2018/11/12 -後楽園ホールⅢ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/11/12 -後楽園ホールⅢ- (中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

■ウェルター級6回戦
垂水 稔朗(協栄) vs 安藤 暢文(高崎)

垂水 稔朗 17戦11勝(6KO)3敗3分
安藤 暢文 14戦5勝(2KO)8敗1分 サウスポー
 

静岡でその試合を見ることのできていた安藤のランカー挑戦。
試合をリードしながらダウン一つの差で判定に泣いた姿が思い起こされる。
丁寧に戦う左のアウトボクサー。

ジワジワ前に出る垂水と、下がりながら手数を出す安藤。
安藤のパンチはスピードに乗り、垂水のパンチへも落ち着いて対処。
前の試合から半年…巧くなっているように感じる安藤に嬉しくなる。

しかし…徐々に距離が詰まり、撃ち合いの頻度が増えるとジワりジワりとペースが安藤に移る。
3Rには頭を着けての撃ち合いに挑んだ安藤。
ラウンド序盤はシャープにヒットを奪っていった安藤だったが…。
上位ランカーの強烈な右を効かされるシーンが何度か訪れる。

4R序盤、撃ち合いはヒット数は互角だが、
もらってもビクともしない垂水と、明らかに効かされてしまう安藤。
次第に展開は垂水に一方的に傾いていき、安藤は強打にさらされる。

5Rには垂水がロープ際での強烈な右ストレートをきっかけに、
安藤を一方的な連打で飲み込んで試合がストップ。

5R 2分6秒 TKO
 

日本タイトル挑戦も近いと思われる垂水。
叶うなら丸木 凌介(天熊丸木)との試合が見てみたい。
パワーがありながら、そのパワーに振り回されることのない、丁寧な選手。
日本上位ランカーに相応しい実力者に感じる。

安藤は上位ランカーを相手にしても、序盤を上回った。
ワンツーには速さがあり、それがそのまま魅力のようにも感じる。

負け越し戦績の6回戦ボクサーだが…僕が見た2試合はいずれもあと少しの試合。
相手が多少実力上でも、試合の白黒をひっくり返しそうな魅力がある。
戦績は負け越しでも、期待できない選手ではない。
どこかでランカーを食ってしまう試合を見せて欲しいと思う。
 
 

■WBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦
アビガイル・メディナ(スペイン) vs 亀田 和毅(協栄)

アビゲイル・メディナ 24戦19勝(10KO)3敗2分
亀田 和毅 37戦35勝(20KO)2敗
 

これまで亀田3兄弟が獲得した多くのベルトが掲げられての入場。
豪華に輝く世界のベルトが多数。
日本国内でこれだけの数のベルトが揃う光景はなかなかない。
ただただ、それぞれが強く光を放つベルトたちに惹きこまれる。
 

試合が始まると、序盤から和毅がスピードで圧倒。
4R時点でフルマーク…完璧なヒットアンドアウェイを見せ、一方的にパンチを当てていく。
出入りする和毅に対して踏み込むメディナ…頭が衝突する形に…。
局面を打開しようとメディナは盛んにバッティングをアピール。

中盤に入ると、この先を意識してか、和毅がリスクを背負って撃ち合いに挑む。
しかし…そこはメディナの土俵。

和毅が強烈な右を肩越しに突き刺してメディナを揺らすシーンがある反面、
危ないタイミングで和毅のアゴがえぐられるシーンも目立つ。

メディナの土俵に入りながらも、中盤の展開は互角。
8R終了時点で採点は三者とも4P差。
ダウンなしとして、あと1R獲れば勝ちが確定する。

終盤、和毅は終始強烈に振るうメディナのパンチに襲われ、スリリングなシーンが続く。
そんな中で、ギアを上げての猛烈な連打を要所に見せてしっかりとヒットの数を奪う。
試合終了まで、しっかりと撃ち合いの場面を作った和毅。

世界戦の12R、タフな試合に見えたが、お互いにわずかな消耗で最終ラウンドのゴングまで走り切る。
スピードも迫力も世界戦として相応しいものに思えた。

判定は116-112、117-111×で和毅。
 

過去、TV局をバックにチャンスが豊富だった頃と違い…
TV局が離れ、3年以上もチャンスに見放された。

世界戦をやるには莫大な金がかかる。

AbemaTVと一緒にコンテンツもろとも商品価値を作り上げ、
さらにWBCの指令を待って辿り着いた世界戦。
亀田三兄弟で最も強いとされる和毅の2つ目のベルトは、
彼らが口にする通り、家族一丸でつかんだものに見えた。

ドミニカ生まれのスペインボクサーのメディナ。
彼も待たされた選手に思える。
ようやくつかんだチャンスは逃してしまったが…。
そのスリリングなパンチは世界戦のリングに立つに相応しいものだったように感じる。
どうかまた、彼がチャンスに恵まれることを願いたい。
 
 

観戦終了後、溝越 斗夢(緑)に溝越の後援会に宛てた激励賞を手渡す。
彼の後援会は同級生が作った。

20歳に満たない少年が、同級生の活躍を応援しようと…
どんな立派な言葉も、行動には勝てない。
きっと何をどうすればいいかわからないままに立ち上げただろうと思う。

サポートする人々も集まり、溝越のデビュー3戦目には幟が立ち、
そしてこの日の試合では、ガウン代わりの特攻服を着てリングに上がった。
全て、溝越に夢を見る人々が彼に与えたモノだ。

試合直後、家族のもとを訪れた溝越と初めての会話を交わした。
優しくて、頭のいい少年、そして高いプライドもある。
魅力の詰まった言葉の一つ一つにまた魅了された。

このボクサーが愛される理由が分かった気がする。
 

興行終了後の後楽園ホール前で、緑ジムのトレーナーや溝越の家族と話した後、その場を後にする。
最後には一緒に観戦した溝越のおばあちゃんに、「また一緒に観戦しましょう!」と約束。
ばあちゃん、溝越を褒めたってな。
きっと溝越は褒めたら褒めただけ強くなる。
 

後楽園ホールを去ろうとすると、今度は亀田 京之介(協栄)を見かける。
「負けないでください」と声をかけた。

これは、ちょっと違ったなと思う。
正解は「勝ち続けてください」だったかなと。

自分が応援しているボクサーに勝った選手。
どこまでも勝ち続けて行って欲しい。

豊かなハンドスピード、プランを実行できるメンタル。
そして、何よりも弱点に思えた集中力を4R維持し続けたこの日の京之介。
強かった…本当に強かった。

悔しさはあるけれど、やっぱり勝って行って欲しい。
 

そんなこんなで水道橋を離れ、名古屋行きの夜行バスが出る新宿へ。
中日本のファンと同じバスだったため、一緒に夕食をとる。
気が付けば0:45の夜行バスの時間。
 

名残惜しく東京をあとにする。
消灯したバスの中、遠征の最中に見た試合達が頭の中を駆け巡る。

最後はやっぱり溝越のこと。
沢山の人に溝越が見てもらえてよかった。
本当に良かった…でも、負けてよかったなんてないよな。
やっぱり悔しい。
 

溝越の次戦は既に組まれている。
12/2…刈谷あいおいホール。

溝越の…八つ当たりに期待したい。
 
 

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