2025/04/27 -三重・メッセウイングみえ- 第4試合~セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2025/04/27 -三重・メッセウイングみえ- 第4試合~セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

 

■2024年度中日本スーパーフライ級新人王準々決勝
【スーパーフライ級4回戦】
中村 勇翔(LUSH緑) vs 鈴木 尚也(蟹江)


遠い距離から鋭くジャブを交換し合った立ち上がり、スピードでは中村が上回るか。
緊張感の高いフェイントの掛け合いの中、鈴木の撃ち終わりを中村が右ストレートで痛烈に捉える。
ヒット数自体が少ないラウンド、まずは中村が制したか。


ダッキングした鈴木に右を打ち下ろした中村、立て続けにヒットを奪うがラウンド中盤には
鈴木がコンビネーションの中の左右フックでヒットを奪う。
中盤以降、中村の左フック、右ストレートのカウンターが目を引く。
鈴木が飛び込んで右フックを叩きつけても、
攻防のラストは中村が撃ち終わりのカウンターでチャラにする。


3R、展開が変わらぬ中、鈴木が攻めあぐねているようにも思える。
足を使って距離を維持しながら戦う中村、鈴木は追いかけるが
中村はスルスルと距離を取って詰めさせない。
ラウンド終盤には飛び込みはじめた鈴木、頭の衝突が頻発する。


4R、中村が入ろうとしたところ、鈴木が左右連打で回転よくとらえる。
積極性を増した鈴木に中村の手が減るが、
中盤には中村が痛烈な右をカウンターで叩きこみ鈴木の顔面を跳ね上げる。
それでも鈴木は引かず、回転よくとらえる場面を多く見せながら
中村は足を止めることなく戦い続け、致命打を負うことなくラウンド終了のゴング。


マイジャッジ 39-37 中村

公式ジャッジ
39-37×2 中村
38-38 ドロー

2-0 勝者:中村


ハンドスピードで上回る中村に踏み込めばカウンターに襲われた鈴木。
最終ラウンド、至近距離で勝負した鈴木は回転で上回ってみせた。
初勝利の場面でも、攻め込んだ場面での強さを発揮していた鈴木。

この試合では仕掛けが遅れたとも言えなくはないが、
この日のラストラウンドを踏んだことで、
この先そういった展開を踏む可能性は減ったように思える。
劣勢の展開の中で、鈴木が自身のストロングポイントを明確にした試合にも思えた。

中村もまた、明確にカウンターパンチャーの色を見せた。
ジムの先輩に溝越 斗夢(LUSH緑)がいるが、
彼はデビュー時点からカウンターパンチャーの自覚があった。
そういった選手は稀有だと思える。

戦いながら、自身の特性に気づき、その武器を磨いていくもの。
尖った武器がある選手は、それ一つでランキング戦線に顔を出すこともある。
未来予想図が大きく広がった重要な試合にも見えた。

中村が「とよはしの赤鬼」桂 ケンシロウ(とよはし)が待ち受ける決勝へ。
攻撃的な選手と言える桂に対し、カウンターパンチャーの色を持つ中村が対峙。
両者のクオリティが引き出されそうなカードにも思える。


中村 勇翔 3戦1勝1敗1分
鈴木 尚也 3戦1勝(1KO)2敗

 

【ライト級4回戦】
中尾 公信(市野) vs 山本 怜生(中日)


至近距離での攻防となった立ち上がり、山本の左アッパーが鋭く捉えるが
中尾のボディも重たく刺さり、続けざまの右ストレートが山本を捉える。
ミドルから至近距離を出入りしながら戦う山本が手数で上回る。


山本が出入りしながら拳を突き立てる中、中尾の右が痛烈に刺さるが、
山本のテンポは落ちず、次々と中尾の顔面を襲っていく。
先に先に手を出す山本に、中尾は反撃のタイミングを与えてもらえず。


3R、テンポを上げた山本が、中尾の攻撃を外しながら
出入りしては中尾の顔面を跳ね上げる。
上へ下へ襲い続ける山本、時折の被弾にもひるまず。


4R試合展開は全く変わらず。
攻めさせてもらえない中尾。
山本が展開を変える余地を与えず、そのままラウンド終了のフィニッシュ。


マイジャッジ 40-36 山本

公式ジャッジ
40-36 山本
39-37×2 山本

3-0 勝者:山本


山本が中尾に展開の打開を許さず、封じ込めたまま走り切った試合に見えた。
一度ペースをつかめば、淡々と自分のボクシングを展開するのが中尾と強みとも思える。
山本がそのお株を奪うように、淡々とミッションを遂行していった。

一度つかんだペースを渡さない…これもまた、難しいもの。
最低限、第1ラウンドと同じペースで最終ラウンドまで走り切る体力が必要となる。
作り込んできたものをしっかりと試合に落とし込んでの2連勝。

山本は8月に行われる中日本新人王決勝でバンザイ・リオン(天熊丸木)と対決。
テクニシャンのリオンに、山本の出入りのボクシングがどこまで通用するか…
リオンはどう対抗するのか…
8月のカードの魅力をぐっと高めたように思える。


対して中尾は封じられて持ち味を出せないままに終わったように思えた。
ただ、至近距離で撃っていたコンパクトなパンチはこれまでなかったものにも思え、
新たな武器を携えているようには見えた。

一つ一つ、力を伸ばしていく姿は魅力的。
勝利は「強くなること」に付随してついてくるもの。
2戦目から6戦勝ちなしとなったものの、トンネルの先の光は見えているように思える。


中尾 公信 7戦1勝(1KO)5敗1分
山本 怜生 2戦2勝

 

【女子ミニマム級4回戦】
谷原 羽奈(市野) vs 澤木 美里(名古屋大橋)


届かない距離からジャブの差し合う立ち上がり、レンジでは谷原が上回るか。
前の手をつぶし合って、奥の手の大砲勝負。
サウスポー澤木が左ストレートを撃ち込み、谷原が右ストレートを撃ち込む。
大砲の後、後続打につなげる場面を作ったのは谷原


2Rも見合いながらの大砲勝負。
当たった後につなげる谷原に澤木が撃ち返す形で撃ち合いになるが、
ここは距離が合わずにクリティカルヒットは産まれず。
ただ、レンジの長い谷原の方が鋭く回転もいいか。
ラウンド終了間際、谷原の右ストレートが痛烈に刺さる。


3R、これまでより深く踏み込んで右ストレートを突き刺した谷原。
試合がより好戦的になるとヒットも手数もこれまで以上に飛び交い始める。
テンポがはっきりと変わったラウンド。


最終ラウンド、一気に前に出てファイトを仕掛けた澤木。
撃ち合いに巻き込むと、いったんは澤木が撃ち勝って谷原が後退。
ただ、下がりながらの攻防は谷原が強く、出る澤木の顔面を的確に捉える。

ただ、次第に澤木が谷原を飲み込み始めると、受けて立つかのように谷原が足を止め
2人は猛烈な撃ち合いになだれ込んでの試合終了のゴング。


マイジャッジ 39-37 谷原


公式ジャッジ

39-37×2 谷原
40-36 谷原

3-0 勝者:谷原


オーソドックス対サウスポーの典型的な奥の手勝負の戦い。
分の悪かった澤木が仕掛けた最終ラウンドの撃ち合いに、
いったんは下がって応戦した谷川が意を決したように足を踏ん張った。
そこには俗にいう「拳の語り合い」があったように見えた。

狭い狭い地方女子ボクシングの世界。
対戦相手を選んでいられないのが実情であり、そこに女子ボクシングの矜持がある。
仲がいい選手とで対戦を避けるケースも多い中、友人同士の二人が拳を交えた。

勝利者インタビューで涙を見せた勝者の谷原。
満面の笑みで楽しかったと口にした敗者の澤木。
その意味を視聴者にゆだねる映画のエンディングのよう。

この日、誰よりカッコよかったのはこの二人。
誰が何と言おうと、間違いなく、この二人だった。


谷原 羽奈 3戦2勝1敗
澤木 美里 3戦1勝1敗1分

 

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