1980年代クルーザー級最高試合 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑬ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/09

1980年代クルーザー級最高試合 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)⑬ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/09
 
 
 

ドワイト・ムハマド・カウイ(米)、13日目。
 
 
 

前回はWBA世界クルーザー級王座の防衛戦でレオン・スピンクス(米)を相手に
驚愕の圧倒的な勝利を収めたところまで。

試合後、カウイと険悪なムードを漂わせたのはイベンダー・ホリフィールド(米)

ロス五輪銅メダリストながらここまでわずか11戦。
90年代のヘビー級を牽引したホリフィールド。
のちに時代の主役となる男が初めて世界に挑んだ試合。
 

試合は序盤からホリフィールドがカウイを圧倒します。
“リーチ差を生かす”わけではなく、ただ自分の距離に身を置くホリフィールド。
力のこもったワンツーが幾度もカウイを捉える。
自らカウイの距離に入って射程の長いフックやワンツーを撃ち込み…すっと距離を置く。

対してカウイがプレッシャーを強める。
被弾を恐れずに距離を詰め自らの強打を振るう。
強烈な撃ち合いに、観衆の大声援にゴングの音が埋もれてしまうほどの盛り上がり。

頭をくっつけてボディを連打するカウイ。
ホリフィールドはコンビネーションでカウイを攻め立てる…が、
カウイは抜群のボディーワークとクロスアームブロックを駆使してホリフィールドのパンチを殺す。

ぐいぐい押し込んでいき、ボディを叩きつけるカウイ。
3R頃になると、あまりの圧力に、下がりながら撃ち合いに応じるしかないホリフィールド。
 

4Rにはホリフィールドをロープに詰めたカウイが一気に攻め立てる。
既にボディを嫌がり始めるホリフィールド。
上へ、下へ…カウイが如何なく強打を振るう。
ホリフィールドも力を込めて撃ち返すものの…カウイのタフさとディフェンス技術にその威力は殺される。
 

5R、カウイにローブローの注意が…。
それほど低くは見えないものの、この試合のレフリーは厳しく注意を与えます。
展開のほうは常に下がらされるホリフィールド。
コンビネーションで反撃するものの、カウイの圧を抑えきれずに被弾を重ねます。
 

6R、セコンドがコーナーを降りるのが遅れたホリフィールド。
チャンスとばかりに猛然と走っていくカウイ…あわてて止めるレフリー。
何が何でもの感がありありと見えます。

そんなカウイとの間にこれまでと比べてわずかに距離をとったホリフィールド…。
下がりながらもショートパンチのコンビネーションで前進するカウイを顔面にパンチを集めます。
ここから流れが変わり始め、ホリフィールドのパンチがヒット数を上げていく…。

カウイはボディを中心に攻め立てる。
致命傷を避けながらホリフィールドを削っていくカウイ。
しかしカウイのボディを効かされ徐々にガードが下がるホリフィールド。

ホリフィールドが下がりながらの強打をいくつも叩き込む。
下がりながらとは言え、ホリフィールドの応酬が強烈。
ここまで力のこもったパンチを撃ち込まれるカウイも初めて。
カウイが距離を縮めるまでに左右フックをいくつも引っかけ、
撃ち合いになってもコンビネーションで撃ち負けない。

11R、開始直後、コンビネーションをいくつもヒットさせたホリフィールド。
湧きあがる会場、しかし耐えきったカウイは…
次は俺の番…とばかりにホリフィールドを連打の餌食に…会場の完成は悲鳴に変わる。
なんとかここで持ち直したホリフィールド、試合は終盤の入口を迎えたばかり…。

12Rにはカウイのプレッシャーに消耗を見せ始めるも、
ホリフィールドの手数が止まることはなく…カウイは強打をいくつも叩き込まれる。
かたやカウイもホリフィールドをロープまで吹っ飛ばすほどの一撃を叩き込んで反撃。

13R後半、消耗が隠しきれないホリフィールド。
これまで距離を支配してきたように見えたホリフィールドの後退が、
まるでズルズル下がらされているように見えてしまう。
 

14Rに入ると、一気に距離を取るようになったホリフィールド。
ポイントアウトを狙い始めたか…ホリフィールド以上にパンチを浴び続けてきたカウイも動きが落ち、
この段階で距離を取られると打開が難しそうに見える。

最終ラウンドに入ると、ホリフィールドは足を滑らせて転ぶ場面も。
疲労の蓄積は下半身の力を奪い去ります。

スリップの直後、最後の力を振り絞って連打で攻め立てたホリフィールド。
効いてしまったカウイがたたらを踏んで後退…
一気に詰めようとしたホリフィールドを、突然元気になったカウイが急襲。
カウイのまさかの効いたふりで滅多撃ちにされるホリフィールド…。

最後は一方的にカウイが攻め立てて最終のゴング。
両者セコンドに抱えあげられて勝利をアピール。
 

ジャッジは大きく割れて2-1の判定でホリフィールド。
常に前に出たカウイのアグレッシブを取るか…ヒットや手数を取るかで割れるのも納得の試合。
既に完成されたホリフィールドの強さも去ることながら、20cmほども背の高い相手を
終始プレッシャーで下がらせ続けたカウイの強さも際立つ試合。

この試合、カウイのプレッシャーに追い回されたホリフィールドは脱水症状で病院送り…
15Rで体重が10kg落ちた…なんて話もあります。
 

超ハードな打撃戦となったこの試合がホリフィールドが初のベルトを巻いた試合…
1980年代最高の世界クルーザー級タイトルマッチとも呼ばれます。
クルーザー級に、小さくてとんでもなく強い奴がいる…。

カウイが抜群の強さを誇ったのはライトヘビー級の頃、しかし人々はカウイを
“クルーザー級の名王者”として記憶に刻んでいます。

クルーザー級王座を1度しか防衛できなかったカウイですが、
人々の記憶に、こびりついたマイケル・スピンクス(米)戦とホリフィールド戦。
このたった2試合が、カウイをクルーザー級の歴史に刻んだと言っていいでしょう。

また、ここからホリフィールドはクルーザー級の盟主へ…
そしてヘビー級の90年代を代表する選手へと駆け上がっていきます。

 

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