2025/03/23 -静岡・浜松アクトシティ- 第5試合~第7試合(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【62.5Kg契約4回戦】
田中 友介(西遠) vs 中里 雄大(中日)
田中 友介 6戦3勝(2KO)2敗1分
中里 雄大 7戦4勝3敗
頭半分ほど身長差のある二人。中里がレンジで上回る骨格。
ワンツーを突き刺していく中里に、踏み込んで回転のいい連打を浴びせる田中。
近距離で勝負したいはずの田中だが、詰める前に中里の長いパンチが刺さる場面が目立つ。
至近距離で押し合う場面が増えた2R。
入り際、離れ際で中里が捉えては押し合い。
隙間のない攻防の中、パンチをねじ込ませ合う二人。
至近距離での攻防は互角か…。
3Rに入り、至近距離での攻防で回転を挙げていく吉田。
押し合いでは体格で下回る吉田の方が押し込んでいく。
至近距離での押し合いの中で中里の手が少なくなるが、
いったんブレイクで引きはがされると、密着する前のタイミングで中里が捉える。
最終ラウンドも押し合いの中でお互い小さく鋭利に捉え合う。
至近距離ではやはり田中の方がヒット数と手数で上回るか。
入り際、離れ際で印象的なクリーンヒットを奪うのは中里。
細かいパンチがどこまで採点に反映されるか…。
マイジャッジ 38-38
公式ジャッジ
38-38
39-37×2 中里
2-0 勝者:中里
田中サイドとしては至近距離でより回転をあげたかっただろうが、
中里は巧みに体を預けてそれをさせず、
勝負所を入りと離れ際に絞って、そこを制したように見えた。
痛快な強打があるわけでも、スピードがあるわけでもない。
ただ、細かいところで相手が嫌がることができる中里。
ねっとりと相手を自分の世界観に漬け込んでいくようなイメージ。
中里の真骨頂が発揮されたようにも思えた試合。
田中を封じ込めて、4回戦4勝目、B級昇格の権利を手中にした。
この日、思うような戦いはさせてもらえなかっただろう田中。
展開そのもの、中里に作られてしまったようにも見えた。
中日本新人王対決となったこの試合。
田中もそうだが、中里もまた中日本新人王を制する実力の持ち主。
6回戦に上がれば、こういったクセモノ選手たちもゴロゴロといる。
「ここで負けておいてよかった」と言わせてくれる戦いぶりを期待したい。
今はまだ、上で勝負する前の準備期間だ。
【スーパーフライ級6回戦】
原田 怜(とよはし) vs ハン・チャオチュン(中)
ガードを固めて、どっしりと構えてパンチを飛ばすハン。
ジャブ、ストレートで原田の顔面を跳ね上げる。
原田は鋭く強烈にボディを叩く。
ラウンド終了間際にはボディから顔面へパンチをまとめてヒット数では上回ったか。
スイッチを繰り返しながら詰めていく原田。
下がれば出てくるハンをスイスイとかわしながら、入ってきたところを鋭く突き刺す。
ラウンド中盤、撃ち合いになるとハンが強烈に捉える場面を見せるも後続打が続くのは原田の方。
的確にヒットを奪っていき、ラウンド終了間際、不意を突いたような右フックでダウンを奪取。
立ち上がったハンはしっかりと続行の意志を見せる。
3R、原田の方から前に出ていく展開。
撃ち終わりに放つハンの右ストレートで原田の顔面が跳ね上がるシーンはあるも、
その後の流れはしっかり制し、ロープ際での右フックでこの日2度目のダウンを奪う。
上で2度倒し、顔面を狙いたくなる場面だが、しっかり腹から打ち込んでいく原田。
攻勢を強めた分、ハンの重たいパンチをもらうこともあるが、上下に打ち込み確実に崩していく。
ラウンド終了間際にはロープ際でパンチをまとめ、ストップの近さを思わせるが、残り時間足らずにラウンド終了。
原田の鋭利なパンチに襲われるも、決して落ちることなく重たく返すハン。
原田は足を止めて襲い掛かり、特にボディはかなり強烈に襲う。
中盤から撃ち合いになると、ガードで被弾を最小限に収め、
ロープ際まで追いつめると被弾重なるハンをレフリーが救出。
TKOタイムは4R 2分18秒
立ち上がり、原田の顔面を何度も跳ね上げたハン。
わずか3分未満で、その強さを誇示して見せた。
これで負け越しとなったが、関係者の間からも「強かった」と驚嘆の声があがった。
そのハンをしっかりと「攻略」していった原田。
状況に応じて選ぶ選択肢はアマ時代に培ったものをしっかりとデビュー戦に落とし込んでいたように見えた。
印象の悪い被弾もラウンドを追うごとに減少し、最終的には圧倒した形。
状況への適応能力を見せつけた。
はっきり強いと言える存在の選手がデビュー。
アマ経験豊富なB級デビュー選手が、対戦相手の枯渇で足踏みするケースが多い中、
そういった選手がB級1勝でA級へ昇格できるルールができている。
原田に適用されるかどうかは不明だが、このままA級戦線も戦えるように思えた。
スーパーフライ級に多くの才能が集まる中日本。
この選手がどうこの先を上り、ライバルたちと対峙していくか。
壮大な物語がスタートを切ったように感じた。
原田 怜 1戦1勝(1KO)
ハン・チャオチュン 3戦1勝(1KO)2敗
【バンタム級6回戦】
中村 列亜(畑中) vs 望月 太朗(松本ACE)
頭一つ以上の身長差がある試合。
きびきびとした動きで飛び込もうとする小さな望月。
ジャブを飛ばしていく中村。
中村の重たいジャブが飛ばされる中、飛び込んで捉える場面を作る望月。
ラスト10秒は飛び込んでの猛ラッシュ。コンビネーションで次々と捉えてラウンドが終了。
一気にヒット数を稼ぎ出す。
2Rもジャブを突き刺す中村に、飛び込むタイミングを測る望月。
ジャブから軌道を変えたような左フックも望月を捉える。
望月の静から動への瞬発力もすさまじく、右を強烈にカウンターで突き刺す場面も。
このラウンドも望月がラスト10秒を攻めにかかる。
中村は距離をとって回避しようとするも複数被弾あり。
3R、ジャブで望月を遠ざけながら、入ってきたところに合わせる中村。
時折、ジャブの引きに合わせた望月の右が刺さるが、中村のペースは変わらず。
淡々とジャブを刺しながら、時折強打で襲う中村だが
中村が足を止めれば、望月が鋭く入り込んでコンビネーションを叩きつける。
4Rも中村がロングレンジを維持しながら淡々とジャブを刺すが
中村がロープに詰まると望月が回転よくボディから顔面へと襲う。
しかし攻め込む時間はわずか。
見せ場を作るのは望月の方だが、ラウンドのほとんどの時間を制しているのは中村。
5R、中村のジャブがリング上を制していく。
飛び込もうとする望月に対し、左手一本で試合を制する姿から、
その左がストッピングジャブとして機能しているように見える。
威力がなければ、そうはならないはずだ。
ラウンド終盤ロープ際で左右の連打を撃ち込んで会場を沸かせた望月。
望月の高回転の攻撃に、中村の手が止まり、一方的な印象を与える。
最終ラウンドは足を止める場面も多かった中村。
こうなると回転のいい望月がイキイキとし出すが、中村も強烈なボディで対抗。
ラウンド終了間際には猛ラッシュで逆転にかける望月だったがタイムアップ。
マイジャッジ 59-55
公式ジャッジ
58-56×2
59-55
3-0 勝者:中村
小さな体でゴムまりが弾けるように飛び込んでいった望月。
大幅負け越し選手ではあるが、かなりやっかいな選手に見えた。
瞬間的なスピードというしっかりと武器を持ったB級ボクサー。
この先、A級戦士として中日本の選手の前に立ちはだかってほしいとも思えた。
ラッシュを敢行した場面では、中村をはっきりと上回ったが、
ラウンド終了間際に仕掛けたこともあり、「望月の時間」は圧倒的に少なかった。
中村の44magnumと呼びたくなる威力ある左は健在。
この試合ではこれまで以上に左に比重を置いたように見えた。
結果、瞬発力のある相手を封じ込め、中日本きってのジャバーとして
地位を確立したように見えた試合。
B級初戦で、自身のスタイルをはっきりと示すような戦いを見せつけた。
あと1勝でA級戦線…中村の左がどこまで通用するか。
登っていく姿を楽しみにしていたい。
中村 列亜 7戦5勝(2KO)1敗1分
望月 太朗 14戦4勝(4KO)10敗
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