2021/12/19 -愛知・名古屋国際会議場- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2021/12/19 -愛知・名古屋国際会議場- ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

【52.5kg契約10回戦】
田中 恒成(畑中) vs 石田 匠(井岡)

田中 恒成 16戦15勝(9KO)1敗
石田 匠 31戦29勝(15KO)2敗

 

1R、ジャブを飛ばしていく石田。
次々と差し込まれる石田の長いジャブ。
高く上げたガードを縫って滑り込み、何度もその拳が田中の顔面に接触する。

田中は懐深い石田に対し、なかなかパンチの届く距離に立てない時間が続く。
しかし終盤、踏み込んでボディを叩いて反撃。

まずは石田の左が制した3分間。


2R、相変わらず鋭くジャブを差し込む石田に対し、
田中は滑り込んでボディを叩くシーンを何度も作る。
しかし、それまでに何度も何度も石田のジャブを浴びている。

田中がしっかりとプレスを効かせ、石田がコーナーを背負っての攻防が増える。
しかし、単純に押し込まれているわけではないのは、石田がコーナーを背にしながらも
迎え撃つように捉えることから明らかに思える。
見ようによっては呼び込んでいるようにも…。

ポイント的には際どいか…。


3R、石田を下がらせ、コーナー際で近い距離での攻防に持ち込む田中。
しかし、石田は鋭利なアッパーを外して、強烈なワンツーを叩きつける。
距離を潰し、回転で勝り始める田中だが、石田のジャブの鋭さも変わることはない。


4R、顔面を襲う石田に対し、田中はボディをえぐっていく。
距離が接近し石田のアドバンテージである懐の深さは消え、お互いに捉え合う激しい展開。
田中の被弾も目立つ…派手に捉えているのは石田の方。
しかし、田中のボディは強烈に石田を捉えているように見える。


5R、田中の手数が減ったように見えたラウンド序盤、
石田が強烈なワンツーを叩き込む。
ラウンド後半に入ると、田中が強烈な右を皮切りに
石田をロープに詰め、強烈にボディをえぐる。


6R、詰める田中、迎え撃つ石田。
近距離での細かい連打を撃ち込み、この試合初めてはっきりと田中が制したか。
それでも石田の滑らかなパンチを被弾する場面は相変わらず多い。


7R、詰めて強烈にボディをえぐっていく田中。
しつこくしつこくボディに集中砲火。
細かく動いていた石田の足も鈍くなったように見える。

しかし、石田は田中の右に合わせた右ストレートを叩き込み完全に主導権は握らせない。


8R序盤、強引に潜ろうとする田中の顔面を石田が捉える場面が目立ったが、
時間が経過するごとに田中が潜り込む場面が増え、石田を強烈に上下に捉えていく。


9R、試合終盤、試合の行方が微妙な中、石田のワンツーが冴える。
時折潜ってボディを叩く田中…ジャブvsボディの構造は変わらないまま、
攻防の激しさが増していく。


10R、ポイントがどちらに流れているか微妙なラウンドが多い中、
勝負の決め手となり得る最終ラウンド。

細かいパンチを貰い続けた田中と、ボディをえぐられ続けた石田。
どちらもある程度のダメージが溜まっているだろうが、動きは落ちない。
世界の頂を目指す者たちの戦いの異常さを思い知らされる。

ここに来て、石田が盛り返し、ワンツーを好打する場面が目立ったように思えた。
石田がジャブを3つ続けてヒットさせると、それを合図に最後の撃ち合い。
試合の激しさは落ちぬまま、試合終了のゴング。

 

ボディをどこまでとるか…ジャブをどこまでとるか…
単純にヒット数なら石田のようにも思えるが、
田中が押し込んだとみれば、主導権は田中の試合だったか。

マイジャッジは 96-94 で石田。

 


公式ジャッジ

96-94 田中
96-94 石田


…割れた。割れておかしくない試合。
最後はジャッジ席に誰が座っているかの運に委ねられる。


96-95 田中

2-1 勝者:田中

紙一重の試合、田中が勝ち抜いた。

見終わった後は精も根も尽き果てて感想どころじゃない。
しばらく興奮と放心…田中の試合はいつもそうだ。
それだけ強敵に恵まれている…強い相手を迎えているのが田中。
今回もまた、とんでもない奴と殴り合った…そんな実感に包まれる。


ラストチャンスと言う言葉も踊った石田だったが…
この試合でその名を知らしめたのは石田だったと感じる。
強いということはわかっていても、それがどれほどなのか…。
力量を叩きつけられたような気分だった。
結果は結果だが、世界を争うに相応しい実力者であることを再証明したはずだ。

 

試合後、田中の勝利者インタビューの「楽しかった」が胸に響いた試合。
この二人が、今度は世界戦の舞台で拳を交えてくれないか…そんな希望も抱いてしまう。
ずっと見ていたかった試合だった。

「ドリームボーイ」と呼ばれる若き三階級制覇王者も20代後半。
何年にも渡って中日本の大エースの位置にいる。
我らがエースが、ここからどのような道を歩むのか。


初の敗北を経て現れた新たな田中は、より魅力的に思えた。

 

 

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