2018/4/30 -名古屋国際会議場-5試合目、6試合目(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【52.9kg契約4回戦】
岡崎 駿一(中日) vs 松田 海広(駿河)
・岡崎 駿一 2戦2勝
・松田 海広 3戦2勝(2KO)1敗
1R、緊張感のある距離の測り合い。
上へのパンチを外し合った二人、クリーンヒットはほとんど産まれず静かな3分間。
2R、出入りする松田に対し迎え撃った岡崎の左アッパー、さらに右ストレートが松田の顔面を捉える。
中盤に入ると、俊敏な出入りを続けた松田が左フックで岡崎を捉えると一気に松田が追い込んでいく。
ラウンド終了間際にはお互いの左フックが交錯し合い、松田の顔面が弾ける。
接触が増え始めた2R…試合後半に向けて、試合が熱を帯びていく。
3R、岡崎が前に出始める。
ジャブの数も増え始め、ペースを握り始める。
このラウンドは松田が下がっていく展開。
長いパンチを持ちながら、巧みなインファイトのできる岡崎が、松田のボディを強烈にえぐる。
密着した距離になるとしきりにアッパーを突き上げる松田。
ラウンドが残り30秒を切る。
長いパンチを撃ち込みながら近づいていき、巧く腕を折りたたんで強烈なフックを浴びせる岡崎。
負けじと応戦する松田…岡崎の顔面が跳ね上がるシーンもあるが、岡崎は決して怯まず攻め込んでいく。
4R、好戦的に出入りする松田の撃ち出しに合わせていく岡崎。
松田もこのラウンドは下がることなく、カウンターを浴びながらも合間合間に岡崎の顔面を跳ね上げる。
残り10秒を切ったところで強烈に左フックをヒットされ、一瞬腰が落ちた岡崎。
ここを堪えた岡崎、二人は残りの数秒間猛烈な撃ち合いを見せて最終のゴング。
マイジャッジ 40-36 岡崎
公式ジャッジは…
39-37、38-38、38-38 ドロー
微妙なラウンドが松田に流れたとすれば納得の範囲。
逆に自分のマイジャッジが岡崎に寄り過ぎた可能性も感じた。
近い距離での巧さを見せた岡崎。
パンチが死にそうな密着した距離で相手の顔面を跳ね上げる姿は少し特殊。
魅力的な選手だが、この日は前半をはっきり取れなかったことでドローとなってしまったか。
松田は素早い出入りに特徴を感じた。
うまくポイントをピックアップして引分けに持ち込んだ形にも見える。
これで両者、B級昇格まで残り1.5勝。
どちらの選手も、上へ登る実力は持ち合わせている。
6回へ…さらに8回へ…これから刻んでいくボクサーズロードを楽しみにしていたい。
■中日本スーパーバンタム級新人王準決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
英 洸貴(カシミ) vs 溝越 斗夢(緑)
・英 洸貴 2戦2勝(1KO)
・溝越 斗夢 1戦1勝(1KO)
マニアがド注目する中日本新人王戦、今年の涎垂カードの一つがこの試合。
U-15を3度制した英と、デビュー戦で圧倒的な実力を誇示した溝越。
1R、溝越が出した左に対して、強烈に右ストレートを合わせた英のオープニングヒット。
さらに強いジャブを腹に撃っていった英…一発一発がかなり重そうに感じる。
溝越は一気に踏み込んでコンビネーションで対抗。
手数とヒットは溝越が優位か…。
いきなり放った英の大砲は溝越のガードを叩くが、その衝撃音には戦慄を感じる。
2R、溝越は英のボディへのジャブに合わせて右ストレートをカウンターで突き刺し、英が一瞬膝を折る。
ここは英がクリンチで逃れる。
その後はしつこくボディジャブを伸ばす英…これがかなり重たそう。
3R、パンチを差し込みながら飛び込んでいく溝越。
溝越が飛び込んでくっついたところをコツコツと叩く英。
溝越が飛び込むたびにクリンチとなり試合は膠着気味になるが
ラウンド終盤、溝越がノーモーションの右を立て続けにヒットさせる
4R、飛び込む溝越、引かずに迎え撃つ英。
お互いの頭が衝突する頻度が増え、溝越が飛び込んだ後はクリンチになってしまう。
試合は完全に膠着していき…そのままタイムアップ。
このラウンドはクリンチ際でもコツコツ手を出した英が獲ったか…。
マイジャッジは39-37 溝越
はっきりとしたラウンドがなかった試合。
どう転んでもおかしくない。
公式ジャッジが発表される。
39-38 英
38-38 ドロー
…
38-38 ドロー
判定は引分。
優勢点は…
英 洸貴
新人王戦は英が勝ち上がり。
注目ホープの英が大苦戦の末に次戦へコマを進めた。
そのパンチの迫力、そして手数が多いとは言えないまでも、コツコツと継続して手を出していく部分。
基本的な強さを感じさせる英。
しかしながら、まだまだ粗さも感じさせる。
スピードも力も大器の片鱗を見せながら、まだまだ原石を思わされた。
原石は磨かれなければただの石ころ。
全日本新人王…数々の期待選手が毎年こぞって敗れていく。
ここから12月に向けて、磨かれていくか…どうなるか…。
溝越は痛恨の引分と見る。
今ならまだ止めれた相手、最終ラウンドに疲弊を見せた部分が残念だった。
もう一度…もし英とのリマッチを目指すなら、ここから数年
ノンストップの道のりが求められるようにも思う。
磨かれてしまえば…きっと英は手がつけられなくなる。
ただし…溝越もまた、特別な選手であると感じている。
来年の新人王戦を勝ち抜く可能性も、数年後に二人が別のステージで向かい合う可能性も存分にある。
この試合、僕は数年後のドラマに向けた序章だと捉えたい。
ここで、展開の速かった興行に休憩が挟まれる。
その後、ゲスト達がリングで次々と挨拶し、セミファイナルの前に長い時間がとられる。
ついにこの後…力石 政法(緑)vs坂 晃典(仲里)が始まってしまう。
そんな現実を意識するだけで、その時間は圧倒的に早く過ぎていく。
林 翔太(畑中)を破った坂の強さが瞼の裏側によみがえる。
倉敷で悔しさに震えた力石が脳裏に浮かぶ。
坂が怖い…。
好カードのワクワク感は吹っ飛び…ただただ坂が怖い。
気が付けば長い長いインターバルが終わり、力石を迎える花道が出来上がる。
…我慢できずに飛び込む。
力石を見届けたい。
薬師寺ジム時代の力石の後輩、マンモス 和則(薬師寺)が
僕を見つけて何やら緊張感のない話をして来るがあまり耳に入らない。
僕の緊張感を察して和ませようとしてくれているのだろうか、それとも何も考えていないのだろうか。
後者の可能性は高いと思いつつ、きっと前者だと自分に言い聞かせる。
そうこうしているうちに力石が入場…。
力石を直視できない…声も出せないまま、動画に力石の姿を収めて自分をごまかす。
リングに上がっていく…力石が…行ってしまう。
白と黒がはっきり出る非情なリングに…。
その背中をしっかりと目に焼き付け…思いにならない思いで胸がつかえる。
勝つか負けるか…数分後の読めない試合を見届けるため、猛ダッシュで定位置に戻る。
運命のゴングが…打ち鳴らされる。
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