに力のこもったパンチを交換し合う。
5R、ラウンド中盤、体で押し合いながらお互いに強烈に腹を撃ち合う。
削り合う展開となってきた中、若干エスティリモスに失速が見えてくる。
ラウンド終了まで残り10秒程の場面、徳山の体がロープの隙間に入り、
レフリーのストップがかかったところで、エスティリモスが止まれずに過撃が加えられてしまう。
ロープから体をリングに戻した徳山の足元はふら付いており…ダメージはかなり深そう。
試合はいったん中断し、徳山にインターバルが与えられる。
再開後、残り10秒程、お互いに激しくボディを削り合ってこのラウンドが終了。
6R、まだまだ続く腹の削り合い。
お互いに上のパンチを外し合うことで、更に攻撃はボディに集中。
中盤、顔面に一発入れると、連続で上を襲う徳山…。
火の勢いが増すようにお互いの撃ち合いは激しさを増し、
徳山の失速も見え始める中で、怒涛の撃ち合いが展開される。
7R、詰めながら撃っていく徳山。
下がりながら応戦するエスティリモス。
中盤、徳山が入ったところで強烈にエスティリモスのアッパーが刺さる。
さらに徳山をロープに詰めて右をぶつけるエスティリモス、
ロープに背にしながらエスティリモスと大砲を交換し合う徳山…。
ここから徳山が押し返して、逆にエスティリモスにロープを背負わせる。
8R、左右フックを撃ち込みながら詰めて詰めて下がらせる徳山。
入ってくるところを強烈に捉えるエスティリモス。
撃ち合いの局面ではエスティリモスの強烈なパンチに襲われながら、
撃たれれば撃たれるほど前に出て押し返す徳山。
お互いに効かせ合う中、熱狂に包まれた試合に試合終了のゴングが鳴る。
マイジャッジ 77-75 徳山
公式採点
77-76、77-75、77-76
3-0
勝者:徳山
もう細かいことが吹っ飛びそうなほど、強烈に痺れる打撃戦。
腹で倒れるフィリピン人は何度も日本のリングで見て来たが、
日本人の腹を削り倒すフィリピン人はなかなか見ないように感じる。
破格の強打に見えたその拳は、何度も何度も徳山に襲い掛かった。
元日本王者と引き分ける実力の持ち主…その力はしっかりと披露されたように思える。
ハラハラする試合内容は勝利者インタビューで本人が語るには「いつもの徳山劇場」。
この日一番の大声援で会場が熱気に包まれた。
これでOPBF東洋太平洋のランキングを奪取。
芝田 もーと(フォーラムS)を破った男は、強い強い男だった。
ボクサー定年で今年の春に引退した芝田…
隣で観戦する僕のボクシングアイドル…芝田の誇らしげな顔が何より胸に来た。
【ライトフライ級8回戦】
平井 亮輝(千里馬神戸) vs 小野 晃輝(筑豊)
日本ミニマム級4位/OPBF東洋太平洋ミニマム級14位
平井 亮輝 18戦11勝(4KO)6敗1分
日本ライトフライ級17位
小野 晃輝 17戦12勝(5KO)5敗
1R、足を使いながら左を突いて行く平井。
どっしりと構えジワジワと距離を詰めていく小野に対し、平井がワンツーで先制。
長身を生かし、長い距離を維持しながら、小野を入らせない。
2R、パンチの交換が激しくなり、お互いにジャブを突き合いながら、
序盤には小野の右フックと平井の左ボディが相撃ち。
一回り大きい平井に対してジャブを突きながら入ろうとする小野の圧力が
徐々に強まっていく中、潜り込んだ小野をいなしてしまう平井。
遠い距離での平井のジャブが展開を制する状況は変わらず。
3R、飛び込んだ小野をいなして、平井が左ボディを叩きつける立ち上がり。
小野が潜り込んで、近い距離では相撃ちのシーンも作る。
小野の方がジャブが出始め、左を突きながら入っていく。
しかし、そこにアッパーを浴びせるなど、平井が迎え撃つシーンが目立つ。
4R、距離が短いはずの小野の方が先にジャブを当てていくが、
小野が踏み込んだ所、近い距離でコンビネーションを
叩き込んでからその場を離れる平井。
ラウンド終盤、ダイレクトの右を強烈に撃ち込んだ小野だが
後続は距離を取られてしまい、捕まえきれず。
5R、ジャブを刺し合う展開、平井が先にジャブを飛ばし、
小野が入ってきた場面を的確に捉えて行く。
小野が右フックを撃ち込み、平井をコーナーに押し込んで、
捕まえかける場面を作るが、ここは平井がクリンチで冷静に遮断。
終盤、小野がもらいながらのボディを入れるも、やはりここでも捕まえられず。
6R、ジャブをもらいながら右フックを撃ち込んだ小野。
この場面で撃ち合いとなり、お互いのパンチが交錯、
ここからさらに平井をコーナーに追い込む場面を作るが、
綺麗に体を入れ替えられこのチャンスを逸する。
7R、相手のパンチがわずかに届かない距離を維持しながら
自分のパンチを当てていく平井。
小野はボディを撃たれながら、左フックを撃ち込んで
相撃ちの場面を作ることもあるが、平井はすぐにその場所を離れてしまい、
単発で捉えることしかできず…平井のジャブが終始試合を制し続ける。
8R、もらいながらも前に出て、最後のチャンスにかける小野だが
平井は近付いた距離でも、自分のパンチを的確に叩き込み、
小野のパンチを単発以上にもらうことはほぼない。
何度も何度もアタックを繰り返す小野だが、一発当てても、
後続は平井のハンドスピード豊かなコンビネーションに襲われて続かず。
試合はそのまま終了のゴング。
平井は淡々と距離をキープし、危なげなく勝利を飾った。
日本上位ランカーの実力をまざまざと見せつけた形。
ランキングにはいつ王座を獲得してもおかしくないような選手がゴロゴロいる。
どんな時期でも群雄割拠…戦績で負けが多くついていたとしても、一癖も二癖もある選手ばかり。
その中で、タイミングよくチャンスをつかんだ選手が、栄光を手に入れる。
平井もまた、その可能性を強く持つ選手に感じる。
ランキングに名を連ねる男たちの強さを再実感させられた気分だ。
小野は何もできなかったと言われてしまう試合かもしれない。
相性的にも悪かったのだろうが…。
僕自身はこういった敗れ方をした選手の次が楽しみに思える。
2016年、三輪 珠輝(名古屋大橋)が演じた刈谷を揺らす激闘は
長身サウスポーの加賀 聖也(タキザワ)に入り込めず、消化不良の試合をした次の試合だった。
この試合を経てどうなるか…それこそが選手のドラマ。
西部日本の選手の為、その試合をこの目で見れる可能性が低いことが残念だが…。
遠方から、この選手の活躍を願おうと思う。
試合後、挨拶を済ませて電車に飛び乗る。
余韻に浸りながらの帰路。
西日本のボクサーたちに触れ、西の魅力を噛みしめた旅。
また、西に来よう…大好きなボクサーが沢山できた。
これ以上、ボクシングに没頭してしまって生活していけるのだろうか…
そんな不安に少し苦笑いする気持ちで、最高に楽しかった2日間を振り返る。
また、来週は大阪の興行に訪れる予定。
試合の余韻と翌週のボクシングへの期待が入り混じる。
来てよかった…毎回毎回そう思う。
来週は中日本のボクサーが勝負の試合…
今回ほどフラットに楽しめるわけではないだろうが…。
どんな結果になろうと、揺さぶられる。
そこに試合がある限り、感情が動く。
ボクシングの魅力って何なんだろう…言葉にできないままの曖昧な疑問。
そこに浸る気持ちよさを抱えながら、気が付けば見慣れた名古屋駅のホームが目の前にあった。
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