2017/11/26 刈谷あいおいホール-6試合目、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2017/11/26 刈谷あいおいホール-6試合目、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 
 

【フライ級8回戦】
小坂 駿(真正) vs 堀 陽太(横浜光)

・小坂 駿 17戦14勝(4KO)3敗 日本ライトフライ級10位
・堀 陽太 20戦13勝(8KO)5敗(1KO) 日本フライ級7位
 
 

1R、オーソドックスの小坂と、サウスポーの堀。
お互い離れた距離から長いパンチを交わし合う静かな展開。
タイミングと距離を測り合う。
オープニングヒットはボディに突き刺した小坂の右ストレート。

お互いフェイントを掛け合いながらラウンド後半まで進むと、
えぐるようなボディに続けてノーモーションの右を強烈にヒットさせた小坂。
堀は一瞬ガードが遅れたか。

堀の連打も上体柔らかく外す小坂。
 

2R開始直後から、ノーモーションの右を何度もヒットさせた小坂。
接触が少ない中でうまくペースを握る。
会場は一瞬の勝負の緊張感に飲み込まれ静まり返る。
 

3R、ローアングルからジャブを突き上げる堀。
ガードの上からでも叩いて連打で小坂の手を封じた堀。
小坂はバランスを崩す場面が増えてくる。
 

4R、お互い間合いを取りながら、一瞬の交錯が繰り返される。
小坂のノーモーションは数多く堀を捉え、これまでより深く踏み込んで
左フックをヒットさせる場面も出始める。
しかし、終盤には堀の左ストレートが炸裂する。

ここまで、マイジャッジは39-37で小坂。
 

5R、小坂の撃ち終わりを狙う堀。
ジワジワ前進する小坂と、距離を維持しようとする堀。
若干距離が縮まり、堀には若干の窮屈さを感じるようになる。
ラウンド終盤、小坂のパンチでマブタをカットした堀。
顔面をおびただしい血が覆う。
 

6R、攻勢を強めた堀、コンビネーションを繰り出していくと、小坂は手が出なくなる。
ただし、堀はそれが続かない。
ドクターチェックが入るも、ここは続行。

ラウンド終盤、小坂が腹をえぐると堀は効いた素振りを見せてしまう。
しかし、堀は逆に攻めていくことでこの窮地を脱出。
コンビネーションで小坂を守勢に回らせる。
 

7R、堀が回転力を見せ、守勢に回る小坂。
的確なパンチが小坂に襲い掛かる…ここにきて盛り返しを見せる堀。
しかし、小坂がさらに距離を縮めると、グチャグチャとした展開になり、小坂のパンチがヒットする。
一旦離れると、ここでも小坂のカウンターが有効。

堀が優勢に戦える距離は狭い範囲に絞られてしまう。
 

8R、手数を出して攻めていく堀。
下半身が安定せず、スタミナ切れが見え隠れするが、もうラストラウンド。
小坂の方も攻めて出ることで、揉み合いのような形になる。
ここで、またカットに対してドクターチェック。

ここは続行で試合は再開。
仕切り直して、お互いが踏み込んだ瞬間…お互いの頭が猛烈にヒット。
出血する小坂…この傷に対して、試合はストップされて負傷判定。
 

マイジャッジ 77-75 小坂
 

ジャッジは77-75、78-74、77-76。
3-0で小坂。
 
 

この試合については、周りから「堀が勝っていたのでは?」の声も聞こえた。
難しい試合…僕自身には違和感はなかったが、そう見える拮抗した試合だったと言うこと。
 
 

小坂はこれでランキングも一桁台に上昇するだろう。
小坂が敗れた相手は、現日本王者、現日本ユース王者、そして日本のトップランカー…。
地元以外にも乗り込んでいき、強さをしっかり見せている。

小坂に勝てるかどうか…それが日本のトップクラスにまで登れるかの
リトマス試験紙のようになってしまっているが、小坂自身が食い込んでいく姿も見たい。

ペースを握る巧さも見えた…これは後々勝負強さになっていくだろうと思う。
今はまだ22歳…後々、日本ランキングのトップでやり合って行くんだろうと感じる。
キャリアが長くなればなるほど、強くなるような空気も感じさせてくれる。
着実に、その力を増幅させて楽しませて欲しい…。
 
 

堀は距離が近すぎた場面が多く、攻められれば後手に回り、離れられればカウンターを取られた。
距離の主導権をより長い時間握ったのは小坂だった。
ただ、単発を重ねる小坂に対し、堀が回転のある連打を撃ち込めば、小坂は手を封じられていた。

長い8R、4回戦のようにはいかないが…勝負所を増やしていれば、結果は変わっていたようにも思う。
これで21戦目…1年半のブランクから復帰戦で即ランカーを倒してランク入りした堀だったが
ここのランカー対決で敗北…デキはあまり良くなかったように思う。
全快の堀を見てみたい…なんて思わせてくれた。
 
 
 

【スーパーフェザー級6回戦】
力石 政法(薬師寺) vs 谷本 涼(広島拳闘)

・力石 政法 1戦1勝
・谷本 涼 5戦4勝(3KO)1敗
 
 

B級デビューの力石と、西部日本新人王本命に推されながら、まさかの負けで迂回を強いられた谷本。
噂に聞こえる強い奴同士の戦いが、セミファイナルにセットされた。

サウスポー同士の対戦…お互い間合いを測りながら、フェイントを掛け合う。
オープニングヒットは力石のワンツー、しかし谷本もしっかり反応して、衝撃を浅く抑える。

仕切り直した後は、両者が形を入れ替えるように谷本が左ストレートを浅くヒットさせる。
この場面で、谷本の体が流れたところを、サイドに周っていた力石が強烈な左フックで捉える。
力石にしがみつく谷本…。

一旦ブレイクでほどかれると、今度は谷本の右フックを撃ち出す瞬間に左ストレートを次々ヒットさせる。
谷本がパンチを振り出すたびに、力石の強打がカウンターで襲う。
終盤に入ったころにようやく谷本の左フックがしっかりヒットするが…。
力石が圧倒的に制してしまった1R…お互いの頭が衝突したところでラウンド終了のゴング。
 

2R、前の手のロングアッパーから左ストレート…。
これを立て続けに撃ち込んだ力石。
このラウンドも、谷本のパンチは届かない…そんな感覚を受けていたら…。

ラウンド中盤、左ストレートをヒットさせた谷本が、撃ち返された力石の右フックをかわして
左フックを撃ち込む…この試合ようやくしっかりとしたヒット。
さらに力石の左ストレートをもらいながら、またも左フックをヒットさせた谷本。

このパンチを軸に打開もあり得るか…。
しかし、力石はジャブを刺しながら入ってきた谷本に、強烈な左フックを叩き込み、谷本はクリンチに逃れる。

迂闊に手が出せない谷本…手が出なくなってきたと感じたその刹那。
突如、遠い距離からズギュン!と距離を縮めた力石…左フックを谷本のテンプルに叩き込む。
信じられない射程距離…大きくよろめきなんとか踏みとどまろうとする谷本だが、
力石の腰にしがみつくような形で膝を突くダウン。

カウントエイトでファイティングポーズをとった谷本。
再開と同時に残り10秒の木拍子。

一気に仕留めに行く力石だが、谷本の頭が衝突。
そのままクリンチに逃れた谷本、ブレイクの再開後はダメージを感じさせずに撃っていく。
力石の撃ち降ろしをもらいながら繰り出した鋭利な右フックは…力石のスウェーで鼻先で交わされる。
 

3R、開始直後に力石の左アッパーと谷本の左ストレートが交錯。
腕が絡まったところに、谷本が右フックで力石の顔面を捉える。
その後、一旦抱き合ったのを力石が突き放した後、
谷本の右フックをダッキングし、右アッパーを浴びせる力石。

場所をコーナー付近に移し、力石の左に対し、もらいながら右を被せた谷本。
カウンターでヒットしたと思った次の瞬間、力石の返しの左フックが完璧に谷本の顎を貫く。
派手に後ろ倒しになる谷本。
ダメージを見てとったレフリーが試合をストップ。
 
 

TKOタイムは3R 0:31
 
 

谷本のパンチはわずか数発しかヒットせず。
当たったと思っても鼻先で交わしているシーンが頻発。
目の良さを見せつけ、そして後ろ手…大砲の多彩さを見せつけた。
撃ち出しに合わせていくカウンター…、恐ろし過ぎる。
強烈なパンチ力を持つ、技術屋。
 

谷本は決して弱い選手ではなかった。
バランスもいい、パンチも鋭く、ディフェンスも悪いわけではない。
平均値のとても高い選手…しかし、力石は手に負えなかった。
ただそれだけのこと。

誰が力石の相手ができるのだろう…中日本では名前が浮かばなくなりそうな戦慄の結果。
わずか2戦にして、中央へ向かって突き進むか…もしくは、対戦枯れを補うアジア系路線か…
そんな姿しか思い浮かばなくなっている。

試合後、「ランカー以外とは戦わない」なんて言う彼の言葉を耳にしたが…。
この試合を見せられると…言う資格はあると思ってしまう。

「強い奴と戦いたい」
この階級近辺でそんな意思がある相手に恵まれることを願う。
 
 

 
 

 
 

 

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