再浮上 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑭ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/11

再浮上 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑭ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/11
 
 
 

ドワイト・ムハマド・カウイ(米)、14日目。
 
 
 

前回はWBA世界クルーザー級王座の防衛戦で新鋭のイベンダー・ホリフィールド(米)
80年代クルーザー級最高試合とも言われる激戦の末、王座を陥落したところまで。
 
 
 

これで2度目の王座陥落となったカウイ。
この後、半年の期間を置いて、カウイは再起。
なんとヘビー級ウェイトで勝利を飾ります。
 
 

その後はクルーザー級へ戻し、元世界王者対決…
初代WBA世界クルーザー級王者のオジー・オカシオ(プエルトリコ)と対戦。

この試合では、オカシオがフットワークを使いリーチ差を生かしたアウトボクシングを展開。
また、さすがは元世界王者だけあってカウイ相手に時折しっかり出入りして
強烈なアッパーやフックを撃ち込む。
カウイの方は、手数少なくジリジリとオカシオを詰め、単発ながら強烈な一撃を放り込む。

1Rは1度のみだったカウイの強烈なヒット…2Rにはそのヒット数が3度に増える。
しかし、数多くの細かいパンチをもらっているため、ラウンド自体はオカシオペース。

3Rに入るとオカシオのジャブをクロスアームブロックでブロックし始めたカウイ。
ボディへの比重も強め、徐々にペースをつかみ始めます。

しかし4Rにはオカシオがさらに距離を取り始め、ペースを引き戻す。
カウイの入り際に力を込めたパンチを合わせる。
 

5R、試合の流れが変わる。
オカシオに強烈なジャブを突き刺したカウイ。
オカシオの口からマウスピースがこぼれおちると…
そのマウスピースをリング外へ蹴り飛ばすカウイ。

口内を保護するマウスピースを失ったオカシオは顔面への被弾を減らすため、手数を減らして守勢を強める。
そんなオカシオのボディを幾度も突き刺したカウイ。
オカシオはなんとかこのラウンドを乗り切ります。
 

その後はリング内を走り回るオカシオ。
撃って来いとアピールするカウイ。
手数が減り気味なオカシオに強烈なプレッシャーをかけ続けます。

触るような攻撃ではカウイを止めきれなくなってきたオカシオは
8Rに入ると、力の込めたワンツーを使い、カウイとの距離をキープし始める…。
 

9R…全く撃ち合おうとしないオカシオに苛立つカウイ。
クリンチの際に抱えたオカシオの左腕を脇に挟んで捻りあげる…。

悲鳴を上げるオカシオ…試合が一旦止まる…再開後、一気にペースを取ろうとするカウイに対し
必死にクリンチに逃げるオカシオ。
しかし、オカシオの頻繁なクリンチに対して減点が与えられる。
拮抗した試合、大きな1P…。
 

最終10R、ひたすら距離を取るオカシオ。
3分間を安全に進め、ポイントアウトを狙います。
全くかみ合わない3分間が終わり、試合後、グローブタッチに来たオカシオを完全に無視するカウイ。
撃ち合いに飛びきりの笑顔を見せるカウイだからこそ、溜めたフラストレーションは大きかったのかもしれません。
 

判定が発表される。
…マジョリティデジジョン。
それだけでも大きなブーイングが鳴り響く中、勝者オカシオのコール。
アナウンサーは皮肉を込めて「アメージング!」を連呼。
 

TV番組の公式採点はフルマークでカウイ…これはちょっと行き過ぎかもしれませんが、
終始攻め続けたアグレッシブを中心に獲れば、フルマークでカウイも当然あり得る。
ヒット数で見れば、オカシオ勝利でもおかしくはない内容。

僕のマイジャッジではドロー…から減点の1Pを引いてカウイの勝利。
しかし、判定としてはあり得ない内容ではなく…
仕留め切れなかったカウイにとっては受け入れなくてはならず…。
世界戦線から大きく後退してしまいそうな再起失敗…。
 
 

そこでカウイはもう1度リスキーな1戦で評価回復を狙います。
相手は26勝1敗の元IBF世界クルーザー級王者、リー・ロイ・マーフィー(米)。

アマチュア時代には「ソリッドゴールド」と呼ばれ、五輪でのメダル獲得が確実視されたエリート。
しかし、マーフィーが出場を決めたのはモスクワ五輪。
アメリカのボイコットにより五輪を奪われプロ転向。

そこから期待に答えるように、一気に世界王座を獲得。
隠れた名選手の一人、リッキー・パーキー(米)への敗北で王座を陥落し、王座再冠を目指してこの試合を戦う…。
世界ランク第一線の選手。
 

足を止めて強撃を振るうマーフィー。
スタイル的にはガッツリかみ合うマーフィーとカウイの対戦。
1Rのゴングが鳴るとリング中央で強烈なショートパンチがお互いを捉え合う。
リーチ差を生かそうなんて考えは微塵もなさそうなマーフィー。

しかし、テクニックも豊かなカウイは次第に近距離でマーフィーのパンチをガードで受け止め
自身のパンチばかり突き刺していくようになる。
序盤からマーフィーがのけぞる場面が目立つ。
 

2Rに入るころには撃ち合いが信条のはずのマーフィーがズルズル下がっていく。
頭を付けての撃ち合いではボディをえぐられ、カウイのプレッシャーに押され…。
時折するどいパンチを撃ち込むもののそのほとんどはカウイのボディーワークでいなされていく。

マーフィーは距離を取りたがるものの、それはアウトボクシングと呼べるものではなく…簡単にカウイに捕まる。
生粋のファイター型のマーフィー…自分の土俵である撃ち合いがカウイに全く通用しない。
徹底的に腹を叩かれながら、さらにアッパーで下から突き上げられる。

マーフィーはロープ際に追い込まれ、上も下もいくつも叩かれる。
ボディをしこたま叩かれ、完全に腰が立ってしまい、
ガードが下がればアッパーで顎をはね上げられ…。
打つ手がなくなり…消耗するばかり。
 

5R前半、足を使ってロングレンジのパンチを叩き込むマーフィー。
いくつもジャブを重ね、有利に展開するものの、マーフィーの足ではすぐに捕まる。

近距離でクリンチに逃れようとしても、しこたまボディを叩かれ苦悶の表情。
意識は完全に腹へ…苦し紛れに手を出すとカウイのカウンターが襲う。

被弾を重ね続け、終盤にはマーフィーのジャブの内側からカウイの右フックが突き刺さり…
意識を失ったマーフィーは両手をだらりと下げて後退。
背中がロープにバウンドするのその反動でそのまましゃがみ込んでしまう。

カウイ…痛烈なダウンを奪います。

カウント8で立ちあがったマーフィー。
残り時間の少ないこのラウンドは乗り切りますが…

次の6R、ダメージの回復を図ってアウトボクシングをしようとするマーフィーに
カウイがカウンターの右フックを浴びせ、マーフィーはこの試合2度目のダウン。

再開後は残り時間のたっぷりあるこのラウンドで、カウイが試合を終わらせにかかります。
一気の連打で呑み込まれるようにマーフィーがしゃがみ込む。

再開には応じたものの、ここでレフリーが試合をストップ。
 
 

まさに完全なる圧勝でこの相手を6RTKOで沈め、トップ戦線に踏みとどまる。
それだけではお釣りが来たか…次戦で世界再挑戦のチャンスをつかみます。
 

相手は…カウイから奪ったベルトを3度防衛し、さらにIBFのベルトまで手に入れていた
ホリフィールド…リベンジマッチの幕が開けます。

 

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