噛ませ犬ロジャー ロジャー・メイウェザー(米)⑰ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/10/13

噛ませ犬ロジャー ロジャー・メイウェザー(米)⑰ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/10/13
 
 
 

ロジャー・メイウェザー(米)のピックアップ17日目。
 

前回は世界王座陥落後、遠回りを繰り返すロジャーがサミー・フエンテス(プエルトリコ)を破り
WBC米大陸ライト級王座を獲得したところまで…。
 

もう終わったと思われたロジャー。
フレディ・ペンデルトン(米)への敗北から、3連続KO勝利で盛り返してきたところ。
 

しかし、組まれた次の試合の相手は…元金メダリストの超ホープ。
まるでここまでの激戦が、この相手の商品価値を上げる為だったかのよう…。

元世界王者を倒して一気に世界へ駆けあがろうとする相手の意図が透けて見えるようなマッチメイク。
ロジャーは完全なやられ役と目されてリングに上がることになります。

NABF北米ライト級王座決定戦として行われた試合。
相手は歴史に名を残すディフェンスマスター”スイートピー”パーネル・ウィテカー(米)
フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)の連勝記録を引き分けながらも87で止めたのがこの男。
 

珍しく花の名前を異名にとる、のちの世界4階級制覇王者。
スィートピータ(素晴らしいピータ)と呼ばれていたのが、地元の新聞にスウィートピーと誤記されたのが異名の由来。
ロス五輪金メダリストとして鳴り物入りでプロの世界に乗り込んできます。

11戦全勝で初の地域タイトル挑戦…まだまだキャリア初期のウィテカーですが、
五輪金メダリストの肩書とともに、破格の大注目ホープ…それがこの頃のウィテカー。

検診で顔を合わせた二人、ロジャーはウィテカーに喧嘩を吹っ掛け、
キレたウィテカーがロジャーを突き飛ばすなんて因縁もあった注目の試合…。
 

1R、足を止めて長いパンチを刺していくロジャー。
リーチで劣るウィテカーはロジャーのジャブの引きに合わせて踏み込んでの攻撃。
ロジャーのパンチを被弾しながらタイミングを計ります。

ラウンド後半には徐々にタイミングをつかみ始め…
簡単には被弾せず、残り10秒を切ったところで、ロジャーの右を交わして踏み込み
強烈な右フックを撃ち込んだウィテカー、左フックで反撃しようとしたロジャーに
さらに左フックを叩き込んで、ロジャーは後ろ倒しにダウン。

完全に効かされつつも、なんとか立ち上がる…観衆は熱狂して大声援。
ラウンド終了のゴングはレフリーに届かず、試合は続行。
気付いたレフリーが慌てて止めに入ったときは、ロジャーは強烈な左フックを追加された後。

いきなり致命的とも思えるダメージを抱えてしまいます。
 

2R、ロジャーにとってはダメージの回復が必要に思えそうなこのラウンドですが
なんと予想外にもロジャーは接近戦を求める。
離れようとするウィテカーの腕を必死に抱え込むロジャー…強引に出したウィテカーの左フックが
二人を引きはがそうとするレフリーに炸裂する場面も…

ロジャーは執拗にウィテカーのボディをたたき、隙あれば顔面を突き刺す。
ウィテカーも観衆が沸き上がるような強烈なフックを叩き込みますが…ロジャーは下がらない。
 

3R、時間が進行するごとに接近する二人の距離。
ブロックの固いウィテカーに強烈なボディを叩きながら攻めていくロジャー。
顔面を連続して捉えられても効いた素振りを見せずに攻めていく。
ウィテカーをぐらつかせる場面さえあり…。

ラウンド終盤…お互いの右フックが交錯し、ロジャーの拳がウィテカーに強烈に着弾。
スーパーホープに元世界王者の強さを思い知らせるような一撃。
 

4R、ディフェンスマスターとしてのイメージが強いウィテカーですが、その攻撃力も凄まじい。
手数の減ったウィテカーに対して、数多くのパンチを入れていくのはロジャーの方ですが…
ウィテカーは一撃で試合がひっくり返りそうなフックを放り込んでくる。

ラウンド後半に入ってくると、上体の動き柔らかに、ロジャーを交わし始めるウィテカー。
ディフェンスマスターの本領を発揮し始めます。
 

5R、執拗にボディを叩きながら、ウィテカーが放った左のオーバーハンドに
右のショートを合わせたロジャー。
しかし押し合いの展開に疲れてきたか…時間が経過するほどにロジャーの手数は減り、
ウィテカーの強烈なブローがロジャーを捉え始める。
 

6R、執拗にボディを叩くのは…ウィテカーの方。
ロジャーは目に見えて疲弊し、手数が出ない…
時折上に返されるパンチもまともに喰ってしまい、一方的なラウンドになっていく。
 

折り返し地点…1Rのダウンもあり、ポイント的には大きくウィテカーがリードか…。
 

7R、さらにボディを効かされたロジャーが一気に失速。
ウィテカーが一気に攻め立てる…この展開にロジャーが開き直ったか…
どしどし歩きながらリードもなく右を突きたてるロジャー。
ボクシングから…その原点殴り合いへ…
頭をくっつけて撃ち合う両者…技巧派として名高い二人の戦いは…

技術や駆け引きを凌駕する、男と男の殴り合いへ雪崩れ込む。
 

8R、疲れを見せるロジャーに対して、ウィテカーが距離を支配。
足が死んだロジャーに、出入りを繰り返し一方的に試合を作る。
時折迎え撃つロジャーのフックがウィテカーを捉えるものの、
被弾の数では圧倒的に上回られてしまうロジャー。
 

9R、どんなボクサーであれ苦しいとされる後半。ウィテカーの動きも鈍り始める。
一旦距離を置いて小休止のウィテカーに対し、長いリーチを生かして拳をヒットさせていくロジャー。
ここで、ロジャーのトランクスの紐が切れるアクシデント。
テーピングテープで応急処置をするセコンド…ここの小休止が流れを変える。

仕切り直しとなり、お互いの射程外から攻撃のタイミングを計るウィテカー。
サウスポーに構えるウィテカーがいきなりの右を強烈にヒットさせる。
同じ形で2発目の右をヒットさせようとした瞬間…スウェーでかわしたロジャーは
体を戻しながら右ストレートをカウンターで突き刺す…。

一瞬間を置いて…ロジャーの追撃の右をダッキングした瞬間、
ふらつく足で自身の体重を支えきれず、よろよろとリングに膝を着くウィテカー。
レフリーはダウンを宣告します。

再開後、必死に逃げ回るウィテカー…その姿はダメージの深さを物語る。
このラウンドをゴングに逃れたウィテカー。

まさかの展開に…会場は騒然とします。
 

10R、逆転KOも香るこのラウンド、ジャブでしかロジャーを捉えられなくなったウィテカーを
ロングレンジのワンツーで幾度も捉えるようになったロジャー。
ダウンを奪い返したものの、中盤のポイントは大量にウィテカーに流れていそうな試合。

…勝つには、もう一度ウィテカーをリングに這わせたいところ。
 

11R、下がりながら応戦するウィテカー、ロジャーがどこまで迫れるか…
しかし…そこはのちにレジェンドまで昇華するウィテカー。
ボディを叩いて意識を下げさせたところで、強烈なワンツーを突き刺し…ロジャーをぐらつかせる。
一気に攻めようとするウィテカーに抵抗し、逆に痛烈なボディを入れるなど主導権は渡さないロジャー。
しかしリング中央に場所を変えて、またも強烈なウィテカーのワンツー…。

よろよろとロープ際まで下がったロジャー…ロープにもたれてウィテカーを呼び込みます。
ガードの上を撃たせながら…レフリーに「止めるなよ!」と一言。
一旦クリンチに逃れた後、レフリーが二人を引きはがして仕切り直し。

強烈なヒットを浴びせたことで、ウィテカーは精神的に回復したか、互角に見える撃ち合いでも
ロジャーのパンチを丁寧にブロックしながら一方的にパンチを放り込む。
 

12R、ポイントリードを確信するウィテカーは距離を置いて戦う。
追いつめてガチガチの撃ち合いに持ち込む力の残っていないロジャー。
華麗にリング上を駈ける”スイートピー”の美しさが残る3分間。
 

ホープが元世界王者を1Rから凌駕しつつ…元世界王者が意地のダウンを奪い…
そして最後…力尽きた元世界王者に…まるで天に昇っていくかのような美しいステップを見せつける。

パーネル・ウィテカー…彼の名を一気に押し上げた大激戦。
その対角のリングにいたのは”落ち目”と揶揄された元世界王者。
 

ホープに、観衆の期待する通りの敗北を喫してしまったロジャー…。
しかし、ウィテカーの技巧にロジャーの高い技術の伴う攻撃力がさらけ出され、
この試合をきっかけに一気に評価を上げる。

この試合で、ロジャー自身も自分の攻撃力に気付いたのか…。
ロジャーのボクシングが攻撃的なものに変化し、そして猛威を振るい始めます。
 

この名勝負を経た二人は、実力を高めて今後のキャリアを構築していく…
 
 

選手は激戦を経て強くなる…。
 
 

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