2017/11/26 刈谷あいおいホール-ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/11/26 刈谷あいおいホール-ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

【フライ級6回戦】
矢吹 正道(薬師寺) vs 多田 雅(TI山形)

・矢吹 正道 6戦5勝(5KO)1敗
・多田 雅 17戦11勝(6KO)4敗2分

1R、先に手を出したのは多田の方。
ボディへ出した左手を払いのける矢吹。さらにボディへ右ストレートを伸ばす多田だが、
矢吹はバックステップで対処。
出だしは上々…。

オープニングヒットは矢吹。
右から入り、ガードさせて空いた場所を左で突き上げる。
さらにロープ際で多田の空振りを誘い、左フック、右アッパー、右フックと多田の顔面を襲う。
しかしここはうまくいなした多田、追撃の左フックもしっかりガード。
反撃にボディを撃ち込むが…矢吹は飛び込んできた多田を右アッパーでえぐり、さらに右フックで揺らす。

一旦、間をおいて、矢吹が飛び込んでの左フックやカウンターの撃ち降ろし。
ベテラン多田は、それでも飲み込まれることなく、矢吹の右ボディに耐えながら、左のフックを飛ばす。
しかし、そのフックに合わせて撃ち降ろされた矢吹の右が、相討ちで強烈にヒット。
尻もちまであとわずか数センチまで腰を落とす。
一瞬、ダウンだと思って片手を挙げた矢吹だが、集中を切ることなく、
ダウンを逃れた多田に右フックを叩き込んで今度ははっきりと倒す。

前のめりに手を突いた多田。
カウントエイトで試合再開。

ここから猛烈なラッシュで仕留めにかかった矢吹。
多田はガードでいなしながらなんとか耐え続け、猛烈に襲われるパンチの中で手を返すものの…
最後はロープ際で飲み込まれて2度目のダウン。

ここでレフリーは試合をストップ。
 
 

 

多田は地元東北ではほとんど興行がないことも影響し、キャリアのほとんどを敵地で消化した選手。
そして、その中で勝ち抜いて、日本王座決定戦にまで進んだ。
一度は引退するものの、3年ぶりに復帰し、敵地大阪へ飛んで引分。

歩いた道のりも、積み重ねた17試合も分厚い選手。
矢吹がまだ見たことのない景色を見た男である。

何もできずに敗れてしまった形。
一度リングを去り、そして戻って来たトップコンテンダー。
あまりにも残酷なシルエットに言葉を飲んだ。
 

矢吹、どうか多田の戦歴に付け加えられる敗北を彼の勲章としてほしい。
強い奴と戦って敗れた試合という事実を世間に認知させて欲しい。
どうか、勝ち続けて…。
 
 

薬師寺会長は後日、次の興行では強いランカーを呼ぶつもり…とのこと。
僕は、苦戦すると思ってた。
矢吹がいくら強かろうと、経験の差は大きいと…。
簡単に行くはずがないと思っていた。
そんなニワカの予想はひっくり返されてしまった…ほんとに見事に。
 
 

矢吹、力石…刈谷で戦うのがもったいないようにも思える。
当然見たい…見たいけど、敵地でその強さを見せつけられる存在。
時折ホールで、その力を見せつけて帰ってくれば、この兄弟を意識する選手が現れるハズ。
やりたがる選手が出てくるはず。

俺たちの矢吹から、みんなの矢吹になって行って欲しい。
その為なら、しばらく刈谷で見れなくたってかまわない。
そんなことまで思わせてくれる試合だった。
 
 

矢吹が世界チャンピオンになれるかどうか…それは解らないけれど、
国内の強豪をぶちのめしながらであれば、その後ろには何人もの熱狂的なファンがついてくる。
特に、矢吹には借りを返すべき相手や、決着をつけるべき西のホープもいる。

フライ級もライトフライ級も、現在のランカーたちは強豪揃い。
当然ランカー挑戦となれば、それなりの注目カードになるだろう。
この試合で、矢吹の背負う期待と未来が一気に広がったように思える。
 
 

 

試合が終わり、隣に来ていたトミナガ シンペイ(中日)と談笑。
過去、選手には挨拶に来ないで欲しいなんてことを書いていたが、
ある観戦仲間の言葉でこの短期間で考え方が変わっている。

選手の好きなようにしてほしい。
挨拶に来る必要もないし、一度顔を見てみたいとか、
しゃべってみたいとかあれば声をかけてもらって構わない。

好き勝手書いているので、僕に怒っている選手がいるかもしれないけど、
その時はごめんなさいするので、殴らないで頂ければありがたい。
 

ついでに観戦していた女性とも少し談笑。
凄いよね、エアボクシングされるんですって。
僕はリングに上がるのも、きっと怖くてできない。

他にも挨拶したい方は沢山いたんだけど、見つけられなかった方もいて、
とりあえず、東京からやって来た方と飲みに繰り出す。
マッチメイクをされる方で、いろんな話を聞いた。
 
 

誰と誰を戦わせたら…そんな話を目をキラキラさせながらする。
誰もが一度はやったことがあるんじゃないだろうか。
紙の上に自作のトーナメント表を書いてみたり、対戦カードを作ってみたり。

この人はそんな空想を、現実に落とし込んでいくことをやっているんだなぁ…って。

「なんで僕みたいなただのファンと酒飲んでくれるんですか?」
「俺もおんなじファンみたいなもんだから。」

なんだか中学生みたいな目をして言うもんだから…
打ちのめされたような気持ちになった…敵わない。
 
 

この前、山中のタオル問題について書いたけれど、ボクシングに対して様々な文句はある。
でも、様々な人が努力していることも知っている。
そもそも問題のない世界なんて存在しない…だからこそ、全力でそこにぶつかっている人は凄いと思う。
 
 

いろんな人が支えているリングがまた、素晴らしいものに思えた。
 
 

いつもは2杯でセーブする、お酒劇弱の自分が、この日は3杯。
ちょっとおかしなことになりつつ帰路につく。
 
 

 
 

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