2025/06/15 -愛知・刈谷あいおいホール- 前置き(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
試合開始前、刈谷あいおいホールではWBCケアーズの試合が行われていた。
所謂オヤジファイトにWBCのお墨付きが加わったものと言うのが分かりがよさそうだ。
「JBC/WBC ケアーズマスターズボクシング」が正式名称。
プロ非加盟ジムの選手たち、中日本外から参戦した選手たちもいる。
ボクシングはプロだけではない。
チャンピオンにならなければ意味がないものでもない。
目の前の1勝に向かって、相手の拳を浴びながら、懸命に戦っている。
勝つこともあれば負けることもある。
結果は必ず出てしまう。
ただ、必死に精一杯、勝利に向かう。
自分たちの日常もそうだ。
そうやってみんな戦っている。
ボクシングという形になして、ボクサーたちはそれを表現する。
僕はそこに自己投影する、そして勇気づけられ、救われ、日常へと挑んでいく。
プロに対して抱く思いと変わらない。
この日のケアーズのメインイベントには懐かしい二人が登場。
アマチュアで実績がありながらデビューの遅かった前岡。
ミドル級以上で活躍した選手だ。
遅いデビューとダンディーなたたずまいで、血みどろの激戦を演じ、
「浜松のおじさん大熱闘!!」なんて騒いだ記憶が懐かしい。
丸木は現在、天熊丸木ジムの会長を務める。
名選手、天熊 丸木(常滑)の息子として、ジム会長の息子として注目を浴びたが、
腰の怪我やジムの一時的な消滅など、キャリアは思うようにいかず、ベルトを巻くことはなかった。
引退してヘビー級の体になっている二人。
立ち上がり、前岡が驚くほどスピーディなジャブで丸木を捉えていく。
丸木が入ろうとするたびに突き刺さるジャブのタイミングの良さに驚く。
1Rは現役時代を4回戦で終わった前岡のラウンド。
しかし、元日本ランカーの実力発揮はここから。
慌てることなく、2R開始直後に綺麗なワンツーでクリーンヒットを奪いダウンを奪取。
プロとは違い、安全性により重きを置いたケアーズ。
たった一つのクリーンヒットで容赦なくダウンが宣告される。
これがより高い緊張感を産む…たった一つのクリーンヒットが勝敗においての致命傷となる。
プロとはまた違う張り詰めた面白さがある。
これでロベルトがダウンを奪い返さなければ丸木勝利は堅い。
そんな展開の中、丸木が技巧で魅せる。
左ボディを重ねたうえで、同じモーションから上を叩く左フック。
痛烈なクリーンヒットで2度目のスタンディングダウン。
1Rに2回のダウンで自動的にTKOとなるルール。
引退して数年、戦う姿はまだ懐かしくはならない。
久しぶりに見た勝敗を変えて戦う丸木の姿、
現役時代と変わらぬ「唸らせるボクシング」にうれしくなった。
試合後、西遠ジムの大橋マネージャーと言葉を交わす。
「元4回戦と元日本ランカーだもん…」
記念やお披露目じゃなく、本気で勝ちに行ったからこその言葉にも思えた。
ロベルトのジャブを褒めると…
「だって好きだから」
それこそがすべてにも思える。
ボクシングが好きだからこそ、引退後も現場に残り、リングにも上がる。
戦う人間がいなければ、ボクシングは成り立たない。
ロベルトの「好き」こそがボクシングを創っている。
同じように「好き」な人間たちがたくさんいて、
様々な形で関わり、ボクシングが出来上がっていく。
リングは神聖と言われるが、僕はその言葉に否定的だ。
リング自体はただのモノ。
そのリングを創り上げていく人々の思いこそが神聖なんだと思ってる。
今日、ボクシング好きが高じてリングに上がっている一人ひとり、
練習場所であるジムや、WBCケアーズを運営する人々、声援を送る客席。
みんなでボクシングを創り上げている。
ここでいつもの前置き
自分はファンではあるが、熱狂的なマニア程の肥えた目を持ってはいない。
自分より凄いと思えるファンはそこらじゅうに転がっている。
ここに書く内容に誤りが多分に含まれることもある。
先に言い訳をしておきたいわけではなく、そういうものだと言っておきたい。
同じ試合を見ていても、違う感想を持つファンもいるわけで…。
ここに書いたことが正解ではないと…。
それだけは認識した上で、読み進めていただきたい。
WBCケアーズが終了し、関係者たちは慌ただしく外に出て昼食をとる。
この後すぐにプロの興行が開始される。
好きが高じすぎた者たちの行きつく先。
勝負の厳しい世界に挑んでいく。
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