2018/4/15 -メッセウイングみえ- 6試合目、セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
【57.5kg契約6回戦】
菅原 秀馬(市野) vs 今田 雄大(蟹江)
・菅原 秀馬 5戦4勝(3KO)1敗 サウスポー
・今田 雄大 11戦6勝(3KO)2敗3分 サウスポー
初の6回戦、地元興行でガウンを着て登場した菅原。
引分け以上でA級昇格となる今田と対戦。
2016年の中日本フェザー級新人王の今田、
そして新人王戦は決勝にも辿り着けず、B級に上がったばかりの菅原。
これまでの経歴から行けば、今田の方が格上となるが…
1R、距離を測りあう二人。
菅原が左ストレートをボディに突き刺せば、強烈なジャブで菅原の顔面を叩く今田。
ラウンド中盤、今田の右に左を立て続けにかぶせた菅原。
既にタイミングをつかみ始めたように見える。
ラウンド終盤には菅原の右フックが強烈に今田の顔面を捉える。
2R、菅原の入り際を前の手でたたいた今田。
距離が潰れた場面では、綺麗ではないが、力強い今田の右フックが菅原を襲う。
対して菅原はボディを多用して削りにかかる。
今田は手数を増やしていくが、それをしっかり頭を振って外す菅原。
体ごと押し込んだ今田、押し合いになったタイミングで両者の頭が激しくクラッシュ。
今田のカットにドクターチェックが入り、傷は有効打によるものと発表。
パンチでできた傷が、バッティングで開いたということか…
3R、開始早々、思いっきり右フックを振っていった菅原。
ガードの上から殴りつけた形…そこから左ストレートを撃ち抜いて今田の顔面を跳ね飛ばす。
バランスを崩した今田だったが、ここは立て直し、距離を潰してピンチを脱出。
しかしさらに右アッパーで今田を叩いていった菅原。
今田は前の手をだらりと下げて、速いジャブで抵抗。
4R、何度も強烈に左をかぶせられる今田。
菅原がカウンターで今田の顔面を捉えるシーンが目立つ。
…状況的にはジャブが出にくくなる状況だが、今田は臆せずにジャブからパンチを繰り出していく。
5R開始直後、いきなり放つ右フックを抜群の当て感でガードの脇に滑り込ませていく菅原。
ボディから顔面へ、顔面からボディへ…的確に捉えて行く。
そんな中で、今田は下がることなく左ストレート撃ち込み、菅原の顔面を跳ね上げる。
それをきっかけに二人は撃ち合いに突入。
インファイトでは今田に分があるか…。
一旦距離が空くと、タイミングをつかんでいる菅原のパンチがガードの隙間に叩き込まれていく。
しかし、ダメージを負うと、密着して体を預けて回復を図る今田…タフ過ぎる。
6R、開始から猛烈な撃ち合い。
タイミングよくクリティカルなパンチを撃ち込む菅原。
対して強引にねじ込むように撃ち込んでいく今田。
撃ち合いはラストに向かって熱を帯びていき、そのまま終了のゴング。
マイジャッジ 59-55 菅原
58-57×2
57-57
公式ジャッジは2-0で菅原。
サイドに動いた場面では、的確にカウンターを撃ち込んでいった菅原だったが、
足が止まれば、危ないタイミングで今田のパンチをもらう場面も散見した。
足を止めて撃ち合ったのか、足が止まって撃ち合ってしまったのか…。
そこは外目からではわからない部分だが…、この選手はもっともっと強いと思っている。
ポイントは接近したが、ダメージは明らかに今田の方が深かったように思える。
「今田じゃなければ倒れていた」そんな痛烈なパンチをいくつも浴びていた。
丁寧にジャブを突いていく今田…サウスポーは大砲に頼りがちになる傾向があるように思っているが、
勝ち上がっていく選手はしっかりとジャブを使いこなす。
A級昇格は持ち越しになってしまったが…ここからA級昇格、ランカー挑戦とこの先を見ていきたい。
【バンタム級6回戦】
松下 拓磨(市野) vs 高井 一憲(中日)
・松下 拓磨 8戦4勝(2KO)4敗
・高井 一憲 11戦6勝(3KO)3敗2分 サウスポー
2015年の中日本スーパーフライ級新人王と2017年の中日本バンタム級新人王が対決。
松下はB級昇格後、連続の1RTKO負け。
対して高井は一撃の魅力を振りまいて中日本新人王トーナメントを勝ち上がった選手。
松下にとって相性が悪いのではないか…試合前からそんな思いばかり膨らんでいた。
1R、遠い距離でパンチを出し合い、距離を測っていく二人。
そのまま静かな時間が経過していく…交換したパンチはわずかなまま最初のラウンドが終了。
2R、距離が縮まり始めたところ、松下の強烈な右フックが炸裂…膝を折る高井。
その後、ボディを強くたたいていく高井に対して、丁寧にブロックする松下だか、手数は少ない。
そんな中、ラウンド後半、コーナー付近で、高井に強烈な左アッパーを突き上げられる。
…これまで高井の左アッパーは記憶にない。
新しい武器を仕込んできたか。
3R、開始とともに前に出ていき、強烈にボディを突き刺し、しきりに左アッパーを狙う高井。
左ボディアッパーで腹をえぐられながら、左フックを合わせ始めた松下。
これが高井の顔面を捉えるシーンが出始める。
ラウンド中盤、松下が強烈な右ストレートを叩き込み、またも膝を折る高井。
4R、やはり左アッパーにこだわる高井…試合は接近戦となり撃ち合いの熱が増していく。
しかし、市野ジムの選手達はこぞって撃ち合いには強い。
松下は撃ち合いで高井をロープまで押し込んでいくと、ここで高井がロープに挟まってしまう。
そのままラッシュする松下…自由を奪われて撃たれる高井に対し、レフリーがロープダウンを宣告。
これをTKOと勘違いしたリングサイドがゴングを鳴らしてしまい、選手もコーナーもTKOと勘違い。
陣営がリング内に飛び込んでしまうが、カウントを数えるレフリーに慌ててリング外に戻る。
一時の混乱はあったが、高井はしっかりファイティングポーズを取って試合再開。
一気に攻め込んでいった松下だが、ここは高井がなんとかいなして、ラウンド終了のゴングを聞く。
5R、高井がしっかり足を使って有効打を集めていったラウンド。
しかし、勢いに乗っている松下のコンビネーションで高井の顔面が跳ね上がるシーンも。
ポイント自体は松下有利…しかしペース自体は高井に流れつつある。
そして、撃たれもろさを見せてきた松下と、一撃を持つ高井…
試合の行方はまだまだ分からないまま最終ラウンドへ。
6R、二人は撃ち合いに突入。
高井は磨いてきた左アッパーにこだわったか。
しかし、松下の勢いにコーナーまで押し込まれていき…。
このラウンド、松下がしっかり撃ち勝って終了のゴング。
マイジャッジ 58-55 松下
公式ジャッジ
58-55、58-56、59-55
3-0で松下。
初期は左ストレートだけだった高井。
気が付けば主武器は左フックに代わり…。
4回戦としては分厚い戦歴の中で、フィニッシュブローを一つずつ増やしてきた高井は
「自分の一撃を強烈に当てられる場所」に重きを置いたポジショニングで、その威力を見せつけてきた。
この試合、左アッパーを新たな武器として携えてきたが…
至近距離で撃つそのパンチは、高井の土俵ではない、撃ち合いを招いてしまった。
この先…この左アッパーがどう進化していくのか、
はたまたミドルからロングで徹底して勝負する形に戻るのか…。
高井の左アッパー…キャリアの肝になりそうに感じている。
次の試合、注目して見てみたい。
松下は…ごめん。
心のどこかでもう終わったと思っていた。
前の試合、1RTKOで負けてしまった直後、挨拶に来てくれた松下に…
即、「次は三重?」と尋ねた。
辞める…なんて話が出ておかしくないタイミングだったし、
あまりにも痛烈なKO負けに、「もしアゴがおかしくなっているのなら…」なんて思いもあった。
この選手は辞めた方がいいのかもしれない…でも、もっともっと試合を見たい選手でもある。
そんな葛藤の中で、咄嗟に出た言葉がそれだった。
笑顔で「はい」と答えた松下…僕は猛烈な罪悪感を抱えた。
自分の「見たい」が優先されてしまった自分の言葉…。
「言っちゃいけない言葉だったのかもしれない。」…そんな葛藤をその日以来抱えていた。
あの瞬間と、この試合までの間に抱えた罪悪感を僕は生涯忘れないと思う。
この日、何度も高井の硬質なパンチを浴びながら、しっかりと撃ち合っていった松下。
松下は、終わってなんかいなかった。
勝手な葛藤がニワカの勘違いだったことにホッとし、
そして本当に失礼な独りよがりの思いだったと後悔する。
連敗脱出おめでとう。
色々、ごめんなさい。
勝ってくれてありがとう。
少しだけ泣いた。
【カテゴリ別】
2018年中日本ボクシング観戦記一覧に戻る
中日本ボクシング観戦記一覧一覧に戻る
カテゴリ別記事一覧に戻る
【日付別】
【記事一覧】2018年5月に戻る
【記事一覧】2018年に戻る
【記事一覧】に戻る
各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑
コメント