2018/4/30 -名古屋国際会議場-セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/4/30 -名古屋国際会議場-セミファイナル、ファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

 
 

【ライト級8回戦】
力石 政法(緑) vs 坂 晃典(仲里)

・力石 政法 2戦2勝(1KO) サウスポー
・坂 晃典 20戦16勝(13KO)4敗 日本フェザー級4位
 

フレームとしては一回り大きな力石。
対して坂は身をたたんでプレスをかけていく。
力石は左ストレートで迎え撃ち、接近を許したタイミングでは
コンパクトにアッパーとフックを叩き込んで坂の顔面を襲う。

力石の強打にも坂は効いた素振りを見せず。
ハイスピードでえげつない強打を繰り出し合う二人。

このラウンド、常に下がりながら応戦した力石が
数多くのヒットを奪い、ラウンドを獲ったように思えた。
 

いける…そんな思いが沸き立つ。
 

2R、接近戦の頻度が増えていくが、力石が坂を捉える頻度の方が多い。
そんなふうに感じていた中…突然だった。
下半身の力を失ったように力石が崩れ落ちる。
…前のめりの危険なダウン。

力石がロープを背負いながらコンパクトに応戦し、
僕が観戦していた角度からは攻め込む坂の背中しか見えていない状態。
角度も悪く、速過ぎる二人の攻防…角度が良くても解ったかどうか…。

思ってもいなかった光景に、頭が真っ白になる。
立ち上がった力石…再開後、一気に攻めてきた坂に応戦する力石。
苦し紛れにも思える形で振ったパンチにアッパーを合わされ2度目のダウン。
ここも膝から崩れる危険なダウン。

またも立ち上がった力石…足元がおぼつかない。
ストップもあり得るか…しかし、ここは続行。

応援したい、でも何て言っていいかわからない。
言葉が出てこない…絞り出すように叫ぶ。
「生き残れ!」

直後、仕留めにかかった坂の顔面を力石の強烈なフックが襲う。
バランスを崩す坂…効いた!!!!

ここで時間を稼ぐか、チャンスと見て逆に攻め込むか…。
力石が選択したのは後者…しかし、ダメージを抱えたその体は力石本来の力を失い…。
坂のラッシュに飲み込まれ、最後は右ストレートがクリーンヒット、
そこでレフリーが試合をストップ。
 
 

力石が…負けた…。

リングから降りる力石。
力石の表情を見に…客席の階段を駆け下りた。
なぜそんなことをしたのか解らない。

自分への怒りを強く強く抱いた表情。
それを見て、何を思いたかったのか、何がしたかったのか…
全く分からない…。
 
 

 
 
 

【ヘビー級10回戦】
竹原 虎辰(緑) vs サトリア・アンタセナ(インドネシア)

・竹原 虎辰 28戦14勝(7KO)11敗3分 OPBF東洋太平洋ヘビー級8位/日本ヘビー級1位
・サトリア・アンタセナ 15戦6勝(2KO)9敗 インドネシアヘビー級1位
 

力石の敗北で騒然とした中での試合。
前回は腰の怪我で鈍重な動きに終始した竹原だったが…。
出だしからしっかりとジャブを突き、シャープにジャブを突く。

プレスをかけて左フック一閃…簡単に崩れ落ちたアンタセナ。
ここは立ち上がったアンタセナだったが…仕留めにかかった竹原の右で再度ダウン。
今度は立ち上がれずにテンカウント。

KOタイムは1R 2分3秒
 

元々は藤中 大和(金子)との試合が組まれていたメイン。
急遽の対戦相手変更で、竹原にとっても見る側にとっても消化不良の試合となった。
しかし、前回の試合では心配になるほど、動きが悪かった竹原。
しっかりとその動きを取り戻しつつあったことに安堵した。
次の試合、楽しみに待ちたい。
 
 

試合が終わり、観客が引き上げていく。
力石が負けたショックを引きずったままその場から動けない。
一緒に観戦したファン仲間もつき合わせたまま…。
申し訳なかったが、どうしていいかわからなかった。

しばらくしてようやく移動。
仲間と色々会話を交わし、一緒にいた某有名ブロガーが坂の応援に来ていたことを知る。
坂は…魅力的だ…激烈強い。
 

林 翔太(畑中)のベルトを奪い、力石までも討ち砕いた。
中日本にとっては、かつて日本の有望選手を討ち破り続けた、
ジェス・マーカ(比)やタイガー・アリ(比)のような存在感。
何年先も「強かった」と語られる存在になっていると思う。
 

東京からの観戦者を名駅まで送り届けた後、林 翔太を激烈的に応援していた飲み屋さんへ。
車を出してくれていた観戦仲間の希望もあり、また僕自身も林戦に続いて坂に悔しい思いを
させられたことで、なぜかここに来たくなった。
 

そう言えば、注目ホープの竹嶋 宏心(松田)の公開プロテストの時、
坂が公開スパーリングの相手を務めたのだが…
その時に坂のセコンドには林が入っていた。

坂と林は試合後かなり仲良くなっているようだ。
人間的にも優れた男なんだろう。
 

気を紛らわすように話を重ねていると、店主が林に電話をつないでくれた。
刈谷あいおいホールで日本タイトルマッチを行い、君が代を聞かせてくれたことに対してお礼を言う。
引退後の人生も応援していると伝える。

…あとは、普段飲まない酒を飲んでいてだいぶ酔っていたせいもあって、あまり覚えていない。
せっかくだったのに…ごめんなさい。

家まで送り届けてもらった後、自分なんかよりよっぽど力石を応援しているファンと合流。
ここでも飲んで色んな話をした。
そのファンと別れてから、家でまた飲む。

グデングデンになる。

自分より力石を熱く応援しているファンが身近にいたこともあって、泣きはしなかった。
俺なんかが泣けない…。
 
 

まだ若い、たった3戦、これから。
僕もそう思う。

ただ…ここに賭けていただろう力石。
そんな言葉はきっと慰めにならないのではないかとも思った。
 

この2日後、力石は現役続行を宣言。
僕は辞めてもおかしくないと思っていただけに、嬉しい思いもあったが…。

「このまま終わったら負け犬」
 

その言葉に悲壮な決意を感じた。
 
 

力石vs坂…負けたとは言えこのインパクトは大きく、
力石の名前は以前とは比べ物にならないほど知られるだろう。
リスキーな試合に挑む男としての期待も大きくなるだろう。
 

4/30、力石より坂が強いことが解った日。
坂より、力石が弱いことが解った日。
 

力石…強くなれ。

また、次が激烈なカードもいい。
でも、次が調整試合でもいい。
 
 

どんな形でもいい。

自分が強くなって行ける選択を…。
もう既にその肩には、大きな期待がかかっている。
 
 
 

この日、矢吹 正道(緑)が次戦のカードを発表した。

昨年末、拳 四朗(BMB)のWBC世界ライトフライ級王座に挑戦したばかりの
ヒルベルト・ペドロサ(パナマ)が相手。

緑ジムが本気で勝負をかけている。
 
 

力石vs坂を、まるで矢吹が負けたときの力石のように見ていた男がいた。
力石のかつての同僚、森 武蔵(薬師寺)
彼は今後、どんな選択をしていくのだろう。
この試合を見て、何を思ったのだろう。
 
 

この日、マンモス 和則(薬師寺)が嘆いていた。

「いやぁ~、ちょっと体重増えすぎちゃってヤバいんスよぉ~…」
 
 

…マンモス。
…それ…今、洒落にならんから。
 
 
 

様々な戦う男達に大きな影響を与えた試合。
好カードは、それを見ていたボクサー達の血を滾らせる。

えげつない試合が増えたと感じる昨今。
この過激さは、より加速していくのかもしれない。
 
 
 

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