さてさて、今日のピックアップは比国(フィリピン)のジョナサン・タコニン(比)。
戦績は名前のところをクリックしてください。
現在のOPBF東洋太平洋ライトフライ級チャンピオンですね。
この選手、日本には馴染みがありませんが、正直すっごく強い。
パンチ力があって、解りやすく面白い試合をする選手です。
日本人選手との対戦はありませんが、かつて日本で活躍したウォーズ・カツマタ(勝又)という輸入ボクサーが
日本に来る前にタコニンとWBCインターナショナルライトフライ級王座決定戦を争ってます。
この頃のウォーズ・カツマタはワルリト・パレナスという本名で戦ってますんで
気付く人もそれほどいないかも…。
ウォーズ・カツマタも輸入ボクサーとして日本に来るくらいの選手ですから弱い選手ではないです。
今年の7月にはWBO世界スーパーフライ級暫定王座に挑戦して引分。
充分世界クラスの選手なんですよね。
そんな選手を相手に6RTKOで勝ってます。
さてさて、ウォーズ・カツマタは置いといて、ジョナサン・タコニン。
初期に際どい判定を1試合だけ落としましたが、
わずか1敗のみでWBCインターナショナルライトフライ級王座を獲得。
順調にWBCのベルトに挑戦します。
相手はコンパヤック・ポープラムック(タイ)。
この試合ね、ブログに動画を載せてらっしゃる方がいらっしゃるので
ちょっと検索してみればすぐに出てきます。
1Rからの映像が残ってるわけではないので見た範囲で。
4R、タコニングがあわやKO勝利か…といったところで、バッティングの減点。
これさ、そのちょっと前に確かに頭は当ってるど、止めるならその時点で止めなきゃ…。
倒せるかどうかのビッグチャンスで止めるって…。
減点とるほどのバッティングにも見えないし、減点の前に注意でしょう。
いきなり減点って…。
もしかしたら映像にないところでちょこちょこバッティングがあったのかもしれませんが。
そして、まぶたのわずかな傷で負傷判定へ…。
結果はコンパヤックの判定勝利。
他のラウンドがどうかわからないので何とも言えませんが、
この試合の審判の一人、日本人の金谷氏の採点は50-45。
フルマーク?この内容でフルマーク?4RにチャンピオンKO負け寸前だったじゃん!
まぁ、何を優先してポイントを付けるかはジャッジによって分かれるところなんで…。
僕みたいな素人が勝手につけたポイントが正解とは思いません。
ただ、これはね…納得はいかないかな…と。地元判定か…と。
結局その後、タコニング側がWBCに抗議。
WBCの国際ジャッジによる映像の確認が行われ、戦績に変更は加えないが、
1-1の引分が妥当と裁定を下されました。
強制ではないが、再戦をするべき…と。
ちなみに、レフェリーのキム氏とジャッジの金谷氏は今後のWBCの試合から追放されました。
WBCが不正な判定と認めたわけですね。
ただ、あの減点のときに試合が無理やり止められてなかったらどうだったのか…を考えるとね。
これ…コンパヤックが悪いのか?
そんなことないよね。本人はただ勝とうとして戦ってただけだもん。
プロモーター?ジム側?誰?
お金が動いたのかもしれないし、地元の熱狂に押されてしまったのかもしれない。
古い時代なら、敵側にポイントつけたジャッジが襲われるなんてのもあったらしいし。
最近は高山 勝成(仲里)が敵地で世界戦に判定勝ちしてファンに殴りかかられてるし。
ただ一つ言えることは、That’s BOXING。
地元判定、汚いお金の動き、噛ませ犬…そんなものまで全部ひっくるめてボクシングだと。
当然負けた側やそのファンは納得いかないでしょう。
それでも、それを受け入れるしかなく、負けたら終わり。
敵地で戦うなら、あの裁定が下る前にKOできなかったタコニングが弱い。
そう納得するしかないんです。
地元判定だ!噛ませ犬だ!なんて騒ぐ人が多いですが、そんなの当たり前でそれを含めてボクシング…。
少し前までは日本でもそうだったと思うんです。
特に僕が住んでる中部地方は地元判定が酷くて、判定になればほぼ地元の勝ちなんて時代もありました。
それもたかだか15年くらい前の話。
不公平な試合が正義だとは思いません。
ただ、勝った者が強いっていうボクシングの美学的なものは確かにあって…。
K-1が興行的に大きな成功を収めた時代、派手にやるK-1と対比させるように、
ボクシングが真面目に、真面目に…な方向に行った気がします。
なんか違うよなぁ…って僕はいまだに思ってます。
世界との温度差というかなんというか…。
世界のベルトが4本に増えた?他の国は元々4本だったんですよ。
JBCが最近までWBOとIBFを認めてなかっただけで。
世界チャンピオンの価値はなんら変わっていない。
地元判定がどうした?…経済的不利国のボクサーを見てください。
やつらチャンスと見るやいなやガンガン世界に出て行って、
そんな不利な状況まで打倒して地位を確立していってる。
JBCは、いまだ世界が整備しきれていない部分を飛び抜けて整備してきています。
もし、地元判定や噛ませ犬を排除しきることができれば世界的に大きな功績です。
ただね、僕らファンはね、どうすればいいのか…。
ファンが地元判定だ!噛ませ犬だ!って声をあげなきゃ変わらないというのもあるでしょう。
でも、僕みたいなファンはこの変革についていけていない。
地元判定で勝ったから弱い、相手が噛ませ犬だから弱い…それを言っちゃあおしめぇよ。
噛ませ犬はたまに噛む!
噛ませ犬として試合に出て噛みつくってことは、キャリアのジャンプアップになるんです。
今まで負け通しだった選手でも、たった1勝でタイトルマッチに近づける。
強い選手が噛ませ犬との試合をしなくなっちゃったら…そういうチャンスが根こそぎ消えてしまいます。
逆に、実力差があるから勝って当然みたいになるのもちょっと…
噛ませ犬に噛まれずに勝ち続けるって強くないとできないことだし…。
八重樫 東(大橋)に勝ったペドロ・ゲバラ(メキシコ)だって
戦績の半分近くが噛ませ犬?ってくらいの格下。
でも強いよ。
こんな変革期には様々な価値観が入り混じって、何が正解かとか良く分からなくなりますが…。
これだけ言わせてください。
勝った選手をね、批判するのは違うよ。
今回の地元判定を選手側が把握してたとしてもね、選手はどんな事をしてでも勝ちたい。
それでいいと思うんです。
負けたら、終わり…だから勝ちにすがりつく。
1勝の価値についてはヘルマン・アーロン・コタ(メキシコ)の回で充分書きましたのでここでは触れません。
たとえそのボクサーが最低な奴でもいいんです。
刑務所での公正プログラムから世界チャンピオンになる選手もいるようにね。
ボクサーっていうのは真面目で礼儀正しい人間たちの集まりではない。
生意気で型破りで、最低な奴でも、そんな奴らでも地位と名誉を手にすることができるかもしれない。
強ければそれでいい!って単純で希望が詰まった部分も魅力だと思うんです。
現役世界王者が麻薬密売人でした…とかいう話もつい最近ありました。
でもその選手が世界を獲ったっていう事実はやっぱり変わらない。
麻薬を売りさばいたことは最低だと思うけど、ベルトに辿り着いた努力や才能は
犯した犯罪とは別で素直に凄いなって思いたい。
誰だよ、ボクシングを武道にしたのは!
そんなもん空手に任しとけ!
おぉ…話がすさまじく脱線している。
とにもかくにもね、地元有利になっちゃうことはしょうがない。
ただ納得いくかどうかは、僕だってあんな試合で納得はいかない。
こうなってくると、なんとか世界を獲ってほしい選手ではあるわけです。
WBCが再戦を勧めたポープラムックは既に世界王座から陥落し、
タコニンはペドロ・ゲバラの次の相手と目されていましたが、
結局は日本の木村 悠(帝拳)に挑戦者の座をさらわれました。
地元判定で酷い目にあったにも関わらず、メキシコまで行って世界ランカー倒して、
ゲバラに向けて俺とやれ!ってアピールしたんですよ。
それでも叶わず…なんて不憫なんだ!
もう、おいらこの選手めっちゃ応援しちゃうから。
OPBFのチャンピオンだし、海外での試合も全然やっちゃう選手なので日本に来ることも考えられます。
その時一人だけこのフィリピン人応援している人がいたら、それは僕です。
絶対に殴らないでくださいね!
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