2021/12/11 -愛知・名古屋国際会議場- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2021/12/11 -愛知・名古屋国際会議場- 第1試合、第2試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【53kg契約4回戦】
山田 俊(中日) vs 楢木 健斗(杉田)

山田 俊 デビュー戦
楢木 健斗 デビュー戦

1R、詰めていく山田に対し、足を使う楢木。
積極的にジャブを飛ばし、手が出るのは楢木の方。

ラウンド中盤には両者の大砲が相打ち、
直後、左のロングフック、ロングアッパーと楢木が山田を捉える。
細かく撃っては離れる楢木に対して、潜り込むタイミングを探りながら詰めていく山田。

ラウンド終盤、コーナーに詰まった楢木だが、落ち着いてクリンチで遮断。
山田は距離が詰まった場面でもなかなか手が出ず、攻めあぐねたような印象。


2R、楢木の固さがほぐれたか、よりシャープに左を飛ばしていくが、
山田は貰いながらのワンツーで時折楢木を捉える。
遠い距離では楢木が優勢…近づけば、無理せずクリンチ。

楢木が足をより大きく使うようになったラウンド中盤。
その分、手が減ったところで、山田の強烈な左フックが刺さる。

ラウンド後半に入り、山田が詰め、
楢木がクリンチの場面が増えると、レフリーから2度ほど注意。


3R、詰められた場面、クリンチしづらくなった楢木。
左フックをひっかけるが、山田は貰っても止まらず。
中盤には山田の入り際に楢木の右ストレートが強烈に刺さるが、山田の勢いは止まらず。
詰められる場面がみるみる増えていく。


4R、ひたすらに前進してくる山田に対して、
バックステップで撃ち込む距離を作って強烈に捉える楢木。
しかし、もらってももらっても前進してガチャガチャと捉える山田。

綺麗に捉える楢木と、押し込んでガチャガチャ手を出す山田か。
どちらに主導権があるかの判断が難しい攻防。
試合終了直前、山田の右ストレートが強烈に楢木を捉えるが、
楢木も左フックで捉えかえして試合終了。


マイジャッジ 39-37 楢木


公式ジャッジ
39-38 楢木
38-38 ドロー
38-38 ドロー


1-0 でのドロー。

 

2R以降、クリンチに逃れづらくなった楢木を山田が押し込み続けたことを
山田に主導権があったとみれば、ドローも納得のいく範囲に思えた。
もう少し的中率が上がれば、判定が山田に転んでいた可能性も高かったように思う。


ジャブ、足、クリンチ。
地味ながら基本的なことが反復されているように感じる楢木。
この土台もまだまだ改善されていくように感じるのと、
さらにその上に何が構築されていくのかはこれからだと感じる。

土台があってこそ、その上に何かが積まれたときに大きく伸びる。
そう考える時、この選手は時間をかけて飛躍する選手だと感じる。
まだまだ未完成な状態な分、キャリア序盤の勝敗は順調にいかないかもしれないが
続けることで、大輪を咲かせて欲しい…そう感じさせてくれたデビュー戦だった。


対して山田は、詰めていき最終的には押し込んだ。
短い4Rの戦いで盛り返す展開は、実は難易度の高いものだと思っている。

2R終盤、レフリーから2度ほど注意が入ったことで、
クリンチが少なくなり近距離での攻防が増えることに繋がった。
しかし、それを招いたのは、繰り返し詰めることでクリンチの数が増えたからこそ。
山田が呼び込んだ展開だったと言えるように感じる。

詰まったところでの攻防が磨かれれば、
こういった試合を勝ち星に繋げるパターンが出来上がっていくように思える。
たゆまぬアタックを繰り返す姿は、この先、
胸を熱くさせてくれるボクサーになってくれそうだと感じた。

 

 

【フライ級6回戦】
ポッキー 西川(緑) vs 東 健史(ARITOMI)

ポッキー 西川 17戦7勝(2KO)8敗2分
東 健史 15戦5勝(1KO)10敗


1R、ジャブを刺しあう静かな立ち上がり、
お互いまだ距離が遠い中、東のジャブが西川の顔面を軽く弾く。
間合いを測り合うラウンド中盤、東が踏み込んで右フックで捉える。
その後もう一度同じパンチで東が捉えるが、
3度目はタイミングを合わせて西川が右をフルスイング…ここは両者空振り。

ラウンド終盤、東が西川をロープに詰めて強烈に右フックで捉えると
終了間際には西川の右ストレートで東がバランスを崩す。

KO数の少ない両者だが、1Rからスリリングな試合を展開する。


2R、先に手を出すのは東。コツコツとジャブを突いていく。
ラウンド中盤、東のジャブが深く刺さり、西川の顔面が跳ね上がる。
すかさずコーナーに追いつめた東だったが、ここは西川がクリンチで遮断。

ラウンド終盤には西川が強烈に右を突き刺し、東をバタつかせる。
両者ともに1度ずつ見せ場を作ったラウンド。


3R、このラウンドは西川が先にジャブを飛ばしていくが、
東は右から入って強烈に西川を捉え、コーナーに詰める。
強烈にボディをえぐって攻め立てるが、西川はクリンチで窮地を逃れる。

ラウンド終盤には、西川の右が東の顔面を跳ね上げるが、
東が体でコーナーへ押し込み、連打で攻める。


4R、足を使う東に対して西川が前に出る。
西川が追い立てながら右を強烈にヒットさせる場面を作るが、
東はロープ際で体を入れ替えてボディに攻め込む。
ラウンド終盤には東が右で西川の顔面を跳ね上げると
そのままコンビネーションを叩き込む場面も。


5R、西川の前進を止めようとする東のジャブ。
距離を詰めんとする西川のジャブ。
お互いに前の手を刺しあう序盤。

西川がこれまで以上にギアを上げて右を強烈に突き刺す場面を増やす。
しかし、ロープ際の攻防で東が強烈にボディを叩くと、西川は体をくの字に折る。
そのまま攻め込む東だったが、お互いもつれたところのスリップで流れが止まる。

西川の撃ち終わりを東が捉える展開となった中、お互いの頭が衝突。
西川はその場にうずくまる。

効いてしまったか、そのまま立ち上がれなくなった西川。
試合は続行不能に。

結果は負傷判定へ。

 

マイジャッジ 50-45 東


公式ジャッジ
49-47
49-46
50-46


3-0
勝者:東

 

4連敗を乗り越え、ようやく東がA級へ到達した。
4回戦の頃から、勝っては負けての繰り返し。
6回戦に上がってからは、3連敗と4連敗を挟んでの2勝目。

B級で2勝7敗の選手が、A級戦線で通用するのか…。

ボクシングはランカーに1度勝ったらランキングが手に入る。
格段にチャンスが増えるA級戦線、負けても負けても挑み続けてきた東だからこそ
そのチャンスをつかみ取る可能性は充分にあるように感じる。

いくら強くても辞めたらそこで終わり。
負けに耐えうる心のタフネス、粘り強く続けて来られた強さ。
そして遠回りしたからこそ蓄えた強さもある。

東はとにかく粘り強い。
きっとその強さはA級戦線でも発揮されるはずだと思っている。


対して西川に対しては、バッティングで
うずくまってしまった姿にプロとしての姿勢を問う声を聞いた。

どれだけの痛みなのか、ダメージなのかは本人しかわからないところだが
その声はあっていいと感じる。

そう見える試合をしてしまった西川が、
次もし大激戦しようもんなら、今日この試合が物語のクサビになる。
悔しい結果は見返せばいい、プロボクサーにはリングという場所がある。

この日が移籍後初の中日本のリング。
これから描かれる彼のドラマを楽しみに待っていたいと思っている。

 

 

 

 

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