2025/05/25 -岐阜・じゅうろくプラザ- 第5試合~メインイベント(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【スーパーフェザー級4回戦】
西村 翔馬(岐阜ヨコゼキ) vs 加藤 陸(松田)
ゴングから一方的に攻め立てる加藤に対し、なかなか手が出ない西村。
ロープに詰めて攻めていく加藤…合間になんとか右を返した西村だったが
猛烈に攻め立てる加藤の右ストレートがガードを割って着弾。
崩れ落ちた西村にレフリーは試合をストップ。
TKOタイムは1R 1分13秒
先制した加藤に対し、効かされて守勢に回ったように見えた西村。
勢いよく主導権を握りに来た加藤が、そこを逃さず仕留めた格好に見えた。
何もさせぬままの圧倒劇に、今年の新人王戦優勝候補の評を堅いものにしたように思う。
チャンスを逃さぬ戦いぶりが見事だった。
前戦は攻めて逆転KO負け、この試合は手を返す機会もわずかなまま試合を終えた西村。
苦しい負けが続いているが、ここを耐えてこその未来があると思っている。
負けに負けるな、負けてからがボクシング。
「あの西村が…」「連敗続きだった西村が…!?」
そう驚かせてくれる日を楽しみにしている。
粘り強く戦う岐阜ヨコゼキの選手の中でも持ち合わるスペックは高い選手。
そうなってくれる可能性は充分にある。
西村 翔馬 8戦2勝(2KO)5敗1分
加藤 陸 4戦4勝(2KO)
【女子バンタム級4回戦】
武藤 里帆(岐阜ヨコゼキ) vs 大坪 真実(名古屋大橋)
フェイントを掛け合う中、時折、武藤の右ストレートが大坪を捉える。
左でフェイントをかけながら待ち続ける大坪は、
武藤の右ストレートに右ストレートを合わせ強烈な相撃ち。
続けて武藤の撃ち終わりに右ストレートを入れた大坪。
2Rも引き続き撃ち終わりを狙う大坪。
しかし、攻め込んだところでファイトの展開になると、
至近距離で猛烈な手数で武藤が暴れまわる。
大坪も体で押し込みながら手を返すが、武藤の勢い止まらず、2R終了のゴング。
3Rは武藤が右ストレートを放ち、大坪がその撃ち終わりを捉える展開に戻る。
先に撃ち出した武藤が捉える場面、大坪の右がカウンターとなって武藤を襲う場面。
それぞれあってきわどいラウンドとなる。
4Rも展開変わらずだが、武藤が大坪の撃ち終わりを捉えるシーンも出始める。
一進一退の展開のままだが、大坪が撃ち終わりを捉える数の方が上回ったか。
スイングランドが多かった試合、試合は判定にゆだねられる。
マイジャッジ 38-38 ドロー
公式ジャッジ
39-37 大坪
38-38 ドロー
1-0 ドロー
2Rの至近距離の戦いを武藤が明白にとったことが試合に大きな影響を与えたように思う。
フレームで一回り上回る武藤が、小回りが利くはずの大坪を回転で上回り、
押し合いで不利なはずの小さな大坪が体で押し込んだ。
お互いの意地を感じる攻防を経て、
先出しの右を当てるか、撃ち終わりを捉えるかの技術戦となった。
武藤にジャブがあれば…また展開は変わったように感じる。
デビュー戦はほんのわずかな時間で終わっていた武藤。
ようやくスタートラインに立った。
これから強くなるはず、中盤に見せたガムシャラな撃ち合いには
いい意味で「馬鹿」の片鱗を見せたように感じる。
至近距離は小回りの利く大坪の距離だったはずだ。
そこへ乗り込んで、猛烈に手を出して暴れまわる姿には信じられない思いだった。
どんなボクサーに変化していくか、楽しみでならない。
「三重の大馬鹿、濱口 人夢(市野)にあこがれる女子ボクサー」
憧れは影響となり、スタイルへと落とし込まれる。
岐阜のヒロインより…岐阜の大馬鹿姫とでも呼ばれてほしい。
濱口のようにとびっきりのドラマをまき散らす…そんなにおいも漂っている。
そしてこの試合を経ての大坪もまた楽しみに思える。
叶うことなら近い時期でのリマッチも見たいと思えた。
戦い方の幅は、武藤を上回るはずの大坪。
名古屋大橋の加藤チームが、踏まえてどういった戦略を用いるのかも興味深いと思えた。
台湾拠点から日本へ拠点を移した大坪にとっては、チーム力が飛躍のチャンス。
30歳を越えてから始めたボクシングで身に着けた技巧からは吸収力もうかがえる。
環境を生かせれば大飛躍もあり得ると感じた。
武藤 里帆 2戦1敗1分
大坪 真実 3戦1勝(1KO)1敗1分
【59.5㎏契約8回戦】
佐伯 瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ) vs 中原 博斗(倉敷守安)
力強いワンツーを叩きこむ中原に、小さく内側からえぐる佐伯。
佐伯のジャブにかぶせる中原のクロスカウンターが捉えるが
次の攻防では、それを出させて撃ち終わりを捉える佐伯。
ラウンド終盤、カウンターからパンチをまとめた佐伯に
コンビネーションで捉え返した中原。
攻守入れ替え、佐伯もまたコンビネーションで捉え、
試合は一進一退の激しい撃ち合いへ。
2R、お互いガードが高く、ブロッキングの反応もいい。
見た目以上に両者ともクリーンヒットは抑えているように思えるが、
一発当たればコンビネーションで捉え合う。
撃ち合いの中ではカウンターの取り合いとなるスリリングな展開。
3R、驚くほど力強い中原のジャブ。
佐伯のジャブに合わせて飛んでくる中原のクロスもやっかい。
佐伯はジャブをボディに持っていく。
4R、これまでより少し距離を縮めたか。
佐伯の踏み込んでの左がヒットするようになる。
佐伯が相手に渡りかけた主導権を取り戻しかけたところ、
中原の右クロスが痛烈に佐伯を捉える。
クリンチに逃れる佐伯だが、その後撃ち合いに発展。
一発のインパクトで中原が上回るが、
佐伯もラウンド終了間際コンパクトにパンチをまとめてみせる。
このラウンド、佐伯が左耳にヒッティングカットを負う。
5R、佐伯が押し込みながら超至近距離で捉え始める。
ミドルレンジになると、中原のジャブが鋭く佐伯を捉えるが、
佐伯は撃ち込みながらしきりに詰めて、ミドルレンジの時間を短く、
自分が有利な距離での時間を長くとって戦う。
6R、つめようとする佐伯にジャブを突き刺しながら、右のカウンターで止めにかかる中原。
強烈な被弾浴びながらも、詰めに詰めてショートを浴びせる佐伯。
これまで相手を苦しめてきた佐伯の超至近距離。
メインイベンターが真骨頂を見せる。
7R、被弾しても詰めていき、超至近距離で攻め立てる佐伯。
手を返す中原のパンチも強烈なカウンターで入るが、
構わず入り込んでパンチをまとめる佐伯。
試合は激しさを増していく。
8R、最終ラウンド、詰めてかかる佐伯だが、
詰まる前に中原の左右フックが佐伯の顔面を跳ね上げる。
それでも構わず詰めていき、お互いの首がねじ切れそうになるほどのフックの叩き合い。
死闘極まる強打の応酬を繰り返しながら、両者倒れることなく試合終了のゴング。
マイジャッジ 77-75 佐伯
公式ジャッジ
77-75 佐伯
76-76×2 ドロー
1-0 ドロー
まさに岐阜の死闘だった。
戦績五分のA級昇格、そしてこれが初戦。
相手はタイトルマッチ経験者のランカー。
中原の肩書を見れば冒険マッチにも思えた。
ただ、そんな試合で見せたのは重いジャブを武器にしたミドルレンジの強さ。
格上相手に中間距離を制し、肩書以上の実力を示して見せた。
中盤以降、至近距離を勝負の場所とした佐伯。
密着戦のズバ抜けた強さは相変わらずの圧巻ぶり。
格下に引き分け…しかし、中原はおそらくここから台頭する選手。
こういった相手を受けて立つのも、それなりの道を歩いてきた選手の宿命だ。
地元メインイベントで期待された勝利は得られなかったものの。
堂々、この日一番の激闘を演じ、メインイベントなんたるかを示したようにも思う。
背負い続けた岐阜のリング…岐阜に佐伯の時代があることを思い知らされたように思う。
佐伯 瑠壱斗 19戦11勝(3KO)6敗2分
中原 博斗 13戦6勝(3KO)6敗1分
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